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石に花咲く
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ひどく上機嫌で、シィーファの手を引いて石畳を歩き、玄関まで到達したラディスは、そこで一度手を解いた。だから、それ以上手を繋いでいる必要もなくて、シィーファもそっと手を引く。
ラディスは、右手に持っていたシィーファの平包を左手に持ちかえると、扉の取っ手を握って手前に引いた。
確か、西洋の国で女性に「お先にどうぞ」と言うのは、室内に暗殺者などが潜んでいた場合の盾にするためだと聞いたことがあるな…。
などとシィーファはぼんやりと考え、恐らくラディスもシィーファに「お先にどうぞ」をするのだと思った。
だが、ラディスは少し身を乗り出して、扉の向こうを覗き込むようにしてから、シィーファを振り返った。
意外な思いで、それを見る。
「お先にどうぞ」
微笑まれ、勧められて、自然と唇からは、言葉が零れた。
「ありがとう…」
すると、ラディスが目を丸くした。
驚いた表情だということはわかったから、何かおかしかっただろうか、とシィーファは考え、気づいた。
そういえば、出逢ってから今までの間で、シィーファが感謝の気持ちを言葉にしたのは初めてだったかもしれない。
本来は、お客様に指名された、あるいは身請けされた時点で、感謝とお礼と挨拶をするものだ。
だが、シィーファにとって今回のこれは、喜ばしくもなければ嬉しくもない事態なので、感謝もお礼も挨拶もする必要性を感じなかったし、しなくとも違和感がなかった。
別に可愛いと思われたいわけではないけれど、とんでもなく可愛げのない女を選んでしまったなぁ…、と思われていたことだろう。
シィーファは、自分の行いを、大人げないという意味で反省していたのだが、シィーファが捉えていたようには、ラディスは捉えていなかったのだろうか。
嬉しそうに、微笑んだ。
「どうしたしまして」
胸の奥がむず、としたような気がして、シィーファは慌ててラディスから目を逸らし、邸の中へと一歩足を踏み入れる。
今までは、『隠退した自分をわざわざ指名し、身請けまでした面倒な男』としか思っていなかったのだが、そういえばそもそも、第一印象はそんなに悪くはなかったのだ。
あまり気を緩めていると、勘違いしそうになるかもしれない、とシィーファは自分を叱咤し、戒める。
そんなシィーファの背後で、扉を閉め、鍵をかけたラディスが声を張った。
「ただいま、帰ったよ」
空間に響いた声に、シィーファは正直驚いた。
声の主は、ラディス。
そんなことはわかりきっている。
だが、発声の仕方が、今までシィーファと話しているときとは、まるで違った。
今まで一緒にいて、話していたラディスと、今のラディスとは別人のようで、シィーファが一歩引きそうになったときだ。
「お帰りなさいませ、殿下」
玄関の奥から、年若いであろう、女性の声が聞こえた。
シィーファが目を凝らすと、西洋風の使用人の衣装に身を包んだ、象牙の肌と漆黒の髪と瞳の女性が物陰に佇んでいた。
シィーファからも、ラディスからも、遠い国の出身だろうということは、髪と瞳の色だけで窺える。
だが、そんなことよりも、その女性の発した言葉には、聞き捨てならない単語が混ざっていた。
隣に立っていたラディスの纏う空気も、凍り付いたような気がする。
シィーファは、強張ったように見えるラディスの横顔を見上げながら、その単語を繰り返した。
「…でんか?」
ラディスの横顔は、まるで塑像か何かのように、動かない。
代わりに、ラディスを【殿下】と呼んだ、使用人風の衣装を身に着けた女性は、自分の口元にそっと手を当てた。
「あ、申し訳ありません。 いつもの癖で…。 そう呼んでは、いけませんでしたか?」
物陰から現れた女性は、申し訳なさそうな表情で、窺うようにラディスを見ている。
だが一方、ラディスは微動だにしない。
ただ、険しい表情だ、と思った。
例えば、ラディスが、この女性と【ご主人様とメイドごっこ】のようなプレイをしていないのだとすれば、やはり、【でんか】は【殿下】なのか。
シィーファは、いつの間にか目の前まで来ていた女性に、控えめに尋ねる。
「あの、この方は、殿下、なのですか?」
曖昧に微笑んだ女性は、そのままシィーファからすーっと顔を背けた。
だから、シィーファは、ラディスを見る。
見据えて、今度ははっきりと、尋ねる。
「殿下、なのですか?」
シィーファの声に反応して、横から見ると――ありきたりな表現ではあるが――ペンでも乗りそうなほどに長い、ラディスの睫毛がわずかに震えた。
ゆっくりと、ラディスの顔がシィーファに向く。
ラディスは、歪んだようにも見える、泣きそうで、優しくて、寂しげな笑みを浮かべた。
「貴女に嘘はつけないから、仕方ない」
立ち話もなんなのだけれど、と前置きした後で、ラディスは続ける。
「一応、殿下と呼ばれる立場ではあるかな。 でも、私は第五王子だし、王位継承権だって五番目。 うちの王室は子だくさんだからその辺は気にしなくていいと思うよ」
そう言われて、シィーファは納得した。
それもそうだ。
ラディスがどこかの国の王子様だったからと言って、シィーファとラディスの関係は何が変わるだろう。
シィーファはラディスがシィーファを身請けしたことを、【一時的】な【退屈しのぎ】の【お遊び】がしたいのだろうと理解している。
つまり、シィーファとラディスは恋仲でも何でもないし、シィーファは世間で言うところの【商売女】なのだ。
ラディスがシィーファに騙され、手玉に取られた、ということならば、醜聞にも何もならないのである。
加えて、シィーファは【石女の一族】だから、子を身籠る心配もない。
周囲がシィーファを、【性教育係】と見るか、ラディスをかどわかした【商売女】と見るかはわからないが、それはそれで誰かがラディスを正してくれるだろう。
「…わかりました」
案外、シィーファがお役御免になる日も遠くないのかもしれない。
そう思ったから、シィーファは頷いたのだが、なぜかラディスは物言いたげな視線を、シィーファへと向けている。
何か言いたそうなのに、何も言われない、というのも気持ちが悪いものらしい。
だから、訊くつもりはなかったのに、訊いてしまったのだ。
「どうされました?」
「…いや、少し違う理解をされたような気がしたから」
じっ…とシィーファを見つめたまま、ラディスはそんな風に言った。
視線だけでなく、その言い方も何だか気持ちが悪い。
いや、ラディスの視線や言い方が気持ち悪いわけではないのだ。
言いたいことがあるはずなのに、言ってこない、もやもや感というのだろうか。
それが、すごく、気持ちが悪い。
だが、ラディスは言わないことに対して全く気持ちが悪くないのか、再びそっとシィーファの手を掴んできた。
「まあ、そんなことより、慣れない移動で疲れているよね。 少し休もう。 喉が渇いたから、お茶に付き合ってくれる?」
「…そういうことでしたら」
ラディスの言葉に応じながら、シィーファは思う。
ラディスはこういった言葉の使い方が上手い、というか、ずるい。
例えば、「喉が渇いていない? お茶にしよう」とでも言われれば、シィーファは「お気遣いはありがたいのですが…」と濁しただろう。
だが、ラディスは、「(自分の)喉が渇いたから、お茶に付き合ってくれる?」と訊くのだ。
さしものシィーファでも、どこぞの国の王子様であるというラディスに、「おひとりでどうぞ」と言ってのける勇気は持ち合わせていない。
仮に、「わたしは結構です」と言ったとしても、ラディスは「私ひとりでお茶をしても楽しくないからね」とでも言いそうだ。
どこぞの国の王子様に、シィーファ如きの為に、喉の渇きを――本当かどうかは別にせよ――我慢させるのか? という問いに、シィーファは即決で【否】という答えを出したのだった。
ラディスは、右手に持っていたシィーファの平包を左手に持ちかえると、扉の取っ手を握って手前に引いた。
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などとシィーファはぼんやりと考え、恐らくラディスもシィーファに「お先にどうぞ」をするのだと思った。
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「お先にどうぞ」
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「ありがとう…」
すると、ラディスが目を丸くした。
驚いた表情だということはわかったから、何かおかしかっただろうか、とシィーファは考え、気づいた。
そういえば、出逢ってから今までの間で、シィーファが感謝の気持ちを言葉にしたのは初めてだったかもしれない。
本来は、お客様に指名された、あるいは身請けされた時点で、感謝とお礼と挨拶をするものだ。
だが、シィーファにとって今回のこれは、喜ばしくもなければ嬉しくもない事態なので、感謝もお礼も挨拶もする必要性を感じなかったし、しなくとも違和感がなかった。
別に可愛いと思われたいわけではないけれど、とんでもなく可愛げのない女を選んでしまったなぁ…、と思われていたことだろう。
シィーファは、自分の行いを、大人げないという意味で反省していたのだが、シィーファが捉えていたようには、ラディスは捉えていなかったのだろうか。
嬉しそうに、微笑んだ。
「どうしたしまして」
胸の奥がむず、としたような気がして、シィーファは慌ててラディスから目を逸らし、邸の中へと一歩足を踏み入れる。
今までは、『隠退した自分をわざわざ指名し、身請けまでした面倒な男』としか思っていなかったのだが、そういえばそもそも、第一印象はそんなに悪くはなかったのだ。
あまり気を緩めていると、勘違いしそうになるかもしれない、とシィーファは自分を叱咤し、戒める。
そんなシィーファの背後で、扉を閉め、鍵をかけたラディスが声を張った。
「ただいま、帰ったよ」
空間に響いた声に、シィーファは正直驚いた。
声の主は、ラディス。
そんなことはわかりきっている。
だが、発声の仕方が、今までシィーファと話しているときとは、まるで違った。
今まで一緒にいて、話していたラディスと、今のラディスとは別人のようで、シィーファが一歩引きそうになったときだ。
「お帰りなさいませ、殿下」
玄関の奥から、年若いであろう、女性の声が聞こえた。
シィーファが目を凝らすと、西洋風の使用人の衣装に身を包んだ、象牙の肌と漆黒の髪と瞳の女性が物陰に佇んでいた。
シィーファからも、ラディスからも、遠い国の出身だろうということは、髪と瞳の色だけで窺える。
だが、そんなことよりも、その女性の発した言葉には、聞き捨てならない単語が混ざっていた。
隣に立っていたラディスの纏う空気も、凍り付いたような気がする。
シィーファは、強張ったように見えるラディスの横顔を見上げながら、その単語を繰り返した。
「…でんか?」
ラディスの横顔は、まるで塑像か何かのように、動かない。
代わりに、ラディスを【殿下】と呼んだ、使用人風の衣装を身に着けた女性は、自分の口元にそっと手を当てた。
「あ、申し訳ありません。 いつもの癖で…。 そう呼んでは、いけませんでしたか?」
物陰から現れた女性は、申し訳なさそうな表情で、窺うようにラディスを見ている。
だが一方、ラディスは微動だにしない。
ただ、険しい表情だ、と思った。
例えば、ラディスが、この女性と【ご主人様とメイドごっこ】のようなプレイをしていないのだとすれば、やはり、【でんか】は【殿下】なのか。
シィーファは、いつの間にか目の前まで来ていた女性に、控えめに尋ねる。
「あの、この方は、殿下、なのですか?」
曖昧に微笑んだ女性は、そのままシィーファからすーっと顔を背けた。
だから、シィーファは、ラディスを見る。
見据えて、今度ははっきりと、尋ねる。
「殿下、なのですか?」
シィーファの声に反応して、横から見ると――ありきたりな表現ではあるが――ペンでも乗りそうなほどに長い、ラディスの睫毛がわずかに震えた。
ゆっくりと、ラディスの顔がシィーファに向く。
ラディスは、歪んだようにも見える、泣きそうで、優しくて、寂しげな笑みを浮かべた。
「貴女に嘘はつけないから、仕方ない」
立ち話もなんなのだけれど、と前置きした後で、ラディスは続ける。
「一応、殿下と呼ばれる立場ではあるかな。 でも、私は第五王子だし、王位継承権だって五番目。 うちの王室は子だくさんだからその辺は気にしなくていいと思うよ」
そう言われて、シィーファは納得した。
それもそうだ。
ラディスがどこかの国の王子様だったからと言って、シィーファとラディスの関係は何が変わるだろう。
シィーファはラディスがシィーファを身請けしたことを、【一時的】な【退屈しのぎ】の【お遊び】がしたいのだろうと理解している。
つまり、シィーファとラディスは恋仲でも何でもないし、シィーファは世間で言うところの【商売女】なのだ。
ラディスがシィーファに騙され、手玉に取られた、ということならば、醜聞にも何もならないのである。
加えて、シィーファは【石女の一族】だから、子を身籠る心配もない。
周囲がシィーファを、【性教育係】と見るか、ラディスをかどわかした【商売女】と見るかはわからないが、それはそれで誰かがラディスを正してくれるだろう。
「…わかりました」
案外、シィーファがお役御免になる日も遠くないのかもしれない。
そう思ったから、シィーファは頷いたのだが、なぜかラディスは物言いたげな視線を、シィーファへと向けている。
何か言いたそうなのに、何も言われない、というのも気持ちが悪いものらしい。
だから、訊くつもりはなかったのに、訊いてしまったのだ。
「どうされました?」
「…いや、少し違う理解をされたような気がしたから」
じっ…とシィーファを見つめたまま、ラディスはそんな風に言った。
視線だけでなく、その言い方も何だか気持ちが悪い。
いや、ラディスの視線や言い方が気持ち悪いわけではないのだ。
言いたいことがあるはずなのに、言ってこない、もやもや感というのだろうか。
それが、すごく、気持ちが悪い。
だが、ラディスは言わないことに対して全く気持ちが悪くないのか、再びそっとシィーファの手を掴んできた。
「まあ、そんなことより、慣れない移動で疲れているよね。 少し休もう。 喉が渇いたから、お茶に付き合ってくれる?」
「…そういうことでしたら」
ラディスの言葉に応じながら、シィーファは思う。
ラディスはこういった言葉の使い方が上手い、というか、ずるい。
例えば、「喉が渇いていない? お茶にしよう」とでも言われれば、シィーファは「お気遣いはありがたいのですが…」と濁しただろう。
だが、ラディスは、「(自分の)喉が渇いたから、お茶に付き合ってくれる?」と訊くのだ。
さしものシィーファでも、どこぞの国の王子様であるというラディスに、「おひとりでどうぞ」と言ってのける勇気は持ち合わせていない。
仮に、「わたしは結構です」と言ったとしても、ラディスは「私ひとりでお茶をしても楽しくないからね」とでも言いそうだ。
どこぞの国の王子様に、シィーファ如きの為に、喉の渇きを――本当かどうかは別にせよ――我慢させるのか? という問いに、シィーファは即決で【否】という答えを出したのだった。
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