転移少女百合魔界~魔界へ転移した彩花とクリスティア、そこには女の子しかいない新たなる世界~

小鳥遊凛音

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第六章

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「ところで、私たちは次の街からその次の街へと転々と移動しているけれど、一体魔王城と言うのは後、どれ程で辿り着くものなのだろうか?」

「はい・・・実は今までクリスティア様たちが足を運んだ街は本当に魔王城から一番遠い場所となっていますので、これから先もかなりの距離があると思われます・・・」

「でも・・・代理さんに連れて行ってもらったら直じゃないの?」

「確かに!?・・・彩花!でかした!!」

「待って下さい。現時点で魔王が戻っていない、更に彩花様やクリスティア様の能力の覚醒が明確に出ていない段階で魔王と対立する事は極めて危険だろうと思われます。」

「やはり時短には及ばない・・・か・・・」

「街を順番に周って行く事によって、敵である魔族たちも徐々に強くなっています。ここが我慢です・・・それ相応の敵と戦って能力を上げて行き、覚醒しやすくなる可能性があります!」

「うん・・・分かったよ!私たちも頑張る!!」



さて・・・次の街はどの様な街なのだろうか?・・・
魔王を倒し元の世界へ帰るにはまだ時間が掛かりそうだ!
私は敵になる相手のあらゆる事について考えていた。



「ねぇ、クリスティア?私たちがこっちに来てから戦った魔族って、洗脳して来たり相手を操って来る方法ばかりだよね?」

「たっ!?・・・確かに・・・!!」



彩花に言われて気が付いたけれど、確かに今の所相手を操る事で配下にしている魔族たちがほとんどだ!!一体何か意味があるのだろうか?それに、相手を倒すと言うより仲間にしようとしている動きが目立つ・・・



「それは、現魔王が「洗脳」をメインにしているからでしょう・・・それに、彩花様とクリスティア様に敵として向かって行くのは恐らく魔王からの命令なのだろうと思います。あなた方がこっちの世界へ転移して来る事は多分魔王は知っていた・・・」



魔王が、私たちがこちらの世界へ来る事を知っていた!?・・・
それを見据えて私たちに手を掛けて来たのだろうか!?・・・
だとすれば、私たちの本当の能力の事を奴は既に知っていると言う事だろうか?



「さて・・・良いお天気で、この先の街までまだ時間が掛かりますから、この辺りで少し休憩と致しましょうか?」



ファランドーラがそう言うと直ぐ近くに高原の様な原っぱが広大に存在していた・・・
ミスティーは次の街の情報を調べる為しばらく馬車の中に残る事にした。



「凄く綺麗で広いよね!?・・・こんな場所日本にもそうあるものじゃないと思うよ!!」

「あぁ・・・確かに日本は私から見ても色々と複雑に入り込んだ場所が多い・・・」

「姉さま、ここで短距離走をやっても良いでしょうか?」

「えぇ!ここなら何をしても大丈夫よ?行ってらっしゃい♪」



いや・・・こんなに広いし別に良いのだろうが、どうして短距離走?
結局体を動かしたいだけなのでは?



「凄い!色んなお花も咲いてるよ♪綺麗~・・・凄く良い香りだな・・・あぁ・・・素敵ぃ~♡」



何だ!?・・・この匂い・・・それに、あそこにいる魔族らしき少女・・・一体誰だ!?
ダメだ、この匂いを嗅いではいけない・・・



「おいっ!!皆、直ぐに馬車に戻れ!!ここにいてはいけない!!」



私は皆を呼び戻そうと大声で馬車へ戻る様告げた・・・だが・・・だが!?・・・だがっ!!!
セミュールが既に遠くの方へ短距離走を実行してしまっていた・・・するとセミュールは徐々に走る速度を落とし、最後には原っぱへ倒れ込んでしまった・・・



「セミュール!!!!!!!しっかりしろっ!!!!!」



セミュールだけじゃない、他の仲間たちも次々と倒れて行く・・・
私も・・・いや・・・ダメだ・・・私が倒れてしまえば・・・ミスティー?
そうだ!!ミスティーの所へ行って・・・



「うふふ♪あなたはこの匂いで気持ち良くならないの?」

「貴様!?・・・誰だ!?・・・」

「私はキャミューレ・・・お花の魔族♡」

「キャミューレ?・・・貴様は一体・・・?」

「うん、私はお花の匂いを操る事が出来るの♪」

「花の匂いだと!?・・・」

「そうだよ?・・・あなたの仲間は全員気持ち良く脳みそをいじられているの♪そう・・・お花の香りで♡」

「貴様もその様な姑息な手段を・・・ぐっ・・・」

「あなた人間でしょ?強いね?私のこのお花の香りに負けないんだね?でも結構吸ってしまったからそろそろかな?」

「うぐっ・・・ダメ・・・だ・・・体の力が抜けて・・・」



バタンッ!!!



