【R18】レイナール夫人の華麗なる転身

環名

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【シャルデル伯爵との出逢い】

3.シャルデル伯爵の策略 *

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 ベッドに入って、早急にならないよう自身を叱咤しながら、慎重に事を進めていたのだが、女の口から戸惑いの声が上がった。
「…ま、待って…こんなこと、するの…?」
「…貴女の身体の中に、新しい命は宿るのでしょう? 触れずに、子どもを授かることはできませんよ?」
 裸体を隠そうとする腕を、やんわりとディアヴェルは拡げる。


「隠さないで…とても、きれいだ…」
 初めての相手に、自分を選んでくれた上、子どもまでほしいと言ってくれているのだ。
 身体が、熱くなる。
 抱きたくて、堪らないと、男性が主張を始めている。


 それくらいに、彼女の身体は、魅力的だった。
 ディアヴェルの好みだった、と言った方がいいだろうか。
 見たいけれど、見るよりも触れたくなって、ディアヴェルは彼女の唇を吸う。
 唾液の出方も、ディアヴェルの好みだ。 味も。


 白い肌は、口づければ容易く痕がつくだろう。 肌に唇を這わせながらも、その衝動は、なんとか押しとどめる。
 破瓜しているかどうかは見ただけではわからないが、口づけの痕は一見して男の姿を連想させるものだ。


「やわらかい…。 ここはもう、固くなっていらっしゃる。 感じやすいのですね…?」
「ん…」
 豊かなふくらみの、中央の蕾を指先で弄ぶ。
 相当に感じやすい場所のようで、触れる度にびくびくと身体が跳ねる。


 つん、と主張をしている淡色の蕾が可愛らしくて、舌を這わせてから優しく吸い上げる。
 女がふるっと震えて、甘い声が漏れた。
「だめ、そこ…。 あ、吸っても、何も、出ない」
 一度顔を離して、自分の唾液で淫らに濡れ光る蕾を、指先で愛でる。
「ええ…。 ここから、何か出るようにしてほしいのですものね?」


「あ、いや、そんな、ところ」
 ディアヴェルが彼女に触れるたびに、彼女は戸惑いながらも甘い声を上げて、震える。
 そのギャップが、堪らない。


 彼女は、子どもが欲しいと言いながらも、子どもを授かるための行為が、どういうものかも理解していなかったようなのだ。
 何も知らない子どもに、悪いことをしている気分になる。 けれど、彼女の身体は子どもではありえない。


 愛撫に蕩けて、くったりとベッドに身体を横たえた彼女は、言葉では言い表せないほどに扇情的だった。
「…貴女は、ご存じないのかもしれないが…」
 発した声は、欲情のために掠れている。
 もう、繋がりたい。


 ディアヴェルは、猛った己を二三度自身で扱いた後、彼女の綻び始めた蜜口にあてがって擦る。
 そうすれば、ようやく、のろのろとした動きで、女の目がディアヴェルの下肢に向く。
「男と、女は、ここと、ここで繋がって、子どもをつくるのですよ…?」
「っ…」


 ディアヴェルの脚の間で主張するものを、目に留めたのだろう。
 目を見張った彼女の頬が、一瞬にして赤くなる。
 顔を、覆って、隠すように身を捩る様が、堪らなく可愛い。
「ならば、我慢、しますから…、あまり、見ないで…」
 震える声で懇願する彼女に、ぞわっと肌が泡立つ。


 それだけ、子どもが欲しいのか。
 俺の、子どもが。


 ごくり、とディアヴェルは喉を鳴らす。
 彼女の未開の場所に、自身を擦りつけながら、問う。
「…ここ、誰も触れていないのですね…? …俺が、はじめて?」


 わかりきっているはずの答えを、彼女に求めた。
 それは、実感したかったからだ。
 彼女にも言ってもらいたかった。
 自分が、彼女の、初めての男だと。


 ディアヴェルから顔を逸らしたままの彼女は、恥じらうように頷く。
 …可愛い。
 彼女の裸体も、しっとりと汗ばみ、熱くなっている。


 彼女の身体は、彼女との行為は、夢のようだった。 信じられないくらいの、快感と、充足感で。
 中で、果てる必要など、なかったのだ。


 いくら、彼女がそれを欲しがったとしても、ディアヴェルには背負うものがある。 簡単に、騒動の火種となりうるものを、まき散らすわけにはいかない。
 常には、いつも、相手の身体の上に、出していたというのに。


 自分がそれを与えなかったことで、彼女が、他の男に子胤をせがむ様を想像すると、焦げ付くような思いがしたのだ。
 彼女が、他の男を、求めることなどないように。
 自分が、彼女に、与えたかった。


 どうしても、彼女の中で果てたくて。 彼女の中に、自分がいたという証を残したくて。
 最奥にとどまったままで、放った。 一滴の残滓も残らず、彼女の中に吐き出して。
 きつく締めつけてくる彼女が可愛すぎて、ずっと彼女の中に留まっていたいとすら思わされた。


「ふっ…」
 彼女の中から自身を引き抜くと、白い糸が引いているのが見えた。
 彼女の蜜口と、自分の鈴口を結ぶ、白い糸に、恍惚とする。
 さほど間を置かずに、とろり、と彼女の中から溢れ出た白濁に、笑みが浮かぶ。


 彼女が孕んでしまえばいい、と。 あのときの自分は、本気で思ったのだ。
 そうすれば、このひとは、ディアヴェルの手の中に堕ちてくる、と。

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