7 / 156
第一章 幼少期編
第7話 勇者がいるってばよ
しおりを挟む
腕を組み、ドヤ顔での自己紹介をされたが、聞きたいのはそこじゃない。
「えっと……ス、スフィア……え……」
「スフィア・エル・ガルガランドじゃ!」
(長い名前だ!覚えきれない、しかそ、名前を名乗られたのなら返すのが礼儀!)
「そ、そうか、俺はクロウだ! よろしくな」
「クロウ? 苦労してそうな名前じゃのう」
「うるせぇよ……知ってるよ」
何故か推定魔族の幼児から不憫な目で同情されてしまった。
「ゴホンっ! それでスーさん」
「ス、スーさん!? 我はスフィア・エル・ガルガランドじゃ!」
「いや長いし、呼びにくいし」
「むう! まあよい! と、特別に愛称で呼ぶ栄誉を与えるのじゃ/// スーと呼ぶがよい!」
「何故照れる?」
「黙るのじゃ! 我も童の事をクーと呼ぶゆえ安心せい」
「クーか、なんか友達みたいだな」
「と、友達!! そうか……我にとって初めての友達が人族とは!」
「初めて? お前寂しいやつなんだな」
「お前ではない! スーと呼ぶのじゃ!」
「そこ!? まあ俺もいないけどな」
あの村にはそれなりに子供もいるが、交流は一切ない。嫌われ者は辛いぜ。
「何っ! クーも初めての友達!! ふふふっお揃いじゃのう///」
「何故照れる、まあ聞きたい事はたくさんあるんだけど、とりあえずスーはその…魔族なの?」
「うむ! 我は魔族である! だが畏れる必要は無用じゃ! 我は優しいからのう」
「いや、別に畏れてはないのだが?」
いくら魔族といえど幼児、ビッグボアを一瞬で倒す力量は危険視しなければならないがこんなにもフレンドリーにされては畏れるもクソもない。
「ふむ、クーは人族にしては変わった思考を持っているようじゃな」
「同じ歳くらいの幼児魔族に言われてもなあ」
クロウは幼児とはいえ転生者で、中身は三十二歳のおっさんである。敵対心のない幼児相手に遅れをとる事はないだろうと高を括る。
「ふんっ! 我は三つの時から英才教育を受けたエリート魔族ぞ? クーとはくぐり抜けて来た修羅場の数が違うのじゃ!」
「そこは純粋にすげぇな! いいな魔族」
たかが二年、されど二年。その密度の差は計り知れない。
「なんじゃ? クーは魔族になりたいのか?」
「え? 魔族になれんの?」
種族変更可能ならば、今足りない力を手に入れる事が出来る。人族である必要性は感じていないので願ったり叶ったりだ。
「しらん」
「しらんのかーい!」
期待させられた分ショックも大きいかったが、可能性はゼロではないだろうと心を落ち着かせた。
「んで? スーはここで何してたの? 魔族ってこんなに簡単に遭遇するもんなのか?」
この世界には、人族に魔族、獣人族にエルフ族、魚人族。ゴブリンやオークなど人型の魔獣は知識があり意思の疎通が取れ魔族に従軍しているため分類的には魔族とされているらしい。獣人族や魚人族は人族と積極的な交流があるので単一種族として認識されている。エルフ族はよくわからない。基本的には引きこもりな種族で人前に出てくる事は滅多にないらしい。
「ふむ、なにやら勇者が誕生したとの噂をきいてのう」
「なっ! 勇者!! まさか……この俺が!」
山奥で生まれた転生者が不遇な幼少期を過ごしていたある日、噂を聞きつけ偵察に来た魔族と出会う事で自分が勇者だと認識し隠されていた力が目覚めるという展開は無い話ではない。
「何を戯けた事を、確認だけして今はその帰りじゃ。その道中に村の一つでも消し飛ばしてやろうかと考えていた所にクーと出会ったのじゃよ」
「おい! 今さらっと恐ろしい事言ったよなあ!」
「よいよい、それ以上に面白いモノを見つけたでのう、村を消すのはやめじゃ」
知らない間に村を救った英雄になっていたクロウであった。
「えっと……ス、スフィア……え……」
「スフィア・エル・ガルガランドじゃ!」
(長い名前だ!覚えきれない、しかそ、名前を名乗られたのなら返すのが礼儀!)
