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石に花咲く
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「んっ…」
ラディスの身体がびくりとしたのに気づいたが、そんなことには構っていられなかった。
シィーファからラディスの舌に舌を絡めて、舌を吸う。
ぶるっ…とラディスが胴震いしたのがわかった。
シィーファの手を、寝台へと押さえつけていたラディスの手が緩むので、シィーファは腕をラディスの首に回した。
自分がしたい口づけを、思う存分して、ほっと息をついたところで気づく。
シィーファの上になっているラディスが、浅く、短く、息を繰り返していることに。
「…シィーファ…」
いつもより甘く、艶めいた響きのラディスの声が落ちてくる。
かと思えば、シィーファの脚の間に擦りつけられる、熱くてしっかりとしたものの存在に気づく。
硬いのに、硬くない。
柔らかいのに、柔らかくない。
そんな不思議な感触のものが何か、シィーファは知っている。
もう、我慢も限界なのか、ラディスは緩く腰を動かしていて、互いの敏感な部分がこすれ合うのが気持ちいい。
くち、くちゅ、と音を立てるのは、シィーファが零す体液のためだけではないはずだ。
いれていい? とラディスは訊かない。
訊けない、のかもしれない。
ラディスは、シィーファと、恋人ごっこをしているのだ。
ラディスは、ラディスの独りよがり的な行為にはしたくないと思っているのかもしれない。
だから、シィーファは、ラディスの目を見つめて、シィーファも望んでいることだと、伝える。
「いいよ…?」
「シィーファ…」
ラディスは、シィーファの唇に口づけながら、自身の隆起を握って、シィーファへの入口を探しているように思えた。
だから、シィーファもラディスの自尊心を傷つけないように、気づかれないようにそっとお尻の位置をずらす。
ずず、とシィーファのなかへと、ラディスのものが押し込まれた。
自分のなかを、押し広げられる感覚。
押し広げられながら、突き込まれるのは、ほとんど一瞬だったような気がする。
「ぁっ…!」
「あ…、すごい、きもち、いっ…」
シィーファの上の、ラディスが、ぶるぶると震えながら、呻いた。
ぎゅっと目を瞑り、ぐっと歯を食いしばっている。
恐らく、吐精の衝動を抑えているのだろうと思ったから、シィーファも余計な刺激を与えないようにとじっとしていた。
やはり、初めてというのは、強烈なのだろう。
特に、男は行為に関して苦痛はなく、得られるのは快楽だけだと聞いた。
ラディスも、強烈な快感に突き動かされるままに、ほとんど本能で腰を進めたのだろう。
でなければ、指をいれる際に、あんなに慎重だったラディスが、あんなふうに一気に自身を埋めるわけがない。
できるだけ、反応しないように、反応しないように、とシィーファは息を殺す。
正直、体内に感じる彼が、どく、どく、と脈打つのが伝わってくるようで、落ち着かないけれど。
しばし後、ようやくラディスは、ほっと息を吐き、シィーファの身体を抱きしめてきた。
「…ごめん、シィーファ…。 早急、すぎたよね…。 ゆっくりって、言われたのに」
「ん…、平気…」
大丈夫だよ、とラディスの背を撫でた、それだけのつもりだったのに、ラディスがびくりとした。
「あ、だめ、それ」
その反応に、シィーファは驚く。
こういうとき、身体が敏感になるのは、どうやら女だけではないらしい。
もちろん、個人差もあるだろうが、ラディスは感受性が豊かなのかもしれない。
シィーファが、そろそろとラディスの背から手を引くと、ラディスは罰の悪そうな顔になる。
「ごめん、言い方が良くなかった。 貴女に触れられるのが、嫌なわけない。 でも、今は…」
シィーファの想像通り、ラディスは全身が敏感になっているのだろう。
