【R18】石に花咲く

環名

文字の大きさ
上 下
36 / 65
石に花咲く

34.**

しおりを挟む
 シィーファは快楽には弱いが、性欲はさほど強くないのだと思う。
 持続性がないと言うべきか。
 気持ちよくなったら、それ以上もうほしがらないのだ。

 それから、焦らされているときのシィーファが、一番淫らで可愛い、とラディスは思う。
「…ラディス…」

 あの後、膨らんだ股間を、シィーファの荷物を引き受けることで隠し、シィーファの手を引いて寝室へ直行した。
 焦らしに焦らされ、挿入されるも、達することができずに、我慢の限界だったのだろう。
 ベッドに倒れこむや否や、シィーファはうわごとのようにラディスの名を呼び、ラディスの首に腕をかけ、引き寄せるような動きをする。
 キスをねだられているのがわかって、ラディスは微笑み、ゆっくりと唇を重ねた。

 舌先で、シィーファの歯列をなぞり、歯の裏を舐めようとしたのだが、シィーファの舌がラディスの舌に触れてくるので、舌と舌でのキスに変わる。
「ふ…」
 ラディスの鼻から、吐息が抜けた。
 シィーファが、ラディスの舌先を、ちゅうちゅうと吸ったからだ。


 どうして、出ていこうとしたか、とか、ラディスのことをどう思っているのか、とか、訊きたいことがたくさんあったし、事実、ラディスは怒っていたのだ。
 だというのに、ラディスを自ら求めてくるシィーファに、そんなことはどうでもいいような気にさせられてしまった。


 既に起ち上がっている股間が張り詰めて、苦しくて、痛い。
 今まさに、直面していて、対処しなければならないのは、股間の爆発の方だと、優先順位が入れ替わったのだ。

 ラディスは、シィーファに舌を吸われながら、ごそごそとベルトを緩め、下穿きの前を寛げる。
 押しつけられていた欲望が解放され、ラディスは早々に挿入したい気持ちになったが、なんとか自分を押しとどめて、シィーファの服を脱がせ始めた。
 身体を、ぴったりと重ねるために。

 中途半端に乱れた衣装というのも、淫らでそそるが、今は、ぴったりと肌を重ねたい。
 ブラウンのワンピースの前釦をぷちぷちと外し、その下に着ている白いブラウスの釦も外す。
 キスをしたまま、シィーファの服を脱がせようとしたのだが、珍しくラディスの首に回されているシィーファの腕のせいで、袖を脱がせることができない。
 だからラディスは、シィーファの肩を少しだけ押すようにしながら頭を後ろに引いて、口づけを中断した。

「シィーファ、袖、」
 抜いて? と言おうとしたのだが、シィーファが被せるように言葉を発してきた。
「ぃや、まだ、やめない…」
 蜂蜜色の瞳は、潤むと本当に蜂蜜みたいで、とても綺麗で、色っぽい。
 これを知っているのが、ラディスだけならいいな、と思うのは、いつものことだ。


 キスをやめたくないという、可愛い我儘が本当に可愛くて、もう、本当に、ラディスの股間がまずい。
 まずいのだが、ラディスは、余裕のある大人の男でいたくて、何とか微笑む。
「袖、抜いて? そしたら続き、しよう?」


 シィーファはどうやら、それで納得してくれたらしく、するりと袖から腕を抜いた。
 そして、再びラディスの首に腕を回して、傾けた顔を近づけて、唇を重ねる。
 何かのたがが外れてしまったかのようだ。

 でも、そんな、箍の外れたシィーファが嫌かと問われれば、むしろ大歓迎だと答えるだろう。
 いつも、何か遠慮している風のシィーファが、大胆になってくれるのは嬉しい。

 相手が自分だから、と考えれば、なおさらだ。

 合わせた唇の間から、シィーファがそっと舌を差し出してくるので、今度はラディスがその舌先を吸った。
 そうしながら、シィーファのお尻を抱えて持ち上げるようにして、腰のところに集まっているワンピースを抜き去ろうとする。


 ラディスの意図を、正確に汲んでくれたのだろう。
 シィーファは、少しお尻を浮かせて、ラディスがシィーファの服を脱がせるのに、協力してくれた。

 ラディスは、もうそろそろ、キス以外のことがしたくなって、ぢゅっと強くシィーファの舌先を吸って離れる。
 もっと、と言われるだろうか、と思ったのだが、シィーファはひとまずはそれで満足したらしく、追っては来なかった。
 ラディスは、踝丈のソックスのみ、という姿になったシィーファを見下ろして、目を細める。
「シィーファって、本当きれい…」


 まずは、肌が白くて、肌理が細かくて、とても手触りがいい。
 華奢な姿態に似合わず、釣鐘のような形の豊満な乳房をしている。
 今だって、愛撫を欲しているのが、胸の先が淡い色でつんと上向いていて、とてもきれいだ。

 そう思ったら、愛撫を待っているように見える、シィーファの乳房に触れたくなって、手を伸ばした。
 ラディスの手には収まりきらない乳房を揉みしだきながら、指先でつんと尖った胸の先を押し潰すようにして、刺激する。
「ぁっ…」
 もう、声を我慢する必要もない、と思ったのだろうか。
 シィーファから漏れた甘い声に気分をよくして、ラディスはシィーファの豊かな胸に顔を埋めた。
 シィーファの肌は、肌理が細かくて、すべすべで気持ちがいい。 柔らかくて、いい香りがするのだ。


 ちゅ、ちゅ、とシィーファの白い肌にキスをしながら、釦を外して、上着を脱ぎ捨てる。
 ぐいとネクタイを緩めながら、シィーファの肌の上を移動し、胸の尖りにキスをした。
「ん…」
 鼻から抜けるような甘い音を出したシィーファが、ぎゅっとラディスの頭を抱きしめてくる。
 ラディスはそのまま、シィーファの胸の先を口に含んで吸った。
「あ…、んぅ…」

 ふるふると小さく震えるシィーファの胸の先を吸い上げながら、ラディスはネクタイを外し、シャツの釦を外し、脱ぎ捨てる。
 これで、自分たちを隔てるものはなくなった。


「あぅ」
 ちゅうっとシィーファの可愛い胸の先を吸い上げながら、ちゅぽっと音を立てて顔を離せば、シィーファはまた甘い声を上げる。
 そんなシィーファが可愛くて、ラディスは微笑みながらシィーファの脚の間に手を滑らせた。
 途端に、ぬるり、と指が滑って、ラディスはドキリとする。
「ふわぁ…」
 ふるっ…と震えて可愛い声を上げたシィーファにもドキリとしつつ、シィーファから滴る蜜で濡れに濡れているそこを前後に撫でる。


 撫でながら、ラディスは、ほぅ…と息を漏らした。
 指に、シィーファの蜜を纏わせて、シィーファの体内へと続く入口へと、指先を押し当てる。
 先程まで交わっていた甲斐あり、シィーファのそこはとろとろに熟れているようだ。
 指で解さなくても、痛みを伴わずに、ラディスのことを受け容れてくれるだろう。

 ひくひくとひくついて、ラディスの指先を咥えこもうとするシィーファの入口に気づいて、ラディスはそっと指を引いた。
「ああ、待って待って、指じゃ足りないでしょ」
「指、だめ…?」
 シィーファは、何を言われているのかわかっていないような表情で尋ねてくる。
 だから、ラディスは笑って、シィーファの唇を啄んだ。
「指よりもっと、いいものをあげる」


 シィーファの膝をそれぞれ押すようにしながら左右に開かせて、できた空間に身体を滑り込ませる。
 そして、反り返ったラディスのものを、シィーファの脚の間に擦りつけた。

 シィーファのそこは、熱く濡れていて、こうして自身を擦りつけるだけでも、気持ちがいい。
 でも、ラディスは、シィーファのなかが、もっとずっとやわらかくて熱くて濡れていて、ラディスに絡みついて気持ちいいのかを知っている。
 腰を前後に揺らして、シィーファの秘所の割れ目に沿うように、何度も、何度も、ラディスの猛りを行き来させる。


「いれない、の…?」
 ぽつり、と聞こえた声に視線を上げると、シィーファの潤んだ蜂蜜色の瞳が、ラディスを見つめていた。
 その言葉が、ラディスの耳には、「どうして、いれないの?」と言っているように聞こえて、微笑む。
「いれて、いいの?」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

とある国の軍関係者と、そのまわりの女性たち

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:20

能力持ちの若き夫人は、冷遇夫から去る

恋愛 / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:1,207

【完結】真実の愛に目覚めた男達の末路

恋愛 / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:227

私と結婚したいなら、側室を迎えて下さい!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:418pt お気に入り:104

【完結】R18 秘密 〜 恋に落ちた人が義父になりました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:404

アルセンドリック侯爵家ミイナの幸せな結婚

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:9

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,810pt お気に入り:293

処理中です...