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182話、砂漠の熱気とソラマメのコロッケ
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「暑い……暑いわ……リリア助けて」
「うわー! ベアトリス寄りかからないでよっ! 髪が背中に当たって暑いっ」
時刻は昼の四時。まだ空が赤く染まり始めるのには少し早いくらい。
ついに乾燥地帯から砂漠地帯へと足を踏み入れると、一瞬にしてベアトリスはグロッキーになった。
本当なら夕方ごろから歩き出すはずだったのだが、そろそろ砂漠に足を踏み入れる事を考えると、町を見つけられないまま野宿というのもまずいので、早めに旅を再開していた。
ひとまずは歩けるだけ歩いて、町が見つからなかったら箒で探すつもりなのだけど……。
砂漠に入ってまだ十数分。ベアトリスは私の肩にもたれかかり、耳元で泣き言を言いまくってる。
「もういいじゃない……箒に乗りましょうよ。こんな熱さはさすがにきついわ……そもそも私吸血鬼なのよ? なんでこんな明るいうちから堂々と日の下を歩いてるのよ……」
それは私の方が聞きたい。意外と大丈夫じゃん。
もうすぐ夕方を迎えようとしているから、むしろ今は涼しくなっているほうだ。
それでも吸血鬼のベアトリスからしたら、足元の砂から伝わる熱気と空から降り注ぐ太陽で蒸し焼きみたいな状況なのだろう。
一応魔術で周囲の気温は下げているけど……降り注いでくる日差しの痛さまではどうしようもないので、ジリジリ肌が焼かれているのがわかる。
私としても、あまり歩き続けていたくない。やっぱり砂漠は箒でひとっ飛びした方がよさそうだ。
「わかった。夜になっても困るから、もう箒で行こう」
バッグから箒を取り出し、横乗りをする。
ちなみにライラは日差しを避けるため、私のバッグに潜りこんでいた。ひょこっと顔だけは出している。
「ほら、乗りなよ」
「……」
ベアトリスに言うも、彼女は汗をだらだら流しながらじっと私を見た。
「……でもリリアの箒って信用できないのよね」
「乗らないと私とライラだけ行っちゃうよ」
「乗るっ! 乗るから置いていかないでよっ! こんなところで放置されたら目玉焼きみたいになるわっ!」
ふわっと浮き上がると、ベアトリスが必死の形相で箒を掴んできて、飛ばせまいとしていた。力強っ……! 吸血鬼の片鱗をこんな形で見せつけないでよ。
「安全運転で頼むわ」
落ちるのが嫌なのか、箒に乗ったベアトリスはひしっと私の腰を掴む。ちょっと必死すぎて力加減わかってないのが不安だ。思いっきり腰を握りつぶされたら、私絶対箒ごと落ちるからね。
まあ落ちた時は最悪頑丈なベアトリスを下敷きにすれば大丈夫だろう。
そんなひどい事を考えつつ、上空へと浮き上がる。
当然だけど、空に近づけばそれだけ日差しがもろに刺さってくる。
「暑いーー!」
ベアトリスが地獄の拷問を受けているかのように叫んでいた。
「こればかりは我慢してよ……あ、でもほら、町結構近くにあるじゃん」
空高く舞い上がると、周囲の景色が一目瞭然。近場に川が流れており、そこにそって町が点々とできているのが分かった。
段々空も赤く染まってきている。夜になる前に、一番近い町へと向かおう。
そうして箒で飛ぶこと、十数分。あっという間に町へと着いた。
町の名前はカルカダ。建物のほとんどが黄土色が目立つ砂岩で作られた、小さな町だ。
まだ夕方だからか、人の流れが目立つ。ざわざわと人の話し声も聞こえてきて、明るい雰囲気だ。
町中には、近くの川から水を引いて作られた小さな池がいくつもある。そのおかげでどことなく涼しげだ。
「砂漠の町って久しぶりだなー」
砂岩が目立つ街並みを見ながらつぶやくと、鞄からようやく出てきたライラも同意を返す。
「そうね。結構面白い料理を食べたわよね」
砂漠の町には独特な料理が多い。今回は、以前食べられなかった物をできるだけ食べてみたい。
でも、その前に……以前食べておいしかったのをベアトリスに紹介するのもいいかな。
ベアトリスはようやく空が暗くなってきたのもあり、大分顔色が良くなっていた。汗も引いてきている。
「よし、ごはん食べに行こう。ベアトリスも食欲あるよね?」
「……まあ、そこそこよね。暑くてお肉とかは食べる気になれないけど……」
「ならむしろ良かったよ。コロッケ食べに行こう、ソラマメのコロッケ」
「ソラマメのコロッケ……?」
さすがのベアトリスも馴染みがないようだ。
「前砂漠の町に行った時に食べたんだよね」
「おいしかったわよ」
「……なら、それでいいわよ。で、どこのお店に行くの?」
お店は適当に探すことにした。
ベアトリスも疲労が溜まっているだろうし、人で賑わうお店より静かで休めそうなお店を選んだ。
お店に入ると、まずはテーブル席を確保して、水を飲む。水はセルフサービスだ。
大分水分を失っていたようで、コップ一杯の水をゴクゴク飲み干す。喉を潤したら、早速注文だ。
「ソラマメのコロッケと薄焼きパンください」
注文を告げたら、もう一度水を入れてきて、後はしばらく待つ。
やがて、注文した料理が私達の前にやってきた。
小判型のコロッケが山盛りに、ぷくっと膨れた大きなパン。
そうそうこれだこれ。このパンの見た目が面白いのだ。
ベアトリスも驚いたように膨れたパンを見ていた。
「どこが薄焼きパンなのよ、これ」
「実はこれね、中が空洞なんだよ。ほら」
千切って中を見せてみる。
「へえ……膨れてたのは、焼いた時の熱で中の空気が膨張してたからなのね」
「そうそう。それで、こうして千切って、空洞の中に具材を詰めて食べるんだよ」
「……なるほど。結構面白いわね」
ハンバーガー好きなだけあって、こういう具材とパンを一緒に食べる系の料理がやっぱりベアトリスも好きみたいだ。
「でもまずは、ソラマメのコロッケをそのまま食べてみたいわ」
ベアトリスはコロッケを一つ自分の皿に取り分け、サクっと一口食べてみた。
「んっ……甘いのね、これ。それに揚げてあるのにさっぱりしてておいしいわ」
そう、ソラマメのコロッケはお肉が入ってないので、甘目でさっぱりした味だ。
なので暑さのせいで食欲不振な中でも、結構パクパク食べられる。
ベアトリスもあっという間にコロッケ一個を食べてしまっていた。
「うん、豆のコロッケっていうのも面白いわね。次はパンに入れて食べてみましょ」
ベアトリスに続いて、私もコロッケをパンに放り込む。この感じ懐かしいな。
そして大きく一口。からっと揚がったコロッケごとパンにかぶりつくと、じゃくっと良い音がした。
甘いソラマメのコロッケと、香ばしいパンの塩気。素朴だけど安心できるおいしさだ。
以前一回だけ食べただけなのに、懐かしさを感じるのはなぜだろう。それだけ私の旅も長く続いているってことなのかも。
「このコロッケ、お酒とも合いそうよね」
すっかり食欲が戻ったベアトリスが、コロッケを食べながらメニューを横目で見始める。
「砂漠特有のお酒とかないのかしら……」
すっかり飲みモードになってる……まあ調子が戻ったみたいだからいいか。
そもそも私もベアトリスのことを言えない。
こうしてソラマメのコロッケを食べながらも、まだ食べたことがない砂漠の料理はないかなとメニューをちらちら見ていたからだ。
明日は何を食べよう……。ごはんを食べながら明日のごはんを想像するのは、このうえない至福だった。
砂漠の町は色んな料理があって面白い。これで暑くさえなければなぁ……。
「うわー! ベアトリス寄りかからないでよっ! 髪が背中に当たって暑いっ」
時刻は昼の四時。まだ空が赤く染まり始めるのには少し早いくらい。
ついに乾燥地帯から砂漠地帯へと足を踏み入れると、一瞬にしてベアトリスはグロッキーになった。
本当なら夕方ごろから歩き出すはずだったのだが、そろそろ砂漠に足を踏み入れる事を考えると、町を見つけられないまま野宿というのもまずいので、早めに旅を再開していた。
ひとまずは歩けるだけ歩いて、町が見つからなかったら箒で探すつもりなのだけど……。
砂漠に入ってまだ十数分。ベアトリスは私の肩にもたれかかり、耳元で泣き言を言いまくってる。
「もういいじゃない……箒に乗りましょうよ。こんな熱さはさすがにきついわ……そもそも私吸血鬼なのよ? なんでこんな明るいうちから堂々と日の下を歩いてるのよ……」
それは私の方が聞きたい。意外と大丈夫じゃん。
もうすぐ夕方を迎えようとしているから、むしろ今は涼しくなっているほうだ。
それでも吸血鬼のベアトリスからしたら、足元の砂から伝わる熱気と空から降り注ぐ太陽で蒸し焼きみたいな状況なのだろう。
一応魔術で周囲の気温は下げているけど……降り注いでくる日差しの痛さまではどうしようもないので、ジリジリ肌が焼かれているのがわかる。
私としても、あまり歩き続けていたくない。やっぱり砂漠は箒でひとっ飛びした方がよさそうだ。
「わかった。夜になっても困るから、もう箒で行こう」
バッグから箒を取り出し、横乗りをする。
ちなみにライラは日差しを避けるため、私のバッグに潜りこんでいた。ひょこっと顔だけは出している。
「ほら、乗りなよ」
「……」
ベアトリスに言うも、彼女は汗をだらだら流しながらじっと私を見た。
「……でもリリアの箒って信用できないのよね」
「乗らないと私とライラだけ行っちゃうよ」
「乗るっ! 乗るから置いていかないでよっ! こんなところで放置されたら目玉焼きみたいになるわっ!」
ふわっと浮き上がると、ベアトリスが必死の形相で箒を掴んできて、飛ばせまいとしていた。力強っ……! 吸血鬼の片鱗をこんな形で見せつけないでよ。
「安全運転で頼むわ」
落ちるのが嫌なのか、箒に乗ったベアトリスはひしっと私の腰を掴む。ちょっと必死すぎて力加減わかってないのが不安だ。思いっきり腰を握りつぶされたら、私絶対箒ごと落ちるからね。
まあ落ちた時は最悪頑丈なベアトリスを下敷きにすれば大丈夫だろう。
そんなひどい事を考えつつ、上空へと浮き上がる。
当然だけど、空に近づけばそれだけ日差しがもろに刺さってくる。
「暑いーー!」
ベアトリスが地獄の拷問を受けているかのように叫んでいた。
「こればかりは我慢してよ……あ、でもほら、町結構近くにあるじゃん」
空高く舞い上がると、周囲の景色が一目瞭然。近場に川が流れており、そこにそって町が点々とできているのが分かった。
段々空も赤く染まってきている。夜になる前に、一番近い町へと向かおう。
そうして箒で飛ぶこと、十数分。あっという間に町へと着いた。
町の名前はカルカダ。建物のほとんどが黄土色が目立つ砂岩で作られた、小さな町だ。
まだ夕方だからか、人の流れが目立つ。ざわざわと人の話し声も聞こえてきて、明るい雰囲気だ。
町中には、近くの川から水を引いて作られた小さな池がいくつもある。そのおかげでどことなく涼しげだ。
「砂漠の町って久しぶりだなー」
砂岩が目立つ街並みを見ながらつぶやくと、鞄からようやく出てきたライラも同意を返す。
「そうね。結構面白い料理を食べたわよね」
砂漠の町には独特な料理が多い。今回は、以前食べられなかった物をできるだけ食べてみたい。
でも、その前に……以前食べておいしかったのをベアトリスに紹介するのもいいかな。
ベアトリスはようやく空が暗くなってきたのもあり、大分顔色が良くなっていた。汗も引いてきている。
「よし、ごはん食べに行こう。ベアトリスも食欲あるよね?」
「……まあ、そこそこよね。暑くてお肉とかは食べる気になれないけど……」
「ならむしろ良かったよ。コロッケ食べに行こう、ソラマメのコロッケ」
「ソラマメのコロッケ……?」
さすがのベアトリスも馴染みがないようだ。
「前砂漠の町に行った時に食べたんだよね」
「おいしかったわよ」
「……なら、それでいいわよ。で、どこのお店に行くの?」
お店は適当に探すことにした。
ベアトリスも疲労が溜まっているだろうし、人で賑わうお店より静かで休めそうなお店を選んだ。
お店に入ると、まずはテーブル席を確保して、水を飲む。水はセルフサービスだ。
大分水分を失っていたようで、コップ一杯の水をゴクゴク飲み干す。喉を潤したら、早速注文だ。
「ソラマメのコロッケと薄焼きパンください」
注文を告げたら、もう一度水を入れてきて、後はしばらく待つ。
やがて、注文した料理が私達の前にやってきた。
小判型のコロッケが山盛りに、ぷくっと膨れた大きなパン。
そうそうこれだこれ。このパンの見た目が面白いのだ。
ベアトリスも驚いたように膨れたパンを見ていた。
「どこが薄焼きパンなのよ、これ」
「実はこれね、中が空洞なんだよ。ほら」
千切って中を見せてみる。
「へえ……膨れてたのは、焼いた時の熱で中の空気が膨張してたからなのね」
「そうそう。それで、こうして千切って、空洞の中に具材を詰めて食べるんだよ」
「……なるほど。結構面白いわね」
ハンバーガー好きなだけあって、こういう具材とパンを一緒に食べる系の料理がやっぱりベアトリスも好きみたいだ。
「でもまずは、ソラマメのコロッケをそのまま食べてみたいわ」
ベアトリスはコロッケを一つ自分の皿に取り分け、サクっと一口食べてみた。
「んっ……甘いのね、これ。それに揚げてあるのにさっぱりしてておいしいわ」
そう、ソラマメのコロッケはお肉が入ってないので、甘目でさっぱりした味だ。
なので暑さのせいで食欲不振な中でも、結構パクパク食べられる。
ベアトリスもあっという間にコロッケ一個を食べてしまっていた。
「うん、豆のコロッケっていうのも面白いわね。次はパンに入れて食べてみましょ」
ベアトリスに続いて、私もコロッケをパンに放り込む。この感じ懐かしいな。
そして大きく一口。からっと揚がったコロッケごとパンにかぶりつくと、じゃくっと良い音がした。
甘いソラマメのコロッケと、香ばしいパンの塩気。素朴だけど安心できるおいしさだ。
以前一回だけ食べただけなのに、懐かしさを感じるのはなぜだろう。それだけ私の旅も長く続いているってことなのかも。
「このコロッケ、お酒とも合いそうよね」
すっかり食欲が戻ったベアトリスが、コロッケを食べながらメニューを横目で見始める。
「砂漠特有のお酒とかないのかしら……」
すっかり飲みモードになってる……まあ調子が戻ったみたいだからいいか。
そもそも私もベアトリスのことを言えない。
こうしてソラマメのコロッケを食べながらも、まだ食べたことがない砂漠の料理はないかなとメニューをちらちら見ていたからだ。
明日は何を食べよう……。ごはんを食べながら明日のごはんを想像するのは、このうえない至福だった。
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