【R18】石に花咲く

石に花咲く

15.＊＊

「は…」
　目を伏せて、溜息と共に、快感を吐き出す。

　お腹の奥が疼いて堪らない。
　脚の間の窪みも、ぬるぬるとしているのがわかる。
　シィーファが太腿をすり合わせてもじもじしているのに気づいたのだろう。
　ラディスは、シィーファの胸の先に軽く歯を立てながら、シィーファの太腿に触れた。
「っ！」

　思わずシィーファが身体を跳ねさせると、ラディスはシィーファの太腿を撫で始める。
　一度口に含んだシィーファの胸の尖りから顔をずらし、ラディスはちろりと舌を覗かせる。
　見せつける意図があったのかどうかはわからない。
　だが、見せつけるように、ラディスの薄桃色の舌がシィーファの胸の先を刺激する。

　そして、ラディスの瞳は、シィーファの様子を上目遣いに観察しているのだ。
「シィーファ、こうされるの、好き？」
　シィーファは頬が熱を持つのを感じる。
　ラディスは恐らく、胸の先も、太腿の内側も、弱いんだね？　と訊いたのだろう。

　ちゅっと吸われた胸の先から、快感がびりりと走って、シィーファはふるっ…と震えた。
「ぅ、ん」
　瞬間、漏れた声が、ただの喘ぎだったのか、ラディスの問いに対する答えだったのかは、自分でもわからない。
　だが、ラディスは満足したらしく、唾液で淫らに濡れ光るシィーファの胸の先を指先で撫で始める。
「…声、可愛い。　撫でているだけでも、気持ちいい？」
　こくこくとシィーファが頷くと、ラディスは指で弄んでいない方の胸の先に吸いつく。


　太腿を撫でていたラディスの手は、そのまま内腿を上へと上がっていき、執拗にシィーファの脚の付け根を指先で撫でる。
　それが、くすぐったいのか心地いいのか自分でもわからず、けれどむずむずして、太腿でラディスの手をぎゅっと締め付けてしまう。
　その拍子に、ラディスの手は、シィーファの脚の間の窪みにはまったらしい。


「ん…」
　やっと、一番気持ちいいところに触れてもらえた。
　シィーファの鼻から漏れたのは、快楽のために漏れ出た吐息というよりも、安堵のために漏れたものだったのだろう。
　そして、シィーファの脚の間に触れたラディスはびくりとし、シィーファの胸から顔を上げた。
「あ…、これ…？」
　シィーファの脚の間の窪みに、指を滑らせながら、ラディスは一度手を引き抜いて、まじまじと見ている。
　中指と親指を擦り合わせるようにして、指を離すと、透明な糸がつ…と指を繋いだ。

　さすがに、そうされるとは思わなくて、シィーファは顔を赤らめて、ラディスの手をぎゅっと握る。
　その瞬間、自分の手も、自分の股間から零れた体液でぬるりとして更に恥ずかしくなって、シィーファが後悔したのは内緒の話だ。


「あの、粗相では、ありませんからね？　…その…、男性のものを、受け入れやすいようにと、女性の身体が拓かれていく証です」
　粗相だと思われては堪らない、とその液体が何なのか説明したのだが、その説明によって更に恥ずかしくなってしまったのも誤算だ。
　シィーファは恥ずかしくて顔から火を噴きそうだと思ったのだが、ラディスはなんだかとても嬉しそうに見える。

「すごい…、こんなになるなんて…。　果実みたいだ」
　ラディスは、そっと目を伏せる。
　金と銀のあわいのような色の長い睫毛が、夜明けを待つ色の瞳を覆い隠す様が、きれいだ。

　シィーファがその様を見つめていると、ラディスはラディスの左手を包んだシィーファの手を持ち上げて、そっと唇を寄せる。
　触れた、柔らかい感触にドキリとしていると、ラディスは瞼を持ち上げて、上目遣いにシィーファを見つめた。
「…もっと、させて？」
　その様子が思いの外、色っぽくて、危機感を覚えたシィーファがぱっと手を引くと、ラディスは目を細めて嬉しそうに微笑む。
　そして、再び、シィーファの脚の間に手を差し込んだ。
　ぬるりとラディスの指が滑る感覚に、シィーファは自分が濡れていることを実感する。


　ラディスの指が気持ちよくて、身体の奥へと続く入口が、ひくりと疼く。
　体感的には、ラディスの指に吸いつこうとした、と言っても間違いではないと思う。
　ラディスも、シィーファの身体の反応に気づいたらしい。
「…あ、今、ここ、ひくってした？」
　問われて、シィーファは頬を染めつつ、小さく頷いた。
「ん…」
「そう、ここ、気持ちいいんだね」
　うっとりとした表情で、ラディスは優しく、柔らかく、シィーファの脚の間の窪みに沿って体液を纏わせながら何度も指を行き来させる。


　外部器官で言うならば、本当は、ラディスが撫でてくれている上にある、小さな凝りも気持ちいいのだけれど、今は余裕がないというラディスを優先させるべきだろう。
　実を言うなら、シィーファはなかではあまり快感を享受はできないのだが、おかしなことに今、シィーファの身体のなかが疼いて堪らない。
　疼く場所を、ラディスに埋めてほしくて、シィーファは声を上げた。


「そこ」
「え？」
　ぱちぱちと目を瞬かせたラディスの指が、丁度シィーファの体内への入口で止まって、シィーファは小さく震える。
　角度を少し変えたら、ラディスの指は容易く埋められるだろうに、ラディスはそうはしないので、シィーファは覚悟を決めて、身体の中心に力を入れた。


　ラディスの目が、軽く見張られる。
　ラディスの指先を、シィーファの身体が吸おうとしていることに、流石のラディスでも気づいただろう。


「…そこに、貴方が、はいるの」
　シィーファがそう伝えると、ラディスは目を瞬かせる、
　そこでラディスはなぜか、少し角度を変えれば吸いこまれるだろう指先を離して、がばりとシィーファの脚を左右に割り開いた。
「っ！」
　驚いて、身動きが取れないシィーファに対し、ラディスも驚愕、あるいは困惑の表情でシィーファの脚の間を見つめている。
「ここに…？　え、でも、すごく小さい…」

　シィーファの脚の間に、小さな孔あなを見つけることには成功したらしい。
　ラディスは、シィーファの脚の間と、自身の下肢の中心で立ち上がったものとの間で、視線を何度か行きつ戻りつさせた。
　視線の意味を推し量るのなら、そんな小さいところに、こんなものが本当にはいるの、といったところか。


　初めて見るのなら、その疑問ももっともなことだ。
　だから、論より証拠か、と思い、シィーファはラディスに向かって開いた脚を閉じることはせずに、ラディスを見る。
　かなり破廉恥な格好になったが、今は構っていられない。
「…中指、あててみて…？」
　その破廉恥な格好で、シィーファは控えめに、ラディスを誘う。


　ラディスの喉が、ごくりと上下した。


　恐る恐る、といった様子で、ラディスの指がシィーファの体内へと続く入口へと当てられた。
「…こう…？」
「うん、そう、ゆっくり、ゆっくり、ね…？」
　ちゅぷっ、と、ラディスの指先が、シィーファの身体の中へと吸い込まれたのがわかった。


「あ…」


　求めていた場所に、求めていたものを与えられて、シィーファは思わず喉を反らして声を上げてしまった。
　シィーファの心以上に身体は正直で、ラディスの指を奥へと誘い込むような動きをしている。
　それに誘われるように、そして、シィーファが願った通りに、ラディスはゆっくりと指を奥へと進めていく。
「…すごい…、あたたかくて、とろとろだ…。　こんなにやわらかいなんて…、…壊しそうで、怖い」
　きっと、ラディスは、指で触れる女性の体内がやわらかすぎて、傷つけないか、痛くしないか、怖いと言ったのだろう。
　その言葉が、気持ちが、胸にじんわりと沁みて、シィーファは小さく微笑んだ。
「優しく触ってくれるから、痛くありませんよ。　…気、持ち、いい、です」

　シィーファの言葉に、ラディスは頬を染め、指を使うことに集中し始めたらしい。
　ラディスの指は、節立っていて男らしく、爪も短く切り揃えられているので、シィーファは安心して迎え入れることができたし、優しく触れてくれるので気持ちいい。
　男性に喜んでもらうのは、重要なことだと教えられたが、今シィーファが口にしたのは、ラディスに喜んでもらうためだけではなく、シィーファの本音だ。

　ラディスが指を抜き差しするごとに、くちゅ、くちゅ、と淫らな水音が耳に届く。
　シィーファの耳に届くのだから、もちろんラディスの耳にも聞こえているだろう。
「ん…」
「すごく絡んでくる…。　でも」
　指先が少し埋まるくらいまで指を引き抜いた後で、もう一度、指を埋めていく。


「…やっぱり、狭いと、思う…。　本当に、こんなところに、入って大丈夫なの…？」
　ラディスは、シィーファの身体の中を撫でながら、再び、自身の脚の間の隆起を気にしたようだった。
　そのものを、シィーファのなかに入れたら、シィーファの身体が裂けるか何かする、とでも考えていそうだ、とシィーファは思う。