サラリーマンは帰宅途中に立ち寄った「新世界」で異変が起こり「異世界」へ辿り着いてしまった!?

小鳥遊凛音

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サラリーマンは帰宅途中に立ち寄った「新世界」で異変が起こり「異世界」へ辿り着いてしまった!?・・・後編

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全3話としてお届け致しました

「サラリーマンは帰宅途中に立ち寄った「新世界」で異変が起こり「異世界」へ辿り着いてしまった!?」

ですが、今回の後編のお話で完結となります。

前編からかなりの時間が空いてしまいまして、既に前編をご覧頂きました皆さまには申し訳ありませんでした。無事に当初予定していました全3話と言うストーリーが完結致しました。

ありがとう御座いました。















あれよあれよと言っている間に1週間近くが経過した。
依然手掛かりが見付からず彷徨い続けていた章一と美衣であったが・・・



「ホンマ手掛かりひとつ見付からへんな。このまま俺らこっちの世界の住人になってまうんやろうか?」

「ま、まぁ、わ、私は別にこの世界から戻れなくなっても、あ、あなたと・・・い、いっ、一緒に・・・いられればべっ、別にそれでもいっ、いいんだからねっ!!」

「あのぅ~、無理してツンデレ装わなくても良いですよ?いつものツンケンした上司から今の美衣さんの姿が既にツンデレやから・・・」

他愛の無い会話をしながら今日も散策に出ていたのだが・・・



「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



突然遠くの方から女性の悲鳴が上がった。直ぐに反応を示し走り出した章一に美衣は・・・

「まっ!待って!?あれって私たちを飲み込んだ物体じゃないの!?」

「そんな事今はどうでもええ!早く助けへんとあの人俺らみたいに飲み込まれてまうっ!!待ってろ!今助けたるからな!!」



そう大声で叫びながら章一は黒い物体に飲み込まれようとしていた女性を一目散に助け出そうと必死に駆けつけた。



「危ないっ!!!」



バッ!!
ガッシャーン!!!!!!



「だ、大丈夫やったか!?・・・おるな、ちゃんとここにおるな!良かった」

「あ、貴方は?」

「あっ、俺か?俺はあの黒い物体に飲み込まれてこっちの世界へ連れて来られたもんや!」

「あぁ・・・ありがとうございます!!おかげで助かりました」



間一髪、章一が女性を抱きかかえ転がり込んだおかげで女性は無事であった。



「章一君、大丈夫?怪我は無い?」

「あっ、何とか大丈夫ですわ!」

「それにしてもこんな所にも例のアレが接近して来たと言う事は・・・それにまた消えたみたい」

「えっ!?・・・ホンマや!遂、今しがたこの上から降って来た大きな黒い物体が何事も無かったかの様に消滅しとるやんけ!一体どうなっとるんや?」



またしても黒い物体は消えてしまった上に地面も衝撃の跡すら残っていなかった。美衣は降って来た真下を見詰めていると・・・



「あれ?これって石よね?青い色しているわね。割と大きいしこんな所に落ちているなんて事無いわよね?」



大きさ数十センチはあると思われる青い石の様な物を見付けた美衣は不思議に思って章一が助け出した女性に聞いてみる事にした。



「あの、ここにこんな大きな石って貴女がここにいた時にありました?」

「えっ!?・・・あっ、こ、これは今言われて初めて気が付きました!」



女性は少し驚いた様子で答えた。だが、美衣は何かが引っ掛かっていた。



「とりあえず、怪我が無いなら病院とか行かんでも大丈夫そうやな?」

「はっ、はい、ありがとうございました。もう大丈夫です!それでは私はこの辺で・・・」

「ちょっと待って?」



場を離れようとした女性に美衣は呼び止めた。



「貴女、何か知っているでしょ?」

「え!?な、何の事でしょうか?」



美衣が一連の状況の事についてこの女性が知っているだろうと聞いてみたのだが、女性は少し挙動不審気味にこの様に返事をした。



「美衣さん、いくら何でも被害に遭う寸前で気が動転しているかもしれへんし今日の所は堪忍してやってくれへんか?後日、何か心当たりがあるかどうか聞いたら良いんちゃうかな?」

「は・・・はい、私、こっ、怖くて・・・その・・・ごめんなさい。落ち着いたら連絡しますから・・・きょうは・・・」



その様に告げると女性は章一の背後に隠れるかの様に美衣の視線から逃れようとした。



「ちょっと!!章一君の後ろに隠れないで!?貴女何か知ってるんでしょ?」

「まぁまぁ、この人も怖がってるから・・・あっ、そうそう、連絡先だけ教えてくれませんか?落ち着いたら俺の携帯に連絡くれたらええし!」

「は、はい・・・ありがとうございます」



携帯は異世界であっても電波の種類や適合されている様で使える事は確認済みである。



「もう・・・ホントに貴方は無駄に人に優しいわね!でもダメよ!その甘さが命取りになる事だってあるのよ!散々言っているでしょ?人間は嘘を平気でつける生き物なの!それを一々間に受けていたら貴方が大損を喰らうのよ?もう少し状況を整理しながら何が真実で何が偽装であるのかを見抜ける力を付けなければこの先ずっと・・・」

「五月蠅いっ!!根拠も無い癖に偉そうに言うなって言ってんねんっ!そうやって自分が言った事が間違えていたらこの人どうなるねん!そこが欠けてるんとちゃうんですか!?言うのはええ!ちゃんと根拠を見せてくれたらな!今この人は黒い物体の被害に遭う状態やったからそれを見た俺が助けなあかんと思って助けただけの事や!この一連の状況で何で彼女が何か知ってるって言い切れるねん?パニックになって不安で怖くてそんな状態の時にとやかく言われてちゃんと答えられるんかいな?あんたは誰かに怒鳴られたり叱られたりした事あるか?あったらそれは自分がどう言う心情の時やねん?この人の様な状況の時に同じ様に言われたらどう言う感情になる?もっと人の心を考えなあかんのとちゃうか?」

「・・・・・・・・・・・・・・」



今まで見せた事の無い章一の美衣を怒鳴る姿に居たたまれずその場を走り去ってしまった美衣。



「あ、あの・・・追いかけなくても良いんですか?」

「え?・・・あっ、あぁ、少々我が強い人やからな。大丈夫やろ。直ぐに落ち着くと思うわ」



こうして黒い物体の被害を受けそうになった女性と別れた章一は歩きながら美衣が行きそうな場所をこれまでの行動を元に考えていた。



「少し言い過ぎたかもしれへんな。俺の悪い所やな。昔、自分がそう言う事があってから人の気持ちを最優先にしてしまうトコ・・・いや、全然最優先出来てへんかったな。片方の気持ちともう片方の気持ちが反対になっている時・・・さっきみたいな状況や!アカンアカン消極的になってもうたら美衣さんを探せへん様になってまう!一体何処に行ったんや?携帯も出えへんし・・・」



-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「章一君の・・・バカ!」



先程の場所から走り去って民家が建ち並ぶ街中へ来てしまった美衣。



「夕方か。それにしてもここはどの辺なんだろう?走る事に精一杯だったから何処なのかも分からないわ・・・あの目は・・・怖かったな。章一君もきっと私がいつも叱っている時今の私の気持ちと一緒だったのかな?私もあんな感じで、あんなに怖い目をしていたのかな?・・・私、自惚れていたのかもしれない。自分では善かれと思ってずっとここまで来たけれど結局何も相手の事なんて考えられていなかったのかも・・・」



歩きながらふと立ち寄った小さな公園のブランコに座り一人でその様に口にしながら考えていると・・・



「あ、あの・・・さっきはその・・・ごめんなさい!」

「あ・・・貴女は!?」



ブランコに座っていると一人の女性が声を掛けて来た。
そうである。先程章一が助け出した女性であった。
どうしてこんな所へ?と気になった美衣ではあるのだが・・・



パァァァァァァァァァァァァ!!



