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第1章 偽りの騎士
第8話 緊急速報 2
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アザレアの説明は、思わず耳を疑ってしまうものだった。
「端的に言うと、日進月歩の復興が進んでおります」
「……どういう意味だ?」
アデルの村を出汁に使うのは少々気が引けるが背に腹は代えられない。そう思って話を切り出したのに、予想外の単語が返って来てびっくりする。
日進月歩の復興って、何ですか。その単語は科学技術とか、医療技術とか、そういう日夜研究を続けているものに使われるんじゃなかろうか。復興は、言っちゃ悪いが復興であって発展ではない。生活できるように環境を整えるだけのはずなのだが、どうやら、そんな俺の考えの斜め上をいっているらしい。
「最後にご覧になられた時はまだ木造建築が並ぶただの村でしたが、今や街と呼んで良いレベルです」
木造の家々を建ててから数日で、何を馬鹿な。そう突っ込もうとしたけど、こいつらは1軒1分のペースで家を建立した猛者だったな。でもそもそもの話、何をもって村と街を区別するつもりなのか。現実世界なら確か人口で変わるらしいけど、たぶんそういう意味じゃないだろうし。こんな細かいことを、と思いながらも状況を聞こうとした時、アザレアの目がキラリと光った気がした。
「と言いますのも、僕の力は魔王様から授かったものですから。文明レベルでの日進月歩は当たり前ですよ」
「ぶ……文明? それはもう復興とは言わないんじゃ?」
「いいえ、あくまでも復興です。少々アレンジが加わっていますが」
文明って言われても咄嗟にはピンとこないが、そうだな、もしかして石器時代から蒸気機関車が走る時代にでも一足飛びに進化したのだろうか。それはないな。一足飛びというか、もう何千年単位でのタイムスリップレベルの話だし。
そんな冗談は置いておいて、とにかく、そんな感じの技術革新でも行っているのだろう。お願いしたのは復興なのにね。
「そうか……アレンジって、いい言葉だな」
「はい。あと一か月もあればロケットすら飛ばせるでしょう」
「いや、それはおかしい」
それこそ、石器時代から現代まで飛んだレベルの話じゃないか。この世界には魔法があるんだぞ。科学技術なんて発達していないんじゃないか。待てよ、首都に行けばそれなりの技術があるのだろうか。うぅん、わからない。もしかしたらあるのかもしれないけど、少なくとも前のアデルの村から察するに、余り科学技術は発達していなさそうな気はする。だからさ、街と呼べる外観になったのだとしても、ロケットとなると、また一段と文明レベルは跳ね上がるのは確実だ。
なんて、余計な思考を働かせながらこれは好機と意気込む。アザレアならば何かしらやらかしてくれて、おっと、失礼。何か凄いことをしでかすと思っていたが、まさかロケットという単語が飛び出すとは。これを利用しない手はない。この追い風、絶対にものにしてくれる。
「そんなに凄いなら見てみたいな」
「我が君、御自愛ください!」
「いけません、魔王様!」
余程駄目だと思っているのだろう。またまた強く止められた訳だが、まぁ、ここまでは想定内だ。問題はここから。ウロボロスたちが絶対に頷いてくれる秘策を持って、現状を打開しにいこうじゃないか。
「でもなぁ……ウロボロスだって、いつまでもこのままじゃいられないってわかっているだろう?」
「現在も調査中です。せめて絶対の安全が保障されるまでお待ちください。宜しければ、その間にご子息を作りますか?」
全力でウロボロスから目を背けながら、これからの提案をする上で絶対に欠かせない3つの条件を再確認する。
1つ、ウロボロスと一緒に出かけること。ウロボロスが皆から得ている信頼は絶対で、俺も同様に信じている。あらゆる危険を察知して防いでくれるだろう。
2つ、アデルの村限定として出発すること。特にこれといった特徴のない普通の村人たちが過ごしているはずの所だ。未知の土地よりは情報を得ている分、幾分か安全である。
そして3つ目。これが一番の肝で、その有効性を証明するのに時間がかかってしまった訳だが、とりあえず1つ目から順番にクリアしていこう。
「なぁ、ウロボロス。2人きりでアデルの村へ行ってみないか?」
「2人……きりで……そ、それはつまり、デートということですか、我が君っ!?」
想定通り、食いついた。知らない場所へ行くのではなく、アデルの村ならある程度は安全だとウロボロスもわかっているのもあって、この反応なのだろう。しかも勝手にデートと解釈してくれて、何もかも上手くいっている。ただ、ここまでで済むのならあの現象の次の日、何なら当日でも出発できただろう。
「お待ちください、魔王様。如何にアデルの村へウロボロスと共に行くのだとしても、絶対の安全は保障されていないのですよ?」
「そうだ、確認がある。ここにいれば安全、そう2人は主張しているだろ?」
