40 / 55
【シャルデル伯爵の房中】
8.レイナール夫人の幸福 *
しおりを挟む
もう、何度達しただろう。
頭がぼんやりとしている。
けれど、ディアヴェルが達していないことは理解していた。
腰を揺らすディアヴェルの、抽送の速度が上がる。 は、とディアヴェルは甘い息をついた。
「っ…リシア…俺、でそう…」
リシアが視線を上げると、ディアヴェルの菫青石の瞳が、リシアを見つめている。
「達きそ…。 …達って、いい…?」
なんとなく、それは、このままリシアの中で果ててもいいか、という問いのように感じられた。
ディアヴェルが、それを、自分に与えてくれると言っている。そのことが、とても嬉しかった。
「ん…きて…? ちょうだい…? 赤ちゃん、の、たね」
「リシア、そんなに、締めたらっ…いくっ…ぅ」
「ぁっ…!」
ぐりっと最奥に突き入れられると共に、ディアヴェルが動きを止めた。
ぶるるっと胴震いしたかと思うと、自分の中に熱が広がってリシアも震える。
快感と熱の波が去り、ほっと息をついたリシアは、自分のお腹にそっと手を当てて、ゆっくりと瞼を持ち上げる。
まだ、軽く息を乱している、ディアヴェルの顔がある。 しどけない色気を纏わせたディアヴェルは、素敵だった。
「…終わった、の…?」
リシアが確認すると、ディアヴェルは、優しい微苦笑を浮かべる。
「本当は、終わりたくなかった」
どこか切なげに告げたディアヴェルに、リシアは違和感を覚えるも、与えられる優しいキスに違和感のことなど忘れてしまった。
まだ繋がったままのディアヴェルが手を伸ばす。
冷静になれば、ベッドの上には脱ぎ散らかされた衣服があり、リシアは頬を染めた。
それがなんとなく、彼の余裕のなさの現れのような気がしたからだ。
ディアヴェルの身につけていたベストはベッドの上の比較的近くにあったようで、彼の手はそれを取る。
そして、胸元のポケットからハンカチーフを引き抜くと、ベストをベッドの外に投げ捨てた。
何をするのだろう、と見ていると、彼はゆっくりと力を失った自身をリシアの中から引き抜いて行く。
「ん」
彼が、自分の中から出ていく感覚に、リシアは震える。
続いて、とろぉ…と彼が出て行ったところから何かが溢れる感じがして、はっとする。
月のものが来てしまったのだろうか、と慌てて閉じようとすると、臀部に布が触れる感触がした。
見れば、先ほどのハンカチが、リシアの秘所にあてられている。
「や、だめ、月の、もの」
「月のものではありませんよ」
さらっとディアヴェルが言うので、リシアはきょとんとする。
月のものではない、ということは、何だろう。
ディアヴェルが、【蜜】と言っていたものだろうか。
「閉じないで、見せて。 拭いてあげるから」
リシアはぼっと赤くなった。
「や…恥ずかしい…」
初めてのときから、そうだ。 彼は、自分の身体を清めたがる。
そういえば、初めてのあのときも、ディアヴェルに同じことをされたような気がしないでもない。
色々と大変だったことと、欲しいものを与えてもらった安堵感で、リシアは実は終わる前後の記憶が曖昧だ。
ぐ、とリシアの脚を押さえたディアヴェルが、臀部から秘所にかけてゆったりとハンカチーフを滑らせながらうっとりと笑む。
「ふふ。 俺の、…たくさん溢れていますね…。 シーツにまで、滴って…」
「貴方、の?」
リシアは目を瞬かせる。
今、ディアヴェルが清めてくれているのは、リシアの【蜜】ではないのか。
ふっと、ディアヴェルは笑んだ。
「俺の、子胤です」
「ぇ、やだ、どうしよう」
リシアは慌てる。
けれど、ディアヴェルはそれを別の意味で取ったらしい。
「今さらですよ? リシア…貴女の愛液で、濡れているところもありますからね」
さらりとシーツに触れたディアヴェルの指先に、リシアの色々がシーツを汚しているのかと、恥ずかしくなる。
赤ちゃんの種というのは、種子のようなものではなく、液体らしい。
それが、零れて行ってしまうのがいやだった。
とても恥ずかしい格好になったことにも、そのときのリシアは気づかなかった。
自分で、自分の秘孔に触れれば、ぬるり、とする。
「ああ、だめですよ。 触ったら、汚れます」
リシアの手を取って、拭こうとするディアヴェルに、リシアは聞いた。
「…これ、貴方の、赤ちゃんの種?」
白くて、少しねばり気がある。
リシアの身体の中から出てすぐだからか、ほのかに温かい感じもした。
「…嬉しい」
ほっとして呟けば、ぎゅう、と身体を抱きしめられる。
そのぬくもりが心地よくて、リシアはゆるゆると瞼を下ろした。
「俺の、リシア…」
幸福なまどろみのなかで、リシアはディアヴェルの甘い声を聞いた、と思った。
頭がぼんやりとしている。
けれど、ディアヴェルが達していないことは理解していた。
腰を揺らすディアヴェルの、抽送の速度が上がる。 は、とディアヴェルは甘い息をついた。
「っ…リシア…俺、でそう…」
リシアが視線を上げると、ディアヴェルの菫青石の瞳が、リシアを見つめている。
「達きそ…。 …達って、いい…?」
なんとなく、それは、このままリシアの中で果ててもいいか、という問いのように感じられた。
ディアヴェルが、それを、自分に与えてくれると言っている。そのことが、とても嬉しかった。
「ん…きて…? ちょうだい…? 赤ちゃん、の、たね」
「リシア、そんなに、締めたらっ…いくっ…ぅ」
「ぁっ…!」
ぐりっと最奥に突き入れられると共に、ディアヴェルが動きを止めた。
ぶるるっと胴震いしたかと思うと、自分の中に熱が広がってリシアも震える。
快感と熱の波が去り、ほっと息をついたリシアは、自分のお腹にそっと手を当てて、ゆっくりと瞼を持ち上げる。
まだ、軽く息を乱している、ディアヴェルの顔がある。 しどけない色気を纏わせたディアヴェルは、素敵だった。
「…終わった、の…?」
リシアが確認すると、ディアヴェルは、優しい微苦笑を浮かべる。
「本当は、終わりたくなかった」
どこか切なげに告げたディアヴェルに、リシアは違和感を覚えるも、与えられる優しいキスに違和感のことなど忘れてしまった。
まだ繋がったままのディアヴェルが手を伸ばす。
冷静になれば、ベッドの上には脱ぎ散らかされた衣服があり、リシアは頬を染めた。
それがなんとなく、彼の余裕のなさの現れのような気がしたからだ。
ディアヴェルの身につけていたベストはベッドの上の比較的近くにあったようで、彼の手はそれを取る。
そして、胸元のポケットからハンカチーフを引き抜くと、ベストをベッドの外に投げ捨てた。
何をするのだろう、と見ていると、彼はゆっくりと力を失った自身をリシアの中から引き抜いて行く。
「ん」
彼が、自分の中から出ていく感覚に、リシアは震える。
続いて、とろぉ…と彼が出て行ったところから何かが溢れる感じがして、はっとする。
月のものが来てしまったのだろうか、と慌てて閉じようとすると、臀部に布が触れる感触がした。
見れば、先ほどのハンカチが、リシアの秘所にあてられている。
「や、だめ、月の、もの」
「月のものではありませんよ」
さらっとディアヴェルが言うので、リシアはきょとんとする。
月のものではない、ということは、何だろう。
ディアヴェルが、【蜜】と言っていたものだろうか。
「閉じないで、見せて。 拭いてあげるから」
リシアはぼっと赤くなった。
「や…恥ずかしい…」
初めてのときから、そうだ。 彼は、自分の身体を清めたがる。
そういえば、初めてのあのときも、ディアヴェルに同じことをされたような気がしないでもない。
色々と大変だったことと、欲しいものを与えてもらった安堵感で、リシアは実は終わる前後の記憶が曖昧だ。
ぐ、とリシアの脚を押さえたディアヴェルが、臀部から秘所にかけてゆったりとハンカチーフを滑らせながらうっとりと笑む。
「ふふ。 俺の、…たくさん溢れていますね…。 シーツにまで、滴って…」
「貴方、の?」
リシアは目を瞬かせる。
今、ディアヴェルが清めてくれているのは、リシアの【蜜】ではないのか。
ふっと、ディアヴェルは笑んだ。
「俺の、子胤です」
「ぇ、やだ、どうしよう」
リシアは慌てる。
けれど、ディアヴェルはそれを別の意味で取ったらしい。
「今さらですよ? リシア…貴女の愛液で、濡れているところもありますからね」
さらりとシーツに触れたディアヴェルの指先に、リシアの色々がシーツを汚しているのかと、恥ずかしくなる。
赤ちゃんの種というのは、種子のようなものではなく、液体らしい。
それが、零れて行ってしまうのがいやだった。
とても恥ずかしい格好になったことにも、そのときのリシアは気づかなかった。
自分で、自分の秘孔に触れれば、ぬるり、とする。
「ああ、だめですよ。 触ったら、汚れます」
リシアの手を取って、拭こうとするディアヴェルに、リシアは聞いた。
「…これ、貴方の、赤ちゃんの種?」
白くて、少しねばり気がある。
リシアの身体の中から出てすぐだからか、ほのかに温かい感じもした。
「…嬉しい」
ほっとして呟けば、ぎゅう、と身体を抱きしめられる。
そのぬくもりが心地よくて、リシアはゆるゆると瞼を下ろした。
「俺の、リシア…」
幸福なまどろみのなかで、リシアはディアヴェルの甘い声を聞いた、と思った。
1
お気に入りに追加
392
あなたにおすすめの小説
腹黒宰相との白い結婚
黎
恋愛
大嫌いな腹黒宰相ロイドと結婚する羽目になったランメリアは、条件をつきつけた――これは白い結婚であること。代わりに側妻を娶るも愛人を作るも好きにすればいい。そう決めたはずだったのだが、なぜか、周囲が全力で溝を埋めてくる。


冷徹義兄の密やかな熱愛
橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。
普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。
※王道ヒーローではありません


【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

騎士団長のアレは誰が手に入れるのか!?
うさぎくま
恋愛
黄金のようだと言われるほどに濁りがない金色の瞳。肩より少し短いくらいの、いい塩梅で切り揃えられた柔らかく靡く金色の髪。甘やかな声で、誰もが振り返る美男子であり、屈強な肉体美、魔力、剣技、男の象徴も立派、全てが完璧な騎士団長ギルバルドが、遅い初恋に落ち、男心を振り回される物語。
濃厚で甘やかな『性』やり取りを楽しんで頂けたら幸いです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる