1 / 4
無職で暇
しおりを挟む
『無職』
そう、それは今の俺を指す言葉だ。
働かずゴロゴロと過ごす日が一年続いている。
今のような何もなく、豪遊せず、問題のない日々が続けば、少なくともあと50年は働かないまま生きていける計算になる。
運良く初めてやった賭け事で大盤狂わせの大勝。
そのあとも10の数字を予想して当てる【数十神】と呼ばれるものがある。
誰だこんなクソダサい名前つけたヤツ。
まぁ、それなりに難しいものだから当たれば金額もそれなり凄い。
そして俺の貯金額はえらいことになり、財布の中身もホクホク。
速攻で、あまり好かない職場に退職届を出してきて、家でダラダラした日々をスタートさせた。
だが、働かず、家でダラダラと本を読んだり、家の隅々まで掃除するのにも流石に飽きた。
家の外へと行けばそれなりに娯楽はたくさんあるだろうが、人混みは得意じゃないし、面倒な奴等だっている。何か俺がハマるようなモノがあれば衝動的に買ってしまうかもしれない。そんな事ばかりしてたら50年働かないで生活という計算事態がパァだ。
「なんかやるかな…働くのは無しだけど」
独り暮らしをしていると自然と出る独り言。寂しいわけじゃないからな?
ふと立ち上がり、机の上に置いてあるクリスタルを見た。
これは通信機器で、クリスタルには一つ一つ個性があり、その違いを【クリスタルコード】という。
相手と通話する場合は紙に相手のクリスタルコードを書き、その上に自分のクリスタルを置いてから魔力を少し注ぐと通話可能状態になる。
かけている最中は魔力を注ぐ必要はない。切るときはもう一度魔力を注ぐと自動的に切られる。
ちなみにかかってきた場合はただ、クリスタルに魔力を注ぐと繋ぐ事ができる。多少の光とキーンという澄みきった音が響くのが相手から呼び出しのサインだ。
ここ一年あまり使うことがなかった代物だ。
「…有効活用してみる…か」
羊皮紙を机の中から取り出し、思い付くままにとりあえず書き、バッグへ詰め込み、ローブを着て商業ギルドへと向かった。
商業ギルドには誰でも張ることができる掲示板がある。報酬がはっきりしている一度きりの依頼は張れないため、ほとんどが店の宣伝や伝言などだ。
掲示板の隣には係りの者が2人控えており、張りたいものを見せ、下に取り外される日付を記載してもらう。
期間は1週間。だけど、お金を払えば期間は延長することができる。
「あの、1ヶ月でお願いします」
「では、小銀貨5枚となります」
持ってきたお財布の中から小銀貨を5枚枚取り出し係りの人に渡した。
「確かに。ではこちらはお預かりさせていただきます。延長なさる場合は廃棄される前にお越しください。」
それから少しだけ注意事項を聞き、その場を後にした。
華やかさもなく、たいして目立たない羊皮紙は係の者により、掲示板の端の方に張られた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【コードQⅠ】
悩みがある方。知っている人には相談したくない方。ただ自分の話を聞いてほしい方。
クリスタルコードを使って私とお話してみませんか?
お話の内容は外部に流しません。
基本値段としては1時間銅貨5枚です。後は用相談。
【クリスタルコード】
174-◯◯◯◯◯◯◯
注意
・相談と言ってもたいしたアドバイスはできません。期待は絶対にしないでください。聞き手9割、相談1割程度だと思ってください。
・時間により出られないことがあります。
・外部に漏らさないとお約束は致しますが、 もし、不安な場合追加料金で『誓約宣言』を行うことも可能です。
・直接会っての相談は受け付けてはいません。
N488.2.20
____________________
そう、それは今の俺を指す言葉だ。
働かずゴロゴロと過ごす日が一年続いている。
今のような何もなく、豪遊せず、問題のない日々が続けば、少なくともあと50年は働かないまま生きていける計算になる。
運良く初めてやった賭け事で大盤狂わせの大勝。
そのあとも10の数字を予想して当てる【数十神】と呼ばれるものがある。
誰だこんなクソダサい名前つけたヤツ。
まぁ、それなりに難しいものだから当たれば金額もそれなり凄い。
そして俺の貯金額はえらいことになり、財布の中身もホクホク。
速攻で、あまり好かない職場に退職届を出してきて、家でダラダラした日々をスタートさせた。
だが、働かず、家でダラダラと本を読んだり、家の隅々まで掃除するのにも流石に飽きた。
家の外へと行けばそれなりに娯楽はたくさんあるだろうが、人混みは得意じゃないし、面倒な奴等だっている。何か俺がハマるようなモノがあれば衝動的に買ってしまうかもしれない。そんな事ばかりしてたら50年働かないで生活という計算事態がパァだ。
「なんかやるかな…働くのは無しだけど」
独り暮らしをしていると自然と出る独り言。寂しいわけじゃないからな?
ふと立ち上がり、机の上に置いてあるクリスタルを見た。
これは通信機器で、クリスタルには一つ一つ個性があり、その違いを【クリスタルコード】という。
相手と通話する場合は紙に相手のクリスタルコードを書き、その上に自分のクリスタルを置いてから魔力を少し注ぐと通話可能状態になる。
かけている最中は魔力を注ぐ必要はない。切るときはもう一度魔力を注ぐと自動的に切られる。
ちなみにかかってきた場合はただ、クリスタルに魔力を注ぐと繋ぐ事ができる。多少の光とキーンという澄みきった音が響くのが相手から呼び出しのサインだ。
ここ一年あまり使うことがなかった代物だ。
「…有効活用してみる…か」
羊皮紙を机の中から取り出し、思い付くままにとりあえず書き、バッグへ詰め込み、ローブを着て商業ギルドへと向かった。
商業ギルドには誰でも張ることができる掲示板がある。報酬がはっきりしている一度きりの依頼は張れないため、ほとんどが店の宣伝や伝言などだ。
掲示板の隣には係りの者が2人控えており、張りたいものを見せ、下に取り外される日付を記載してもらう。
期間は1週間。だけど、お金を払えば期間は延長することができる。
「あの、1ヶ月でお願いします」
「では、小銀貨5枚となります」
持ってきたお財布の中から小銀貨を5枚枚取り出し係りの人に渡した。
「確かに。ではこちらはお預かりさせていただきます。延長なさる場合は廃棄される前にお越しください。」
それから少しだけ注意事項を聞き、その場を後にした。
華やかさもなく、たいして目立たない羊皮紙は係の者により、掲示板の端の方に張られた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【コードQⅠ】
悩みがある方。知っている人には相談したくない方。ただ自分の話を聞いてほしい方。
クリスタルコードを使って私とお話してみませんか?
お話の内容は外部に流しません。
基本値段としては1時間銅貨5枚です。後は用相談。
【クリスタルコード】
174-◯◯◯◯◯◯◯
注意
・相談と言ってもたいしたアドバイスはできません。期待は絶対にしないでください。聞き手9割、相談1割程度だと思ってください。
・時間により出られないことがあります。
・外部に漏らさないとお約束は致しますが、 もし、不安な場合追加料金で『誓約宣言』を行うことも可能です。
・直接会っての相談は受け付けてはいません。
N488.2.20
____________________
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。
ねんごろ
恋愛
主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。
その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……
毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。
※他サイトで連載していた作品です
信用してほしければそれ相応の態度を取ってください
haru.
恋愛
突然、婚約者の側に見知らぬ令嬢が居るようになった。両者共に恋愛感情はない、そのような関係ではないと言う。
「訳があって一緒に居るだけなんだ。どうか信じてほしい」
「ではその事情をお聞かせください」
「それは……ちょっと言えないんだ」
信じてと言うだけで何も話してくれない婚約者。信じたいけど、何をどう信じたらいいの。
二人の行動は更にエスカレートして周囲は彼等を秘密の関係なのではと疑い、私も婚約者を信じられなくなっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる