「お前のような悪女を聖女と認めない」と追放された聖女は隣国の公爵に溺愛されます~本当の悪女は妹だと気づいたところでもう遅い~

聖女のクロエは、婚約者のラインハルト王子から突然「お前のような悪女とは一緒にいられない」と告げられ、一方的に婚約を破棄されてしまう。


さらにラインハルトは新たな婚約者として彼女の妹であるフィーナを紹介する。フィーナもまた、クロエと同じ癒しの力を持つ少女だった。


クロエは婚約破棄されたことで、実家からも見放され、すべてを失った。頼る場所もなく、一人荒野をさまよう彼女の前に現れたのは、辺境を治める公爵、ゼノスだった。


ゼノスは冷酷無慈悲な人物と噂されていたが、クロエに対しては驚くほど優しく接し、彼女の力を必要としていると言った。彼の領地は病や怪我に苦しむ人々が多く、クロエの癒しの力を望んでいたのだ。


最初は不安だったが、ゼノスや領民たちの温かさに触れ、クロエは次第に心を開いていく。そして、ゼノスもまた彼女を深く慈しみ、やがて二人は強い絆で結ばれていくのだった。


一方、王都ではフィーナの本性が明らかになりつつあった。彼女は癒しの力こそ持っていたものの、その心は醜く歪んでいた。クロエを陥れ、婚約者の座を手に入れた彼女だったが、その悪意は次第に王子をも蝕んでいく。


やがてラインハルト王子は気づく。自分が捨てたクロエこそが、本当に大切にすべき存在だったのだと。しかし、彼が後悔したときには、クロエはすでにゼノスとともに幸せな日々を送っていた――。
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