そもそもの話から始めよう。まずは、絶対の安全なんてそもそも保障されているはずがないというところから。
「端的に言うと、日進月歩の復興が進んでおります」
「……どういう意味だ?」
アデルの村を出汁に使うのは少々気が引けるが背に腹は代えられない。そう思って話を切り出したのに、予想外の単語が返って来てびっくりする。
日進月歩の復興って、何ですか。その単語は科学技術とか、医療技術とか、そういう日夜研究を続けているものに使われるんじゃなかろうか。復興は、言っちゃ悪いが復興であって発展ではない。生活できるように環境を整えるだけのはずなのだが、どうやら、そんな俺の考えの斜め上をいっているらしい。
「最後にご覧になられた時はまだ木造建築が並ぶただの村でしたが、今や街と呼んで良いレベルです」
木造の家々を建ててから数日で、何を馬鹿な。そう突っ込もうとしたけど、こいつらは1軒1分のペースで家を建立した猛者だったな。でもそもそもの話、何をもって村と街を区別するつもりなのか。現実世界なら確か人口で変わるらしいけど、たぶんそういう意味じゃないだろうし。こんな細かいことを、と思いながらも状況を聞こうとした時、アザレアの目がキラリと光った気がした。
「と言いますのも、僕の力は魔王様から授かったものですから。文明レベルでの日進月歩は当たり前ですよ」
「ぶ……文明? それはもう復興とは言わないんじゃ?」
「いいえ、あくまでも復興です。少々アレンジが加わっていますが」
文明って言われても咄嗟にはピンとこないが、そうだな、もしかして石器時代から蒸気機関車が走る時代にでも一足飛びに進化したのだろうか。それはないな。一足飛びというか、もう何千年単位でのタイムスリップレベルの話だし。
そんな冗談は置いておいて、とにかく、そんな感じの技術革新でも行っているのだろう。お願いしたのは復興なのにね。
「そうか……アレンジって、いい言葉だな」
「はい。あと一か月もあればロケットすら飛ばせるでしょう」
「いや、それはおかしい」
それこそ、石器時代から現代まで飛んだレベルの話じゃないか。この世界には魔法があるんだぞ。科学技術なんて発達していないんじゃないか。待てよ、首都に行けばそれなりの技術があるのだろうか。うぅん、わからない。もしかしたらあるのかもしれないけど、少なくとも前のアデルの村から察するに、余り科学技術は発達していなさそうな気はする。だからさ、街と呼べる外観になったのだとしても、ロケットとなると、また一段と文明レベルは跳ね上がるのは確実だ。
なんて、余計な思考を働かせながらこれは好機と意気込む。アザレアならば何かしらやらかしてくれて、おっと、失礼。何か凄いことをしでかすと思っていたが、まさかロケットという単語が飛び出すとは。これを利用しない手はない。この追い風、絶対にものにしてくれる。
「そんなに凄いなら見てみたいな」
「我が君、御自愛ください!」
「いけません、魔王様!」
余程駄目だと思っているのだろう。またまた強く止められた訳だが、まぁ、ここまでは想定内だ。問題はここから。ウロボロスたちが絶対に頷いてくれる秘策を持って、現状を打開しにいこうじゃないか。
「でもなぁ……ウロボロスだって、いつまでもこのままじゃいられないってわかっているだろう?」
「現在も調査中です。せめて絶対の安全が保障されるまでお待ちください。宜しければ、その間にご子息を作りますか?」
全力でウロボロスから目を背けながら、これからの提案をする上で絶対に欠かせない3つの条件を再確認する。
1つ、ウロボロスと一緒に出かけること。ウロボロスが皆から得ている信頼は絶対で、俺も同様に信じている。あらゆる危険を察知して防いでくれるだろう。
2つ、アデルの村限定として出発すること。特にこれといった特徴のない普通の村人たちが過ごしているはずの所だ。未知の土地よりは情報を得ている分、幾分か安全である。
そして3つ目。これが一番の肝で、その有効性を証明するのに時間がかかってしまった訳だが、とりあえず1つ目から順番にクリアしていこう。
「なぁ、ウロボロス。2人きりでアデルの村へ行ってみないか?」
「2人……きりで……そ、それはつまり、デートということですか、我が君っ!?」
想定通り、食いついた。知らない場所へ行くのではなく、アデルの村ならある程度は安全だとウロボロスもわかっているのもあって、この反応なのだろう。しかも勝手にデートと解釈してくれて、何もかも上手くいっている。ただ、ここまでで済むのならあの現象の次の日、何なら当日でも出発できただろう。
「お待ちください、魔王様。如何にアデルの村へウロボロスと共に行くのだとしても、絶対の安全は保障されていないのですよ?」
「そうだ、確認がある。ここにいれば安全、そう2人は主張しているだろ?」
そもそもの話から始めよう。まずは、絶対の安全なんてそもそも保障されているはずがないというところから。
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