【R18】レイナール夫人の華麗なる転身

環名

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【シャルデル伯爵との出逢い】

4.シャルデル伯爵の結論

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 だというのに。
 ディアヴェルは目の前の、夫婦だという男女を凝視する。


 彼女が、他の男の妻だったなんて、ありえない。
 否、あり得て欲しくないし、信じたくないし、信じられない。


 彼女の隣に立つ夫と彼女とは、親と子ほど年が離れているのでは、と思えた。
 そして、彼女の隣に立つ夫を見た瞬間にディアヴェルは、彼女が自分を子どもの父親として欲した理由を理解したのである。


 彼女の夫の髪は、元は金髪だったのだろうが、白髪が混じって白金の如く見える。 瞳は、角度に寄って深い青、角度によっては紫味が強くも見える、珍しいと言われる、菫青石。
 ディアヴェルの髪は、白金。 瞳は、菫青石。


 彼女は、自分に触れてくれない夫と、同じ色彩を持つ父親を探していたのだ。
 触れてくれない、というのは、ディアヴェルの想像でしかないが、彼女が既婚者でありながら処女だったのは、そういう理由だろう。


 ディアヴェルが彼女に感じた直感や、運命を、彼女は微塵も感じていなかった。
 あるいは、子の父としては、感じていたのかもしれない。
 けれど、それは、名乗りを上げられない父親だ。 だから、行きずりの男が欲されたのだろう。


 自分が子胤を与えないことでの、他の男との関係を懸念する必要などなかったのだ。
 ディアヴェルの知る限りではあるが、目の前の男以外に、同じ色の瞳を持つ人物に会ったことはない。


 憎いのか、愛しいのか。 怒りなのか、わからない。


 どうしたら、彼女は自分のものになるのか。
 どうしたら、あの美しい瞳に、ディアヴェルだけを映してくれるようになるのか。


 煩悶としながら酒を煽っていたディアヴェルは、極論に走る。


 それならば、やはり、彼女に自分の子を孕んでもらって、シャルデル伯爵家の嫁として迎え入れてしまえばいいのだ。

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