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恋と謎
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グリトニル学園に入学して初めての授業が始まった。
近代的と言うかなんというか、最新技術を惜しげも無く使われた教室に、二人は驚愕をあらわにした。
「なんでこんなに最新機器が・・・これ、軍でも使ってる奴だよ」
教室の機器を見て目を輝かせるのはウリエルだ。
彼女は産業の頂点に立つエノク家の一人娘であるだけあって、こういった物には詳しいのだ。
「へえ、やっぱり詳しいんだね」
そして同じクラスとなった夜刀は、後ろから関心しながら言った。
彼女は武術に明るく、特にヤマト帝国の東洋空手は達人の域にまで達していた。それこそ、身長が二倍の差もある大男を投げ飛ばす程だ。
「そう言えば、私の席はここだね」
「ああ、私の席・・・てあれ?」
「まあた隣か・・・」
夜刀とウリエルは、入学式で隣の席になり、学生寮で同居する事となり、更には教室の席まで同じという、もはや運命すら感じてしまう。
「なんか、私達運命みたいだね」
席に着いた夜刀が、隣に座るウリエルにそんな事を言う。
それを聞いたウリエルは、Gを見るような目を向ける。
「夜刀さん、貴女何を言ってるの?」
「ああ、いや、ごめん、ウリエルさん。でも、そんなかしこまらなくても、夜刀って呼んでくれればい良いよ。でもその目は止めてほしいな」
「なら、私もウリエルでいいよ」
そんな会話が少し続いた後、ウリエルの視線が教室の隅に止まる。
「あれ、あの子・・・」
ウリエルの目に留まったのは、昨日の暴行事件の被害者になってしまった人間の少女だった。
「あ、あの子も同じクラスなんだ」
少女は席に座って、ずっと机に内蔵されたホログラム端末で書籍を見ていた。
ウリエルも端末を操作して、今日の予定や校内の地図を触っていた。
「今日の昼食どうしようかな」
グリトニル学園には購買と学生食堂があり、特に学生食堂は人気が高く、満席になるのは当たり前らしい。
他には寮で弁当を作って持ってくる生徒も少なくなく、夜刀も朝から弁当を作っていた。
「あ、一応ウリエルの分も作ったけど、いる?」
そう言って夜刀は、鞄から弁当箱を取り出して見せる。
それを見たウリエルは、目を大きくして弁当箱を凝視した。
「いや、まだ食べちゃダメだよ?」
「いや、そうじゃ無くて、その、いいの? それ? 食べていいの?」
「いや、だから作ったんだもん」
何を当たり前の事を? という顔をしながら、夜刀は首をかしげる。
対して料理の『り』の字も分からないウリエルは、二人分もの料理を朝の一時間強で作り上げたことに驚愕していた。
「じゃ、じゃあ、いただきます」
ウリエルは少し顔を赤らめながら答える。
「はあい、んじゃ昼に渡すね」
夜刀は笑顔で答えると、ウリエルたちと同じように今日の予定を確認する。
今日の主な予定は、教師の顔合わせと学生証の配布、その後一時間授業を受けてから昼食、その後下校という流れだ。ウリエルたち1ーBは数学だ。
「数学かあ、嫌いなんだよなあ」
「数学はまあ、私は普通かな」
夜刀は授業内容を見て苦い顔をする。
対してウリエルは、特に気にする様子はない。
その内チャイムが鳴って、教室に先生が現れた。
だが先生の姿に、二人どころかクラス全員が困惑した。
その姿は、ウリエル達高校生を通り越して、まるで小学生の様な見た目をしていた。
「あい、んじゃ自己紹介から始めるかね」
だが口調は初老辺りの様な雰囲気がある。
小学生の様な容姿で、高校生に自己紹介をするという教師の姿に、クラス全員が異様な空気に包まれた。
「まず名前から、俺の名前はシャーロック。シャーロック・還日。1500年くらい前はシャーロックホームズと呼ばれていたな」
還日の一言で、昨日の少女と夜刀が反応した。
「え、シャーロックホームズって、あのシャーロックホームズ?」
「実在したんだ・・・」
だがその他の生徒はピンと来ていないようで、首を傾げたり知っているか周りに聞いたりしていた。
「なるほど、知ってるのは月夜見と、ええ、確か雅だったかな。まさか二人しか知らないとはな。俺も落ちぶれたものだ」
還日は頭を掻きながら、黒板に向き直った。
「ねえ、夜刀。シャーロックホームズって、誰?」
先生が前を向いた隙に、ウリエルは夜刀に小声で聞く。
それを聞いた夜刀は、あり得ないという顔でウリエルに説明した。
「シャーロックホームズって言ったら、19世紀最高の小説家コナン・ドイルの作ったミステリー作品の主人公‼ ヤマトどころか世界中で大人気で、映画化もされるくらい有名な作品なんだよ?」
力説する夜刀に、ウリエルは戸惑いながら聞き続けた。
「創作物なら、あの人本物じゃないんじゃ・・・」
確かに、劇中のシャーロックホームズは成人しているし、身なりの整った紳士として登場している。だが目の前の還日は、子供でぶかぶかのパーカーを着崩すというラフな格好だった。
「それに、夜刀19世紀って言ったよね。なら・・・」
そしてウリエルは、最も重要な事を夜刀に聞く。
「19世紀って、もう1000年以上前だよ?」
「まあ、そうだね」
近代的と言うかなんというか、最新技術を惜しげも無く使われた教室に、二人は驚愕をあらわにした。
「なんでこんなに最新機器が・・・これ、軍でも使ってる奴だよ」
教室の機器を見て目を輝かせるのはウリエルだ。
彼女は産業の頂点に立つエノク家の一人娘であるだけあって、こういった物には詳しいのだ。
「へえ、やっぱり詳しいんだね」
そして同じクラスとなった夜刀は、後ろから関心しながら言った。
彼女は武術に明るく、特にヤマト帝国の東洋空手は達人の域にまで達していた。それこそ、身長が二倍の差もある大男を投げ飛ばす程だ。
「そう言えば、私の席はここだね」
「ああ、私の席・・・てあれ?」
「まあた隣か・・・」
夜刀とウリエルは、入学式で隣の席になり、学生寮で同居する事となり、更には教室の席まで同じという、もはや運命すら感じてしまう。
「なんか、私達運命みたいだね」
席に着いた夜刀が、隣に座るウリエルにそんな事を言う。
それを聞いたウリエルは、Gを見るような目を向ける。
「夜刀さん、貴女何を言ってるの?」
「ああ、いや、ごめん、ウリエルさん。でも、そんなかしこまらなくても、夜刀って呼んでくれればい良いよ。でもその目は止めてほしいな」
「なら、私もウリエルでいいよ」
そんな会話が少し続いた後、ウリエルの視線が教室の隅に止まる。
「あれ、あの子・・・」
ウリエルの目に留まったのは、昨日の暴行事件の被害者になってしまった人間の少女だった。
「あ、あの子も同じクラスなんだ」
少女は席に座って、ずっと机に内蔵されたホログラム端末で書籍を見ていた。
ウリエルも端末を操作して、今日の予定や校内の地図を触っていた。
「今日の昼食どうしようかな」
グリトニル学園には購買と学生食堂があり、特に学生食堂は人気が高く、満席になるのは当たり前らしい。
他には寮で弁当を作って持ってくる生徒も少なくなく、夜刀も朝から弁当を作っていた。
「あ、一応ウリエルの分も作ったけど、いる?」
そう言って夜刀は、鞄から弁当箱を取り出して見せる。
それを見たウリエルは、目を大きくして弁当箱を凝視した。
「いや、まだ食べちゃダメだよ?」
「いや、そうじゃ無くて、その、いいの? それ? 食べていいの?」
「いや、だから作ったんだもん」
何を当たり前の事を? という顔をしながら、夜刀は首をかしげる。
対して料理の『り』の字も分からないウリエルは、二人分もの料理を朝の一時間強で作り上げたことに驚愕していた。
「じゃ、じゃあ、いただきます」
ウリエルは少し顔を赤らめながら答える。
「はあい、んじゃ昼に渡すね」
夜刀は笑顔で答えると、ウリエルたちと同じように今日の予定を確認する。
今日の主な予定は、教師の顔合わせと学生証の配布、その後一時間授業を受けてから昼食、その後下校という流れだ。ウリエルたち1ーBは数学だ。
「数学かあ、嫌いなんだよなあ」
「数学はまあ、私は普通かな」
夜刀は授業内容を見て苦い顔をする。
対してウリエルは、特に気にする様子はない。
その内チャイムが鳴って、教室に先生が現れた。
だが先生の姿に、二人どころかクラス全員が困惑した。
その姿は、ウリエル達高校生を通り越して、まるで小学生の様な見た目をしていた。
「あい、んじゃ自己紹介から始めるかね」
だが口調は初老辺りの様な雰囲気がある。
小学生の様な容姿で、高校生に自己紹介をするという教師の姿に、クラス全員が異様な空気に包まれた。
「まず名前から、俺の名前はシャーロック。シャーロック・還日。1500年くらい前はシャーロックホームズと呼ばれていたな」
還日の一言で、昨日の少女と夜刀が反応した。
「え、シャーロックホームズって、あのシャーロックホームズ?」
「実在したんだ・・・」
だがその他の生徒はピンと来ていないようで、首を傾げたり知っているか周りに聞いたりしていた。
「なるほど、知ってるのは月夜見と、ええ、確か雅だったかな。まさか二人しか知らないとはな。俺も落ちぶれたものだ」
還日は頭を掻きながら、黒板に向き直った。
「ねえ、夜刀。シャーロックホームズって、誰?」
先生が前を向いた隙に、ウリエルは夜刀に小声で聞く。
それを聞いた夜刀は、あり得ないという顔でウリエルに説明した。
「シャーロックホームズって言ったら、19世紀最高の小説家コナン・ドイルの作ったミステリー作品の主人公‼ ヤマトどころか世界中で大人気で、映画化もされるくらい有名な作品なんだよ?」
力説する夜刀に、ウリエルは戸惑いながら聞き続けた。
「創作物なら、あの人本物じゃないんじゃ・・・」
確かに、劇中のシャーロックホームズは成人しているし、身なりの整った紳士として登場している。だが目の前の還日は、子供でぶかぶかのパーカーを着崩すというラフな格好だった。
「それに、夜刀19世紀って言ったよね。なら・・・」
そしてウリエルは、最も重要な事を夜刀に聞く。
「19世紀って、もう1000年以上前だよ?」
「まあ、そうだね」
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