転移少女百合魔界~魔界へ転移した彩花とクリスティア、そこには女の子しかいない新たなる世界~

小鳥遊凛音

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第三章

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「ねぇ?ミスティー?・・・次の街まで後どれくらい掛かりそう?」

「そうですね・・・割と歩いていますし、この分だとおよそ後18時間程で辿り着けるかと思います。」

「4分の1ですか(>_<)」

「彩花?疲れたのなら少し休憩しようか?



休憩・・・!?何それ美味しいの?・・・ってくらいまだまだ先は長い・・・
でもそろそろ私、足が限界かも!?・・・ここはクリスティアの言葉に甘えさせてもらおうかな?



「あっ!?・・・あれは、馬車じゃないでしょうか!?」



ただひたすら1本に繋がっている幅で言うところの十数メートル程度あるような道を私たちは北へ向かって歩いていた。すると、後ろの方から馬車に乗った魔族が通ろうとしていた。
早速乗せてもらえるか話を掛けてみる事にした・・・



「あの・・・ちょっと良いですか?」

「はい・・・どうかされましたか?」



少し大きめの声で私が声を掛けると、それに気付いたのか直ぐに馬車を停めて私たちに話を掛けてくれたのは、とても綺麗な姿で銀髪のロングヘアー、目が碧い瞳で透き通った魔族だった。



「うっ!?・・・」



その綺麗な魔族の少女がこちらを向いた途端ミスティーが気まずそうに着ていた服のフードを被りそっぽを向いた。



「あの・・・私たち、あなたが馬車で来る方角から歩いて6時間程進んで来たのですが、隣街までまだ相当掛かるらしくて、困っていたんです・・・もし、ご迷惑で無ければ連れて行ってもらえませんか?」



私が正直に隣街まで運んで欲しいと告げると少女は心良く笑顔で答えてくれた。



「はい。この先も道のりは長いでしょうし、色々と危険だと思いますので、少し狭いですが隣街へは私も丁度向かっている最中・・・これも何かのご縁でしょうしご遠慮なくどうぞ?」

「わぁぁぁ!!ありがとう御座います。本当に助かります!!」

「かたじけない・・・ここでどうやら4分の1程に到達したと伺っているのだけれど、流石にこの先野宿もままならないとなると・・・」

「ひょっとして・・・人間界からいらしたのでは?」



少女が私たちに聞いて来た。やはり直ぐに分かるのだろうか?



「はい・・・私は、人間界から来た黒澤 彩花って言います。こっちが・・・」

「私はクリスティア・・・クリスティア=カーマイオーネと申します。あなた様は?」

「はい・・・私はファランドーラと申します。少し用事がありまして恐らくあなた方と同じ街からになると思いますがそこから移動している最中です。宜しくお願いしますね。」

「そうだったんだ・・・忙しそうでごめんね?・・・私たちもまだこの世界に来たばかりで色々と慣れていなくて・・・」

「いいえ♪旅は道連れ・・・です。仲間は少しでも多い方が楽しいですし・・・あの?・・・そちらのフードを被られた方は?」

「んぐっ!!!!!」

「えっと、こちらはミス・・・」

「ミスファーレと申します・・・あの・・・人見知りで恥ずかしいので・・・こんな格好でごめんなさい・・・」

「あら?・・・そうでしたか!それは色々と大変でしょうね・・・ですが何か私の知人と雰囲気が似ている気がしたのですが・・・・・?」

「魔界には似た者が3人いるって言うので、それじゃないでしょうか?・・・」



ん?・・・どうしてミスティーは本当の事を告げない?・・・それに顔を隠したがるのには何か理由でも?・・・まぁ、ここはミスティーに合わせる事にして、彩花は?・・・



「魔界にも似た魔族が3人いるって言う話があるんだ♪・・・人間界と似ている所が結構あるよね!?」



彩花は空気を読めるのか読めないのかいまひとつ私には分かり辛い所があるのだが・・・?



「ファランドーラって凄く綺麗だよね!?・・・何て言うのかな・・・お嬢様?お姫様みたいな感じで・・・髪の毛も綺麗だし、目も凄く透き通っていて・・・私、憧れちゃうな♪」

「あぁ・・・その様なお褒めの言葉を賜れるなど・・・実は、この姿や雰囲気は、私の憧れる・・・」



そうファランドーラが口にした直後の事だった!!



「あぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!そう言えばお腹空きませんか?・・・私、少しお腹の足しになる物を持っていたのでしたぁ!!!」



ミスティーが邪魔をした・・・なるほど・・・何かこれには裏付けがありそうだな・・・
一先ず、ミスティーが持っていてくれた食べ物を皆で分ける事にした後、ファランドーラには聴こえない様にそっとミスティーに一連の状況を聞いてみる事にした・・・



「実は、ファランドーラは、私が住んでいる国に住んでいるのですが、訳あって今は知られてしまってはまずい展開になるのです・・・なので今は話を合わせて頂けると大変助かるのですが・・・」

「あぁ・・・あの状況からすれば何かある事には勘付くけれど、彩花にも一応伝えておいた方が良さそうだな・・・」



私はミスティーが何を隠しているのか大方察しが付いた。
恐らく私と似た状況を経験している最中と見える・・・
ミスティーとの会話を終え、直ぐに彩花にもそっとこの一件については伝えた・・・



「うん!何となく気付いていたよ?・・・まぁ、色々と事情があると思うから私も話を合わせておくね!」



うん・・・やはり鷹人たちの娘だ!それとなく空気を読んではいるがナチュラルに対処出来るその器用さ、流石だよ、彩花・・・





私たちが馬車に乗ってから随分と時間が経った気がした・・・
そろそろ到着するのかどうかファランドーラに聞いてみる事にした・・・



「ねぇ?ファランドーラ?・・・次の街へは後どれくらいで着きそう?」

「はい・・・少し疲れちゃったみたいでペースダウンしていますね。もう夕刻ですし、今夜は野宿をする事になりそうです・・・申し訳御座いません。」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!馬車に乗っていたのに野宿なのぉぉぉぉ!!!!!!!」

「彩花・・・馬車とて生き物だ・・・馬も長距離走れば疲れてしまうものだよ・・・それに人手が増えたからには馬にも負担が掛かってしまう・・・今日は諦めて近くで1夜だけ過ごすとしよう・・・」

「うっ・・・まぁ・・・仕方無いか・・・」

「それに、馬車の中があるみたいだし、ずっと歩いてからの野宿より遥かにマシだろ?仲間も増えたし!」

「あの・・・クリスティア様は・・・どうしてその様に?」

「あぁ・・・私にも経験があってね・・・馬は特に乗っていた事もあるし、馬車も用いた事はある・・・」

「そうだったのですか・・・どうりで色々と詳しいと思っておりましたが・・・」



そのまま場所的に丁度良さそうな風などがしのげそうな所へ馬車を停めて今夜は野宿をする事にした。



「流石だね、ちゃんと食料や火も扱える様に準備をしていたとは・・・」

「はい・・・元々1人で動いていますので必要最低限の物しか用意していませんが・・・」

「それなら・・・私が少し食料も持っていますので一緒に食べましょう・・・」



物静かにミスティーが告げる。



「馬車に乗せてくれたおかげで歩いているよりはお腹もそれ程空いていないからこのメンバーなら大丈夫そうよね!?」

「そうだね・・・私もそれ程動いていないから・・・それに明日、それ程時間はここからだと掛から無さそうだから大丈夫だろうと思うよ!」

「皆さま・・・はい!この子もゆっくりと休んでもらって明日の午前中には何とか・・・」



無事に食料については備えているもので補う事が出来た。
そして私たちは馬車の中で寝る事になった。



「さぁ、明日は早いので今日はこれくらいにして眠りましょう?」

「うん・・・ごめんね!邪魔になっちゃかもしれないけど・・・」

「もしスペースが無ければ私は外の樹木の上を使う事にするよ?」

「あっ!!クリスティア、凄いな・・・私も一度そう言うのやってみたかったんだ!!私もクリスティアの所で寝るよ!!」

「いっ!?いや・・・あの・・・じゃぁ、私もそう言うのを憧れていたのでご一緒に・・・」



私が外の樹木で寝る事を告げた後彩花もやってみたいと申し出て外で寝る事にした・・・
その直後ミスティーが後を追い掛ける様にして慌てて外で寝ると答える・・・すると・・・



「あの・・・馬車の中は大丈夫ですし、皆さんこちらでお休み下さい。それに、私、ミスファーレ様ともお話をしてみたいと思っていましたので・・・」



ミスティーの件があった!?・・・やはりここは言葉に甘えて・・・



「分かったよ・・・ではお言葉に甘える事にしようか・・・彩花もミスファーレも良いかな?」

「うん・・・ファランドーラが良いって言うなら別にいいよ!」

「うっ・・・では・・・私も、僭越ながら・・・」



こうして馬車の中で一夜を過ごす事となった私たちだったけど・・・頑張れミスティー!?何を隠しているのか分からないけど私たち応援してるから!!





真夜中・・・



「あの・・・少しだけお話を宜しいでしょうか?」

「えっ!?・・・ごめんなさい、私、不慣れで疲れが・・・」

「申し訳御座いません・・・どうしても少しだけお話がしたかったものですから・・・」

「な・・・何でしょうか?・・・」

「ミスファーレ様は、何をされていらっしゃるのですか?・・・人間であるこのお二方と共に行動をされていらっしゃいますよね?」

「え・・・えぇ・・・先にいた街で知り合ったのですが、魔王を倒すと言う事で私にも色々と魔王には困らされて来たもので・・・」

「その様な理由が・・・では、この先もこのお方と共に行動をと考えておいでで?」

「はい・・・私がお役に立てるのであれば全霊で協力するつもりでいます・・・」

「そうですか・・・とてもお優しいお方なのですね?」

「いえ・・・私も魔王に対して良い意志は持っていませんから・・・」



何故!?・・・どうしてこんなに至近距離で話をして来るの!?・・・あまり喋るとバレちゃうじゃない・・・
私は必要最低限ファランドーラの質問に答える。
ファランドーラ、良い匂いだな・・・温かい感じも変わってないし・・・
でも、今バレちゃうときっと大変だ・・・色々と大変だ!!



「ミスティー様は、ご家族は?」

「はい、父と母がおります。」

「そうですか・・・さぞかし大切になさっておられるのでしょうね?」

「いえ・・・孝行出来ているかどうか・・・」

「お城へ戻りたいと考えた事は?」

「はい・・・一刻も早く帰りたいのですが魔王を倒してからでないと・・・色々と・・・」

「孝行ですね・・・私・・・そう言う方が大好きなんです♡」

「いや・・・私よりまだまだ孝行な魔族なんて山ほど・・・」



そう話をしているとファランドーラは、突然私の弱点である耳を優しく撫でて来た。
これは私とファランドーラしか知らない、両親ですら知らない私の弱点・・・



「ひにゃぁぁぁっ!!!!!!!!」



「あら!?・・・これは大変申し訳御座いませんでした。とても美しい耳だったものですから・・・つい・・・♡」



いやっ!!美しいと言われる様な耳では無いはず・・・至って普通の魔族の耳だから!!
私は必死に顔を隠そうとした・・・すると・・・



「ミスティー様?ちゃんと私の目を見てお話頂けませんでしょうか?とても美しい瞳、綺麗なお顔・・・もっと私に見せて頂けませんか?」



そう言うと両手で私の頬を軽くあてがいしっかりと目を見つめて来た・・・



「さぁ、ミスティー様?今一度質問を致します・・・何故、自身の本当の姿を隠し、私に偽りを告げるのですか?」

「あぁ・・・あ・・・はい・・・ファランドーラは、私の城に住む大切な民の1人です・・・幼少の頃より大切に想っていたあなたを・・・魔王を倒す為に・・・連れて行く訳にはいきません・・・私が、ミスティーである事を知ってしまうと・・・きっと、あなたは・・・私について来てしまうと考えたからです・・・それに・・・うぐっ・・・」

「ミスティー様ぁぁぁ♡♡♡なんてお優しいのでしょうか・・・やはり私が憧れていたお姫様です♡・・・大丈夫です!!私はあなた様に一生ついて行くと既に幼少の頃より決めていたのです!!何を今更分かれて住まう必要がありましょうか?・・・これからは毎日隣で寝ましょう!!ふんっ!!ふんっ!!」



あぁ・・・私、ファランドーラの目を見つめちゃった・・・ファランドーラの能力は、目を見つめる事によって、相手の潜在意識や深層心理に呼びかけ引き出す事・・・それに、今の様な相手の本音を聞き出す事も出来ちゃう・・・しまったな・・・最初から気付かれていたみたい・・・でも私が恐れていた事はこう言う事では無くて・・・



「ミスティー様ぁ♡明日からは、ご一緒にお風呂、お手洗い、いつでもどこでもご一緒致しますわ♪ですので何か御用がありましたらどうぞご遠慮無くお申しつけ下さいませ♡」



そう・・・一時身の回りの世話をしてくれていたファランドーラは、私のありとあらゆるお世話をしてくれる・・・確かにあり難いのだけれど・・・迷惑極まりないのです・・・
執拗以上にくっついて来る為、動き辛い・・・これを外でされてしまうとそれこそ行動に支障が出て来てしまう・・・どうしよう・・・言っても聞いてくれないだろうし・・・
明日から思いやられる・・・・・いえ、今からだった!!



「んふぅ♡ミスティー様ぁ♪やっと再会を果たせましたね♡」



ふっ・・・やはり、そう言う事だったのか・・・
ミスティーも色々と大変なのだろう・・・
私の故郷にも同じ様な子がいたな・・・
まぁ、流石に日本にまでやっては来なかったが!
彩花は眠ったままの様だ。



「zzz・・・zzz・・・」



翌日・・・・・・
朝食を済ませ目的の隣街へ馬車で移動する最中・・・



「それで朝からフードも外していつも通りのミスティーに戻っていたって事?」

「はい・・・色々とお騒がせ致しました。」

「でも、ミスティーがお姫様だったなんて・・・情報屋とか言ってたし、私の暮らしていた世界の友達にミスティーにそっくりの子がいるんだけどね?その子も情報屋とか言ってる新聞部の子なんだけど・・・」



えぇぇぇ!?・・・・彩花も悟っていたのか!?・・・てっきりそう言う感覚すら無かったのかとばかり・・・本当に彩花は分からない・・・色々と・・・



「はい・・・私も匂いでミスティー様だと直ぐに分かりましたが色々と城の方では雰囲気が違っていたものですから少し様子を伺っておりました♪」

「早く言ってよ・・・ずっとバレない様に必死だったのに・・・」

「ですが、あの余所余所しいお姿も可愛らしくてそそります♡」



いや・・・そそるって・・・私だってやりたくてあんな事した訳じゃないから・・・
そうして色々と話をしていると、遂に隣街が見えて来たのだった・・・



「お待たせ致しました。あちらに見えて来たのが隣街のグーテです。」

「あっ!?そうだった、私たち人間界とこっちの魔界って結構共通した所があるんだよね・・・こっちの世界へ来た時も学校みたいな所から街並みも似ていて・・・」

「はい・・・その事についてなのですが、実はかなり昔に人間界と魔界を繋げたこちら側の魔王の時代に色々と人間界の方より技術を習得致しまして、使わせて頂いているのです。」

「へぇぇぇ!?・・・凄いんだね!!じゃぁ、今の魔王より大分前の魔王が統一させていた頃に魔界と人間界を繋げていたんだ!?」

「はい・・・その頃は共に仲良く、揉め事も全く無く、終わった後には完全にゲートも塞いだのですが・・・」

「今の魔王になって開かせたゲートはもしかしてその時の?」

「はい・・・恐らくその通りだろうと・・・」



一度は完全に塞いだとしてもそこを見付け当て再度利用すると言った事か・・・



「きっとその時の魔王様は後悔されておられるかもしれません・・・」

「いや、むしろ今の魔王が色々と汚いと言う事だろう・・・当時の魔王は良くしようと人間界から技術を習得する・・・いわば世界をしっかりと統一させようと頑張っていたからであろう・・・」

「その様に言って頂けると・・・きっと、お喜びになられますわ・・・」

「実は私も1つの小さな国の王と王女の娘なのだ・・・民の為に国をより良くして行こうと懸命だが、きっとその当時の魔王も同じ気持ちだったのだろうと思ってね・・・」

「そうだったのですか・・・実は、その魔王と言うのは私の家系のご先祖様なのです。」

「ミスティー、そうだったのか・・・最初に君と出会った時に、情報屋と聞いて、友人と似ているなとは感じてはいたのだけれど・・・少し私と似ているなとも伺えた・・・きっとその気持ちは、同じ様な境遇で生きて来た事を示しているのだろうね?」

「そうですね・・・きっと私が初めてクリスティア様にお声をお掛けしたのもそう言う事があったからなのかもしれませんね・・・ところで・・・ファランドーラ?そろそろ私の腕から離れて頂いても?」

「あぁ・・・折角何も言われずただひたすらミスティー様の腕にしがみついていられたかと思ったのですが・・・残念です・・・」



実はずっとファランドーラは私の腕にべったりとしがみついていたのだった!?・・・
疲れる・・・こう言う所が本当に・・・



「スライトゼントって街だったよね?到着だぁ!!」

「見通しの良い綺麗な街の様だね・・・」



話をしながら馬車に乗っているとあっと言う間に私たちは次なる街であるスライゼントに辿り着いた。先にいた街は、ローレンレーゼスと言う街で、先代の魔王が人間界とゲートを繋げたあの学校の辺り・・・肝要な街であった様だ・・・
一方こちらの街は魔王はあまり目に留めてはいなかったみたいだ!



「どうする?とりあえず今日、明日あたりはこの街で泊まる?」

「そうだね、色々とあり過ぎて疲れてしまったし、一時の休息をとる事にしようか?」

「ふふふ♪・・・情報屋のこのミスティーをお忘れですか?」

「あっ!!そうか・・・ミスティー?この街の詳細とか詳しく分かるの?」

「はい♪・・・この街はですね・・・温泉が沸いているのです!!」

「おぉ!!それは良いな!!是非温まろうじゃないか!!」

「丁度良かったのでこの世界でどの様にやって行くのか、魔王を倒す為にどうやって途中を過ごすのかと言う事を詳しくお話したかったので温泉でゆっくりと♪」



そして私たちは、魔界では有名であるスライゼントの温泉街を馬車で移動しながら1つの宿へと辿り着いた。



「さぁ、こちらに泊まる事に致しましょう!」

「い・・・いや、こちらのって言っても随分と豪華な旅館の様な・・・こんな所泊まるお金と言うかそう言うのってこの世界にあるのか分からないけど・・・どうしよう?クリスティア?」

「あぁ・・・確かに豪華な旅館と言った所だろうか・・・」

「お金と言う概念はこちらの世界にも御座います。ですがご安心下さい。私は先にお話させて頂いた通り、城の上方におりました。ミスティー様は大変申し訳御座いませんが、誰なのか分かってしまうと色々と大変な事になってしまいますので、ここは私が前へ出ますので全て私にお任せ下さいませ。」



そうか・・・ファランドーラはミスティーの所で・・・
なら今は彼女に任せる事にした方が良さそうだな・・・
私たちは馬車を停めた所にある宿に入る事にした。



「はい、いらっしゃいませ、ようこそスライゼント温泉街・・・その中でも数少ない最高級旅館、クルネードへ・・・あの・・・もしかして、あなた様は・・・もしや!?」

「私の事をご存じなのですか?・・・」

「もっ!!勿論で御座います!!皆さん?宜しいですか?直ぐに集まって下さい!!」



えっ!?一体何が!?・・・旅館の若女将らしき女性が大きめの声で旅館にいる従業員を呼び掛けた。すると・・・



「皆さん、急に集まってもらって申し訳ありません。遂にいらして下さいました。ディーネスト王国のファランドーラ様です。ようこそいらっしゃいました。改めまして、当旅館クルネード従業員一同心より歓迎致します。どうぞ、心行くまでおくつろぎ下さいませ。」



何だか分からないけど、相当凄いんだろうな、ファランドーラって・・・



「あぁ・・・あの・・・私はその様な振る舞いまでお願いしたかった訳では無いのですが・・・一先ずこちらにいらっしゃる人間界からいらしたお二方がこちらの世界の現状を理解なさっておいでで、色々と協力頂ける事になりましたので・・・順番に街を周って行く上で2日程宿泊させて頂きたいなと思いまして・・・」

「あぁ・・・その様なご事情がおありだったのですか!?これはまた大変光栄極まりのない事で・・・どうぞ、皆さま、少しの間ではあるでしょうが何か御座いましたら、遠慮無く何なりとお申し付け下さいませ。」



うん・・・色々と気を遣ってしまいそうだ・・・
久しぶりに私も故郷にいた時の事を思い出してしまったよ・・・
ミスティー・・・君はしっかりとフードを被って誰であるのか悟られない様にして欲しい。



「あぁ・・・ここが部屋だね・・・って言っても本当凄い綺麗な所だよね!!温泉楽しみだな♪」

「そうですね・・・少し休憩をしてから夕方頃に入りに行きましょうか?」

「それが良いね!!・・・ところでこの旅館の人たちってファランドーラとはどう言う関係なの?」

「え!?・・・あぁ・・・恐らく、あの方々はこちらの街が温泉を掘り当てる直前まで生活を苦になる状況でして・・・当時、私の率いて軍が助ける形となりました。」

「軍?・・・ってファランドーラって軍人さんなの?」

「はい・・・元々ミスティー様直属の兵士団に所属しておりまして、その一環で周辺の街などにも色々と奉仕活動なども行っておりました。」

「凄いんだね!!そんな事までするんだ!?・・・」

「はい・・・現在の魔王になるまで比較的に平和な日常が魔界全土で続いていた為、我々も民や周辺の街などの活動などにも積極的に参加しておりました。」

「この街を温泉街に変えたのはファランドーラなのです・・・」

「えぇっ!?・・・・・そうだったんだ!?・・・・ファランドーラって本当に凄いんだね!!」

「いいえ・・・私は以前教えて頂いた知識をこちらの街へも反映出来るかもと思いました為・・・私は何も致しておりません・・・」

「影で努力を惜しまず、頑張る様な子なのです・・・だから私は・・・ファランドーラの事を信頼しているのです・・・」

「ミスティー様!?・・・・ミスティー様ぁ♡」



ぎゅうぅぅぅぅ♡



「ちょっ・・・ファランドーラ・・・苦しい・・・そんなに締め上げないで!?・・・」

「あっ!!これは、申し訳ありませんでした・・・私とした事が・・・つい・・・」



いや、ついでは無いと思うぞ?恐らく長年その様な行動が仇となって今のミスティーが少々抵抗心があるのでは無いだろうか?・・・



「そろそろ夕方だから温泉行かない?」

「そうだね・・・もう良い頃合いだろうね・・・じゃぁ早速・・・」



私たちは温泉へ入る事に・・・って流石高級旅館と言った所だろうか・・・
旅館の敷地内に大きな温泉が一面に広がる。



「こちらの温泉は、様々な効能が御座います。疲れ・肩こり・冷え性・リウマチ・・・ありとあらゆる症状に最適です。」

「へぇ~・・・特にこれとこれ・・・って感じじゃなくて全体的な効能が期待出来るのかな?」

「はい!仰る通り、人間界での温泉とは少々違っている様子なのですが、どうぞごゆっくりお入りになって下さいませ。のぼせだけはご注意下さいね?」

「女将さんって人間界の温泉事情にも詳しいんだね・・・流石・・・」

「あぁ・・・私は以前ひっそりとお邪魔した事がある程度で・・・」

「そうなんだ!!ありがとう御座います。私たち丁度疲れていたのでゆっくりさせてもらいますね♪」



あらゆる効能か・・・楽しみだな!私も鎧を久々にまとったので結構肩が凝ってしまって・・・



「じゃぁ、入りましょう?」



ファランドーラが誘ってくれた。
私たちは早速温泉に入りながら魔界についての知識なんかを教えてもらった!



「あぁぁぁ♡温泉最高~♪・・・クリスティアは鎧が重そうだし丁度良かったんじゃないかな?」

「あぁ・・・私も丁度その事について考えていた・・・本当に心地良いな!露天風呂と言うのも乙なものだよ・・・」

「クリスティアって、日本人以上に日本人染みてるよね?」

「えっ!?・・・そっ!?・・・そうかい?・・・私が・・・日本人以上に?・・・」

「まぁ・・・ここは日本人じゃないって思える程のボリュームだけどね?」



♪ムニュッ♡



「ひゃぁっ!!なっ!!何をするんだ!彩花!?・・・私のコンプレックスを・・・」

「どうしてぇ~?こんなに素敵な胸してるのに?」

「いやっ!!それは・・・私からしてみれば結構・・・邪魔な存在と言うか・・・戦う際には無駄と言うか・・・」

「でも・・・何れ結婚するんだよ?そうなったら男なんてKOだよ?」

「ふむふむ・・・確かにクリスティア様の胸は形も良くて大きくて・・・母性に溢れている気が致しますね・・・男とはどの様な方なのか分からないですが、私たちから見ても素敵だと思いますよ?」



続いてファランドーラがその様に言って来た。
恥ずかしい・・・私の胸で話題を埋め尽くすのは・・・



「あぁ・・・でもミスティーも綺麗な胸の形をしているよね?・・・後、張りがあるし♪」



♪もみゅっ♡



「うっ・・・ちょっと彩花様?・・・私の胸まで・・・」

「ファランドーラもぉ~♪」



♪ムニュゥゥ♡



「やっ!!・・・もう・・・彩花様?おいたが過ぎるのではありませんか?」

「ごめんね~・・・ちょっと調子に乗り過ぎちゃった♪」



♪さわさわ・・・



「ふむふむ・・・彩花が他人の胸に気をやられてしまう理由が分かった様な気がするな!」

「ちょっ!!クリスティア!?・・・それって私が貧乳だって言いたいの!?・・・いいもん!!私だって遺伝体質だもん!!ママの様にもう直ぐ・・・もう直ぐ!!なるんだからっ!!」



そう・・・ママは巨乳である・・・あの胸にパパもきっと堕とされた♪



「↑いや、鷹人に限ってその様な事は無いだろう?・・・他にちゃんとした理由があるはず!!」

「ちょっと、勝手に心の中を読まないでよぅ~!!」



色々とおしゃべりがはかどったのは良いのだが、肝心の魔界での生活と言うものを色々と知りたい私は本題に進めた。



「この世界の事だけれど・・・人間界と見た感じ似ている気がしていた・・・でもどう言う所が違っていて、私や彩花はどうすれば最適なのだろうか?」

「はい・・・実は私も少々人間界へは足を運ばせて頂いた経緯があるのですが、見た感じはクリスティア様の仰る通りなのですが、先ず、こちらの世界は男性?と申しておりましたがその様な魔族はおりません・・・全員「性」が1つなのです。ですので直接深く関係する訳では御座いませんが、その件が先ずあります。」

「確かに男性がこの世界にはいない・・・では子供はどの様に?・・・いやっ!!これは聞かなくて良い話だったな・・・うん!次に移ろうか!」

「えぇ~!?・・・そこは重要じゃないの!?私は凄く気になるよ!?」

「えぇ・・・子供は・・・大きな鳥が運んで来ますわ?」



嘘だよね~!?・・・まさかコウノトリとか言わないよね~!?



「まぁ、それは子供に一時的に教えるおとぎ話の様な話で、実際は・・・人間界で見掛けたのですが性別が1つの生物がいるのだとか?」

「あぁ!両生類の事じゃないかな?・・・そうか!?そう言う事なのか!?」

「その通りです!ですのでちゃんと子孫は出来ます。」

「(ポカーン)」

「彩花?どうしたんだい?」

「い・・・いえ・・・特に何も・・・」



あまり期待していたのと違う話で終わっちゃったな・・・
まぁ、いいか!



「続いては・・・魔界での現在の状況ですが、やはり悪い魔族たちがありとあらゆる場所で悪さをしようとしています。ですので引き続き、注意しながら先へ進んで行かないといけないですね・・・」



あれ?・・・何だか・・・フラフラするぅ~?・・・ダメだ、意識が・・・



♪バシャン・・・



「おい、彩花!!しっかりするんだ!!・・・のぼせたみたいだ!!早く上がろう・・・」





彩花がのぼせて気を失った。
私たちは直ぐに温泉から出て着替えを済ませた場所の横長になっている椅子に彩花を寝かせて涼ませた。



「ん・・・・・私・・・気を失っちゃったの?」

「彩花・・・すまない、話を長々と続けていたせいでのぼせてしまったみたいだね・・・」

「ううん・・・私も色々とはしゃぎ過ぎちゃった・・・それより2人は?」

「あぁ、先に部屋に戻ってもらう事にしたよ!部屋まで運ぼうかと思ったのだけれど、のぼせている手前、先に冷やしておいた方が良いだろうと思って・・・ね?」

「ごめんね・・・また迷惑掛けちゃったね・・・」

「そんな事はないさ・・・彩花もそうだろうけれど、私も久しぶりに楽しんで会話をする事が出来たよ・・・ありがとう♪」

「そう・・・か・・・なら良かったよ・・・クリスティア、こっちへ来てかなり気を張っていただろうし、いきなり私があんな事になっちゃったから・・・こっちこそ、ごめんね?」



その後、少しだけ休憩して私たちも部屋へ戻る事にした。



「凄い!!夕食の豪華さ!!マジぱないよ!!」

「そうですね・・・やはり街の中でも最上級の旅館ですし・・・」

「本当にファランドーラが助け出す前はこんな状況じゃなかったんだよね?」

「え!?・・・えぇ・・・一応その様な事を仰っていましたが・・・」



食事をしながら私たちは更に深い絆を結んで行った。
話もプライベートについての事、人間界、魔界、それぞれの世界での自分たちの生活や楽しい事や悲しい事・・・そして・・・



「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!?じゃ・・・じゃぁ、あなたたちは私たちの10倍以上の年齢って言う事!?」

「その様ですね・・・あはは・・・はは・・・はぁ・・・」



魔族と人間との圧倒的な差だった・・・容姿は私たちとほぼ同じだったけど、実際私たちより10倍以上年齢が上だった魔族の2人は一体どう言う生活をすればそうなるのだろうか?真剣に考えていると・・・



「い・・・いや・・・どう言う事をすればとか食べたらとかそう言う事では無いと思うんだ・・・これは魔族や人間本来の生理的な現象では無いだろうか?」

「う・・・うん・・・そう言う事なのかな?・・・やっぱり・・・」

「まぁ・・・人間と他の動物との生きる年齢の違いと言うのかな・・・その様な感じで良いのでは?・・・」

「そうか!?・・・流石クリスティア!頭が良いね・・・そう言う事か・・・なるほどね!!だったら私たちより大先輩の2人には敬語で話をしなければいけないよね!?」

「あ・・・あぁ・・・それは確かに・・・」

「(クスッ)・・・いいえ?特にその様になさられる必要はありませんわ?今まで通り気軽にお話をして頂けた方が私たちにとってもありがたいですから?ね?ファランドーラ?」

「えぇ!!勿論です・・・こうやって魔界を助けに来て下さった英雄ですから!その英雄に対して敬意を払う必要はあってもお二方が私たちに敬意を払う必要なんて御座いません。」



いや・・・敬意を払う必要が無いと言うのも言い方が・・・!?



「ま・・・まぁ、2人がその様に言ってくれているのだから彩花?今まで通りで良いんじゃないかな?」



色々と盛り上がりながらようやく1日が終わった。



翌日・・・・



野宿とは違い快適な1日であり、私たちはもう1泊この旅館に泊まる予定であった・・・



「さて・・・今日も癒しの1日を・・・・明日から頑張るから今日はまったりやろうね?」

「そうだね・・・たまにはこう言う1日があっても良いだろう・・・」



早速朝食(豪華な!!)を済ませた私たちは散策で街を歩く事にした。



「やっぱり温泉に来る人って多いんだね!!団体から個人・・・色々な魔族がいるね!!」

「そうですね・・・魔界でも数多 (あまた)と無い温泉街ですから、かなり遠方からもこちらへ立ち寄る魔族も多いとか・・・」



街を散策していると年の頃私たちより少し下に見えるが・・・先程の話からして私たちより遥かに年上であろう魔族が話を掛けて来た!!



「あの・・・お姉さんたち、この辺りにお薦めの旅館とか無い?」



少々生意気染みた感じで話を掛けて来たその魔族は何故か私たちを食い入る様に見ていた・・・



「う~ん・・・私たちもよそ者だからあんまり詳しく分からないよ?ごめんね?」

「へぇ~?そうなんだ?・・・お姉さんたちって今何処かの旅館に泊まってるの?」

「えぇ!私たちはあそこのクルネードって言う旅館に泊まっています。」

「ふ~ん♪随分とお金持ちが行きそうな所に泊まってるんだね?私も泊まろうっと♪じゃぁね?お・ね・え・さ・ん?」



少女魔族はその様に私たちに言って、クルネードの方へ向かって行った。



「ねぇ・・・何だか偉そうって言うかちょっと生意気だったよね?・・・まぁ、私たちよりは遥かに年上なんだろうけど?」

「そうだね・・・私も少しイラッとしてしまったよ・・・見知らぬ相手に対しての振る舞いとは思えない物言いだった・・・」



何か違和感があった・・・どうして私たちが泊まっている旅館へわざわざ泊まろうとしたのだろうか?・・・それに高級旅館であるにも関わらず私たちが泊まっている事を理由にしていたのか直ぐにそこを決めてしまうなんて・・・その少女と隣に女性魔族が2名いたな・・・
何かあるかもしれない。念の為、頭に置いておくとしよう・・・
その後も私たちは街を巡りながら色々な商店や風景の良い場所なども周り、あっと言う間に夕刻になってしまった。旅館へ戻りあの心地の良い温泉にまた浸かろうかと準備をした・・・すると・・・



「温泉~温泉♪早く入りに行こう?」

「彩花は本当に温泉が気に入ったみたいだね・・・昨日はのぼせてしまったのに・・・」

「だって、あんなに心地良いもん♪折角今日も泊まるんだし入っておかないと勿体無いよ!!」

「ふふふ♪・・・そうですね!私たちも久しぶりに心底癒されています♪」

「お待たせ致しました。では参りましょうか?」



準備が全員整ったから温泉へレッツゴー♪



「う~~~♪やっぱ最高ぅ~!!!!」

「あぁ・・・本当にこの丁度良い温かさ、体の芯から伝わって来るジ~ンとする圧迫感と言い申し分が無いよ!!」

「そうですね♪・・・やはり温泉と言うものは素敵です!」

「明日への活力にも繋がりますから、今日ものぼせない程度に浸かりましょう♪」



はははははは♪



昨日の彩花の様にならない程度で楽しむ事にしようか・・・
少し冷えてしまったのだろうか?私はふとお手洗いへ行く事にした。



「普段この様な事は無いのだが・・・珍しく・・・」



用を終えると私は手洗いをし露天風呂の方へ戻ろうとしたその時だった!?



「あぁ♪さっきのお姉さんだね?さっきはありがとね?」



さっきの生意気な少女魔族だ!?・・・確かに同じ旅館へ泊まる事にした様だったがこうもバッタリと出くわしてしまうのもいけ好かない何かを感じずにはいられない・・・



「あ・・・あぁ・・・先程の魔族だね・・・じゃぁ、私はこれにて・・・」

「お前たち?」

「はい、モーレサ様」



モーレサ・・・と言う名前なのか!?・・・そのモーレサは2人の取り巻きの魔族に命令の様な口調で呼び掛けると私の周りに三角形上で立ち止まる。私から見て正面にいるのは、モーレサである。私の背後左右にその取り巻きの女性たちが立っている形だ・・・



「何の真似か説明してもらおうか?私は温泉へ浸かっている最中だった。戻りたいのだが?」

「ねぇ?お姉さん?私たちの仲間にならない?」



モーレサは私に仲間にならないかと誘いを掛けて来た・・・恐らくこの魔族は悪い方の魔族だろう・・・無論仲間になるいわれもなければ私がいけ好かないと思った者はこれまで大抵良い方向に進んだ者などいない・・・



「断る・・・私には既に仲間がいる・・・他を当たってもらおうか?」



「ふ~ん♪折角、魔界でも上位に位置している私からの直接のお誘いなのに断っちゃうんだぁ~♪私ね?さっき出会った時に直感で感じた事があるんだ♪・・・お姉さんって~?マゾでしょ?」

「はぁ?・・・貴様は私をバカにしているのか?」

「えぇ~!?・・・私は本心を見抜いただけだよ?・・・だって私、ドSだからぁ♪お姉さんみたいな子を調教するのが趣味だもん♪」

「貴様!!我を愚弄するつもりか!?・・・良いだろう!!表へ出ろ!」

「私は別に構わないけど、お姉さんは良いの?騒ぎになっちゃうよ?」

「くっ・・・これ以上我に関わると貴様を斬ってしまいそうになる・・・その話はこれで終わりにしよう・・・」



私がマゾだと!?・・・その様な愚弄・・・私は初めてだった・・・
常に凛々しく気高き姫騎士を目指し、鍛錬して来た私は、ようやく1歩近づく事が出来たと考え、日々精進し続けて早数年程になる。けれど、人を変態呼ばわりされた経緯は今まで一度たりとも無かった!!
頭に来た私はモーレサと言う魔族を振りのけ立ち去ろうとした・・・すると・・・



パァァァァァァ



「何だ!?・・・結界!?・・・貴様!?魔王の手先なのか!?」

「だったらどうなんだよ?私が優しく誘ってやっているって言うのに、本当バカな姫騎士様だね?」

「くっ・・・本当に斬られたい様だな!!」

「さぁ、このドマゾ女騎士?私の足を舐めろ?」

「何だと・・・・」



結界内に閉じ込められた私は、モーレサに命令された・・・すると・・・



「うぅ・・・うぐっ・・・何だ!?・・・体が勝手に・・・」

「くくくくくっ♪あははははは♪あ~っはっはっはっはっは♪やっぱり私の目って見る目あるよね?」

「うぐっ・・・止めろ・・・私の身体に何をした!?・・・早く解除しろっ!!」

「別に私は何もしてないぞ?ただこの結界内に入った者は本当の性癖を曝け出すだけだ!?お前は私の命令に背く事は可能であり、本気で心の底から嫌だと望むならこの結界からも出る事は可能だ!」

「なん・・・だと!?・・・それは嘘じゃ・・・」

「嘘だと思うなら心底私の命令には背きたいと願え!そうすれば直ぐに体の自由は戻る!」

「う・・・この様な事を私が望むなどありえ・・・ない・・・」



抵抗するがダメだった・・・私は・・・モーレサの足に口づけをしてしまう・・・



「あ~っはっはっはっは・・・本当は気が付いてるんじゃないの?自分の本当の性癖に?」

「うぐっ・・・おえぇぇぇ・・・」

「ちょっとそれって酷くない?私凄く綺麗好きだしっ!!」

「こんな・・・気持ち悪いものを舐めさせられて嘔吐するのは・・・当たり前だ・・・」

「ふんっ!!そうか・・・お前は表面上のフィールドが固過ぎる為に本当の自分の姿が自覚出来ていない訳か・・・面白い・・・なら見せてやるよ!」



ファサッ・・・・



そう言うとモーレサは私に大きな柔らかい布状の様なものを被せた!



(ん・・・ここは?)

「私の名はクリスティア・・・クリスティア=カーマイオーネと申します・・・」

(何だ!?私がいる?・・・私は誰に挨拶を交わしているのだろうか?)

「はい・・・私の本当の姿・・・それは・・・マゾ・・・なのです・・・」

(はぁ?一体何を言っている!?言わされているのか!?止めろ!!その様な事を言うな!!)

「はい・・・なります・・・私、クリスティア=カーマイオーネは、モーレサ様のマゾ奴隷になります♡」

(モーレサ!?・・・私を愚弄する魔族か!?・・・クソッ!!止めろ!!私にこの様な姿を見せるな!!私は・・・私は・・・)

「はい・・・ありがとうございます。私は、本当はマゾ・・・それに気付かせて下さったのはモーレサ様です・・・本当に・・・本当にありがとう御座いました。これからは、モーレサ様の為に生きて参ります。」

(嘘!?・・・だろ!?・・・嘘だと言ってくれ!!私が・・・私が・・・マゾだなんて・・・私はマゾ?・・・)

「そう♪・・・私はマゾだったの・・・だから認めなさい?私、クリスティア=カーマイオーネは、ドマゾ♡・・・認めましょう?マゾだから♪マゾは悪い事じゃない・・・マゾはご主人様に尽くすの・・・そう♪私のご主人様であるモーレサ様に!モーレサ様の為に♡」

(そう・・・なのか?・・・私は・・・マゾで・・・ご主人様に尽くす事が本来の勤めなのだろうか?・・・)

「気持ちを楽にしなさい?今の私は頑なに自身が気高く、凛々しく無ければならないと思い込んでいるだけだ!!マゾが悪いものだと思い込んでいるだけなのだ!マゾは決して悪いものでは無い・・・自身にとっての本当の自分になれる存在だから・・・さぁ、新たに目覚めなさい?私、クリスティア=カーマイオーネのご主人様であるモーレサ様が目の前でお待ちだ!目を覚ませば、本来の自分になれている!さぁ、目を覚ませ!クリスティア!」



「はっ!!私は・・・何を?・・・」

「気が付いたか?本当のお前の姿を今見せてやった!さぁ、目が覚めたお前が一番最初に私にしたい事があるんじゃないのか?それを実行して見せろ!」

「あぁ♡・・・はい・・・私は・・・私、クリスティア=カーマイオーネは・・・あなた様の・・・モーレサ様の奴隷になりたかったのです!!」



ふふふっ♪堕ちたな!



「さぁ、先ず最初に何がしたい?それを実際に行動に示せ?」

「はいっ!!・・・私は、最初に・・・先程、モーレサ様がご命令下さった、足をお舐め致します♡」



そうだ!!私は・・・モーレサ様の足をお舐めしなければいけなかったんだ・・・
抵抗なんかして嘔吐しようとしたけれど、どうしてその様な事を!!
私は必死になってモーレサ様の足を一心不乱に舐めた。



「あぁ~♪この本当の自分の姿を知り尽くした様な芯の強そうな子を堕とすのって最高に気持ち良いわね~♪さぁ、クリスティア?結界を戻すからお前はいつもの様に戻っていつもの様に仲間たちと楽しんでいなさい?次は彩花って言ったっけ?あの子を堕としてあげるから?」

「はい♡かしこまりました、モーレサ様♡」



「あれ?私は一体!?・・・そうだ!早く皆の元に戻らないと!!」





「クリスティア?大丈夫?時間が少し経ったから探しに行こうかと思ったけど・・・」

「いや、私は大丈夫だよ!それより待たせてしまったみたいですまない・・・」

「あの?クリスティア様?お手洗いに行かれた時に何かありましたか?」

「いや?何も無かったけれど・・・?どうかしたのかい?」

「いえ!何も無ければ良いのですが・・・」



うん・・・少しクリスティア様の様子がおかしいですね・・・



「おいっ!!お前じゃないって言ってるだろ!?私はこっちの子と話してたんだよっ!!」



「ひんっ♡・・・」



私たちから少し離れた所で他のお客さん同士が怒鳴った!?でもそれよりも驚いたのは私の隣にいたクリスティアの喘ぎ声の様な悲鳴だった!?
私はクリスティアに声を掛けた!!



「クリスティア?・・・どうかしたの!?今のは悲鳴?」

「あっ!?・・・いや・・・どうしてだろう?今の怒鳴り声で突然・・・すまない・・・」

「おい、クリスティア?ちょっとあっちへ行くぞ?早く来いよ!!」



すると急にミスティーがクリスティアに凄く強い口調で何処かへ連れて行こうとした。

「ひゃぁっ♡・・・は・・・はい・・・行きます・・・行きますから・・・どうか・・・」



「クリスティア?・・・それにミスティー?・・・一体どうしたの!?」

「彩花様?ここはミスティー様にお任せしましょう?」



その様にファランドーラが言うと2人は去って行ってしまった。





「クリスティア?お前堅苦しいんだよ!!」

「んっくぅぅぅ♡・・・もっとぉ・・・もっと罵って下さいませぇ♪」

「ほら、結界に入るからいくらでも罵ってやるよ!!」



パァァァァァァァァァ



「ほら、結界内だ!いくらでもお前を苛めてやるから感謝しろよ?」

「はい・・・ミスティー・・・様?」

「鞭が良いのか?それとも言葉責めか?好きな方で責めてやんよ?」



少々効果が強いみたいですね・・・もう少しで・・・



「はい♡・・・言葉責めを先にして頂いて宜しいでしょうか?その後鞭で・・・♡」

「あん?お前、ご主人様に命令すんのかよ?」

「えぇっ!?・・・ですが、今、好きな方でと・・・?」

「何だ?お前はご主人様に盾突くのかよ?そんなだからマゾにされんだよ!!」

「ごっ!!ごめんなさい・・・私・・・ご主人様に対して何て言う事を・・・!!」

「好きな方でとご主人様が言ったらお前は「はい・・・ありがとう御座います。ですが、ご主人様がお望みの方からで構いませんので」と言うんだよ!!分かったか?この出来損ないマゾ奴隷!」

「あぁぁぁぁぁぁ♡♡♡はひぃ!!申し訳御座いませんでしたぁ・・・ご主人様のお望みのままに・・・どうか・・・どうか・・・zzz・・・zzz」

「ようやく効果が現れた様ですね・・・先程のお風呂の所での悲鳴、そして昼間にあった魔族の少女とその両方にいた魔族たち・・・・どうやら少々厄介な魔族がこの街にも遂に現れてしまったみたいです・・・」





「ん・・・私は?一体!?・・・」

「お気づきですか?・・・私の結界内ですよ?」

「そうか・・・私はまた君の世話になってしまった様だね・・・恐らく、昼間出くわした魔族の少女・・・そうだっ!!先程の温泉の時のお手洗いへ行った直後に出くわしたのだった・・・それで奴の結界に閉じ込められてしまい・・・」

「分かっております。奴はモーレサ・・・恐らくクリスティア様は芯のお強いお方・・・相手も手こずっていたのでしょう・・・従来一瞬で相手を変貌させる魔族ですが実はクリスティア様が出て行かれてから30分程時間が経過しておりました。その間、彩花様が執拗以上に気に留めていらしたのでまさかとは思っておりましたが・・・」

「あぁ・・・済ませた後、奴に遭遇して少し言い合いになった直後結界へ閉じ込められてしまいしばらくした後に何かを被せられた直後意識が遠のいてしまい変な夢みたいなものを見せられた・・・それからの記憶が曖昧で・・・」

「なるほど・・・私が調べたモーレサについての情報から推測するに、通常はその被せてから夢の様なものを見せる手法は相当手強い相手じゃないと使用しないみたいなのですが、奴の能力は、相手をマゾ奴隷に堕としてしまい手駒にしてしまう感じになるかと思われます。」

