上 下
55 / 55
【後日談】

シャルデル伯爵夫人の懊悩② *

しおりを挟む
 迎えた朝。 リシアは気だるさのままにぼんやりとしていた。
 身体が重いのは気だるさのためだけではなく、ディアヴェルの腕に拘束されているからか。 ディアヴェルは、リシアの背後からリシアを抱きしめたままで、眠っているらしい。
 眠っているのにリシアを離さないなんて、本当にこのひとは、リシアを愛してくれている。

 あのあと結局、何度か気持ちよくなって…その後の記憶がない。 ということは寝落ちしてしまったのだろうか。
 そんなことを考えていると、脚の間に違和感を覚えて、リシアの目は一気に覚める。
「っ…!?」


 もしや、と思った。
 そういえば昨夜、ディアヴェルはそんなことを言っていたかもしれない。
 一度、貴女の中に埋め込んで、貴女に包まれたままで朝を迎えてみたかったんだ、とかなんとか。
 冗談だと思っていたのだが、これは、本当に、昨夜あのまま寝たらしい。
 そこまでは、まだ、いい。

 けれど、どうしてこんなに大きくなっているの…!?
 落ち着かなくて、ディアヴェルに抱きしめられている不自由さの中でも、自分の中に居座るそれをなんとか抜こうと奮闘する。
 だが、それが刺激となったのか、リシアの中にいる彼が更に首をもたげた。


「っ…」
 びく、とリシアが反応すれば、背後から掠れて色っぽい声が聞こえる。
「…リシア…気持ち、い…」
 リシアは真っ赤になる。
 これは、ディアヴェルを起こした方が早い、とリシアはぺちぺちと絡みつく腕を叩いた。


「お、起きて、起きて貴方っ」
「ん…?」
 まだ寝惚けているらしいディアヴェルは、更にきつくリシアを抱きこむ。
 ぐり、と奥に彼の先端が押し付けられるようにされて、リシアはのけ反った。
「わ、わたし、こんな、のっ…ぁ、あ」
 リシアのなかが、きゅうう、とディアヴェルを締めつけたのだろう。


「っ」
 息を呑んで、ディアヴェルの身体が、びくっとした。
 その後、しばしの間があったので、リシアはそっとディアヴェルを呼んだ。
「ディアヴェル、起きた…? …その、おはよう?」


 リシアが肩越しに振り返ろうとするより早く、視界にディアヴェルの白金の髪が映る。
 ディアヴェルは項垂れるようにして、リシアの肩口に顔を埋めたようだった。
 そのせいか、ディアヴェルの声がぼそぼそと聞こえる。


「…おはよう。 …ごめん、リシア。 これは、その…ちょっとした、生理現象で」
「…?」
 何が、生理現象なのだろう。
 リシアが疑問符を浮かべていると、ディアヴェルはリシアの肩口に顔を埋めたままで続けた。
「…朝勃ち、っていうんだ。 目が覚めるとこうなってることが…、男なら、ある。 ここ数年はなかったんだけど」
 もごもごと言う様子に、照れているのだろうか、考える。


 ディアヴェルは何か吹っ切れたように顔を上げたかと思えば、これみよがしにはふぅと悩ましげな吐息を洩らした。
「リシアの中がよすぎて、起きなきゃ、っていう気分になったんだなきっと」
 うん、うん、と頷いているディアヴェルに、何か嫌な予感がする。
「ま、まって、ぁ」
 その嫌な予感は当たっていたようで、ディアヴェルはリシアを後ろから抱きしめたままでぐっと腰を押し付けてきた。


 ぐりぐりっとなかに強い刺激が与えられて、リシアは思わず手で口を塞ぐ。
「朝からリシアをよくできるよ? 俺も気持ちいいし」
「ん、ぅ」
 ゆったりと腰を遣い始めるディアヴェルに、リシアはふるふると首を振るが、どうやらディアヴェルはそれを見なかったことにするつもりのようだ。


「リシアの中も、きゅうきゅうしてる。 いいよね?」
 愛され過ぎて困る、なんて、誰にも相談できない悩みだ、と思うリシアであった。

しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

大事な姫様の性教育のために、姫様の御前で殿方と実演することになってしまいました。

水鏡あかり
恋愛
 姫様に「あの人との初夜で粗相をしてしまうのが不安だから、貴女のを見せて」とお願いされた、姫様至上主義の侍女・真砂《まさご》。自分の拙い閨の経験では参考にならないと思いつつ、大事な姫様に懇願されて、引き受けることに。  真砂には気になる相手・檜佐木《ひさぎ》がいたものの、過去に一度、檜佐木の誘いを断ってしまっていたため、いまさら言えず、姫様の提案で、相手役は姫の夫である若様に選んでいただくことになる。  しかし、実演の当夜に閨に現れたのは、檜佐木で。どうも怒っているようなのだがーー。 主君至上主義な従者同士の恋愛が大好きなので書いてみました! ちょっと言葉責めもあるかも。

慰み者の姫は新皇帝に溺愛される

苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。 皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。 ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。 早速、二人の初夜が始まった。

社畜魔法使いは獣人彼氏に甘やかされる

山吹花月
恋愛
仕事の後は獣人彼氏といちゃ甘スキンシップ。 我慢できなくなった獣人彼氏にとろとろに甘やかされる。 ◇ムーンライトノベルズ様へも掲載しております。

[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。

ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい えーー!! 転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!! ここって、もしかしたら??? 18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界 私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの??? カトリーヌって•••、あの、淫乱の••• マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!! 私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い•••• 異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず! だって[ラノベ]ではそれがお約束! 彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる! カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。 果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか? ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか? そして、彼氏の行方は••• 攻略対象別 オムニバスエロです。 完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。 (攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)   

【R18】軍人彼氏の秘密〜可愛い大型犬だと思っていた恋人は、獰猛な獣でした〜

レイラ
恋愛
王城で事務員として働くユフェは、軍部の精鋭、フレッドに大変懐かれている。今日も今日とて寝癖を直してやったり、ほつれた制服を修繕してやったり。こんなにも尻尾を振って追いかけてくるなんて、絶対私の事好きだよね?絆されるようにして付き合って知る、彼の本性とは… ◆ムーンライトノベルズにも投稿しています。

【R18】今夜、私は義父に抱かれる

umi
恋愛
封じられた初恋が、時を経て三人の男女の運命を狂わせる。メリバ好きさんにおくる、禁断のエロスファンタジー。 一章 初夜:幸せな若妻に迫る義父の魔手。夫が留守のある夜、とうとう義父が牙を剥き──。悲劇の始まりの、ある夜のお話。 二章 接吻:悪夢の一夜が明け、義父は嫁を手元に囲った。が、事の最中に戻ったかに思われた娘の幼少時代の記憶は、夜が明けるとまた元通りに封じられていた。若妻の心が夫に戻ってしまったことを知って絶望した義父は、再び力づくで娘を手に入れようと──。 【共通】 *中世欧州風ファンタジー。 *立派なお屋敷に使用人が何人もいるようなおうちです。旦那様、奥様、若旦那様、若奥様、みたいな。国、服装、髪や目の色などは、お好きな設定で読んでください。 *女性向け。女の子至上主義の切ないエロスを目指してます。 *一章、二章とも、途中で無理矢理→溺愛→に豹変します。二章はその後闇落ち展開。思ってたのとちがう(スン)…な場合はそっ閉じでスルーいただけると幸いです。 *ムーンライトノベルズ様にも旧バージョンで投稿しています。 ※同タイトルの過去作『今夜、私は義父に抱かれる』を改編しました。2021/12/25

悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~

一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、 快楽漬けの日々を過ごすことになる! そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

皇帝陛下は皇妃を可愛がる~俺の可愛いお嫁さん、今日もいっぱい乱れてね?~

一ノ瀬 彩音
恋愛
ある国の皇帝である主人公は、とある理由から妻となったヒロインに毎日のように夜伽を命じる。 だが、彼女は恥ずかしいのか、いつも顔を真っ赤にして拒むのだ。 そんなある日、彼女はついに自分から求めるようになるのだが……。 ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

処理中です...