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石に花咲く
16.**
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シィーファは、ぼんやりとする頭で考えながら、ラディスを見つめる。
ラディスは、本当によくわからない、不思議な男だ、と思う。
シィーファが初めてではないことは知っているはずなのに、どうしてそんなにシィーファの身体のことを心配するのだろう。
シィーファの身体は、既に、ほかの男を受け入れた経験があるのだ。
今更、ラディスを受け入れたところで、裂けることなどありえない。
なのに、どうして。
見つめるラディスが、大丈夫かなぁ、とでも言いそうな表情で、シィーファのなかを優しく撫でるようにしながら、また、胸の先を吸ってくれた。
「ぁ…」
胸の中央と、脚の間が直結しているのではないか。
そのように錯覚しそうな、快感が走って、声が漏れる。
ラディスの指が、自分の体内を出入りするのを感じながら、ふとシィーファは気づいた。
もしかすると、大丈夫だと思っているのはシィーファだけで、本当はラディスを受け入れるのは難しいのではないだろうか。
ラディスの質問に答えるのならば、入って大丈夫でない、ということはない。
ただ、初めてではない、が、久しぶりではある、のだ。
いきなりは、厳しいかもしれない。
そう、シィーファは見解を改めた。
「ん…、久しぶり、だから。 少し、慣らしてもらわないと、かも」
ラディスが軽く目を見張ったのに気づいて、シィーファはラディスの股間に視線をやった。
股間のものが、天を衝くようになってしまっているのに、こんなことをお願いするなんて、面倒くさい女だと思われただろうか。
初めてでもないくせに、と。
「…そう」
ラディスの、そんな呟きが耳に届いて、シィーファはギクリとする。
呆れられた、だろうか。
視線を落としていたシィーファは、ラディスが微笑んでいたことになど、当然気づかなかった。
だから、ラディスが指を入れてくれている場所に、自分の指を持って行きながら、そっと問う。
「自分で、したほうが、いい…?」
「えっ、どうして? 私にさせて。 どうしたらいい?」
シィーファの提案に、ラディスは本気で驚いたのだろう。
声をひっくり返して、前のめりになり、シィーファの目を覗き込んできた。
その、必死な表情に、シィーファは思う。
きっと、ラディスは基本的には、優しくて、いい子なのだ。
セネウが言うように、誰にでも優しくて、人間性のできた、素晴らしいひとなのだろう。
そのひとに、何ということをねだるのだろうと自己嫌悪に陥りそうになりながらも、シィーファの唇は、言葉を発していた。
「指、増やして…? 切ない…」
ラディスは、唇を引き結んだかと思うと、シィーファからそっと指を引き抜く。
シィーファのなかで、ぐずぐずにふやけてしまった中指に薬指を添えて、シィーファの入口へと当てた。
「あ…、本当だ…。 はいる…」
ゆっくりと、ラディスの指が、シィーファの身体を押し拓いていく。
「ァ…」
指一本とは、まるで違うその感覚に、頭の中が沸騰しそうになる。
ラディスの指が、しっかりしているのか、それとも、今まで受け入れてきた男のものが貧弱だったのか、指なのに、なかなのに、気持ちがいい。
ぎちぎちかも、と思ったのに、シィーファがとろとろに濡れているせいか、窮屈な感じはなく、ラディスは指を動かしている。
ばかりか、本当にラディスは、シィーファを慣らして、解すつもりでいるらしく、指をばらばらに動かしたり、旋回するように動かしたりし始めた。
本当に、自分のものがはいるのか、そこまでシィーファの身体が広がるのか、確かめているようだと思う。
そして、調べるようにしながらシィーファの体内を開いていたラディスの指が触れた場所に、シィーファはビクリとする。
「ぁ!」
慌ててシィーファは口を塞ぐ。
ラディスが一度動きを止めてくれたので、シィーファはほっとしたのだが、すぐにまた同じところを撫でられて、シィーファは身をよじった。
「ふぁ、そこっ…」
「ん…、ここ、気持ちいいんだ」
ラディスは、この短時間で、シィーファの反応の見極めができるようになったらしい。
もはや、「痛い?」とは問わずに、「気持ちいいんだ」と確認してきた。
そして、更にそこを刺激し始める。
「あぁ、んぅ」
くるくると円を描くように撫でたり、クックッと押し込むように撫でたりする。
それが、絶妙で、シィーファは腰を逃がそうとするが、ラディスが空いている右手でシィーファの左太腿を抱えているから叶わない。
敷布を乱しながら身をくねらせ、喘ぐシィーファを、ラディスはうっとりと見つめている。
「シィーファ、可愛い…」
シィーファには謎でしかないのだが、ラディスはシィーファを可愛いと言うのだ。
シィーファからしたら、ラディスの方がよっぽど可愛いのに。
そして、これもシィーファにとっては謎でしかないのだが、ラディスは「シィーファ可愛い」という気持ちが有り余ったらしく、シィーファの太腿の内側に口づけてきた。
それでも、シィーファの体内を愛撫し、刺激するラディスの指は止まらない。
お腹の奥がぞくぞくとして、ラディスを呑み込んでいる場所が、きゅうきゅうと反応し始めて、シィーファは狼狽えた。
秘所の上にある小さな凝り――シィーファにとっては恐らく、最も敏感な外部器官に触れていないのに、ぐいぐいと絶頂が近づいてきているのだ。
自慢ではないが、シィーファは今まで、なかへの刺激だけで絶頂に達せたことがない。
それなのに、今、初めてだという、恐らく年下の男相手に、絶頂に導かれてしまうなんて…。
「あ! だめ、だめ、ラディスっ…! んんっ…!」
シィーファの思いに反して、凄まじい快感が脚の間から脳へと駆けた。
「ぁ、ぅ」
びく、びく、と下肢が跳ねる。
絶頂へと導いてくれたラディスの指を、ぎゅう、ぎゅう、と自分の身体が食い締めているのがわかる。
既に達したというのに、ラディスの指を締めつけて、また達する。
「ん、ん」
どれだけ、自分が達していたのかもわからない。
ようやく身体が落ち着くと、ラディスもシィーファの身体の締め付ける力が弱くなったのに気づいたらしく、そろそろと指を引き抜いていく。
「…シィーファ…、今…、なか、すごかった、けど…、大丈夫?」
ラディスは、労わるようにシィーファの腹を撫でながら、シィーファの前髪を掻き上げるようにして、瞳を覗き込んでくる。
また、シィーファのことを心配しているんだろうな、と思ったから、シィーファはそっと目を逸らしつつ、告げた。
「…気持ちよく…なっちゃった…」
ラディスは、紫紺の瞳を何度か瞬かせたが、自分がした質問と、シィーファの返答が繋がったのだろう。
つまりは、シィーファの身体のあの反応は、気持ちよくなったためだと、理解したのだと思う。
頬をうっすらと染め、目を細めて微笑んだ。
「本当? 嬉しい」
身を屈めて、シィーファの瞼に口づけてくるラディスに、シィーファはどうして口にしてくれないんだろう、なんてことを考えた。
考えたのが、いけなかった。
「口づけ、したい」
自分の声が耳に届いて、シィーファはぎょっとした。
夢から覚める、とはこんな感じだろうか。
シィーファは咄嗟に、自分の顔の前で手を交差させた。
恋人でもあるまいに、こうしているときに口づけをしたいなんて、何を血迷って口走ったのか。
「ちが、あの、今の、は」
今のは、口が暴走したのだと説明しようとするシィーファの、顔の前で交差された手を、ラディスが握り、左右に開かせた。
シィーファの手は、ラディスの手によって敷布に縫い留められてしまう。
ラディスの身体は、シィーファの脚の間に納まり、組み敷かれていると言っても差し支えない体勢になっていた。
「違うの? キスしたら、だめ?」
緩く首を揺らしたラディスが、シィーファの瞳を覗き込む。
本当に、末恐ろしい童貞で、年下だと思うのだが、吐息が唇にかかるくらいの距離で囁いてきた。
実は、比喩ではなく唇に吐息がかかっていたし、故意にそうしているのではないかと思うほどだ。
唇が疼くような気がしてきた、と思うと同時に、また、唇が勝手に言葉を紡いでいた。
「違わない…」
シィーファが自分の発言を後悔するより先に、ラディスがちゅっとシィーファの唇に口づける。
ちゅうっとやわらかく唇を吸われて、シィーファの中で何かが切り替わったのだと思う。
「ん…」
やるまい、やるまい、と思っていたのだが、舌を出してラディスの唇の隙間を舌先でなぞってしまった。
シィーファとしては、引かれて逃げ出されても仕方ないと覚悟したのだが、勘が良いというかなんというか、ラディスは舌先を出してシィーファの舌に合わせてきた。
これで、シィーファの理性は完全に吹っ飛んでしまったのだ。
ラディスは、本当によくわからない、不思議な男だ、と思う。
シィーファが初めてではないことは知っているはずなのに、どうしてそんなにシィーファの身体のことを心配するのだろう。
シィーファの身体は、既に、ほかの男を受け入れた経験があるのだ。
今更、ラディスを受け入れたところで、裂けることなどありえない。
なのに、どうして。
見つめるラディスが、大丈夫かなぁ、とでも言いそうな表情で、シィーファのなかを優しく撫でるようにしながら、また、胸の先を吸ってくれた。
「ぁ…」
胸の中央と、脚の間が直結しているのではないか。
そのように錯覚しそうな、快感が走って、声が漏れる。
ラディスの指が、自分の体内を出入りするのを感じながら、ふとシィーファは気づいた。
もしかすると、大丈夫だと思っているのはシィーファだけで、本当はラディスを受け入れるのは難しいのではないだろうか。
ラディスの質問に答えるのならば、入って大丈夫でない、ということはない。
ただ、初めてではない、が、久しぶりではある、のだ。
いきなりは、厳しいかもしれない。
そう、シィーファは見解を改めた。
「ん…、久しぶり、だから。 少し、慣らしてもらわないと、かも」
ラディスが軽く目を見張ったのに気づいて、シィーファはラディスの股間に視線をやった。
股間のものが、天を衝くようになってしまっているのに、こんなことをお願いするなんて、面倒くさい女だと思われただろうか。
初めてでもないくせに、と。
「…そう」
ラディスの、そんな呟きが耳に届いて、シィーファはギクリとする。
呆れられた、だろうか。
視線を落としていたシィーファは、ラディスが微笑んでいたことになど、当然気づかなかった。
だから、ラディスが指を入れてくれている場所に、自分の指を持って行きながら、そっと問う。
「自分で、したほうが、いい…?」
「えっ、どうして? 私にさせて。 どうしたらいい?」
シィーファの提案に、ラディスは本気で驚いたのだろう。
声をひっくり返して、前のめりになり、シィーファの目を覗き込んできた。
その、必死な表情に、シィーファは思う。
きっと、ラディスは基本的には、優しくて、いい子なのだ。
セネウが言うように、誰にでも優しくて、人間性のできた、素晴らしいひとなのだろう。
そのひとに、何ということをねだるのだろうと自己嫌悪に陥りそうになりながらも、シィーファの唇は、言葉を発していた。
「指、増やして…? 切ない…」
ラディスは、唇を引き結んだかと思うと、シィーファからそっと指を引き抜く。
シィーファのなかで、ぐずぐずにふやけてしまった中指に薬指を添えて、シィーファの入口へと当てた。
「あ…、本当だ…。 はいる…」
ゆっくりと、ラディスの指が、シィーファの身体を押し拓いていく。
「ァ…」
指一本とは、まるで違うその感覚に、頭の中が沸騰しそうになる。
ラディスの指が、しっかりしているのか、それとも、今まで受け入れてきた男のものが貧弱だったのか、指なのに、なかなのに、気持ちがいい。
ぎちぎちかも、と思ったのに、シィーファがとろとろに濡れているせいか、窮屈な感じはなく、ラディスは指を動かしている。
ばかりか、本当にラディスは、シィーファを慣らして、解すつもりでいるらしく、指をばらばらに動かしたり、旋回するように動かしたりし始めた。
本当に、自分のものがはいるのか、そこまでシィーファの身体が広がるのか、確かめているようだと思う。
そして、調べるようにしながらシィーファの体内を開いていたラディスの指が触れた場所に、シィーファはビクリとする。
「ぁ!」
慌ててシィーファは口を塞ぐ。
ラディスが一度動きを止めてくれたので、シィーファはほっとしたのだが、すぐにまた同じところを撫でられて、シィーファは身をよじった。
「ふぁ、そこっ…」
「ん…、ここ、気持ちいいんだ」
ラディスは、この短時間で、シィーファの反応の見極めができるようになったらしい。
もはや、「痛い?」とは問わずに、「気持ちいいんだ」と確認してきた。
そして、更にそこを刺激し始める。
「あぁ、んぅ」
くるくると円を描くように撫でたり、クックッと押し込むように撫でたりする。
それが、絶妙で、シィーファは腰を逃がそうとするが、ラディスが空いている右手でシィーファの左太腿を抱えているから叶わない。
敷布を乱しながら身をくねらせ、喘ぐシィーファを、ラディスはうっとりと見つめている。
「シィーファ、可愛い…」
シィーファには謎でしかないのだが、ラディスはシィーファを可愛いと言うのだ。
シィーファからしたら、ラディスの方がよっぽど可愛いのに。
そして、これもシィーファにとっては謎でしかないのだが、ラディスは「シィーファ可愛い」という気持ちが有り余ったらしく、シィーファの太腿の内側に口づけてきた。
それでも、シィーファの体内を愛撫し、刺激するラディスの指は止まらない。
お腹の奥がぞくぞくとして、ラディスを呑み込んでいる場所が、きゅうきゅうと反応し始めて、シィーファは狼狽えた。
秘所の上にある小さな凝り――シィーファにとっては恐らく、最も敏感な外部器官に触れていないのに、ぐいぐいと絶頂が近づいてきているのだ。
自慢ではないが、シィーファは今まで、なかへの刺激だけで絶頂に達せたことがない。
それなのに、今、初めてだという、恐らく年下の男相手に、絶頂に導かれてしまうなんて…。
「あ! だめ、だめ、ラディスっ…! んんっ…!」
シィーファの思いに反して、凄まじい快感が脚の間から脳へと駆けた。
「ぁ、ぅ」
びく、びく、と下肢が跳ねる。
絶頂へと導いてくれたラディスの指を、ぎゅう、ぎゅう、と自分の身体が食い締めているのがわかる。
既に達したというのに、ラディスの指を締めつけて、また達する。
「ん、ん」
どれだけ、自分が達していたのかもわからない。
ようやく身体が落ち着くと、ラディスもシィーファの身体の締め付ける力が弱くなったのに気づいたらしく、そろそろと指を引き抜いていく。
「…シィーファ…、今…、なか、すごかった、けど…、大丈夫?」
ラディスは、労わるようにシィーファの腹を撫でながら、シィーファの前髪を掻き上げるようにして、瞳を覗き込んでくる。
また、シィーファのことを心配しているんだろうな、と思ったから、シィーファはそっと目を逸らしつつ、告げた。
「…気持ちよく…なっちゃった…」
ラディスは、紫紺の瞳を何度か瞬かせたが、自分がした質問と、シィーファの返答が繋がったのだろう。
つまりは、シィーファの身体のあの反応は、気持ちよくなったためだと、理解したのだと思う。
頬をうっすらと染め、目を細めて微笑んだ。
「本当? 嬉しい」
身を屈めて、シィーファの瞼に口づけてくるラディスに、シィーファはどうして口にしてくれないんだろう、なんてことを考えた。
考えたのが、いけなかった。
「口づけ、したい」
自分の声が耳に届いて、シィーファはぎょっとした。
夢から覚める、とはこんな感じだろうか。
シィーファは咄嗟に、自分の顔の前で手を交差させた。
恋人でもあるまいに、こうしているときに口づけをしたいなんて、何を血迷って口走ったのか。
「ちが、あの、今の、は」
今のは、口が暴走したのだと説明しようとするシィーファの、顔の前で交差された手を、ラディスが握り、左右に開かせた。
シィーファの手は、ラディスの手によって敷布に縫い留められてしまう。
ラディスの身体は、シィーファの脚の間に納まり、組み敷かれていると言っても差し支えない体勢になっていた。
「違うの? キスしたら、だめ?」
緩く首を揺らしたラディスが、シィーファの瞳を覗き込む。
本当に、末恐ろしい童貞で、年下だと思うのだが、吐息が唇にかかるくらいの距離で囁いてきた。
実は、比喩ではなく唇に吐息がかかっていたし、故意にそうしているのではないかと思うほどだ。
唇が疼くような気がしてきた、と思うと同時に、また、唇が勝手に言葉を紡いでいた。
「違わない…」
シィーファが自分の発言を後悔するより先に、ラディスがちゅっとシィーファの唇に口づける。
ちゅうっとやわらかく唇を吸われて、シィーファの中で何かが切り替わったのだと思う。
「ん…」
やるまい、やるまい、と思っていたのだが、舌を出してラディスの唇の隙間を舌先でなぞってしまった。
シィーファとしては、引かれて逃げ出されても仕方ないと覚悟したのだが、勘が良いというかなんというか、ラディスは舌先を出してシィーファの舌に合わせてきた。
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