それでも、シィーファに対し、何か言い訳めいたことを口にするラディスが可愛くて、シィーファは思わず、小さく笑ってしまった。
「いつもより、饒舌」
その瞬間、ラディスが再びぎゅっと目を瞑り、また小さく震えた。
「っ…! 気を紛らわせないと、まずいんだ」
呻くような、声が、ラディスの喉の奥から出た。
笑った瞬間、ラディスを受け入れているシィーファの体内に、力が入った自覚はある。
だから、シィーファは反射的に謝った。
「ごめんなさい」
「謝らないで。 …すごく熱くて、やわらかくて…、貴女に包み込まれるの、とろけそうに気持ちいい…」
ラディスは、ゆっくりとシィーファの顔に顔を近づけて、そっと唇を合わせてくれる。
本当に、呑み込みが早い。
舌を使った口づけが気持ちよくて、ふわふわする。
「ん…」
ラディスのものは、太さもあれば、長さもある。 そして、熱くて硬い。
身体のなかに、熱杭が埋められているようだと、思う。
相手によって、こんなに違うものなのだ、というのは、シィーファにとっても新しい発見だった。
一気に埋められた衝撃、というか快感は、シィーファにとっても大きかったらしい。
ようやく、身体が馴染んで、気づかなくていいようなことにまで、気づいてしまった。
今まで、触れられたことがないような奥まで、ラディスに拡げられ、触れられてしまっているのだ。
その、誰にも触れられたことのなかった奥が、うずうず、じんじんと変な感じだ。
変な感じと言えば、ラディスを感じるところ全てが、変な感じなのだけれど。
その、変な感じが何か。
理解するのが怖くて、シィーファゆっくりと腰を動かした。
途端に、ラディスがビクリとする。
「ぅ、シィー、ファ」
「動いて、いいよ…?」
不自然でない程度に、ラディスを、誘う。 …煽る。
シィーファは、瞠目する。
ランプの、ほのかなオレンジの光を吸い込んだ、ラディスの夜明けを待つ色の瞳――…その瞳孔が、開いたのを見たからだ。
まるで、花開くようだと思った。
ラディスの身体がびくりとしたのに気づいたが、そんなことには構っていられなかった。
シィーファからラディスの舌に舌を絡めて、舌を吸う。
ぶるっ…とラディスが胴震いしたのがわかった。
シィーファの手を、寝台へと押さえつけていたラディスの手が緩むので、シィーファは腕をラディスの首に回した。
自分がしたい口づけを、思う存分して、ほっと息をついたところで気づく。
シィーファの上になっているラディスが、浅く、短く、息を繰り返していることに。
「…シィーファ…」
いつもより甘く、艶めいた響きのラディスの声が落ちてくる。
かと思えば、シィーファの脚の間に擦りつけられる、熱くてしっかりとしたものの存在に気づく。
硬いのに、硬くない。
柔らかいのに、柔らかくない。
そんな不思議な感触のものが何か、シィーファは知っている。
もう、我慢も限界なのか、ラディスは緩く腰を動かしていて、互いの敏感な部分がこすれ合うのが気持ちいい。
くち、くちゅ、と音を立てるのは、シィーファが零す体液のためだけではないはずだ。
いれていい? とラディスは訊かない。
訊けない、のかもしれない。
ラディスは、シィーファと、恋人ごっこをしているのだ。
ラディスは、ラディスの独りよがり的な行為にはしたくないと思っているのかもしれない。
だから、シィーファは、ラディスの目を見つめて、シィーファも望んでいることだと、伝える。
「いいよ…?」
「シィーファ…」
ラディスは、シィーファの唇に口づけながら、自身の隆起を握って、シィーファへの入口を探しているように思えた。
だから、シィーファもラディスの自尊心を傷つけないように、気づかれないようにそっとお尻の位置をずらす。
ずず、とシィーファのなかへと、ラディスのものが押し込まれた。
自分のなかを、押し広げられる感覚。
押し広げられながら、突き込まれるのは、ほとんど一瞬だったような気がする。
「ぁっ…!」
「あ…、すごい、きもち、いっ…」
シィーファの上の、ラディスが、ぶるぶると震えながら、呻いた。
ぎゅっと目を瞑り、ぐっと歯を食いしばっている。
恐らく、吐精の衝動を抑えているのだろうと思ったから、シィーファも余計な刺激を与えないようにとじっとしていた。
やはり、初めてというのは、強烈なのだろう。
特に、男は行為に関して苦痛はなく、得られるのは快楽だけだと聞いた。
ラディスも、強烈な快感に突き動かされるままに、ほとんど本能で腰を進めたのだろう。
でなければ、指をいれる際に、あんなに慎重だったラディスが、あんなふうに一気に自身を埋めるわけがない。
できるだけ、反応しないように、反応しないように、とシィーファは息を殺す。
正直、体内に感じる彼が、どく、どく、と脈打つのが伝わってくるようで、落ち着かないけれど。
しばし後、ようやくラディスは、ほっと息を吐き、シィーファの身体を抱きしめてきた。
「…ごめん、シィーファ…。 早急、すぎたよね…。 ゆっくりって、言われたのに」
「ん…、平気…」
大丈夫だよ、とラディスの背を撫でた、それだけのつもりだったのに、ラディスがびくりとした。
「あ、だめ、それ」
その反応に、シィーファは驚く。
こういうとき、身体が敏感になるのは、どうやら女だけではないらしい。
もちろん、個人差もあるだろうが、ラディスは感受性が豊かなのかもしれない。
シィーファが、そろそろとラディスの背から手を引くと、ラディスは罰の悪そうな顔になる。
「ごめん、言い方が良くなかった。 貴女に触れられるのが、嫌なわけない。 でも、今は…」
シィーファの想像通り、ラディスは全身が敏感になっているのだろう。
それでも、シィーファに対し、何か言い訳めいたことを口にするラディスが可愛くて、シィーファは思わず、小さく笑ってしまった。
「いつもより、饒舌」
その瞬間、ラディスが再びぎゅっと目を瞑り、また小さく震えた。
「っ…! 気を紛らわせないと、まずいんだ」
呻くような、声が、ラディスの喉の奥から出た。
笑った瞬間、ラディスを受け入れているシィーファの体内に、力が入った自覚はある。
だから、シィーファは反射的に謝った。
「ごめんなさい」
「謝らないで。 …すごく熱くて、やわらかくて…、貴女に包み込まれるの、とろけそうに気持ちいい…」
ラディスは、ゆっくりとシィーファの顔に顔を近づけて、そっと唇を合わせてくれる。
本当に、呑み込みが早い。
舌を使った口づけが気持ちよくて、ふわふわする。
「ん…」
ラディスのものは、太さもあれば、長さもある。 そして、熱くて硬い。
身体のなかに、熱杭が埋められているようだと、思う。
相手によって、こんなに違うものなのだ、というのは、シィーファにとっても新しい発見だった。
一気に埋められた衝撃、というか快感は、シィーファにとっても大きかったらしい。
ようやく、身体が馴染んで、気づかなくていいようなことにまで、気づいてしまった。
今まで、触れられたことがないような奥まで、ラディスに拡げられ、触れられてしまっているのだ。
その、誰にも触れられたことのなかった奥が、うずうず、じんじんと変な感じだ。
変な感じと言えば、ラディスを感じるところ全てが、変な感じなのだけれど。
その、変な感じが何か。
理解するのが怖くて、シィーファゆっくりと腰を動かした。
途端に、ラディスがビクリとする。
「ぅ、シィー、ファ」
「動いて、いいよ…?」
不自然でない程度に、ラディスを、誘う。 …煽る。
シィーファは、瞠目する。
ランプの、ほのかなオレンジの光を吸い込んだ、ラディスの夜明けを待つ色の瞳――…その瞳孔が、開いたのを見たからだ。
まるで、花開くようだと思った。
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