【R18】石に花咲く

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石に咲いた花は

しあわせのかたち②**

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 ラディスはいつも、シィーファに、「したい」「していい?」と言葉で確認してくれる。
 自分がしたいと思ったときに、シィーファを押し倒すのではないのだ。
 そこが、尊重されているようで嬉しい。


 でも、これは何か違うのではないか、と、行為に同意しラディスに向かって脚を広げているシィーファは混乱していた。
 シィーファの秘所に口舌愛撫を施すのが好きなラディスは、シィーファの秘所がとろとろのぐずぐずになるくらいに愛したあとで、ようやく指を挿し入れてくれる。


 まずは、様子見で中指を一本。
 けれど、内部の具合を確かめるようにぐるりと旋回されるだけで、すぐにその指は引き抜かれる。
 そして、中指に薬指が添えられて、再びシィーファのなかに埋められるのだ。
 ここまでは、いつもとほとんど変わらぬ流れだった。
 だが、その後ラディスは、シィーファのなかに差し入れた指をくちゅくちゅと動かしながら、シィーファのお腹に口づけてきたのだ。


「っ…!?」
 臍の、横のあたりに口づけられて、びくりとしたシィーファは、思わず視線を下げてラディスを見てしまった。
 そして、見たことを後悔する。
 視線を上げたラディスと、かちりと目が合ったからだ。


 シィーファの脚を広げさせ、その間に身体を置いたラディスは、シィーファの体内に指を埋め、シィーファの臍の横に唇を押し当てている。
 そして、シィーファの胸の谷間から、シィーファを見上げているのだ。


「すごい、絶景…」
 うっとりとした表情で、溜息交じりに、ラディスが漏らす。


 それを見て、シィーファの頬には一瞬で熱が上った。
 恥ずかしくて、シィーファは両手で顔を覆ったのだが、お腹のあたりで吐息が揺れるのを感じる。
 もちろん、脚の間で指を揺らすことも、ラディスは忘れていない。


「ねぇ、シィーファ、見て?」
 優しくて甘い声で、「見て?」なんて誘われてしまっては、見ないわけにはいかなくて、シィーファはそろそろと指の間に隙間を作って、そこからラディスを見る。


 ラディスは、シィーファを見上げたままで、唇からちらりと舌を覗かせる。
 そして、シィーファと目を合わせたままで、舌先をシィーファの肌に乗せたかと思うと、臍の周りに舌先で円を描く。


「んんぅ…」
 ぞわぞわとしてしまって、拡げたままの脚をもじもじとさせれば、身体を左右に揺らすようになってしまう。
 ラディスは、小さくくすりと笑って、愛しげにシィーファの腹に頬擦りをする。
 その様子が、可愛くて、愛しくて、シィーファの胸の奥はきゅううとなったのだが、それだけでは済まなかった。
 ラディスは、右手をシィーファの左胸に伸ばして、胸の先を人差し指の指先でくりくりと愛撫し始める。


「ぇ、あっ…!」
 シィーファが声を上げたことに、気分が乗ったのだろう。
 ラディスはますます微笑むと、左手でシィーファの体内を刺激しながら、右手の指先でシィーファの胸の先を愛撫しつつ、再び舌を覗かせた。
 そして、あろうことか、臍の窪みに舌先を差し入れたのだ。


「へぁっ…、んっ…」
 予想もしなかった刺激に、変な声が出てしまって、シィーファは慌てて口を押える。


 あたたかくて、やわらかく濡れた舌が、臍の窪みをちろちろと擽るように刺激したり、強めに押しつけるように刺激したりするのだ。
 そのたびに、ぞわぞわして、お腹が跳ねて、体内を刺激するラディスの指を締めつけたり、自分で思いがけないところに当ててしまったりしている。
「ん、くぅ…」


 お臍も、きれいにしているつもりではあるが、そんなふうに舐められるとは思わなくて、もう、なんか色々と、気が気でない。
 変な汗が出てきた気がする、と思いながら、声を殺し、身悶えしていると、ちゅく…と音を立てながら、ラディスが舌を引き上げた。


 ラディスの舌先から、シィーファの臍へ向かって、とろぉ…と濡れ光る糸のようにも見えるものが垂れていて、羞恥心を煽られる。
 その瞬間に、シィーファの体内を撫でていたラディスの指が、シィーファの弱いところに当たって、シィーファはびくりとした。
「あ、あ、ラディスっ…」


 あと、その場所を数度撫でられたら、達するだろう。
 そう思ったのだが、ラディスの刺激が、ぴたりと止んだ。


「…?」
「まだ、いっちゃだめ」
 ぼんやりとしながら、ラディスを見ると、ラディスはシィーファの胸の先を撫でるのもやめて、シィーファの体内からも指を引き抜く。
 そして、すかさず、ラディスの脚の間で隆起したものを、とろとろのぐずぐずになったシィーファの秘所に擦りつけてきた。


「私で、気持ちよくなって?」
「うん…、来て…」
 羞恥心がないわけではないが、大好きなひととひとつになることが、とても幸せで気持ちの良いことだと、シィーファは学んだ。
 ラディスとでなければ、こんな気持ちにはならないし、ラディス以外に身体を赦すなんて、今ではもう、考えられない。


 ラディスは、頬を染めると、シィーファの上に覆いかぶさるように、身体を倒してきた。
 そして、シィーファに甘くて気持ちのいい口づけをくれる。
「いれるね…、シィーファ、大好き」


 ちゅっと軽く啄むようにして口づけを終えると、覆いかぶさった体勢のままで、ぐうう…っと腰を押し進めていく。
「あぁ…」
 シィーファは、ラディスの首に腕を回して、震えた。


 ラディスの動きは穏やかで、いつもこのときシィーファは、凪いだ水面を往く舟を思い浮かべる。
 ゆっくりと、シィーファのなかを拡げるようにしながら、奥を目指すのだ。


 最奥まで進むと、ラディスはいつも一度、動きを止める。
 そこで、シィーファの様子を見るようにしてから、いつも腰を揺らし始めるのだ。


 ラディスは恐らく、シィーファよりもシィーファの身体に詳しい。
 いつ頃だっただろう。
 ラディスが、シィーファと身体を重ねるときに、シィーファを達させないようにしていることに気づいたのは。


 確かに、シィーファは一度大きな快感を味わうと、それでもう十分、という気分になることが多い。
 ラディスは、いつでも、自分のことよりも、シィーファのことを優先してくれるのだ。
 そう思ったら堪らなくて、シィーファはぎゅううとラディスの首に縋りつく。


「シィーファ?」
 突然のシィーファの行動に、ラディスが戸惑ったような声を出した。
 痛かった? と訊かれたような気がして、シィーファは一度腕を緩めると、ラディスを間近に正面から見つめて、微笑む。
「ううん、ラディスが好きだなぁって」
 シィーファが言うと、ラディスの動きがまた止まった。
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