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それから馬車で城まで送られるまでの間、私たちはずっと手を繋ぎ続けた。馬車に乗り込んでからも、アルヴィン王子は私の手を離そうとしなかった。
「あの、殿下……?」
さすがに恥ずかしくなって問いかけると、彼は私の目をまっすぐに見つめながら答えた。
「俺と結婚すれば、お前は俺のものになる」
「……え?」
「お前を手放したくない。だからお前も覚悟を決めろ」
まるで狩りを始めるかのような鋭い視線に射抜かれて、私は思わず息を吞んだ。けれど同時に、胸の奥が熱くなる。
「お前は俺のものだ」
彼の言葉は、まるで呪いのようだった。でもそれは、私の心に甘い疼きをもたらすものでもあった。私は思わず頬が緩んでしまうのを感じ、慌てて表情を引き締めた。そんな私の様子を目の端で捉えて、アルヴィン王子はふっと微笑んだ。
「……可愛いな」
「え?」
聞き間違いかと思って聞き返すと、彼はさらに続けた。
「お前が好きだ」
「……っ!」
突然の告白に、心臓が大きく跳ね上がる。アルヴィン王子は私をまっすぐに見つめたまま、揺るがぬ視線を向けてくる。その真剣さに、私の顔はみるみる熱くなった。
「え、あの……」
「お前が好きだといったんだ」
「……っ」
なんて、まっすぐで、強引で、それでいて甘い言葉。こんなに堂々と愛を告げられたことなんて、今まで一度もなかった。
「な、なぜそんなに簡単に……」
「簡単なんかじゃない」
アルヴィン王子は私の手をぎゅっと握りしめる。
「俺は王子だ。すべての行動に責任が伴う。だからこそ、自分の気持ちには嘘をつかない」
彼の手の温もりが、私の不安をじわじわと溶かしていく。
「お前が欲しい。お前が必要だ。……それ以上の理由なんて、要るのか?」
「……っ!」
私は何も言えなかった。彼の言葉は、理屈ではなく心に直接響いてくる。私のような者が、王子に愛される価値があるのか。そんな不安も、彼の言葉を前にすると霞んでしまう。
「ロザリー」
彼が私の名前を呼ぶ。
「俺に、お前のすべてを預けろ」
「……っ」
その言葉はまるで求婚の誓いのようだった。私のすべてを、彼に?
「……私は」
声が震える。でも、アルヴィン王子は静かに私の返事を待っている。
(私は……本当に、この人のものになってもいいの?)
ラインハルト侯爵に捨てられ、価値がないと言われた私。でも、アルヴィン王子は何度も言ってくれる。
「俺が決める」「お前は俺の妃だ」「お前が好きだ」
何度も、何度も。まるで、私の心を縛る鎖を解きほぐすように。
「……私は」
息を整え、震える手をそっと彼の手の上に重ねる。
「アルヴィン様と生きる未来を、信じてもいいですか?」
「――ああ」
彼は微笑んだ。
「俺はお前を裏切らない。絶対に」
その瞬間、涙がこぼれそうになった。今まで、誰かにこんな風に求められたことなんてなかった。だから――
「……はい」
私は、彼に手を預けた。アルヴィン王子は満足そうに微笑み、私の手をそっと唇に押し当てる。
「いい子だ」
そのまま、彼は私を引き寄せた。
「――っ!」
驚いて見上げると、彼の顔が近い。
「覚悟しろよ、ロザリー」
彼の低い声が耳元で囁かれる。
「これから先、お前は俺のものだ。俺だけの、たった一人の妃だ」
そう言った彼の瞳には、獲物を捉えた猛獣のような情熱が宿っていた――。
「……本当に、私でいいのですか?」
恐る恐る問いかけると、アルヴィン王子は微かに目を細めた。
「またそんなことを言うのか?」
彼は私の頬にそっと手を添え、親指で優しく撫でる。
「ロザリー、俺の目を見ろ」
促されるまま、私は彼の碧い瞳を見つめた。
「……お前が欲しい。俺の隣には、お前しかいらない」
その言葉には、一点の迷いもなかった。
「お前が過去にどう傷ついたかなんて関係ない。お前が誰に捨てられたかなんてどうでもいい」
アルヴィン王子の手が、私の指を絡めるように握りしめる。
「俺がお前を選んだ。俺が、お前を愛すると決めた」
「……っ!」
心臓が大きく跳ねる。
こんなにも、誰かに強く求められたことがあっただろうか。
「だから、お前も覚悟を決めろ」
「覚悟……?」
「そうだ。俺はお前を決して手放さない。それだけは、覚えておけ」
彼の言葉はまるで呪いのように甘く、私の心を縛りつける。
でも――不思議と、嫌ではなかった。
むしろ、その言葉に安心している自分がいることに気づいてしまう。
「……はい」
私はそっと頷いた。
すると、アルヴィン王子の唇が微かに綻び、満足げに微笑んだ。
「いい子だ」
そう囁いた瞬間――彼の顔が、さらに近づく。
「――っ!?」
私は思わず目を閉じた。だが、アルヴィン王子の唇は私の唇には触れず、額にそっと押し当てられた。
「……お前の覚悟が固まるまでは、ここまでにしておこう」
低く囁かれ、再び目を開けると、アルヴィン王子は静かに私を見つめていた。その瞳には、抑えきれないほどの熱が宿っている。
「でも、時間の問題だな」
彼はそう言って、満足そうに微笑んだ。私は、恥ずかしさと戸惑いの中で、ただ馬車の揺れに身を任せることしかできなかった――。
「あの、殿下……?」
さすがに恥ずかしくなって問いかけると、彼は私の目をまっすぐに見つめながら答えた。
「俺と結婚すれば、お前は俺のものになる」
「……え?」
「お前を手放したくない。だからお前も覚悟を決めろ」
まるで狩りを始めるかのような鋭い視線に射抜かれて、私は思わず息を吞んだ。けれど同時に、胸の奥が熱くなる。
「お前は俺のものだ」
彼の言葉は、まるで呪いのようだった。でもそれは、私の心に甘い疼きをもたらすものでもあった。私は思わず頬が緩んでしまうのを感じ、慌てて表情を引き締めた。そんな私の様子を目の端で捉えて、アルヴィン王子はふっと微笑んだ。
「……可愛いな」
「え?」
聞き間違いかと思って聞き返すと、彼はさらに続けた。
「お前が好きだ」
「……っ!」
突然の告白に、心臓が大きく跳ね上がる。アルヴィン王子は私をまっすぐに見つめたまま、揺るがぬ視線を向けてくる。その真剣さに、私の顔はみるみる熱くなった。
「え、あの……」
「お前が好きだといったんだ」
「……っ」
なんて、まっすぐで、強引で、それでいて甘い言葉。こんなに堂々と愛を告げられたことなんて、今まで一度もなかった。
「な、なぜそんなに簡単に……」
「簡単なんかじゃない」
アルヴィン王子は私の手をぎゅっと握りしめる。
「俺は王子だ。すべての行動に責任が伴う。だからこそ、自分の気持ちには嘘をつかない」
彼の手の温もりが、私の不安をじわじわと溶かしていく。
「お前が欲しい。お前が必要だ。……それ以上の理由なんて、要るのか?」
「……っ!」
私は何も言えなかった。彼の言葉は、理屈ではなく心に直接響いてくる。私のような者が、王子に愛される価値があるのか。そんな不安も、彼の言葉を前にすると霞んでしまう。
「ロザリー」
彼が私の名前を呼ぶ。
「俺に、お前のすべてを預けろ」
「……っ」
その言葉はまるで求婚の誓いのようだった。私のすべてを、彼に?
「……私は」
声が震える。でも、アルヴィン王子は静かに私の返事を待っている。
(私は……本当に、この人のものになってもいいの?)
ラインハルト侯爵に捨てられ、価値がないと言われた私。でも、アルヴィン王子は何度も言ってくれる。
「俺が決める」「お前は俺の妃だ」「お前が好きだ」
何度も、何度も。まるで、私の心を縛る鎖を解きほぐすように。
「……私は」
息を整え、震える手をそっと彼の手の上に重ねる。
「アルヴィン様と生きる未来を、信じてもいいですか?」
「――ああ」
彼は微笑んだ。
「俺はお前を裏切らない。絶対に」
その瞬間、涙がこぼれそうになった。今まで、誰かにこんな風に求められたことなんてなかった。だから――
「……はい」
私は、彼に手を預けた。アルヴィン王子は満足そうに微笑み、私の手をそっと唇に押し当てる。
「いい子だ」
そのまま、彼は私を引き寄せた。
「――っ!」
驚いて見上げると、彼の顔が近い。
「覚悟しろよ、ロザリー」
彼の低い声が耳元で囁かれる。
「これから先、お前は俺のものだ。俺だけの、たった一人の妃だ」
そう言った彼の瞳には、獲物を捉えた猛獣のような情熱が宿っていた――。
「……本当に、私でいいのですか?」
恐る恐る問いかけると、アルヴィン王子は微かに目を細めた。
「またそんなことを言うのか?」
彼は私の頬にそっと手を添え、親指で優しく撫でる。
「ロザリー、俺の目を見ろ」
促されるまま、私は彼の碧い瞳を見つめた。
「……お前が欲しい。俺の隣には、お前しかいらない」
その言葉には、一点の迷いもなかった。
「お前が過去にどう傷ついたかなんて関係ない。お前が誰に捨てられたかなんてどうでもいい」
アルヴィン王子の手が、私の指を絡めるように握りしめる。
「俺がお前を選んだ。俺が、お前を愛すると決めた」
「……っ!」
心臓が大きく跳ねる。
こんなにも、誰かに強く求められたことがあっただろうか。
「だから、お前も覚悟を決めろ」
「覚悟……?」
「そうだ。俺はお前を決して手放さない。それだけは、覚えておけ」
彼の言葉はまるで呪いのように甘く、私の心を縛りつける。
でも――不思議と、嫌ではなかった。
むしろ、その言葉に安心している自分がいることに気づいてしまう。
「……はい」
私はそっと頷いた。
すると、アルヴィン王子の唇が微かに綻び、満足げに微笑んだ。
「いい子だ」
そう囁いた瞬間――彼の顔が、さらに近づく。
「――っ!?」
私は思わず目を閉じた。だが、アルヴィン王子の唇は私の唇には触れず、額にそっと押し当てられた。
「……お前の覚悟が固まるまでは、ここまでにしておこう」
低く囁かれ、再び目を開けると、アルヴィン王子は静かに私を見つめていた。その瞳には、抑えきれないほどの熱が宿っている。
「でも、時間の問題だな」
彼はそう言って、満足そうに微笑んだ。私は、恥ずかしさと戸惑いの中で、ただ馬車の揺れに身を任せることしかできなかった――。
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