「あはっ♡こう言う最後まで抵抗する子を仲間にするのって凄~く楽しいな・・・さぁ、目が覚めたら面白い事になっているよ?」



馬車の中にて・・・



「なるほど・・・次の街も特に困りそうな事は起こらない気がしますね・・・ですがもうしばらく馬車を走らせないと結構な距離がありますし・・・一直線である事が救いでしょうか・・・次の街もそれ程困難な事は今の所は、無さそうですね!」



「ミスティー?・・・あっちは凄く広くて良い香りがして凄く心地が良いよ?一緒に行こう?」

「クリスティア様?・・・えぇ・・・そうですね、私も丁度今、次の街の情報確認が終えた所でしたので」

「本当に気持ちが良いんだよ♪早く行こうよ?」



ん?・・・少しクリスティア様の様子がおかしいですね・・・
顔が緩んで少し涎が?・・・どうしてでしょうか?・・・はっ!!まさか!
確か書物で読んだ事があった気が・・・





(魔族の能力について)

に行

匂いを操る能力・・・自身の一番好きな物に匂いを取り込む能力である。
部屋の芳香剤として扱う事も可能であるが、規模は操る魔族各々であり、大規模な範囲に及び能力を使える魔族も存在する。
「匂い」に関しては、自身の好きな匂いを取り込む事が可能である。
イメージした匂いを対象に魔術を掛けて取り込む。
匂い自体の効果として多種多様であり、ただ香りを嗜(たしな)む為に使用する魔族がほとんどではあるが、場合によっては、魔力の強い魔族たちは悪用する事もあり、用途として匂いを取り込んだ物から放たれる香りを嗅いだ者の脳を書き換え洗脳状態にしたり、快楽物質を大量に摂取させる事により相手をより深く忠誠心を植え付ける事が可能である。
用途を誤れば多大な危険を及ぼす可能性がある能力である。





あの書き記された事が事実であるなら、今のクリスティア様の様子がおかしいのはその可能性が高い!?・・・
そうだっ!顔面にフィールドを張りましょう・・・



パァァァァァァァァァ



「さぁ、ミスティー?一緒に行こう?」

「はい・・・では、私も・・・」



クリスティア様に話を合わせて私も外へ出てみる事に・・・すると!?・・・



「キャミューレ様ぁ♡この香り私大好きです~・・・あはは♪楽しいな・・・気持ち良いなぁ・・・♡」



彩花様・・・やはり間違い無かった様ですね・・・



「キャミューレ様ぁ♪残りの1人をお連れ致しましたぁ♡」

「よくやったわ?偉い子ね?じゃぁ好きなだけこの高原に寝転んで香りを楽しんでね?」

「はぁぁぁぁい♪わぁぁぁい♡」

「あら?あなたは気持ち良くならないの?この香り・・・とても素敵でしょ?」

「そうですね・・・とても心地良くて私も意識が飛んでしまいそうになって来て・・・あぁ・・・」



バタンッ!!!



「良いでしょう?心地が良くてずっとここにいたくなっちゃう♪・・・さぁ、私の新たな仲間たち?再び目が覚めたら宴の時間よ?」



私は倒れた振りをしながら敵であるキャミューレの様子を伺った・・・
そう言えば、キャミューレの特性を私は以前別の書物で読んだ事があった・・・
確か・・・





(魔族の特性)

か行

「き」

キャミューレ・・・キャミューレの特性は花である。これは初代の職業が花屋を営んでおり、花に対する執着心や心より花を愛している所より自身を花の特性である様に努力し特性を我が物とした。代々引き継いでいるとされる、花を咲かせたり枯れさせる事も可能で、特性を十分に出しているとされている。
能力:花とは別に匂いを操る能力を持っている(別冊:魔族の能力について1592ページに行 匂いを操る能力を参照)





外でこれだけの広範囲で能力を使っているとすれば相当強い能力を持っているはず・・・
ですが、あの書物にはこうとも書かれてありました・・・





能力が大きい程、エネルギーも大量に消費してしまう為、場合によっては死の恐れもあり、大体の大きな能力を持つ魔族たちは、能力使用後に急激な眠気が襲ったり、意識が遠のいてしまい深い眠りに就く。





だとすれば、これ程広範囲で能力を使ってしまっているキャミューレは、きっとそろそろ深い眠りに就くはず・・・
私はキャミューレが眠りに就くまでの間、操られた振りをしながら待つ事にした。



「あぁ・・・私・・・急に眠気が・・・」



よしっ!もう少しだ・・・早く眠って!!



「な~んて言うと思ったのかな?ミスティー?」



何っ!?・・・眠気が襲ったのは嘘!?・・・



「ミスティー?・・・そろそろそのフィールドを解除しましょう?」

「フィールドなんて最初から張っていませんわ・・・それよりもっとこの香りを楽しみたいですぅ♡」

「バレてるよ?・・・フィールドを張って本当のこの良い香りを嗅いでいない・・・ミスティー?と~っても素敵よ?ほら、仲間が嗅ぎましょう?って誘ってくれているよ?」

「私は・・・この様な所で負ける訳には・・・いきません!!」

「ほらぁ~ミスティー?逃げないで?この香り本当に気持ち良いからぁ♪ねぇ?一緒に感じよう?素敵な匂いを!」

「クリスティア様・・・正気に戻って下さい・・・お願いです・・・」

「ほぅ~らっ!能力解除っ♪」



パリンッ!!!



「そんなっ!!彩花様!?・・・どうして!?・・・」

「どう?凄く素敵な香りだと思わない?一緒にキャミューレ様の仲間になるの♡気持ち良いよ?」

「やめっ・・・本当に・・・あぁ・・・私・・・は・・・ここで・・・」



バタンッ!!!



「ふふふ♪これでミスティーも仲間だよ?楽しみだね?起きた時が♡」





次の街、ダルフォレードにて・・・



「アスタ?ある程度の想定はしていたけれど、クリスティアたちが来ないね?」

「そうね・・・何かあったのかしら?・・・ちょっと様子を見て来た方が良さそうね?」

「すまないけれど、ここで待機していてもらえるかな?」

「気を付けてね!!」

「あぁ!ありがとう・・・じゃぁ、行って来るよ!」




クリスティアたちが出発したアーゼンフォーレから目的地であるダルフォレードまで距離は相当あるけれど、再び一直線だから迷う事も無いはず・・・だとすると・・・待てよ!?・・・道中に確か大きな高原が広がっていたはず!あそこは割と有名で観光地にも利用されているはず・・・恐らく長い道のりだから休息を取っている?・・・よし、急ごう!!






「ん・・・あぁ・・・素敵ぃ♡」

「ようやくお目覚めの様ね、ミスティー?どうかしら?私が作り出した香りは?」

「はい♡とっても素敵な香りで気持ち良いですぅ♪頭の中がかき混ぜられているみたいでゆらゆら揺れているみたい~・・・あぁぁ~・・・♡」

「ふふ♪それで良いの・・・幸せでしょ?」

「はぁぁぁい♡私・・・幸せぇぇ♪」



「よしっ!馬はここに繋いでおこう・・・フィセ?ここで大人しく待ってるんだよ?」

「ヒヒィィィン!!!」



どうやら私の勘は正しかったみたいだ・・・
匂いが何か変だ!?・・・ここはフィールドを張って防御しよう!
ただ、これはかなりの広範囲だろう・・・念の為にダブるで張っておく事にしよう!


パァァァァァァァァァ!!
パァァァァァァァァァ!!!



私は高原の方へ歩いて行った。するとそこには・・・



「やはり既に皆が・・・あの真ん中にいる魔族!?・・・確か・・・キャミューレ?・・・だとすると厄介だな・・・能力値が非常に高い魔族・・・どうやら完全に魔王に操られている様子だ・・・花を扱うキャミューレは正義感も強いはずだ!なのにこの匂い、そしてクリスティアたちの様子・・・完全に彼女の匂いにやられてしまっているみたいだ!!操られている手前下手に倒す事が出来ない・・・どうすれば・・・そうか!?あの手で行こう!!」



「お~い!!皆ぁぁぁ!!!!そこでどうかしたのか~~~い?」



私はわざと皆に聞こえる様に大きな声で呼びかけた。



「あら?・・・誰?」

「はい・・・ローテンマリゼと言う魔族です・・・恐らく私たちが次の街へ辿り着かない為心配して探しに来たのでしょう・・・」

「ふふふ♪丁度良いわ?あの方も私たちの仲間にしてあげましょう?」

「はい♪ご主人様(ニヤッ)♡」



案の定・・・リーダーシップが取れるクリスティアが私の方へ来たみたいだ・・・



「クリスティア?一体どうかしたのかい?ずっと待っていたのに来る気配が無かったものだから・・・」

「あぁ!すまない・・・今、あのキャミューレと言う少女に出会ってお花の事について勉強していたのだ!どうだ?一緒にキャミューレに色々と教えてもらわないか?」

「そうだね・・・じゃぁ、遠慮なく!」

「(ニヤッ)♡」

「どうだ?最高の香りだろう?私も凄く気に入ってしまって・・・」

「あぁ・・・すまない、少し鼻の調子が悪くて通りが悪いみたいで・・・少し鼻声だろ?聞き苦しいかもしれないけれど我慢して欲しい・・・」

「そうだったのか!?それはいけない!丁度、キャミューレにその様な症状を緩和する花もあるのかどうか聞いてみよう!」

「あぁ!ありがとう!」



第一段階は成功だ!
先ず、遠くから高原の中心に座っているキャミューレたちに接触する為には、私の鼻が正常である事を悟られてしまうと途中で勿論意識を失い、目が覚めると・・・
なら鼻で呼吸が出来ない状態を演じれば辿り着く事が可能だ・・・



「キャミューレ様・・・お連れ致しました。仲間のローテンマリゼです。鼻の調子が悪くこの素敵な香りを堪能出来ないそうで、何か治せるお花はあるでしょうか?」

「うん・・・あるよ♪ちょっと待っててね!」



よしっ!第二段階も成功だ・・・
鼻の調子を整える鼻を高原の更に向こうにあるらしくキャミューレは歩いてそちらへ向かった。無論皆はその場に座って香りに酔いしれながら待機してもらっている。私がキャミューレの後をつけて行き、キャミューレと2人きりになる。



パァァァァァァァァァ



「ここにあるお花は鼻の通りを良くして匂いもしっかりと感じ取れる様に改善出来るのであちらでお茶にして飲めば直ぐに良くなります。鼻の通りが悪いと何かとお辛いでしょうし♪・・・あぁ・・・あぁぁぁぁ♡あなた様は?・・・」

「私かい?私の名はローテンマリゼ・・・能力は君が今たんと浴びているオーラだよ?宜しくね?仔猫ちゃん?」

「は・・・はい♡ローテンマリゼ様・・・素敵なお名前で・・・格好良くて・・・大好きになってしまいました♡」



よし、最終段階完了!
後は、上書きした洗脳術をそのまま利用し、全員元に戻してもらおうか・・・



「仔猫ちゃん?私から君へ大切なお願いがあるのだけれど?・・・聞いちゃもらえないだろうか?」

「は・・・はいっ!!勿論お聞き致します♡何でもお申しつけ下さいませ!!」

「ふふっ♪可愛いね君は!・・・じゃぁ、君がとても素敵な香りで脳の中を快楽で埋め尽くしてしまった私の仲間たちを元に戻してくれないだろうか?」

「そっ!?・・・それは・・・」



おや?・・・少し抵抗心があるみたいだけれど・・・オーラが薄かったか?
やはり上書きする為の手段は少々手荒にしないといけないと言う事か・・・
オーラを少し高めて、言葉から脳へ直接快楽を与える方法で攻めてみるか・・・



パァァァァァァ・・・



「キャミューレ?私の言う事をちゃんと聞いて実行してくれたらご褒美をあげるよ?キスが良いのかい?それとも・・・もっと凄い事を期待してしまう?」

「あぁ・・・・♡ キス・・・でしょうか!?・・・それで・・・それで構いません!私・・・やります!!元に戻します!!」



アスタ・・・すまない・・・私はまた君とは違う仔猫ちゃんと口づけを交わさなくてはいけなくなりそうだよ・・・



パァァァァァァァァァ



そしてキャミューレは元の場所へ戻り全員を匂いの術から解き放った。



「あの・・・キ・・・キキ・・・キス・・・を・・・その・・・」



♡チュッ♡



「はわゎゎゎゎ!!!あ・・・あり・・・ありがとうごじゃいましゅぅぅぅ・・・・」



プッシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ



フリーズしてしまった様だ・・・本当に可愛い仔猫ちゃんだね・・・
皆を無事に元に戻した後、状況を伝えた。



「ローテンマリゼ・・・ありがとう!!またあなたに助けられたな・・・」

「いいや!私は何もしていないよ?」

「何だ!?また格好をつけてポイントを稼ぐつもりなのか?私とキャラが被るからって・・・」

「すまない?ちょっと何言っているのか分からないけれど?・・・」

「それにしてもここって凄いよね!!綺麗で広くて・・・」

「ここは観光スポットとしても有名なんだ!こうして綺麗で大きな高原が広がっていて温かい季節だと皆ここで楽しむ・・・素敵な場所だね!」

「あの・・・それは良いのですが、ローテンマリゼさんがどうやって私たちを助けて下さったのでしょうか?ここにいる全員がキャミューレに操られてしまったと言う事は私と彩花さんも操られてしまった訳ですし・・・」

「あぁ・・・それは企業秘密だよ♪」



むにぃぃぃぃぃ・・・・・・



「いはいいはいよ・・・くいふひは・・・(痛い痛いよ・・・クリスティア・・・)」

「またしてもポイントを稼ぐ気だな!?私が許さない!!」

「そんな事しないよ!!まぁ、私のオーラでキャミューレをメロメロにしただけだよ・・・」

「そうか!!上書きの上書きと言う事か!?・・・」

「正解♪・・・魔王に操られたキャミューレを私のオーラで洗脳を上書きしたって訳さ!」

「だが、上書きと言うからには、既に魔王の洗脳自体は解けていると言う事なのだろうか?」

「そうだね!新たに書き込んだ方に従う事が出来ていれば前に書き込んだ情報は消去される形になる!今この子は私にベッタリでちゃんと君たちを私の命令の下で素面に戻した訳だから魔王が掛けた洗脳術は消えているよ!」

「確かに!?私の能力の様に解除させる手段もありますが、上書きをして戻す方法があると以前・・・」

「そうなんだ!!だから解除方法は必ずしも1種類しか存在しない訳では無いんだ!!他の術に対しても同じ事が言えて、似た様な術もあるし、対処法は必ず1つに対して1つじゃない・・・」

「奥が深いのだな・・・魔術と言うものは・・・」

「じゃぁ、今キャミューレを元に戻したらちゃんと戻れるの?」

「あぁ!そうだよ!ちゃんと元のキャミューレに戻れる!」

「じゃぁ、そろそろ戻してやれ!?」

「も・・・もう・・・どうして私に対してだけいつもこの様な仕打ちを?・・・」

「貴様、楽しんでいるだろう?キャミューレの純情を弄んでいるだろう?」

「ちょっ!!ちょっと・・・弄ぶとか酷い言い様だけれど・・・」

「「私には心に決めたパートナーがいるんだ!!」と言うセリフが出なかった所を見るとやはり貴様は楽しんでいるとしか思えないな?どれ、その首を持って帰ろうか?」

「分かったよ・・・戻してあげてよ・・・ミスティー?すまないけれどお願いさせてもらっても良いかな?」

「分かりました!ではキャミューレ?こちらへ・・・」



パァァァァァァァァァ



「全く・・・あんなに良いパートナーがいるって言うのにどうして貴様はそんなにあちこち目移りしているのだ!?」

「いや・・・目移りはしていないよ・・・どの子も可愛くてどの子も大好きなだけだよ!!」

「それを目移りと言うのだ!!アスタリーゼに悪いとは思わないのか!?」

「アスタは・・・特別・・・なんだ・・・」

「特別?・・・だったら尚の事・・・」

「大切なパートナーだけれど、私の中で分からない事があってね・・・」

「分からない事・・・?」

「私がアスタに抱いている感情は共に戦い、共に死ぬと覚悟を決め、そして楽しい事、辛い事、悲しい事、嬉しい事を分かち合う事・・・これがどう言う感情なのかまだ分からない・・・」

「もう答えが出てるよ?」

「答え?・・・」

「うん!今の言葉に全て・・・」

「はて?・・・今私が言った言葉の何処に!?・・・」

「常に一緒に感じて、生きて行く・・・人生・・・違った・・・魔生?とにかく生きて行く上で大切なパートナー・・・愛情や友情、好きって気持ち、全部詰まってると思うよ?」

「ふふふ・・・そうか・・・ありがとう!彩花!おかげで決心がついたよ!」

「良かったね♪お幸せに♪」



彩花は時々不思議な部分を見せて来る・・・
周りの皆が気付かない事を教えてくれたり・・・
普段は空気が読めていない部分もあると言うのだけれど・・・



パァァァァァァァァァ



「ミスティー・・・お疲れ様!キャミューレは?」

「それが・・・確かに結界内にしばらく居て頂いたのですが、どうやら掛かっていなかったみたいで・・・」

「えっ!?・・・だが、魔王の洗脳をローテンマリゼのオーラ洗脳で上書きされたのでは!?」

「私もこの様な結果が出たのは今回が初めてだったもので・・・ですが完全に彼女は正常の様です・・・」

「あの・・・私、確かに魔王様に何かされた所までは覚えていて・・・その後の記憶は、ローテンマリゼ様にお会いした時に・・・凄く素敵な方が目の前に現れてしまって・・・私・・・胸が急に締め付けられたみたいになりました・・・ドキドキしながら顔が熱くなって来て・・・♡」

「うん!病気だな!直ぐに病院へ急ごう!!」

「酷いよ・・・クリスティア・・・」

「と言うのは冗談にしておいて・・・確かに魔王に洗脳されていたのは間違い無いみたいだね・・・だとするとローテンマリゼのオーラが効いていなかった?と言う事なのだろうか?だとしても素面に戻った・・・どう言う事なのだろうか?」

「姉さま、愛の力ですね?」

「そうね・・・愛の力は無限大って言いますから・・・」



そうか!?愛の力で洗脳を解除出来るのか!?



「↑いや、それは絶対とは言えないけれど・・・ほとんど無いのではないだろうか?」

「貴様?人の心の中を読み取るとはモラルが無いと見る・・・この聖剣で斬ってやろうか?」

「だから!!どうして君は私に対してそんなに敵対するのだい?私は君の事がこれ程大好きだと言うのに・・・」

「貴様に好かれたくないのだが・・・」



「これは・・・愛かどうかは確信出来ないのですが、あくまで推測でのお話になるのですが、洗脳と言う状況は脳内のあらゆる情報を操る者の与える情報へ認識を変えているのですが・・・ローテンマリゼの事を一目惚れしてしまったキャミューレの脳内が揺れてしまい、あらゆる情報が元に戻った可能性がありますね・・・」

「だが、洗脳は元々ある常識や理性などを上書きして消し去ってしまうと聞いた事があるけれど・・・」

「いいえ!洗脳は完全に元の自分を消し去ると言うものではありません。今まで自身が当たり前だと認識していた事を上書きと言う表現を用いていますが、それは間違えで本当はこうであるのだと知らしめる為の手段・・・つまり1+1=2と言う自分の常識を1+1=3だと教え込む事なのです・・・」

「なるほど・・・では、再度1+1=2だと教え込めば元に戻ると言う事か?」

「そこは必ずそうだとは言い切れません。答えだけを見ると一件その様に見えてしまいがちですが、本来元々ある公式と答え、そして新たに教え込まれてしまった偽の公式と答え、更に別の人物が最初の公式と答えを教え込むとすれば、その与えられた者にとっては段階を踏んでしまう事に繋がってしまう訳ですから、最初の自分の常識が一度否定され新たに頭の中に埋め込まれた情報を新たにまた別の人物が最初の情報を基に教え込むとなると合計3通りの流れを経由している事になるからです。」

「では、キャミューレの今の状態と言うのは・・・」

「最初にキャミューレの常識があり、魔王が洗脳し偽の情報が教え込まれ、ローテンマリゼに恋をしてしまい、脳内の情報が元の自分に戻った・・・つまり完全に元に戻れた・・・と言っても良いかと・・・」

「そうか・・・それなら良かった・・・」



はへ?・・・色々と難しい事を言っていたけど、一体どう言う事なんだろう?キャミューレはもう大丈夫って事かな?・・・だったら良いんだけど・・・



彩花?・・・凄く不思議そうな表情を浮かべているけれど・・・私とミスティーとの話がそれ程難しい事だったのだろうか?



「まぁ・・・こればかりは私もどうする事も出来ないからね?・・・ははは・・・はは・・・はぁ~・・・」

「まぁ、今回に関してはこの様な幼気な少女が本心より貴様に惚れ込んでしまった訳だから無理にとは言えないが・・・キャミューレ?本当にもう大丈夫そうかい?何処か違和感や気持ち悪かったり痛かったり・・・その様な事は?」

「はい・・・大丈夫です!本当に皆様にご迷惑をお掛けしたみたいでごめんなさい・・・それから、ありがとう御座いました!!また大好きなお花屋さんを続ける事が出来ます。本当にありがとう御座いました。」

