【R18】お猫様のお気に召すまま

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【2】猫ではないキアラの新生活

9.ご主人様とえっちの練習①**

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 ご主人様の手が、キアラの穿いているパジャマのズボンを下げるから、キアラはご主人様が脱がせやすいようにとお尻を上げて、足を上げて、協力する。
 服を脱ぐのも、裸でいることも、キアラにとっては恥ずかしいことではない。
 黒猫だった頃のキアラは、いつでも衣服を身に着けていなかったのだから。

 あの頃のキアラと今のキアラで異なるのは、全身が黒い毛で覆われているかいないかというだけ。
 毛に覆われていなくて、つるつるの身体が心許なくはあるが、それでも裸体を晒すのが恥ずかしいとは思わない。


 なのに、どうしてだろう。
 最近、ご主人様の前で衣服を脱ぐのは恥ずかしいのだ。

 どうしてだろう、ともう一度考えて、キアラはふと気づく。
 ご主人様が、キアラを見つめる目が真っすぐだからかもしれない。
 熱っぽさというよりも、飢餓感が見て取れる。

 股上の浅い下着も脱がされたのだが、ご主人様はその下着をじっと見つめている。
 ご主人様は、キアラよりも下着の方が好きなのだろうか。
 そんな疑惑を持ちかけたキアラだったが、ご主人様がそっと下着をベッドの上に置いた。
 そのご主人様の指先が、キアラの身に着けていた下着の、股布の部分を指先で示す。


「しみ、できてる」


 ご主人様の指先が示した部分は、確かに小さくしみが出来て、色が変わっている。
 だから、キアラは微笑んだ。
「はい、ご主人様が、好きですから」

 ご主人様がキアラに教えてくれたことだ。
 最初は、気持ちがよすぎて無意識のうちに粗相をしてしまったのかと思って平謝りしたのだが、これはご主人様に触れられて気持ちよくなっている証だというのだ。
 粗相とは違うし、キアラがご主人様のことを好きだから、濡れてしみができるらしい。


 つまり、キアラの身体の反応は恥ずかしいことでも何でもなく、ご主人様のことが好きなら当然のことなのだ。
 そのように、キアラは理解した。

 キアラがにこにことしていると、ご主人様は困ったように笑う。
 その、やわらかい半月を描いた唇が近づいてくるので、キアラが目を閉じると瞼に柔らかい感触が落ちた。
「じゃあ、触らせて」

 甘く、低く、ほとんど吐息のような囁き、なのに、背中からお尻にかけてびりりと甘い痺れが走って、キアラは震える。 ちょうど、その甘い痺れが走って抜けたところに、今度はキアラの脚の間に触れるものがあって、キアラは再び震えた。


「あ、ご主人様の、指」


 そこに触れられるのも、もう何度目かなので、目視で確認しなくてもキアラの繊細な場所に触れるものが何なのかは理解している。
 ご主人様にそこに触れられると、むずむずして腰が浮くような不思議な感じがする。
 自分の身体がどこかに行ってしまうのではないかと不安になって、キアラはいつも、ご主人様にしがみつくのだ。

 ご主人様が胡坐をかいた中に納まったキアラは、身をよじるようにしてぎゅっとご主人様のパジャマの胸元を握る。
 キアラのその動作をどのように誤解したのだろう。
 ご主人様はぎゅっとキアラの肩を抱くようにして、キアラの目と目の間に唇を押し付けてくれた。


「俺の手、皮膚厚いしかたいから…、痛かった? ごめんね」


 ちゅ、ちゅ、と詫びるように優しい口づけが瞼や眉間に繰り返されて、くすぐったいような温かいような気持になる。
「痛くない、です。 まだ、慣れない、だけで、ご主人様に触ってもらうのは、気持ちいい、です」
 キアラがご主人様の胸に頬を摺り寄せると、ご主人様はキアラの頭に頬を摺り寄せてくれた。


「うん、じゃあ、慣れるまで触らないとね」
 はい、と返事しそうになったキアラだが、そういうことなのだろうか、と疑問に思った。
 だが、次の瞬間には疑問なんて吹き飛んでしまう。
 ご主人様の指が、優しく柔らかく、キアラのそこを撫で始めたからだ。

「うにゃ、ごしゅじん、さま」
「うん、うん、大丈夫、大丈夫。 そのまま力を抜いていて」
 脚の間を、ご主人様の指が行ったり来たりする。
 ぬるぬるとして痛くなくて気持ちいいのは、きっとキアラの脚の間から溢れるもののおかげだ。

 こうしていると、運動をしたわけでもないのに身体がじんわりと熱くなってくる。
 そればかりか、気持ちいいのに、どうしていいのかわからないような、心許ない感じになるのだ。


「ごしゅじん、さま」
 どうして心許ないのかわからなくて、ご主人様の胸に縋りつくと、ご主人様がそっとキアラの耳を食むのでびくりとする。

「うん、そろそろ、物足りなくなってくる頃だ。 そのまま、力、抜いていて」
 ご主人様の言葉に、キアラは心許なさの理由を理解したような気分になる。
 どうやら、【心許ない】という気持ちは、何か必要なものがないことが足りないことが不安だから、生じていたらしい。


「はい」
 そう返事をすると、ご主人様はキアラの瞼にひとつ、キスを落としてくれる。
 それと同時に、脚の間に、違和感を覚えた。


「えっ…ご主人様っ…」
「大丈夫だよ、痛くないはずだ。 力を入れると痛いかもしれないから、力を抜いて」
 何かが、キアラの、脚の間に入っている感じがする。

 見ると、それは、ご主人様の左手の中指だった。
 痛くはない。
 けれど、気持ちいいのかもわからない。
 強いて言うのなら、変な感じだ。
 だって、今まで何も入れたことがない場所に、ご主人様の指が入れられているのだから。
 怖い、とは思わないけれど、やっぱり変な感じだ。
 それから。


「ご主人様、力の抜き方がわかりません」
 きっと、キアラの力が抜けないから、ご主人様の指はそれ以上奥に進んでいかないのだ。
 ピタリと止まったままで、動かない。
 できればご主人様の仰る通りにしたいけれど、キアラには力の抜き方がわからないのだ。

「キアラ、顔を上げて」
 情けない、と身を縮ませていると、ご主人様の優しい声が降ってくる。
 不甲斐ないキアラにご主人様が腹を立てているわけではないとわかって、キアラは促されるままに顔を上げた。

 すると、視界いっぱいにご主人様の顔が迫って、かぷりと唇を塞がれる。
 キアラの顔に、交差する形でご主人様の顔が乗ったので、塞がれたという表現以上に適切なものが見当たらない。
 唇でするキスというよりも、舌でするキスと言った方が適切でもある。

「んん」
 ご主人様の熱くて厚めの舌が、キアラの舌を刺激するようにしながら口内をぐるりと舐め回す。
 でも、やっぱり舌を擦り合わせるのが気持ちいい。
 ご主人様の舌を追いかけるのに夢中になっていると、くっと脚の間…それも体内に異変を感じて、キアラは目を見張ってびくりとする。

 何が起きたのか、と固まりつつも、目をぱちぱちとさせていると、ご主人様の唇がキアラの舌を吸いながら離れていく。
 目の前には、微笑んだご主人様の顔があった。


「上手に力、抜けていたよ。 ほら、俺の指、根元まで埋まってる」
 ご主人様があまりに優しく微笑わらって優しく言うものだから、キアラは褒められたような気分になって自分の脚の間を見てしまう。


 ご主人様の、左手の中指が、キアラの脚の間に入れられているのがわかる。
 それも、指の根元までずっぽりと。
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