「あぁ!!そうだ!!確かにお前はマゾだとかしぶとい程言い回して来たよ!」

「やはり・・・結界内に閉じ込めると雰囲気に流されてしまい、モーレサの強い口調で命令などをされてしまうと逆らえなくなってしまうんです。そして奴の体に自身の肌が触れてしまった途端、効果が現れてしまい、マゾでは無いノーマル、または、サディストな者でさえもマゾ奴隷に堕ちてしまうのです・・・」

「面倒な奴が敵になったものだな・・・とりあえず、君には感謝するよ!」



さて、どうやって奴を倒すかを作戦会議で決めなければならないだろう・・・
部屋へ戻ると早速モーレサを倒す方法を会議する事にした。



「この旅館にいるなら接触は出来るわね・・・でも普通に倒す事が出来ないのかな?」

「彩花様の仰る通りなのですが、少々厄介なのは、両方にいる奴隷たちなのです。彼女たちは非常に能力が高く、強いのです・・・モーレサ自体は差ほどでは無いとの情報なのですがその取り巻きをどの様にして倒すか・・・一応敵側は3名になるので・・・」

「そうか!?・・・あの2人が真に厄介と言う事か!?けれど、あの2人の魔族は一体どの様な行動を踏むのだろうか?」

「先ず、モーレサに忠実に従います。取り押さえようものなら逃れるのは至って困難です!力も強い様ですし・・・」

「私の聖剣で倒せないものか!?」

「1人なら恐らく簡単に事が運ぶでしょう・・・ですがその強敵2体となると流石に動きに余裕が出るかどうかと言った所でしょうか・・・」

「う~ん・・・一気に3体まとめて倒せる技があれば・・・あった・・・」

「えっ!?・・・本当に!?・・・」

「あぁ!1つだけあったよ!ただ、これにはまた君たちの協力が必要なんだけれど・・・?」

「勿論、大協力するよ!!」

「私たちでお役に立てるなら!!」

「そうです!!相手を倒せる方法があるならそれに掛けてみて良いのではないでしょうか!?」



よしっ!!何とかこの手法で敵を倒そうと思うのだが・・・
後は、奴らの所へ出向くか・・・はたまた奴らからこちらへ出向くのか!?





「深夜になりました・・・少し眠いですが、これも敵を倒す為・・・皆さん、頑張って参りましょう・・・」

「小声で・・・オーーーー!!!」

「敵の部屋らしき情報を収集しました!!こちらです!もしも間違えていてはいけませんので合言葉を伝えようと思います!」



♪コンコンコン



「合言葉は?」

「ドマゾ♡」

「入れ!!」



って展開には勿論なるはずが無い訳で・・・
一先ずこの部屋だと言う確信情報は先程入手!
普通にドアを開けようとした!すると・・・



「クリスティア?こんな夜中に何をしているんだ?この出来損ないがっ!!」

「ふっ・・・本当に貴様は口が悪いのだな!このドマゾがっ!!」

「んっ♡・・・・・何だと!?・・・私が掛けた術が解けているのか!?一体何故!?・・・随分と深く掛けたはずなのに・・・」



何だ!?・・・今、喘ぎ声の様な声を出した!?
ひょっとしてこいつ!?・・・



「おい、貴様?生意気にも程度があるだろ?私の名はクリスティアだ!!クリスティア様と呼べ?」

「んっふぅ♡・・・どっ!!どうして・・・私がお前に「様」付けで呼ばなければいけないんだ!!それより・・・」

「クリスティア「様」だ!!」

「ひっ♡・・・ク・・・クリスティア・・・さ・・・ま・・・」

「ちゃんと呼べ?このド変態!!!」

「ひゃっ!!ひゃひっ♡・・・クリスティア様ぁ・・・」

「さて・・・中に入ろうか?モーレサ?」

「はい・・・どうぞ?・・・お入り・・・下さい・・・」



パァァァァァァァァァ



「一応結界は張ったから大丈夫だよ?」

「あぁ、ありがとう彩花!・・・さて、ここは彩花が張ってくれた結界内だ!これで何をしても誰にも迷惑を掛けずに済む!」

「んん・・・ふぅぅぅぅ♡」

「何を欲情しているのだ?この変態が!!」

「はっ!!はいっ!!申し訳御座いません・・・でした・・・」

「まさか、貴様がドSではなくドMだったとはな!拍子抜けしてしまったよ・・・」

「うぅ・・・♡」

「そうだったの!?・・・急にクリスティアの様子が豹変したから一体どうしたのかって不安だったけど?・・・」

「あぁ・・・私たちは貴様を倒す為に作戦を立てていたのに・・・まさかただの変態!!マゾだったとはな・・・情けない・・・」

「んくぅぅぅ♡クリスティア様の罵倒責め素敵ですぅ♡」

「こんな変な者に好かれても嬉しくも何とも無いよ・・・お前は本当に魔王の手下なのか?」

「はい・・・一応は・・・魔王様の眷属ですが・・・最も最下層の立場なので・・・」

「まぁ、この街にはそれ程手が掛かっていないと言う噂は聞いていたし、その様子からすると私たちがいたからここへ出向かせたのだろうな?」

「流石・・・クリスティア様です・・・仰る通りです・・・私は魔王様から人間界より人間がこちらへ来たから排除する様命令をされたので・・・」

「ねぇ?あなたたちって魔王に洗脳とかされたのかな?」

「えっ!?・・・あっ!!はい、大体の魔族たちは魔王様に洗脳して頂いてこの様になりました・・・」



そう言う事なのか!?・・・だとすれば心底悪さをしようと思いこの様に現れていると言う訳では無いのか・・・これもまた厄介な状態だな・・・悪気が元々無い者に対して倒す事など出来ない・・・どうやって助けて行くべきかを考えて行かねばならないな・・・

「あの・・・眠くなって来ちゃいました・・・私・・・一度眠っても良いでしょうか?・・・」

「何!?・・・どうしてだ!?・・・この結界は彩花が張ったものだろう?」

「うん・・・私が間違いなく張った結界だよ?」

「zzz・・・・zzz」

「彩花!?もしかして君は!?・・・」

「ん?私が何かあったの?」

「ミスティー?彩花の本当の能力とは!?」

「はい!間違い無い様です・・・後は彼女たちが目覚めた時に・・・」




モーレサを彩花の結界内に閉じ込め、色々と問い詰める事に急遽作戦を変える事になった私たちは、更なる事実を目の当たりにする事になった!
彩花の真の能力とは!?
そして、彩花が張った結界内で突然眠りに就いてしまったモーレサと従者2人の魔族たち・・・
目が覚めた時にどうなっているのだろうか!?
状況によれば今後の動きにも大きな影響が出る事だろう!?
























第三章 次なる街は温泉街!?バタバタした直後の天国!?それとも地獄!?新たな魔族の手が!? END
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