【R18】レイナール夫人の華麗なる転身

環名

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【シャルデル伯爵の房中】

8.レイナール夫人の幸福 *

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 もう、何度達しただろう。
 頭がぼんやりとしている。
 けれど、ディアヴェルが達していないことは理解していた。


 腰を揺らすディアヴェルの、抽送の速度が上がる。 は、とディアヴェルは甘い息をついた。
「っ…リシア…俺、でそう…」
 リシアが視線を上げると、ディアヴェルの菫青石の瞳が、リシアを見つめている。
きそ…。 …達って、いい…?」


 なんとなく、それは、このままリシアの中で果ててもいいか、という問いのように感じられた。
 ディアヴェルが、それを、自分に与えてくれると言っている。そのことが、とても嬉しかった。
「ん…きて…? ちょうだい…? 赤ちゃん、の、たね」
「リシア、そんなに、締めたらっ…いくっ…ぅ」


「ぁっ…!」
 ぐりっと最奥に突き入れられると共に、ディアヴェルが動きを止めた。
 ぶるるっと胴震いしたかと思うと、自分の中に熱が広がってリシアも震える。


 快感と熱の波が去り、ほっと息をついたリシアは、自分のお腹にそっと手を当てて、ゆっくりと瞼を持ち上げる。
 まだ、軽く息を乱している、ディアヴェルの顔がある。 しどけない色気を纏わせたディアヴェルは、素敵だった。


「…終わった、の…?」
 リシアが確認すると、ディアヴェルは、優しい微苦笑を浮かべる。


「本当は、終わりたくなかった」
 どこか切なげに告げたディアヴェルに、リシアは違和感を覚えるも、与えられる優しいキスに違和感のことなど忘れてしまった。
 まだ繋がったままのディアヴェルが手を伸ばす。
 冷静になれば、ベッドの上には脱ぎ散らかされた衣服があり、リシアは頬を染めた。
 それがなんとなく、彼の余裕のなさの現れのような気がしたからだ。


 ディアヴェルの身につけていたベストはベッドの上の比較的近くにあったようで、彼の手はそれを取る。
 そして、胸元のポケットからハンカチーフを引き抜くと、ベストをベッドの外に投げ捨てた。
 何をするのだろう、と見ていると、彼はゆっくりと力を失った自身をリシアの中から引き抜いて行く。
「ん」
 彼が、自分の中から出ていく感覚に、リシアは震える。


 続いて、とろぉ…と彼が出て行ったところから何かが溢れる感じがして、はっとする。
 月のものが来てしまったのだろうか、と慌てて閉じようとすると、臀部に布が触れる感触がした。
 見れば、先ほどのハンカチが、リシアの秘所にあてられている。


「や、だめ、月の、もの」
「月のものではありませんよ」
 さらっとディアヴェルが言うので、リシアはきょとんとする。
 月のものではない、ということは、何だろう。
 ディアヴェルが、【蜜】と言っていたものだろうか。


「閉じないで、見せて。 拭いてあげるから」
 リシアはぼっと赤くなった。
「や…恥ずかしい…」
 初めてのときから、そうだ。 彼は、自分の身体を清めたがる。


 そういえば、初めてのあのときも、ディアヴェルに同じことをされたような気がしないでもない。
 色々と大変だったことと、欲しいものを与えてもらった安堵感で、リシアは実は終わる前後の記憶が曖昧だ。


 ぐ、とリシアの脚を押さえたディアヴェルが、臀部から秘所にかけてゆったりとハンカチーフを滑らせながらうっとりと笑む。
「ふふ。 俺の、…たくさん溢れていますね…。 シーツにまで、滴って…」
「貴方、の?」
 リシアは目を瞬かせる。


 今、ディアヴェルが清めてくれているのは、リシアの【蜜】ではないのか。
 ふっと、ディアヴェルは笑んだ。
「俺の、子胤です」
「ぇ、やだ、どうしよう」
 リシアは慌てる。


 けれど、ディアヴェルはそれを別の意味で取ったらしい。
「今さらですよ? リシア…貴女の愛液で、濡れているところもありますからね」
 さらりとシーツに触れたディアヴェルの指先に、リシアの色々がシーツを汚しているのかと、恥ずかしくなる。


 赤ちゃんの種というのは、種子のようなものではなく、液体らしい。
 それが、零れて行ってしまうのがいやだった。
 とても恥ずかしい格好になったことにも、そのときのリシアは気づかなかった。
 自分で、自分の秘孔に触れれば、ぬるり、とする。


「ああ、だめですよ。 触ったら、汚れます」
 リシアの手を取って、拭こうとするディアヴェルに、リシアは聞いた。
「…これ、貴方の、赤ちゃんの種?」


 白くて、少しねばり気がある。
 リシアの身体の中から出てすぐだからか、ほのかに温かい感じもした。


「…嬉しい」
 ほっとして呟けば、ぎゅう、と身体を抱きしめられる。
 そのぬくもりが心地よくて、リシアはゆるゆると瞼を下ろした。
「俺の、リシア…」
 幸福なまどろみのなかで、リシアはディアヴェルの甘い声を聞いた、と思った。

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