「なっ!?何?何なの!?」



突然その女性は周囲に結界の様な物を張り巡らせた。驚く美衣は・・・



「これって・・・もしかして!?」

「うふふ♪やっと二人きりになれたわね?」



そう言うとその女性が着ている衣服全てが魔法少女の様な服へと進化を遂げた。
所謂「変身」である。



「何?一体何なの?どうして勝手に衣服が変わって・・・コスプレ?」



慌てる美衣。普段であれば冷静に状況判断をし、適切な行動に踏み出るのだが、この時の美衣は章一に本気で叱られてしまい心ここにあらずの状態でもあったが、何より周囲には自分一人しかおらず、様々な負の連鎖が彼女を弱くさせていたのだ。



「貴女、私が何者なのか気が付き掛けていたわね?私の正体を知りたいのでしょう?教えてあげる♪」

「ひっ!!・・・な、何をするの!?」

「だから私の正体を教えてあげるの♪その代償として貴女には私の計画の駒になってもらうわ?・・・いいえ、駒ってそんな粗末な扱いよりずっと良い待遇で迎えてあげるわ。だって貴女の才能って私が求めているモノそのものなんだもの♪」

「や・・・止めて!?」



(章一君・・・助け・・・て?)



女性は美衣が座っているブランコの正面から美衣を見下ろし、そしてゆっくりと顔に近付いて行き両手を美衣の頬に当てがい自分の唇を美衣の唇へと重ね合わせようとした。



「や、止めて・・・お願いだか・・・ら、私、そう言う趣味は無いから・・・」

「嫌よ?貴女とても素敵だもの♡私のモノにしたいわ?」

「んぐぅぅぅぅぅ・・・・い、や・・・」



パリィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!!!!!



「なっ!?何だ!?」



後1㎝程すれば唇と唇が重なり合うであろうその時だった。
突然結界が割られて口付けは回避出来た様だ。



「すんませんでした!!ホンマ、俺はアホや!何でこんな単純な事に気付けへんかったんやろうな?いつもお説教ばかりの上司が言っていた事を思い出しましたわ!「人の事を考えると言うのはただその人を優しく包み込むだけではない。その人が非の道へ進もうとした時、本気で叱れるかどうかなんだ」って・・・ホンマお説教はぴか一で叱られる俺の方はウンザリで、こんな女きっと男寄ってこうへんわ!顔だけはべっぴんさんでも性格が歪んどるし、何より相手の立場に立って理解出来てへん証拠や!・・・そう思ててん。姉ちゃん聞いとるか?俺の話を?その上司な、いつも俺に説教しかしてこおへんかってな?魅力顔だけやって思っててん。でもな?その上司がな、一度だけ俺を張っ倒して来た時があってん。何が言いたいか分かるか?」

「はぁ?何訳の分からない事言ってんのよ?ふざけてんの?」

「あぁ!その時は俺もそう思ってん。こいついくら部下でも張っ倒して来たとかあるか?ってな。その上司な、涙ながらにこの様に言ったんや!「私が貴方を叱っているのは憎いとか嫌いだとかそう言う事じゃないの!私は、貴方が大切だからこうやって覚悟の上で叱っているのよ」・・・って。俺な?あの日からこの上司本当は凄く情に厚くて熱い女ちゃうんかな?って」

「貴様、舐めてるのか?」

「舐めてたかもしれへんな?さっきの出来事一連の・・・な?」

「ぐぬぬ!!貴様は消してやる!覚悟しろ!」

「ほほぅ~♪あんま舐めとると痛い目見るで?可愛い顔してそんな魔法少女みたいな格好して、心の中はダークやな?知っとるか?悪は正義に滅ぼされるんやで?小さい時絵本とかで教えられへんかったか?あんたが黒い物体の犯人やろ?」

「ただのバカかと思ったが、頼り甲斐のあるこの女のおかげか?」

「そうやな!そこにおる俺の上司が優秀過ぎてバカな俺でも流石に分かったわ!まぁ、俺こう見えて格闘技しとったからちょっとやそっとじゃやられへん自信あるで?」

「ぷっ、本当に愚かな奴だな!では行くぞ!スクリプトシャワー」



キラキラキラー



「なっ、何や!?綺麗やと思ったら急に・・・これって小さい剣の塊かいな!厄介やな・・・」

「ふんっ!私を舐めて掛かった罰だ!喰らえ!」

「止めてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!」



グサッ!!シュパッ!!



「うっ!!ってぇな・・・流石にかすったか・・・」

「私の魔法に人間風情が叶う訳無いだろ?まぁ、お前はそこで今からこの女が私のモノにされる姿を見物していれば良いさ?」



パァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!



「なっ、何!?お前は一体!?」

「美衣さんだけとちゃうで、何か分からんけど俺も変身出来たみたいやぞ?」

「章一君、これって!?」

「あぁ、多分俺たちも戦えると思う!如何にもラノベな展開になって来てテンション上がって来たな!ほら悪の女幹部とか魔法少女とかよく出て来るやろ?あの最後の物語(ストーリー)ってどう言う結末が多いと思う?」

「何故貴様たちが!?・・・あぁ、勿論知っている!だがきょうは趣向を変えて悪が勝利する話で結びを付けようではないか!喰らえスクラップグラヴィティ!」



ドォォォォォォォォォォォン



「なっ、なんや!?急に重くなって来た・・・アカン、身体が地面に・・・」

「わ、私も・・・ダメ・・・身体が重過ぎて・・・」

「ふふふふふ♪どうだ?この魔法は重量で負荷を与え体を砕く魔法だ。流石に素人如きにこの魔法は解ける筈は無いだろう?」

「ぐぐぐぐ・・・このままやと俺ら・・・」

「章一・・・く・・・ん・・・だけでも・・・私は・・・私は・・・シェイクオフ!!!」



パァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!



「やった!身体が戻るぞ!?美衣さんナイスやで!」

「ふっ!中々やるではないか!?だが、私の魔法を跳ねのけただけではないか!次はもっと強い魔法を・・・」

「SHIBAKUBUTTOBASU!!」



ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!



「な、何だと・・・この私があっさりと!?貴様一体何者だ!?」

「そろそろ吐いてもらおうか?何であんな物体で人様に迷惑掛けようとしとんねん?」

「それは・・・だな・・・バーニングバースト!!!!!!!」



ドッカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!



「うぐっ・・・なんや・・・さっきより威力が・・・上がっとるやんけ・・・」



バタンッ!!



「章一君!!!!!!!!!!!!!!!!」

「さて・・・お遊びはお終いだ!貴様たちが変身出来ると言う事は魔法使いとしての能力者だ!増々お前が欲しくなったぞ?さぁ、先程の続きだ・・・」

「・・・・・・いちくん・・・私の・・・大切な・・・」

「おい?何を呟いているのだ?早く続きを・・・」

「私の章一君に何をしたぁぁぁ!!?」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!



「ひっ!!・・・何だこの凶暴なオーラと殺気!?まっ、まさかこいつが倒れたから怒りが増していると言うのか!?」

「許さない!!貴女だけは絶対に・・・許さない!!!!!!」

「ふんっ!やはり一度大人しくさせてからの方が良いか・・・ならば・・・眠ってもらうとしよう!スリープドリームウェーブ!!!!!!!」



♪フワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ



「なっ!?何!?効かないだと!?」

「そんなもので私をどうにか出来ると思っているの!?じゃぁ、今度はこっちから行くからっ・・・覚悟しなさい!!必殺、キリングブレードォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!」



ドゴッ!バキッ!!ドッカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!!!!!!



「ごふっ!!ゲフッ!!!・・・・・・なっ、何と言う破壊力・・・ダメだ・・・変身が・・・解ける・・・」



パァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!



「さぁ、吐いてもらいましょうか?貴女が何故この様な事をしたのか、一連の黒い物体の正体も含めて・・・」

「・・・・・・・・最初の計画はこちら側の世界の破壊だった。だが、破壊した後にこの世界を修復する手本が無かった。そこで次は何を元に世界を組み立てて行けば良いのかを貴様たちの世界を手本にする事にした。あらゆる文化や芸術、世界感がこちらでは想像も付かない程の衝撃を受けた。元々こちらの世界は如何にもライトノベル的な世界であったが、それを徐々に新世界と言う貴様たちの世界を手本にして開拓しようとしていたのだ。そこへ訪れていたある二人の男女に私は目が留まったのだ・・・」

「それが私たちだったって言う事ね!?」

「あぁ・・・そこでへたれている男は地元に強い愛着と成長をさせようと言う意欲が、そしてお前はあらゆる才能を秘めている様に見えた。こちらへ転移させ元の世界へ戻れなくする事で諦めてくれた所を狙い同胞にしようと目論んだのだ」

「それでさっき私を・・・」

「あぁ・・・だが、私の計画も大失敗に幕を閉じた・・・」

「それならな、技術とか教えるからそれに習ってやって行けばええんとちゃうか?」

「貴様、起きていたのか!?」

「そんなどうでもええ事で話の腰折るなよ!」

「そうだな・・・既に遺言は託してあるのだが大方、似た内容が記されてある。私では達成出来なかったがあの人ならきっと・・・」

「あの人って一体誰なの?同じ様に侵略とかするつもりなの?」

「いいや、あの人には私の様な度量は無い!直ぐに分かる事だ・・・それではな?非常に楽しい最期だったよ・・・グフッ!!」



こうして悪の魔法少女は消えた。
その翌日・・・



「って事でおっさん、色々と世話になったな!」

「それは良いが、結局帰る手段は聞いたのか?」

「あっ!?・・・しもた!!」

「それなら大丈夫よ。最後に予め私が聞いておいたから!」

「おっ!流石、美衣さん!頼りになりますわ!!」

「あれだけ私の事批判していたのにどの口が言うのかしらぁ~?」

「痛い・・・いだいでず・・・ごべんだざい(ごめんなさい)」

「とりあえず・・・ってすまない、電話が来たから少し失礼する」

「おっ、家族からか?まぁ、俺らももう直ぐ帰るしべつに焦らへんからごゆっくり♪」



こうしておっさんの電話が終わるまで待つ事10分・・・



「えぇっと・・・色々と君たちには謝らなくてはならなくなったみたいだ・・・」

「は?何をやねんな?別に俺らに謝る様な事してへんやろ?」

「私は良いのだが、どうやら私の妻が君たちへ多大なご迷惑を掛けてしまったみたいでだな・・・」

「それってまさか、あの人って貴方の?」

「実は・・・その通りなのだ・・・本当にすまなかった。うちのバカが・・・しかも過去の一連の動きも彼女の仕業だと今知ったよ・・・本当に下げる頭が足りない程だ」

「そう言う事やったんか!それで昨日直ぐに分かる様な事言ってたんやな・・・でもおっさんも色々と大変やな?無理しなや?おっさん美形やから直ぐに綺麗な嫁はん見付かるやろ!」

「いや、俺はもう彼女だけだと決めた身だからな。これから先も彼女の一筋だ!」

「まぁ、気持ちは分かるけどな?色々としんどいで?独り身は・・・」

「独り身?・・・何故そう思うのだ?私たちは結婚しているんだぞ?」

「いや、昨日奥さん殺してもうたからな?まぁ、あのままやとこっちが殺されてしもうてたけどな?」

「あぁ・・・そう言う事だったのか!いやいや、彼女は生きてるぞ?今、入院先の病院だよ」



こうして入院先の病院へおっさんと共に向かう章一と美衣・・・



「入るぞ?」

「どうぞ!」

「馬鹿者!!!!!!!!!!!どれ程心配したと思っているんだ!?それからこの二人にも多大なる迷惑を掛けてしまっただろう!ちゃんとお詫びするんだ!」

「はっ、はい・・・きっ、昨日はその・・・ごめんなさい」

「ごめんなさいで済んだら調査員なんて必要無いんだ!下手をすればこの二人を元の世界へ戻すどころか殺めていたと聞いたぞ!?全く昔から中二病染みた事ばかり考えていた事は承知だったがこれからは見張りを強化するから覚悟しなさい!」

「ごめんなさいぃぃぃ~パパ~・・・もうしませんから!だからまた愛して欲しいの!!私、寂しかった・・・ずっと貴方が忙しくてお仕事の影響だって知ってたから・・・それで・・・」

「それを余計に忙しくさせたのは君のせいじゃないのか!?」

「それは・・・そうだけど・・・でも・・・」

「言い訳ばかりしているから捻くれた事をしでかすんだ!」

「ま、まぁまぁ、夫婦喧嘩もこの辺で留めておかれた方がええんとちゃいますか?」

「こっ、これはお恥ずかしい・・・本当に申し訳無かった。だが、元の世界へ戻れる方法が見付かって本当に良かったよ。これからはこの様な事は二度と起こさない様に私も厳重に注意するのでどうか安心して帰って下さい」

「じゃぁ、そろそろ俺たちも帰るので・・・短い間やったけど世話になったな・・・」

「あぁ!本当に悪かったな・・・」

「あぁ・・・・・」

「あぁ・・・・・」

「あぁ・・・・・」

「あぁ・・・・・」

「ってはよツッコめよ!!いつまで続けんねん!!」

「キレが良いのか悪いのか・・・まぁ、達者でな?」

「おっさんもな?・・・あっ、奥さんもな?」

「本当に、ご迷惑をお掛けしました・・・もう二度と悪い事はしませんから。格好良かったです。章一さん♡」

「おぃ!浮気厳禁だぞ?」

「しないわよっ!!貴方が一番だもん♡」

「じゃぁな!おっさんと姉ちゃん!」



こうして無事に事件が解決し、章一と美衣は元の世界へと戻ったのである。



「それにしても何か戻って来た気せえへんな?」

「まぁ、こっちの世界を模倣しようとして作られた世界だったものね・・・」

「おっ!章ちゃん、どこ行っとったんや!?しばらく顔見ぃひんかったから俺たち心配しとったんやで!?・・・ってそっちのべっぴんさんは誰や?彼女か!?いつの間に!?紹介してや?」

「ちょっ!?近い近い・・・彼女って訳じゃ・・・」

「はい♡私たちラブラブカップルなんです♪章一さんホテル行くんでしょ?早く行こうよ?」

「まっ、待ってぇな!ホテルってもう戻って来たんやから行かんでもええんとちゃう?ほら、家に早く帰りたいやろし?」

「おっ!?もう戻ったって章ちゃんたちホテル帰りかいな?盛んやな?じゃ、また寄ってな?今日の所は帰るわ!ほなまたな?」



こうして章一の仲間たちは帰って行った。



「いや、真昼間やし、仕事は?」

「こんな状態で仕事に行くの?私は良いけれど、また私に叱られるの章一君よ?それでもいいの?」

「い、いや、腕にしがみ付きながら言うセリフじゃない様な・・・」

「あっ!貴女もしかしてシルフィーさんですか!?」

「えっ!?・・・あっ、かっ、勘違いじゃないですか?私日本人ですし・・・」

「いいえ、前回のコミケ行きました!ほら胸元に黒子(ほくろ)もあるし♪サイン下さい?後、カメラ回して良いですか?・・・もしかしてそちらの男性の方はカレシさんですか!?」

「えぇっと・・・私本当にそのシルフィーじゃありませんから・・・」

「前回の異世界転生!これから俺とお前が生きる道のサーラのコスプレ最高でした!」

「異世界大万歳!これが俺とお前の生きる道のサーガでしょ!?」

「ほら、やっぱりシルフィーさんじゃないですか!?」

「しまった・・・私ったらつい・・・」

「なぁなぁ、兄ちゃん?シルフィーってレイヤーさんのファンかいな?」

「はい!シルフィーさんは僕たちの憧れの存在です!」

「そんなに熱狂的なファンがおるんかいな?凄いな・・・兄ちゃん標準語やけどここらへんのモンとはちゃうんか?どっかから来たんかいな?」

「はい、朝の新幹線で東京から来ました!」

「ほほぅ~凄い熱狂ぶりやな!写真は俺がおるから止めてくれたら有り難いけど、サインくらいなら書いてあげてええんとちゃうか?」

「レイヤーなのに写真がダメでサインならいいの?・・・まぁ、貴方がそう言うなら・・・ごめんなさいね。サインだけでもいいかしら?」

「ノリノリやんか?写真撮ってもらうか?」

「も、もういいわよ。衣装持ってないし・・・きょうは折角遠くから来てくれたのにごめんなさい。サインで・・・許してね?」

「はっ!はい!ありがとうございます。一生の家宝にします!!」



後からこの熱狂的なファンから聞いた話だと動画再生回数平均500万回、深夜のテレビ番組にも時折出演依頼が来たりそっちの方面では知らない人はいない程の有名人なんやって・・・ホンマ分からんもんやな・・・



「恥ずかしい事実を知られちゃったわね・・・」

「いいや・・・ホテルで動画観てたし・・・その・・・よう似おうとったから、何となく理解は出来るわな・・・」

「そ、そう・・・なら良かった。こんな私でも嫌いになったりしない?」

「そんな事ある訳ないやろ?元々俺も美衣さんの事気になってたしな・・・ってあっ、これは無かった事で!」

「ふふふ♪ちゃんと録音してます♡」

「あっ!最悪やな・・・ホンマそう言うトコやで~?」



こうして無事に元の新世界へ戻りいつもの日常へと戻るのであった。



-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「また同じミスしてる!何度言えば分かってくれるの?貴方の良い所はきちんと理解しているつもりだけれど、これはどうなの?」

「は・・・はい、すいませんでした!次からは気を付けますんで・・・」

「結局そうやって次から次へと同じミスばかり・・・きょうは徹底的にお説教するから覚悟しなさい!帰ったら朝までじっくりねっとり・・・いえ、たっぷりとお仕置きだから!覚えておきなさい!」



同棲生活がスタートした後も同じ様に会社ではこれまで通り同じ様なミスにたじたじになりながらもお説教を続ける美衣。



-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
自宅



「もう・・・いつも優しいんだから。もう少し自分も大切にしなきゃダメだよ?章君?」

「ごめん・・・取引先の社長が結構際どい状況やったから一回だけ助け船だしてあげたかったからな・・・」

「章君は本当に優しいんだから♪だから私も惚れたのもあるけれど・・・」

「まぁ、これは俺の性格そのものやからな・・・直したい事は直したいんやけど・・・」

「ううん!直さないで?ずっと今のままの章君でいてね♡」

「美衣ちゃんホンマ可愛いな・・・会社とのギャップがまたソソルわ!」



チュッ♡



「私も章君の優しさと格好良さ大好きよ♡」



こうして家ではラブラブカップルであり、会社では厳しい上司と出来ない部下としてのポジションは維持し続けていたのである。











後編 終幕・・・















後書き

最後までご覧下さりありがとう御座いました。

自身、完全な大阪人ではありますが、実際に関西弁を文字に起こす事が元々苦手でした。

こちらの小説の方もひょっとすると大阪弁などの癖が実際と違っている部分もあるかも知れません。

方言などは、改めて自分の話をしている時の言葉と文字にしたためる時の感覚は違っているのだなと感じました。ですが、大阪人、関西人としてのノリやふとしたやり取りでの明るい感覚と言うものは良いものだなと感じます。実際に新世界と言う街へ出向く事もありますが、独特の雰囲気や楽しさと言うものもまた趣のある素敵な場所だなと感じています。



この作品を読んで下さった皆さまに「ありがとう」→「おおきに」と言う気持ちでいっぱいです。

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