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第4章 「高い壁を越えるとき」
「高い壁を越えろ」
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――全校生徒にお伝えします。これより本校の生徒会役員、支援魔法士シンさん、ノエルさんが第3階層のボス、ミノタウロスに挑みます。いつものチャンネルで生中継されますので、応援をよろしくお願いします
以前、ノエルが挑んだ時に聞いたアナウンスが流れる。お陰で実感する。これから挑むのだと。俺たちのトラウマといっていい、かつて敗れたミノタウロスに。
――解説を頼まれたプリシアだ。え、何? マイクが違う? 別にいいだろうが、どっちでも。あ、こら
思わず笑ってしまう。先生、ひょっとしてワザと間違えてくれたのかもしれないな、俺たちの緊張を解すために。その好意、ありがたく頂戴しておこう。
フィールドは薄暗い洞窟だ。湿った空気、ゴツゴツした岩々が特徴的である。
「シン、頑張ろうね?」
「あぁ……勿論」
ミノタウロス召喚の魔法陣が現れて、徐々に見せ始める。赤黒い肌と筋骨隆々の肢体、それに鋭い眼光を。忘れなかった日は無い、とは今は言いにくい。色々な事があったから。そして恐怖は余り感じない。皆のお陰で強くなったから。
「帰って来たな」
「うん、帰って来た」
俺たちは、どちらからともなく手を繋ぐ。確かめる。大切な人がすぐ傍にいるのだと。
「長かったな」
「うん、長かった」
お互いに目指す道を修正するのは容易じゃなかった。
「皆に感謝しないとな」
「うん、本当に」
ライバルとぶつかり、皆と事件を乗り越えて、そして今。やっとここに立っている。決して俺たちだけの力ではない。
「やり直しだ」
「仕切り直しだね」
俺たちは2人で1人。ネイは俺の剣で、俺はネイの盾。自分のために強くなるのではなく、こいつのために強くなる。そう決意して、そして今。だからこれはリスタート。
「俺たちは……」
「僕たちは……」
思いはひとつ。もう何も迷わない。さぁ、今こそ、
「「今こそ、こいつを越えるっ!!」」
ミノタウロスが吠える。洞窟が揺れる程に。
これはタッグ戦だ。2人戦用に強さが調整された個体であり、ノエルの時よりも手強くなっている。
一瞬のアイコンタクトを交わして、ネイが駆け出す。俺は魔法陣を展開する。
「カウンター・セット・マジック、ヒール!」
ライフ・エッセンスは使わなくていい。パッシブ・スキルの速攻布陣にセットしてあり、既にネイの体力は見えているから。
さぁ、来い、ミノタウロス。この改良型ヒールの前に敵は無い。
「「……イケる!」」
巨大な斧による一刀をネイは素手で防御する。刃物と生身。大きく切り裂かれたものの、ヒールが発動して即時回復する。
これは凄いな。今の一撃で体力が9割も削られたが、即座に全快してしまった。やはり傷だけを治す事に注力したヒールだから効果が高いのだろう。
俺たちは頷き合うと、早速、行動を開始する。
前提条件を確認しよう。ミノタウロスにはオート・ヒールがある。適当な乱打は無意味。ノエルのように継続ダメージを入れるのも無理だ。
ではどうするか。決まっている。一撃で、奴の致命傷を叩き込むだけのこと。
「デュアル・インパクト・カウンター・セット・マジック、エンチャント、火属性、ワンアクション・ディレイ!」
これは辛いな。全身から力が抜けるような感覚に襲われて膝を着いてしまう。たった一度の魔法なのに、相当量の魔力を使ってしまった証拠だ。
「とーう!」
これを見逃してくれるミノタウロスじゃないんだろうが、俺に目が向いた瞬間、ネイが注意を反らしてくれる。あいつめ、首元に強烈なパンチか飛び膝蹴りでもかましたんだろう。タイミングがバッチリ過ぎて助かる。
今の俺にはオート・マナヒールがある。10秒で1%回復するんだっけか。1分くらいは休憩したいところだ。その間、ネイが一度でも攻撃を受けたらアウト。エンチャントが発動してしまう。
「任せて、シン!」
ネイは軽やかなステップを踏むと、ミノタウロスの攻撃を防がない。避ける。どうやっているのか分からないけど、見えた時には斧が地面に突き立っていて、反対側にネイが移動している。しかも憎い事に、俺からどんどん離れていくオマケ付きだ。本当に、あいつがいると前衛に不安は無しだな。
「さて、休むのも終わりにして……次だ。カウンター・セット・マジック、ヒール、ワンアクション・ディレイ」
普通に一発使うだけなら大した事のない魔法でも、大がかりな魔法を使った後だとキツイな。今後は魔力運用についても考えていかないと。
それはさておき、ネイに視線を送る。俺はいつでもいいと。ここからはあいつ次第。仕かけ時の見極めが勝負を分かつ。
ミノタウロスが俺を認識する。力尽きかけているのだ、さぞ美味しそうに見えているだろう。でも、俺は奴なんか見ない。じっと、ネイだけを見つめ続ける。
頷かれる。いいのか、今なのか、それならいくぞ。一撃に全てをかける、最後の魔法を使用する。
「デュアル・カウンター・セット・マジック、エンチャント、火属性、ワンアクション・ディレイ!」
最後の一滴まで魔力を絞り出して、どうにか魔法を発動させる。ただ、もうすっからかんだ。立っていられず、座り込んでしまう。後は任せたぞ、ネイ。
「ほらほら、豚さん。こっちだよーっ!」
ミノタウロスが完全に俺へ狙いを定めたと思えた瞬間、ネイはその背後に立つ事になっていた。絶好のチャンス。ぶち込め、ネイ。
駆け出すのが見えた。その手に火を纏い、一直線にミノタウロスへ向かう。
これに対し、奴は脅威を察知したのか、振り返る。もう遅い。避ける選択肢は無いだろう。斧を振るった。狙い通り。
「……ぐぅっ!?」
鮮血が舞う。でもネイは止まらない。刹那、更なる火属性が付与される。4回分の火属性付与、並びにアヴェンジャー・アタック。その威力は計算不能。
「「いけ――っ!!」」
爆発。色々な物が飛び散ってきて、遅れてネイが飛び込んでくる。俺の胸の中に。受け止める。痛い。息が止まったかと思った。
「あはは……手応えバッチリだよ」
ネイが指さした方を見ると、ミノタウロスは影も形も残さず消し飛んでいた。そして奴のいたと思われる場所に表示される、勝利の文字。
――挑戦者、シン&ネイ、第3階層突破です!
そうか、勝ったか。乗り越えたのか。遂に奴を、ミノタウロスを。会長の要求に応えられたとか、生徒会役員に正式になれたとか、そんな名誉や栄光はどうでもいい。ただただ嬉しかった。ネイと一緒に、この高い壁を乗り越えられた事が。
感極まったせいかもしれない。気が付くと、俺はネイを抱き締めていた。強く、とても強く。
「あははー、ちょっと苦しいけど、でも嬉しいなー」
抱き締め返される。もの凄い力で抱擁されてこっちだって苦しい。でも嫌な気分じゃない。そしてそのまま見つめ合うと、俺たちはキスまでしてしまった。
あーあ、後で色々と言われるんだろうな。この戦いは全校生徒や先生方が見ているはずなのに。でも不思議とそんな事よりも、こうしていられる幸せの方がずっと強くて、俺はしばらく唇を離す気にはなれなかった。
以前、ノエルが挑んだ時に聞いたアナウンスが流れる。お陰で実感する。これから挑むのだと。俺たちのトラウマといっていい、かつて敗れたミノタウロスに。
――解説を頼まれたプリシアだ。え、何? マイクが違う? 別にいいだろうが、どっちでも。あ、こら
思わず笑ってしまう。先生、ひょっとしてワザと間違えてくれたのかもしれないな、俺たちの緊張を解すために。その好意、ありがたく頂戴しておこう。
フィールドは薄暗い洞窟だ。湿った空気、ゴツゴツした岩々が特徴的である。
「シン、頑張ろうね?」
「あぁ……勿論」
ミノタウロス召喚の魔法陣が現れて、徐々に見せ始める。赤黒い肌と筋骨隆々の肢体、それに鋭い眼光を。忘れなかった日は無い、とは今は言いにくい。色々な事があったから。そして恐怖は余り感じない。皆のお陰で強くなったから。
「帰って来たな」
「うん、帰って来た」
俺たちは、どちらからともなく手を繋ぐ。確かめる。大切な人がすぐ傍にいるのだと。
「長かったな」
「うん、長かった」
お互いに目指す道を修正するのは容易じゃなかった。
「皆に感謝しないとな」
「うん、本当に」
ライバルとぶつかり、皆と事件を乗り越えて、そして今。やっとここに立っている。決して俺たちだけの力ではない。
「やり直しだ」
「仕切り直しだね」
俺たちは2人で1人。ネイは俺の剣で、俺はネイの盾。自分のために強くなるのではなく、こいつのために強くなる。そう決意して、そして今。だからこれはリスタート。
「俺たちは……」
「僕たちは……」
思いはひとつ。もう何も迷わない。さぁ、今こそ、
「「今こそ、こいつを越えるっ!!」」
ミノタウロスが吠える。洞窟が揺れる程に。
これはタッグ戦だ。2人戦用に強さが調整された個体であり、ノエルの時よりも手強くなっている。
一瞬のアイコンタクトを交わして、ネイが駆け出す。俺は魔法陣を展開する。
「カウンター・セット・マジック、ヒール!」
ライフ・エッセンスは使わなくていい。パッシブ・スキルの速攻布陣にセットしてあり、既にネイの体力は見えているから。
さぁ、来い、ミノタウロス。この改良型ヒールの前に敵は無い。
「「……イケる!」」
巨大な斧による一刀をネイは素手で防御する。刃物と生身。大きく切り裂かれたものの、ヒールが発動して即時回復する。
これは凄いな。今の一撃で体力が9割も削られたが、即座に全快してしまった。やはり傷だけを治す事に注力したヒールだから効果が高いのだろう。
俺たちは頷き合うと、早速、行動を開始する。
前提条件を確認しよう。ミノタウロスにはオート・ヒールがある。適当な乱打は無意味。ノエルのように継続ダメージを入れるのも無理だ。
ではどうするか。決まっている。一撃で、奴の致命傷を叩き込むだけのこと。
「デュアル・インパクト・カウンター・セット・マジック、エンチャント、火属性、ワンアクション・ディレイ!」
これは辛いな。全身から力が抜けるような感覚に襲われて膝を着いてしまう。たった一度の魔法なのに、相当量の魔力を使ってしまった証拠だ。
「とーう!」
これを見逃してくれるミノタウロスじゃないんだろうが、俺に目が向いた瞬間、ネイが注意を反らしてくれる。あいつめ、首元に強烈なパンチか飛び膝蹴りでもかましたんだろう。タイミングがバッチリ過ぎて助かる。
今の俺にはオート・マナヒールがある。10秒で1%回復するんだっけか。1分くらいは休憩したいところだ。その間、ネイが一度でも攻撃を受けたらアウト。エンチャントが発動してしまう。
「任せて、シン!」
ネイは軽やかなステップを踏むと、ミノタウロスの攻撃を防がない。避ける。どうやっているのか分からないけど、見えた時には斧が地面に突き立っていて、反対側にネイが移動している。しかも憎い事に、俺からどんどん離れていくオマケ付きだ。本当に、あいつがいると前衛に不安は無しだな。
「さて、休むのも終わりにして……次だ。カウンター・セット・マジック、ヒール、ワンアクション・ディレイ」
普通に一発使うだけなら大した事のない魔法でも、大がかりな魔法を使った後だとキツイな。今後は魔力運用についても考えていかないと。
それはさておき、ネイに視線を送る。俺はいつでもいいと。ここからはあいつ次第。仕かけ時の見極めが勝負を分かつ。
ミノタウロスが俺を認識する。力尽きかけているのだ、さぞ美味しそうに見えているだろう。でも、俺は奴なんか見ない。じっと、ネイだけを見つめ続ける。
頷かれる。いいのか、今なのか、それならいくぞ。一撃に全てをかける、最後の魔法を使用する。
「デュアル・カウンター・セット・マジック、エンチャント、火属性、ワンアクション・ディレイ!」
最後の一滴まで魔力を絞り出して、どうにか魔法を発動させる。ただ、もうすっからかんだ。立っていられず、座り込んでしまう。後は任せたぞ、ネイ。
「ほらほら、豚さん。こっちだよーっ!」
ミノタウロスが完全に俺へ狙いを定めたと思えた瞬間、ネイはその背後に立つ事になっていた。絶好のチャンス。ぶち込め、ネイ。
駆け出すのが見えた。その手に火を纏い、一直線にミノタウロスへ向かう。
これに対し、奴は脅威を察知したのか、振り返る。もう遅い。避ける選択肢は無いだろう。斧を振るった。狙い通り。
「……ぐぅっ!?」
鮮血が舞う。でもネイは止まらない。刹那、更なる火属性が付与される。4回分の火属性付与、並びにアヴェンジャー・アタック。その威力は計算不能。
「「いけ――っ!!」」
爆発。色々な物が飛び散ってきて、遅れてネイが飛び込んでくる。俺の胸の中に。受け止める。痛い。息が止まったかと思った。
「あはは……手応えバッチリだよ」
ネイが指さした方を見ると、ミノタウロスは影も形も残さず消し飛んでいた。そして奴のいたと思われる場所に表示される、勝利の文字。
――挑戦者、シン&ネイ、第3階層突破です!
そうか、勝ったか。乗り越えたのか。遂に奴を、ミノタウロスを。会長の要求に応えられたとか、生徒会役員に正式になれたとか、そんな名誉や栄光はどうでもいい。ただただ嬉しかった。ネイと一緒に、この高い壁を乗り越えられた事が。
感極まったせいかもしれない。気が付くと、俺はネイを抱き締めていた。強く、とても強く。
「あははー、ちょっと苦しいけど、でも嬉しいなー」
抱き締め返される。もの凄い力で抱擁されてこっちだって苦しい。でも嫌な気分じゃない。そしてそのまま見つめ合うと、俺たちはキスまでしてしまった。
あーあ、後で色々と言われるんだろうな。この戦いは全校生徒や先生方が見ているはずなのに。でも不思議とそんな事よりも、こうしていられる幸せの方がずっと強くて、俺はしばらく唇を離す気にはなれなかった。
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