「頑張ってね?何かあったらこちらの連絡先に連絡くれたら直ぐに掛けつけるよ!」

「よし!私も貴様の連絡先をチェックしておく!この子の身に何かあれば私が許さん!!」

「何もしないよ・・・本当に君はツンデレさんなんだね?」



♡チュッ♡



「ひっ!?・・・い・・・今貴様何を!?・・・」



少しツンが強い仔猫ちゃんの額に私は軽く口づけをした。すると!?・・・



プシュゥゥゥゥゥゥ・・・



「あれ!?・・・クリスティアが顔から火を吹きながら腰砕けになったよ?どうしたの?クリスティア?大丈夫?」

「そうか・・・君は本当に私の事を・・・ぷっ・・・ぷぷぷっ♪何だ・・・それならそうと言ってくれれば良かったのに?」

「うるひゃいぃぃぃぃ!!!余計な事言うなぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!言ったら殺す!!絶対に貴様を殺してやるぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!」



無事に落ち着いた私たちは隣の街であるダルフォレードへ向かった。
丁度キャミューレもそっちから来ていたらしく、私たちは彼女のお花屋さんも見て行く事にした。



「ようやく到着ぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!!!」

「疲れましたね・・・私たち何もしていませんが・・・」

「姉さま、お疲れ様でした。私も短距離走の途中だったので不完全燃焼です・・・」



セミュールは元気だね・・・私もセミュールみたいに活発になろうかな?
どうすればセミュールみたいになれるのだろう?ふ~む・・・



「ようこそ!お待ちしておりました。」

「あっ!?アスタリーゼだ!ごめんね・・・道中色々とあって、私たちローテンマリゼに助けてもらったの!!」

「それは・・・やはり向かっておいて正解だった様ですね!色々とお疲れでしょうし今日はゆっくりと休んで行って下さい。」

「ありがとう~!!本当に助かるよぅ~・・・」



早速街に到着した私たちは、アスタリーゼの案内で、またしても見た目は普通の宿だけど、実は結界だと言うその中へ足を運んだ・・・



「随分と前回の宿のイメージからかけ離れたね・・・ここはどう言うイメージで作ったのかな?」

「はい・・・「癒やし」をテーマに作りました。恐らく道中が長いのでお疲れになられただろうと思いましたので・・・お気に召されたでしょうか?」

「あぁ!!ありがとう・・・凄くくつろげそうだよ!それにアロマキャンドルもあるみたいだね!この手の香りは凄くリラックス出来るからね・・・」

「アロマ!?・・・香り!?・・・ひぃぃぃぃ!!!!」

「おや?・・・そうか!さっきまでその件で大変だったからね・・・でも大丈夫!変な事はしていないし、本当にリラックス出来る香りなんだ!今日は凄く疲れただろうからゆっくり休みと良いよ!」

「恩に着る・・・」

「あの・・・私の家も直ぐ近くなので明日にでも良ければ・・・」

「あぁ!そうだったよ!!キャミューレのお花屋さんにも行かなくちゃ!!」

「そうだね・・・じゃぁ、今日はここでゆっくりして、明日皆で・・・」

「そうすると良いよ!・・・じゃぁ、キャミューレはどうする?近くなら帰るかい?それとも君が良ければ皆と一緒に泊まって行くかい?」

「わぁぁぁ!!宜しいのでしょうか?私がいても?」

「無論だよ!!」

「あぁ!折角こうして皆と出会えた訳だからこれも一つの縁と言うやつだと思うよ?」

「はいっ!!ありがとう御座います。今日は宜しくお願いします・・・」



キャミューレもきょうはローテンマリゼの宿に泊まる事になった。
それにしても便利な結界だ!!毎回思うけれど、これだと深夜に到着しても安心だし・・・
色々と気も使わなくて済むし。



