【R18】レイナール夫人の華麗なる転身

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【シャルデル伯爵の術中】

3.レイナール夫人の抵抗 *

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「まずは、この綺麗な背中は、他の男には見せたくありませんね」
「あっ…んん、ん」
 熱い唇が背中の中心よりわずか下に触れる。 そして、きつく吸った。
 ぞくぞくする。 力が入らなくて、甘ったるい声が出てしまう。
「だめぇ…」
 リシアが訴えると、唇が離れてほっと息をつく。


 だが、つっと指先がリシアの背筋を辿り、一点で止まった。
 それは、さきほどきつく吸われて、じんじんしているところだ。
「綺麗につきましたね。 赤い痕が淫らだ」
 何が、ついたと言われたのかはわからなかった。 けれど、シャルデル伯爵の唇の感触を強く意識するのが嫌で、リシアはわずかに振り返って首を振る。
「お願い、もう止めて」


 そうすれば、シャルデル伯爵は一瞬目を見張った後で、何かを堪えるように眉根を寄せた。
 そして、リシアの肩を掴んで身体をひっくり返し、リシアは身体の表をシャルデル伯爵に晒すこととなって慌てて押さえた。 乱れた裾もかき合せる。
 リシアの首筋に、シャルデル伯爵の指先が触れた。


「華奢な首筋…鎖骨…胸元…」
 言いながら、肌を滑る指先に、リシアは反応せずにはいられない。
「本当は見せたくないのですが、夜会着ではそうも言っていられませんから…。 ああ、でも」
「あ」
 シャルデル伯爵の唇が、胸元に触れて、リシアはびくり、と震える。


 ちゅ、ちゅ、と優しくキスをしながら肌を辿っていく唇に、力が抜けてしまったのかもしれない。
 いつの間にか胸を隠していた右手を取り去られていた。
「貴女のここを、俺以外の誰かが見たり、触れたりするのは許し難い…」
 気づけば、シャルデル伯爵の唇がリシアの乳房を這っており、舌先でその頂を刺激しされた。 びくっと過剰な反応を示したことが恥ずかしくて、語調が強くなる。
「っ…そんなこと、しなくてもっ…」


「感じていらっしゃるのに?」
 笑んだシャルデル伯爵は、まるで悪びれない様子で、リシアの胸の先端を口に含んで吸い上げる。
 時折、舌先で転がされ、そこもじんじんしている。
「っ…」
「ここは、俺の特別に好きな場所だ…」
 そこが、リシアの弱いところだということは、熟知されているのだろう。
 執拗にそこを攻められ、じわり、と脚の間が熱くなる。


 そこは、ディアヴェルの愛撫に感じ切って、恥ずかしいくらいに尖ってしまっている。 まるで、もっとと訴えているようだ。
 再び尖ったそこを吸い上げたディアヴェルの指が、ある一点でとまる。
「この辺だったら見えませんかね」
「っく…」


 胸の谷間に顔を埋められて、きつく吸われた。
 じんじんとする胸の谷間を見ると、赤い花びらのような痕がついている。 まるで、内出血のように。
 思い出さなければよかったのに、【マーキング】という言葉を思い出してしまう。
 これは、シャルデル伯爵のつけた、シャルデル伯爵のものというしるしか。
 そう思えば、顔がぼっと熱くなった。


 リシアの様子になど気づかぬようで、シャルデル伯爵の唇はそのまま肌を辿って薄い腹へと下りていく。
「あ…だめ、そこ」
 思わず、びくり、と震えてしまった。
 顔を上げたシャルデル伯爵は、軽く目を見張っていた。


「…ここ、お好きなのですか? いいことを知った」
 リシアが頬を染めると、シャルデル伯爵は笑む。
「脇腹が弱いのは存じていましたが…ここもですか。 なら、キスして差し上げる」
「ぇ、やっ…」
 ちゅうう、と臍の横の辺りをきつく吸われて、リシアは震えた。
 けれど、これくらいなら我慢できそうだとほっとしていると、シャルデル伯爵の尖らせた舌が、臍をねろねろと刺激する。


 ぞわぞわっとした何かが、お腹の奥から生まれて、リシアは逃れようとする。 だが、身悶えするリシアを、シャルデル伯爵の身体と腕が押さえこんだ。
「や、ぁっ………!」
 抑えようと思った声は抑えられずに、甘い響きで自分の耳に届く。


 びくっびくっと二三度身体を跳ねさせたリシアは、その後くたっと脱力した。
「ふふ、俺の唇に嬲られた跡が、淫らですね…。 いい眺めだ」
 笑みを含んで、シャルデル伯爵の声が甘く揺れる。
 恨めしいという思いを眼差しに込めて、シャルデル伯爵を見たのだが、それが彼にはどう映ったのだろう。
 恍惚とした笑みを返されてしまった。


「ああ、でも、一番大事なところがまだでしたか」
「え…」
 嫌な予感、と思った瞬間に、かぱりと脚を拡げられて、リシアはぎょっとする。
 驚きすぎると、人間は咄嗟に反応ができないものなのだ。
 硬直しているうちに、右の太腿の内側に口づけられた。
「ぁっ…」
 その、熱く湿った感触に、金縛りが解かれて、リシアはびくりと反応する。


 膝に近い位置に吸いついていた唇が離れると、赤い花弁が目に入ってリシアは顔面に熱が集まるのを感じた。
 そんなリシアの様子にも、シャルデル伯爵は楽しげに笑むばかり。
 ちろり、と見せつけるように赤い痕を舌先で舐める。
「んー、とりあえず、ここに一つ、と…脚の付け根にもひとつ、つけておきましょうか」
 つ、と指が滑って、脚の付け根に触れる。


「だめ、お願い、やめて」
 リシアが懇願するも、シャルデル伯爵はうっとりと菫青石の瞳を細めて笑む。
 まるで、リシアの声など届いていないかのように。
「ここ、ね。 実は、すごくすきなんです。 …知っています? 貴女の身体…ここにしか、黒子、ないのですよ」
「んっ…」
 言い終わるか否かで、シャルデル伯爵はリシアの右脚の付け根に吸いついた。


 きつく吸われるのを堪えて、シャルデル伯爵の顔が唇が離れた後にそこを見れば、黒子を中心として赤い痣がついている。
 そんなところに、黒子があるなど、知らなかった。
 こんなの、もう無理、とリシアは息を乱す。 視界も潤むような気がした。


 けれど、潤んでいたのは視界ばかりではなかったらしい。
 シャルデル伯爵の視線が、リシアの脚の間に留まり、細められる。
「…リシア…何か甘酸っぱい香りがしますよ…? 湿っていますね…。 まだ、触れてもいないのに…」
 つ、とシャルデル伯爵の不埒な指先が、あられもない場所に触れる。


 じわ、と熱い何かがショーツに染み込む感じがして、リシアはかぁぁぁぁと赤くなる。
「お願い、見ないで…。 もう、やめて」
 羞恥に顔を覆うと、悩ましげな溜息が聞こえた。
「…リシア…こんなに濡らして…。 そんなに俺が欲しい…?」


「ちがう…。 身体が、変なの…。 欲しくなんて、ないもの…」
 リシアは、顔を覆ったままで小さくいやいやと頭を振った。
 欲しい、なんて言っていない。


 これ以上、惹かれてはならないひとなのだ。
 こんなことは、望んでいない、のに。
 心のどこかは、触れられることに歓んでいて、そのことがとても浅ましい。
 こんな自分、知られたくはないのに。

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