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第一章 幼少期編
第9話 諦めたらそこで(ry
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魔族は人族や他の種族に比べ数が少ないらしい。ではなぜその魔族が恐れられているのか?答えは圧倒的な個の力である。その力の根源にあるのが魔闘術とのこと。
「人族である俺に教えても良いのか? そもそも、俺は魔族じゃないのに魔闘術を使えるようになるのか?」
「うむ、問題はなかろう。魔闘術に必要なのは魔力、それは全ての生き物が持っておるしなそれに、使えるようになるに決まっておるじゃろ? なにせこの我が教えるのだからな! はっはっはー!」
根拠の無い自信はどこからくるのだろうか? しかしこの亜空間は便利だ、時間を気にしないで修行ができる。
「あー因みにここは時間の概念はないが、あまり長く滞在し続けると精神に異常をきたすゆえ、そうじゃな……人族のクーだと三日が限界じゃろうな。だか、安心せい! ここでは睡眠も食事も必要ない。72時間もあれば基礎くらいは叩き込めるじゃろ」
「休憩なしかよ!」
「クーよ、人ならざる力を手にするとは死ぬ事と同義よ。お主には一度死んでもらう」
「え? 俺殺されるの?」
「正確には死の淵に至ってもらうと言ったところじゃな。それを乗り越え生きてみせよと言うとるのじゃ」
なんですか、瀕死の状態から回復すると強くなる戦闘種族ですか?人体の不思議ですか?
「我は特別な魔眼を持っていてな、その者が放つ魔力の特性や流れが視えるのじゃ」
「ほう、魔眼……超格好いいな! 俺も欲しいぜ」
一度は言ってみたい厨二セリフ堂々の八位にランクインしている「この眼に封印されし力を解放する時が来た」は男子の夢がいっぱい詰まっている。
「良いじゃろう? 誰もが羨む魔眼ぞ!」
「それで、俺の魔力ってどうなの?」
何度も言うここは異世界である。そして転生者というアドバンテージは魔力量も一般人のそれとは違うはずだ。
「雑魚じゃな」
「え? なに? 聞こえない」
「雑魚じゃ」
「oh……Jesus……」
神様、ここは異世界ですよ? チートをくれとは言いませんよ? 幼児という成長過程の身体とはいえあんまりです。
「じゃが、面白い色をしておってな」
「色?」
「クーに出会う前に勇者を見てきたと言ったじゃろ? あやつはまさに勇者という感じでキラキラしておった」
「勇者はキラキラなのか、なんとなくわかる気はする。それで俺は?」
「魔族のそれに近しい色なのじゃが、禍々しさは魔族と同等、いやそれ以上じゃな……クーよお主は何者なのじゃ? 弱く、魔力の力強さもない。しかし、歴戦の強者がもつ濃厚な死の匂い。その年齢でどれだけの人数を殺した? そもそもその程度の力でどうやって殺してきた? 面白い! 面白すぎるのじゃクーよ!」
この世界に転生してからというか、真島三太として生きている時も含め人を殺めた事はない。日本に、日本人として生きていて生死のやり取りをする場面に遭遇すること自体がない。スーの言う濃厚な死の匂いとは無縁の人生なはず。思い当たるのは一つしかない。そうゲームの世界でのPKだ。
「濃厚な死の匂いねぇ……」
ゲームでの経験が反映されているという事はこの世界はゲームの世界なのか? いやそれはない、世界観がまるで違う。そもそも使える能力やシステムがない時点でありえないのだ。
「魂に刻まれた記憶とでも言うかのう、クーはそれほどの器を持っているという事じゃ」
「魂の記憶か~そうだな、そう言われると心当たりがないわけでないがそれは重要な事なのか?」
「好みの問題じゃな。我には魅力的に感じるが……人族としてはどうじゃろうなぁ、言わば勇者とは正反対と言っても過言ではない」
それは嬉しい誤算だ。勇者嫌いだもん。ただ、勇者の持つあの理不尽な主人公補正の強さに俺は対抗できるのか?と考え込む。
「何を落ち込む事がある? 我は言ったであろう?強くなってもらうと」
「俺は勇者よりも強くなれるのか?」
問題はそこだ、反勇者連合と格好つけてるくせに勝てなければ意味もない。というか、わざわざ敵対して関わる必要性あるのかと言われたら微妙だ。会ったこともないのに。
「クーよ、諦めたらそこで死合い終了なのじゃ」
「殺し合いかよ!」
スー先生! 死にたくないです……。
「人族である俺に教えても良いのか? そもそも、俺は魔族じゃないのに魔闘術を使えるようになるのか?」
「うむ、問題はなかろう。魔闘術に必要なのは魔力、それは全ての生き物が持っておるしなそれに、使えるようになるに決まっておるじゃろ? なにせこの我が教えるのだからな! はっはっはー!」
根拠の無い自信はどこからくるのだろうか? しかしこの亜空間は便利だ、時間を気にしないで修行ができる。
「あー因みにここは時間の概念はないが、あまり長く滞在し続けると精神に異常をきたすゆえ、そうじゃな……人族のクーだと三日が限界じゃろうな。だか、安心せい! ここでは睡眠も食事も必要ない。72時間もあれば基礎くらいは叩き込めるじゃろ」
「休憩なしかよ!」
「クーよ、人ならざる力を手にするとは死ぬ事と同義よ。お主には一度死んでもらう」
「え? 俺殺されるの?」
「正確には死の淵に至ってもらうと言ったところじゃな。それを乗り越え生きてみせよと言うとるのじゃ」
なんですか、瀕死の状態から回復すると強くなる戦闘種族ですか?人体の不思議ですか?
「我は特別な魔眼を持っていてな、その者が放つ魔力の特性や流れが視えるのじゃ」
「ほう、魔眼……超格好いいな! 俺も欲しいぜ」
一度は言ってみたい厨二セリフ堂々の八位にランクインしている「この眼に封印されし力を解放する時が来た」は男子の夢がいっぱい詰まっている。
「良いじゃろう? 誰もが羨む魔眼ぞ!」
「それで、俺の魔力ってどうなの?」
何度も言うここは異世界である。そして転生者というアドバンテージは魔力量も一般人のそれとは違うはずだ。
「雑魚じゃな」
「え? なに? 聞こえない」
「雑魚じゃ」
「oh……Jesus……」
神様、ここは異世界ですよ? チートをくれとは言いませんよ? 幼児という成長過程の身体とはいえあんまりです。
「じゃが、面白い色をしておってな」
「色?」
「クーに出会う前に勇者を見てきたと言ったじゃろ? あやつはまさに勇者という感じでキラキラしておった」
「勇者はキラキラなのか、なんとなくわかる気はする。それで俺は?」
「魔族のそれに近しい色なのじゃが、禍々しさは魔族と同等、いやそれ以上じゃな……クーよお主は何者なのじゃ? 弱く、魔力の力強さもない。しかし、歴戦の強者がもつ濃厚な死の匂い。その年齢でどれだけの人数を殺した? そもそもその程度の力でどうやって殺してきた? 面白い! 面白すぎるのじゃクーよ!」
この世界に転生してからというか、真島三太として生きている時も含め人を殺めた事はない。日本に、日本人として生きていて生死のやり取りをする場面に遭遇すること自体がない。スーの言う濃厚な死の匂いとは無縁の人生なはず。思い当たるのは一つしかない。そうゲームの世界でのPKだ。
「濃厚な死の匂いねぇ……」
ゲームでの経験が反映されているという事はこの世界はゲームの世界なのか? いやそれはない、世界観がまるで違う。そもそも使える能力やシステムがない時点でありえないのだ。
「魂に刻まれた記憶とでも言うかのう、クーはそれほどの器を持っているという事じゃ」
「魂の記憶か~そうだな、そう言われると心当たりがないわけでないがそれは重要な事なのか?」
「好みの問題じゃな。我には魅力的に感じるが……人族としてはどうじゃろうなぁ、言わば勇者とは正反対と言っても過言ではない」
それは嬉しい誤算だ。勇者嫌いだもん。ただ、勇者の持つあの理不尽な主人公補正の強さに俺は対抗できるのか?と考え込む。
「何を落ち込む事がある? 我は言ったであろう?強くなってもらうと」
「俺は勇者よりも強くなれるのか?」
問題はそこだ、反勇者連合と格好つけてるくせに勝てなければ意味もない。というか、わざわざ敵対して関わる必要性あるのかと言われたら微妙だ。会ったこともないのに。
「クーよ、諦めたらそこで死合い終了なのじゃ」
「殺し合いかよ!」
スー先生! 死にたくないです……。
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