「じゃぁ、キャミューレは1人でずっとお花屋さんを?」

「はい・・・引き継ぐ形で私もやって来ました。でも一緒にやってくれる子がいてくれたらもっと楽しいだろうなって憧れています・・・」

「そうか・・・じゃぁさ?募集してみたら?」

「募集・・・ですか?」

「うん!皆知っているお店でキャミューレみたいな子とだったら一緒にやりたいって子も出て来るだろうし・・・」

「は・・・はい!!募集・・・してみます!!」



翌日、キャミューレのお花屋さんに行った私たちは、早速彩花の提案である花屋を一緒にやってくれる仲間を募集した・・・すると!?・・・



「大変です!!募集掛けたら・・・」

「どうしたの!?・・・何か大変な事でもあったの!?」

「はいっ!!50人くらい集まりました!!」

「凄いじゃない!!良かったね!!それだけキャミューレと一緒にやりたいって子が多いって事だよ!!」



どうやら募集しても数名程来れば良い方だろうと考えていたらしく想定以上の人数が集まり、キャミューレは1人1人と面接をしながら相方を決める事に専念した・・・



「どうだい?良さそうな子は見付かった?」

「はい・・・皆さんとても良い方ばかりでお花の事を大切にしてくれると思ったので選ぶのも大変でしたが・・・この方と頑張ってみたいと思います!!」



そう言い履歴書を私に見せたキャミューレ・・・写真を見ると・・・



「おや?・・・この子、少し私に似ていないかい?」

「はい♪・・・とても優しくて笑顔が素敵でお花にも詳しくて、私のお店の事ずっと前から知っててくれていたので・・・」

「そうかい・・・それは良かったね!きっと素敵なお店だからこの子も頑張って貢献してくれる事だろうね!一緒に頑張るんだよ?」

「はい!!私、新しい1歩を踏み出して頑張ります!!」



ローテンマリゼによく似た写真を張った履歴書のその魔族とは、その後も上手くやって行き、後に2人は結ばれたと聞いた・・・
こうやって優しい心の持ち主は幸せになって行くのだろうと改めて私は感慨深い気持ちになった。



「さあ・・・そろそろ私たちは次に向かおうか!?」

「そうだね・・・じゃぁ、キャミューレも元気でね!?」

「はい・・・皆様もどうぞ、この先、お気を付けてまたこちらへ戻って来て下さいね・・・あの・・・これは私からの気持ちです・・・皆様のご武運とご多幸あらん事を願って・・・」



キャミューレは人間界には無さそうな綺麗な水色をした紫陽花 (あじさい)にも見える様な花束を渡してくれた。



「このお花は、ハピネルフィアと言うお花です。花言葉は・・・「永遠の幸せをあなたへ」・・・です♪」

「わぁぁぁ!!凄く綺麗だね!!ありがとう♪大切にするね!」

「この花瓶に入れておけば枯れる心配はありません!」

「水もいらないのかな?」

「はい!魔界のお花は色々な性質があります。このお花は水入らずです♪」



なるほど・・・夫婦「水入らず」の様な意味も含まれていそうだな・・・



「では、お気を付けて!!」



私たちは街の外の方まで見送りをしてくれていたキャミューレに手を振りながらダルフォレードの街を後にした・・・



「キャミューレ、凄く綺麗で優しい子だったね・・・」

「あぁ・・・私の心も洗われた様な気がしたよ・・・」

「そうかい・・・なら今こそ私と一緒に・・・」



♪ゴツンッ!!!



「痛いっ!!どうして?・・・♪一緒に行こうよ?何処までも~~~」

「貴様の相手をするのは別の話だ!確かにその歌自体は綺麗な声で私としても胸を打たれるものがあるのだが・・・性格がどうも・・・いけ好かないっ!!」

「彩花?・・・どうやったらクリスティアを攻略出来るのだろうか?教えてくれやしないだろうか?」

「う~ん・・・クリスティアは結構甘えん坊さんかもしれないから思いきり甘えさせてあげればデレるんじゃないかな?」

「彩花っ!!!余計な事は言わないでくれっ!!またややこしくなるから・・・」

「えへへ・・・♪」



こうして私たちはまた次なる街へと向かうのであった・・・
若干1名いつもいない場所にいてくれるのは少々腹立たしい事態だが・・・?



「まぁまぁ、私だって時には皆と行動を共にしても良いだろう?」

「そう言えばローテンマリゼって馬に乗ってるんだね!?馬車じゃなくて?じゃぁ、アスタリーゼは?」

「私も馬に乗っていますよ?」

「2人共格好良いね!!本当の騎士みたいで!」

「本当の騎士ならそこにもいるでしょう?恐らくクリスティアも馬には慣れているだろうし・・・」

「私は・・・その・・・もう、何年も乗っていないから・・・」

「照れた顔も可愛いよ?今度はそうだな・・・馬に乗るのに勘を取り戻す練習に付き合ってあげるよ?」

「断る!!それならいっそのことアスタリーゼにお願いする事にしよう!!」

「アスタは渡さないよっ!?・・・」

「いや・・・冗談のつもりだったのだが?・・・そんなに必死になるなんて・・・」



そうか・・・やはりパートナーの事を大切に考えているのだろうな・・・まぁ、少々面倒な奴だとは思ってはいたけれど、私たちの冒険はまた一つ明るく活気づいたものとなって行ったみたいだ!!次なる街へ・・・また1歩前進と言った所だろうか・・・























第六章 お花?香り?・・・またしても洗脳されてしまった仲間たち・・・どうやってこのピンチを脱出するのか!?・・・ END
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