「そ、そうか、俺はクロウだ! よろしくな」
「クロウ? 苦労してそうな名前じゃのう」
「うるせぇよ……知ってるよ」
何故か推定魔族の幼児から不憫な目で同情されてしまった。
「ゴホンっ! それでスーさん」
「ス、スーさん!? 我はスフィア・エル・ガルガランドじゃ!」
「いや長いし、呼びにくいし」
「むう! まあよい! と、特別に愛称で呼ぶ栄誉を与えるのじゃ/// スーと呼ぶがよい!」
「何故照れる?」
「黙るのじゃ! 我も童の事をクーと呼ぶゆえ安心せい」
「クーか、なんか友達みたいだな」
「と、友達!! そうか……我にとって初めての友達が人族とは!」
「初めて? お前寂しいやつなんだな」
「お前ではない! スーと呼ぶのじゃ!」
「そこ!? まあ俺もいないけどな」
あの村にはそれなりに子供もいるが、交流は一切ない。嫌われ者は辛いぜ。
「何っ! クーも初めての友達!! ふふふっお揃いじゃのう///」
「何故照れる、まあ聞きたい事はたくさんあるんだけど、とりあえずスーはその…魔族なの?」
「うむ! 我は魔族である! だが畏れる必要は無用じゃ! 我は優しいからのう」
「いや、別に畏れてはないのだが?」
いくら魔族といえど幼児、ビッグボアを一瞬で倒す力量は危険視しなければならないがこんなにもフレンドリーにされては畏れるもクソもない。
「ふむ、クーは人族にしては変わった思考を持っているようじゃな」
「同じ歳くらいの幼児魔族に言われてもなあ」
クロウは幼児とはいえ転生者で、中身は三十二歳のおっさんである。敵対心のない幼児相手に遅れをとる事はないだろうと高を括る。
「ふんっ! 我は三つの時から英才教育を受けたエリート魔族ぞ? クーとはくぐり抜けて来た修羅場の数が違うのじゃ!」
「そこは純粋にすげぇな! いいな魔族」
たかが二年、されど二年。その密度の差は計り知れない。
「なんじゃ? クーは魔族になりたいのか?」
「え? 魔族になれんの?」
種族変更可能ならば、今足りない力を手に入れる事が出来る。人族である必要性は感じていないので願ったり叶ったりだ。
「しらん」
「しらんのかーい!」
期待させられた分ショックも大きいかったが、可能性はゼロではないだろうと心を落ち着かせた。
「んで? スーはここで何してたの? 魔族ってこんなに簡単に遭遇するもんなのか?」
この世界には、人族に魔族、獣人族にエルフ族、魚人族。ゴブリンやオークなど人型の魔獣は知識があり意思の疎通が取れ魔族に従軍しているため分類的には魔族とされているらしい。獣人族や魚人族は人族と積極的な交流があるので単一種族として認識されている。エルフ族はよくわからない。基本的には引きこもりな種族で人前に出てくる事は滅多にないらしい。
「ふむ、なにやら勇者が誕生したとの噂をきいてのう」
「なっ! 勇者!! まさか……この俺が!」
山奥で生まれた転生者が不遇な幼少期を過ごしていたある日、噂を聞きつけ偵察に来た魔族と出会う事で自分が勇者だと認識し隠されていた力が目覚めるという展開は無い話ではない。
「何を戯けた事を、確認だけして今はその帰りじゃ。その道中に村の一つでも消し飛ばしてやろうかと考えていた所にクーと出会ったのじゃよ」
「おい! 今さらっと恐ろしい事言ったよなあ!」
「よいよい、それ以上に面白いモノを見つけたでのう、村を消すのはやめじゃ」
知らない間に村を救った英雄になっていたクロウであった。
0
お気に入りに追加
231
あなたにおすすめの小説
転生したら悪役令嬢の兄になったのですが、どうやら妹に執着されてます。そして何故か攻略対象からも溺愛されてます。
七彩 陽
ファンタジー
異世界転生って主人公や何かしらイケメン体質でチートな感じじゃないの!?ゲームの中では全く名前すら聞いたことのないモブ。悪役令嬢の義兄クライヴだった。
しかしここは魔法もあるファンタジー世界!ダンジョンもあるんだって! ドキドキワクワクして、属性診断もしてもらったのにまさかの魔法使いこなせない!?
この世界を楽しみつつ、義妹が悪役にならないように後方支援すると決めたクライヴは、とにかく義妹を歪んだ性格にしないように寵愛することにした。
『乙女ゲームなんて関係ない、ハッピーエンドを目指すんだ!』と、はりきるのだが……。
実はヒロインも転生者!
クライヴはヒロインから攻略対象認定され、そのことに全く気付かず義妹は悪役令嬢まっしぐら!?
クライヴとヒロインによって、乙女ゲームは裏設定へと突入! 世界の破滅を防げるのか!?
そして何故か攻略対象(男)からも溺愛されて逃げられない!? 男なのにヒロインに!
異世界転生、痛快ラブコメディ。
どうぞよろしくお願いします!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!
神桜
ファンタジー
小学生の子を事故から救った華倉愛里。本当は死ぬ予定じゃなかった華倉愛里を神が転生させて、愛し子にし家族や精霊、神に愛されて楽しく過ごす話!
『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!』の番外編を『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!番外編』においています!良かったら見てください!
投稿は1日おきか、毎日更新です。不規則です!宜しくお願いします!
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる