23 / 30
23
しおりを挟む宮廷楽団が奏でる優雅な旋律が、王宮の広大な晩餐会場に響き渡る。煌びやかなシャンデリアの下、貴族たちは華やかな衣装を身に纏い、優雅に談笑していた。
(これが、王宮の晩餐会……)
私は深呼吸をしながら、身に纏ったドレスの裾をそっと整える。クラリス様が選んでくださったのは、深紅のドレス。
「聖女としての清らかさだけではなく、王宮の妃としての威厳を示せるように」
そう言われて選ばれたこのドレスは、私に新たな決意を抱かせるものだった。
(今日は、ただの妃候補としてではなく、王妃としての自覚を持ってこの場に立たなければならない)
「ロザリー、こっちだ」
アルヴィン王子が私の手を取り、会場の中央へと導く。彼の黒を基調とした礼服は、王族としての威厳を存分に示し、その堂々とした佇まいは、誰もが目を奪われるほどだった。
(私も、この人の隣にふさわしい存在にならなければ――)
会場の中央に進んだその瞬間、ひときわ洗練された雰囲気を纏う男性がこちらへ歩み寄ってきた。金の髪に琥珀色の瞳――気品のある佇まいと、柔らかな笑み。
「これは……ヴェルナー王子!」
貴族たちがざわめく。
(この方が……ヴェルナー・フォン・グランツ王子!?)
彼は穏やかに微笑みながら、私たちの前で立ち止まった。
「アルヴィン殿下、久しぶりですね」
「……ヴェルナー」
アルヴィン王子が低く名を呼ぶ。二人の間に、一瞬だけ緊張が走る。
(まるで剣を交える前の騎士のよう……)
ヴェルナー王子は、そんな空気を崩すように、静かに笑った。
「初めまして、ロザリー・エルヴェール様」
「はじめまして、ヴェルナー王子」
私は優雅にお辞儀をする。
「あなたのことは噂で聞いていました。アルヴィン殿下が自ら選ばれた妃候補……どんな方なのか、ずっとお会いしたいと思っていましたよ」
彼の瞳が、私をじっと見つめる。
(試されている……)
この人はただ単に挨拶をしているのではなく、私の人となりを探ろうとしているのだ。
「私も、お会いできて光栄です」
私は微笑みながら、まっすぐに彼の視線を受け止める。
「王宮の方々からも、ヴェルナー王子がとても優れた王子であるとお聞きしています」
「おや、それは光栄ですね」
ヴェルナー王子は、穏やかな笑みを浮かべながら言う。
「しかし――私が本当に優れた王子かどうか、それはロザリー様ご自身が判断なさることでは?」
「……!」
琥珀色の瞳が、深く私を見つめる。
(まるで試すように……)
私は、迷いなく微笑み返した。
「では、これからしっかりと拝見させていただきますわ、ヴェルナー王子」
その言葉に、ヴェルナー王子は一瞬目を見開き――そして、静かに笑った。
「……なるほど」
その瞬間、アルヴィン王子が私の腰を引き寄せるようにして言った。
「ロザリーは、俺の妃だ。誰にも渡さない」
「ふふ、相変わらずですね、アルヴィン殿下」
ヴェルナー王子はクスリと笑いながら、ワイングラスを持ち上げる。
「では、今夜の晩餐会……存分に楽しませていただきますよ?」
彼がワイングラスを掲げると、周囲の貴族たちがそれに倣い、広間には優雅な乾杯の音が響き渡る。
(試されるのは、ここからね……)
私はアルヴィン王子の腕にそっと手を添えながら、息を整えた。
「ロザリー、お前は堂々としていればいい」
アルヴィン王子が低い声で囁く。
「……はい」
私は微笑みを浮かべながら頷き、王宮の晩餐会の席へと向かった。晩餐会のメインテーブル――。煌びやかな食器が並ぶ長いテーブルに、王宮の貴族や隣国の要人たちが優雅に席についていた。私はアルヴィン王子の隣に座り、その向かい側にはヴェルナー王子がいた。
「ロザリー様は、王宮に迎えられてからまだ日が浅いのに、すでに貴族社会に馴染んでいらっしゃる」
ヴェルナー王子が微笑みながらワインを口に運ぶ。
「舞踏会での華麗な踊り、茶会での見事な応対、慈善祭での行動――どれも興味深いものでした」
「……光栄ですわ」
私は優雅に笑みを浮かべながら、紅茶を口に運ぶ。
(彼は私を褒めている……けれど、それだけじゃない)
ヴェルナー王子の視線は穏やかだが、その奥には**"私を試す"意図が隠されている**。
「しかし、妃というものは王宮の中だけでなく、外交の場でも重要な役割を果たさなければなりません」
彼はワインを軽く揺らしながら、静かに言った。
「アルヴィン殿下の妃として、ロザリー様は"外交"についてどうお考えでしょう?」
「……!」
晩餐会の場が、一瞬静まり返る。
(来た……)
王宮の妃は単なる飾りではない。外交の場では、国の象徴としての役割を担い、時には国同士の交渉や交歓の橋渡しをすることも求められる。
(ここで何を答えるかが、私の評価を決める……)
私はゆっくりと息を吸い、ヴェルナー王子をまっすぐに見つめた。
「外交とは、国と国の関係を築くためのもの。ですが、それは単に条約や取引を交わすことだけではないと考えています」
「ほう?」
ヴェルナー王子が興味深そうに眉を上げる。
「外交とは、"国の文化や価値観を理解し合うこと"……そして、その国に生きる人々を知ることこそが、本当の意味での外交ではないかと思います」
私は落ち着いた口調で続けた。
「例えば、他国との交渉の場では、言葉や習慣の違いが障害になることもありますわ。ですが、それを乗り越えるには"お互いを知ろうとする姿勢"が必要です」
「……なるほど」
ヴェルナー王子の瞳が僅かに輝く。
「アルヴィン王子の妃として、私は民の声を聞く者として、"王宮と民"の橋渡しをすると決めました」
私は微笑みながら、はっきりと言葉を紡ぐ。
「そして、それは"国と国"の関係でも同じではないでしょうか?」
「……!」
一瞬、晩餐会の空気が変わる。周囲の貴族たちが、私の言葉に驚いたように顔を見合わせた。
(……どうかしら?)
私はヴェルナー王子の反応をじっと待った。すると――
「……素晴らしい」
ヴェルナー王子はワイングラスをテーブルに置き、満足げに微笑んだ。
「まさか、ここまでしっかりとした考えをお持ちとは……ロザリー様、貴女は本当に興味深い方だ」
彼の瞳が、私をじっと見つめる。
「アルヴィン殿下……」
ヴェルナー王子はゆっくりと視線をアルヴィン王子へと移す。
「貴方の妃は、なかなかの逸材ですね」
「……当たり前だ」
アルヴィン王子が微かに笑みを浮かべながら、私の手を取る。
「ロザリーは俺が選んだ女だ。誰にも文句は言わせない」
その瞬間、ヴェルナー王子がくすっと笑った。
「なるほど……やはり、アルヴィン殿下は面白い」
彼は軽く肩をすくめながら、ワインを飲み干した。
「ならば、これからも"競争"を楽しませてもらいますよ?」
「……ふん、勝手にしろ」
アルヴィン王子は肩をすくめながらも、どこか楽しげな笑みを浮かべていた。こうして――"晩餐会"という試練を、私は乗り越えることができた。だけど――
(ヴェルナー王子……この方は、まだ何かを企んでいる気がする)
琥珀色の瞳に、一瞬だけ鋭い光が宿ったのを、私は見逃さなかった。この晩餐会が、"新たな波乱の始まり"となることを――私はまだ知らない。
(これが、王宮の晩餐会……)
私は深呼吸をしながら、身に纏ったドレスの裾をそっと整える。クラリス様が選んでくださったのは、深紅のドレス。
「聖女としての清らかさだけではなく、王宮の妃としての威厳を示せるように」
そう言われて選ばれたこのドレスは、私に新たな決意を抱かせるものだった。
(今日は、ただの妃候補としてではなく、王妃としての自覚を持ってこの場に立たなければならない)
「ロザリー、こっちだ」
アルヴィン王子が私の手を取り、会場の中央へと導く。彼の黒を基調とした礼服は、王族としての威厳を存分に示し、その堂々とした佇まいは、誰もが目を奪われるほどだった。
(私も、この人の隣にふさわしい存在にならなければ――)
会場の中央に進んだその瞬間、ひときわ洗練された雰囲気を纏う男性がこちらへ歩み寄ってきた。金の髪に琥珀色の瞳――気品のある佇まいと、柔らかな笑み。
「これは……ヴェルナー王子!」
貴族たちがざわめく。
(この方が……ヴェルナー・フォン・グランツ王子!?)
彼は穏やかに微笑みながら、私たちの前で立ち止まった。
「アルヴィン殿下、久しぶりですね」
「……ヴェルナー」
アルヴィン王子が低く名を呼ぶ。二人の間に、一瞬だけ緊張が走る。
(まるで剣を交える前の騎士のよう……)
ヴェルナー王子は、そんな空気を崩すように、静かに笑った。
「初めまして、ロザリー・エルヴェール様」
「はじめまして、ヴェルナー王子」
私は優雅にお辞儀をする。
「あなたのことは噂で聞いていました。アルヴィン殿下が自ら選ばれた妃候補……どんな方なのか、ずっとお会いしたいと思っていましたよ」
彼の瞳が、私をじっと見つめる。
(試されている……)
この人はただ単に挨拶をしているのではなく、私の人となりを探ろうとしているのだ。
「私も、お会いできて光栄です」
私は微笑みながら、まっすぐに彼の視線を受け止める。
「王宮の方々からも、ヴェルナー王子がとても優れた王子であるとお聞きしています」
「おや、それは光栄ですね」
ヴェルナー王子は、穏やかな笑みを浮かべながら言う。
「しかし――私が本当に優れた王子かどうか、それはロザリー様ご自身が判断なさることでは?」
「……!」
琥珀色の瞳が、深く私を見つめる。
(まるで試すように……)
私は、迷いなく微笑み返した。
「では、これからしっかりと拝見させていただきますわ、ヴェルナー王子」
その言葉に、ヴェルナー王子は一瞬目を見開き――そして、静かに笑った。
「……なるほど」
その瞬間、アルヴィン王子が私の腰を引き寄せるようにして言った。
「ロザリーは、俺の妃だ。誰にも渡さない」
「ふふ、相変わらずですね、アルヴィン殿下」
ヴェルナー王子はクスリと笑いながら、ワイングラスを持ち上げる。
「では、今夜の晩餐会……存分に楽しませていただきますよ?」
彼がワイングラスを掲げると、周囲の貴族たちがそれに倣い、広間には優雅な乾杯の音が響き渡る。
(試されるのは、ここからね……)
私はアルヴィン王子の腕にそっと手を添えながら、息を整えた。
「ロザリー、お前は堂々としていればいい」
アルヴィン王子が低い声で囁く。
「……はい」
私は微笑みを浮かべながら頷き、王宮の晩餐会の席へと向かった。晩餐会のメインテーブル――。煌びやかな食器が並ぶ長いテーブルに、王宮の貴族や隣国の要人たちが優雅に席についていた。私はアルヴィン王子の隣に座り、その向かい側にはヴェルナー王子がいた。
「ロザリー様は、王宮に迎えられてからまだ日が浅いのに、すでに貴族社会に馴染んでいらっしゃる」
ヴェルナー王子が微笑みながらワインを口に運ぶ。
「舞踏会での華麗な踊り、茶会での見事な応対、慈善祭での行動――どれも興味深いものでした」
「……光栄ですわ」
私は優雅に笑みを浮かべながら、紅茶を口に運ぶ。
(彼は私を褒めている……けれど、それだけじゃない)
ヴェルナー王子の視線は穏やかだが、その奥には**"私を試す"意図が隠されている**。
「しかし、妃というものは王宮の中だけでなく、外交の場でも重要な役割を果たさなければなりません」
彼はワインを軽く揺らしながら、静かに言った。
「アルヴィン殿下の妃として、ロザリー様は"外交"についてどうお考えでしょう?」
「……!」
晩餐会の場が、一瞬静まり返る。
(来た……)
王宮の妃は単なる飾りではない。外交の場では、国の象徴としての役割を担い、時には国同士の交渉や交歓の橋渡しをすることも求められる。
(ここで何を答えるかが、私の評価を決める……)
私はゆっくりと息を吸い、ヴェルナー王子をまっすぐに見つめた。
「外交とは、国と国の関係を築くためのもの。ですが、それは単に条約や取引を交わすことだけではないと考えています」
「ほう?」
ヴェルナー王子が興味深そうに眉を上げる。
「外交とは、"国の文化や価値観を理解し合うこと"……そして、その国に生きる人々を知ることこそが、本当の意味での外交ではないかと思います」
私は落ち着いた口調で続けた。
「例えば、他国との交渉の場では、言葉や習慣の違いが障害になることもありますわ。ですが、それを乗り越えるには"お互いを知ろうとする姿勢"が必要です」
「……なるほど」
ヴェルナー王子の瞳が僅かに輝く。
「アルヴィン王子の妃として、私は民の声を聞く者として、"王宮と民"の橋渡しをすると決めました」
私は微笑みながら、はっきりと言葉を紡ぐ。
「そして、それは"国と国"の関係でも同じではないでしょうか?」
「……!」
一瞬、晩餐会の空気が変わる。周囲の貴族たちが、私の言葉に驚いたように顔を見合わせた。
(……どうかしら?)
私はヴェルナー王子の反応をじっと待った。すると――
「……素晴らしい」
ヴェルナー王子はワイングラスをテーブルに置き、満足げに微笑んだ。
「まさか、ここまでしっかりとした考えをお持ちとは……ロザリー様、貴女は本当に興味深い方だ」
彼の瞳が、私をじっと見つめる。
「アルヴィン殿下……」
ヴェルナー王子はゆっくりと視線をアルヴィン王子へと移す。
「貴方の妃は、なかなかの逸材ですね」
「……当たり前だ」
アルヴィン王子が微かに笑みを浮かべながら、私の手を取る。
「ロザリーは俺が選んだ女だ。誰にも文句は言わせない」
その瞬間、ヴェルナー王子がくすっと笑った。
「なるほど……やはり、アルヴィン殿下は面白い」
彼は軽く肩をすくめながら、ワインを飲み干した。
「ならば、これからも"競争"を楽しませてもらいますよ?」
「……ふん、勝手にしろ」
アルヴィン王子は肩をすくめながらも、どこか楽しげな笑みを浮かべていた。こうして――"晩餐会"という試練を、私は乗り越えることができた。だけど――
(ヴェルナー王子……この方は、まだ何かを企んでいる気がする)
琥珀色の瞳に、一瞬だけ鋭い光が宿ったのを、私は見逃さなかった。この晩餐会が、"新たな波乱の始まり"となることを――私はまだ知らない。
3
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説

やんちゃな公爵令嬢の駆け引き~不倫現場を目撃して~
岡暁舟
恋愛
名門公爵家の出身トスカーナと婚約することになった令嬢のエリザベート・キンダリーは、ある日トスカーナの不倫現場を目撃してしまう。怒り狂ったキンダリーはトスカーナに復讐をする?

【完結】破滅エンド回避したはずなのに、冷酷公爵が「君以外いらない」と迫ってきます
21時完結
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢、エリス・ヴァレンティーヌに転生した私。
このままだと、婚約者である公爵との婚約が破棄され、国外追放……最悪、処刑エンド!?
そんなの絶対にイヤ!!
前世の記憶を頼りに、地道に努力を重ねた私は、ついに破滅フラグを完全回避! 公爵との婚約も無事に解消し、自由の身になった……はずなのに——
「どこへ行こうとしているの?」
「君を手放すつもりはない。俺には、君以外いらない」
冷酷と名高い元婚約者、カイゼル・ディアス公爵がなぜか執着モードに突入!?
「私はもう、公爵様とは関係のない立場のはずです!」
「それは君の勘違いだ。俺は一度も、お前を手放すとは言っていない」
どうして!?
破滅フラグは回避したはずなのに、むしろ悪化してるんですけど!?
逃げようとすれば、甘く囁いて絡め取られ、冷徹だったはずの彼が、なぜか私にだけ激甘で溺愛モード!?

侯爵令嬢セリーナ・マクギリウスは冷徹な鬼公爵に溺愛される。 わたくしが古の大聖女の生まれ変わり? そんなの聞いてません!!
友坂 悠
恋愛
「セリーナ・マクギリウス。貴女の魔法省への入省を許可します」
婚約破棄され修道院に入れられかけたあたしがなんとか採用されたのは国家の魔法を一手に司る魔法省。
そこであたしの前に現れたのは冷徹公爵と噂のオルファリド・グラキエスト様でした。
「君はバカか?」
あたしの話を聞いてくれた彼は開口一番そうのたまって。
ってちょっと待って。
いくらなんでもそれは言い過ぎじゃないですか!!?
⭐︎⭐︎⭐︎
「セリーナ嬢、君のこれまでの悪行、これ以上は見過ごすことはできない!」
貴族院の卒業記念パーティの会場で、茶番は起きました。
あたしの婚約者であったコーネリアス殿下。会場の真ん中をスタスタと進みあたしの前に立つと、彼はそう言い放ったのです。
「レミリア・マーベル男爵令嬢に対する数々の陰湿ないじめ。とても君は国母となるに相応しいとは思えない!」
「私、コーネリアス・ライネックの名においてここに宣言する! セリーナ・マクギリウス侯爵令嬢との婚約を破棄することを!!」
と、声を張り上げたのです。
「殿下! 待ってください! わたくしには何がなんだか。身に覚えがありません!」
周囲を見渡してみると、今まで仲良くしてくれていたはずのお友達たちも、良くしてくれていたコーネリアス殿下のお付きの人たちも、仲が良かった従兄弟のマクリアンまでもが殿下の横に立ち、あたしに非難めいた視線を送ってきているのに気がついて。
「言い逃れなど見苦しい! 証拠があるのだ。そして、ここにいる皆がそう証言をしているのだぞ!」
え?
どういうこと?
二人っきりの時に嫌味を言っただの、お茶会の場で彼女のドレスに飲み物をわざとかけただの。
彼女の私物を隠しただの、人を使って階段の踊り場から彼女を突き落とそうとしただの。
とそんな濡れ衣を着せられたあたし。
漂う黒い陰湿な気配。
そんな黒いもやが見え。
ふんわり歩いてきて殿下の横に縋り付くようにくっついて、そしてこちらを見て笑うレミリア。
「私は真実の愛を見つけた。これからはこのレミリア嬢と添い遂げてゆこうと思う」
あたしのことなんかもう忘れたかのようにレミリアに微笑むコーネリアス殿下。
背中にじっとりとつめたいものが走り、尋常でない様子に気分が悪くなったあたし。
ほんと、この先どうなっちゃうの?

聖女は王子たちを完全スルーして、呪われ大公に強引求婚します!
葵 すみれ
恋愛
今宵の舞踏会は、聖女シルヴィアが二人の王子のどちらに薔薇を捧げるのかで盛り上がっていた。
薔薇を捧げるのは求婚の証。彼女が選んだ王子が、王位争いの勝者となるだろうと人々は囁き交わす。
しかし、シルヴィアは薔薇を持ったまま、自信満々な第一王子も、気取った第二王子も素通りしてしまう。
彼女が薔薇を捧げたのは、呪われ大公と恐れられ、蔑まれるマテウスだった。
拒絶されるも、シルヴィアはめげない。
壁ドンで追い詰めると、強引に薔薇を握らせて宣言する。
「わたくし、絶対にあなたさまを幸せにしてみせますわ! 絶対に、絶対にです!」
ぐいぐい押していくシルヴィアと、たじたじなマテウス。
二人のラブコメディが始まる。
※他サイトにも投稿しています
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……

私はあなたたちがお求めの聖女ではないので
黒木メイ
恋愛
今までガルディーニ王国で偽の聖女だとして酷い扱われ方をしてきたマリー・フィッツェ。自分でも自分のことを偽の聖女だとずっと思い込んでいた。周りからそう言われ続けてきたから。けれど、この世界の唯一神であるニュクス様の力によって前世の記憶を取り戻した時、その洗脳は解けた。そして、真実を知る。真実を知ったマリーの決断とは……。
※設定はふわふわ。
※予告なく修正、加筆する場合があります。
※小説家になろう様からの転載。他サイトにも随時転載中。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

白い結婚のはずでしたが、王太子の愛人に嘲笑されたので隣国へ逃げたら、そちらの王子に大切にされました
ゆる
恋愛
「王太子妃として、私はただの飾り――それなら、いっそ逃げるわ」
オデット・ド・ブランシュフォール侯爵令嬢は、王太子アルベールの婚約者として育てられた。誰もが羨む立場のはずだったが、彼の心は愛人ミレイユに奪われ、オデットはただの“形式だけの妻”として冷遇される。
「君との結婚はただの義務だ。愛するのはミレイユだけ」
そう嘲笑う王太子と、勝ち誇る愛人。耐え忍ぶことを強いられた日々に、オデットの心は次第に冷え切っていった。だが、ある日――隣国アルヴェールの王子・レオポルドから届いた一通の書簡が、彼女の運命を大きく変える。
「もし君が望むなら、私は君を迎え入れよう」
このまま王太子妃として屈辱に耐え続けるのか。それとも、自らの人生を取り戻すのか。
オデットは決断する。――もう、アルベールの傀儡にはならない。
愛人に嘲笑われた王妃の座などまっぴらごめん!
王宮を飛び出し、隣国で新たな人生を掴み取ったオデットを待っていたのは、誠実な王子の深い愛。
冷遇された令嬢が、理不尽な白い結婚を捨てて“本当の幸せ”を手にする
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる