異世界転移 山田世界の異世界英雄譚

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ダークエルフの隠れ里③

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 「あなたがリリムさんですか?」

 僕は桃色白書のように頬を染め、さっちゃんにも劣らないであろう絶世の美少女に尋ねた。

 「ええそうよ、あなたに最後の食事を持っていくようにと里の長から言われたの。」

 「ダイダロスって何ですか?」

 「村のオアシスを守っている大きな蛇の魔物のことよ、あなたにはかわいそうだけど、あなたを生贄に差し出して、ダイダロス様に雨を降らせてもらうように頼むの。そうすれば里のみんなもこれ以上水や食べ物に餓えることに困らなくてよくなるの。本当にごめんなさい。」

 「それって水があれば解決しますか?」

 「ええ、水さえあれば作物が枯れずに済むわ。」

 よしチャンスはここだ!ここで何とか僕の持っている蛇口を使って説得するんだ!

 「すみません、僕はあなたたちに隠していることがあります。僕は魔法の道具が使えるんです。もしかしたらあなた達の里を救うことができるかもしれない。」

 「、、、確かにそんな嘘をつきたくもなるわよね。でもごめんなさい。そんな嘘に惑わされるほど私たち弱くないの。」

 ヤバイ、本当にヤバイ!何とかして信用してもらわなければ。

 「リリムさん、この手を縛っている縄をほどいてもらえませんか?そうすれば今の話が嘘でないことを証明して見せます!」

 「リリム!それ以上そいつにかかわっていると情が移ってしまうぞ。そいつがダイダロス様の生贄になった時、お前が苦しむことになる。」

 この声、こいつが牢屋番のリロか。確かに漫画で見たダークエルフみたいにかっこいい顔してやがる。体も筋肉質だ。だが僕もここで引き下がるわけにはいかない!ダイダロス様のおなかの中に行くのはまっぴらだ。

 「あなたがリロさんですね。お願いします、逃げたりしませんから手の縄だけでもほどいてください。もし、リリムさんが心配なら牢屋にカギをかけて外から見ていただくだけでも結構です。僕の言葉が嘘じゃないことを証明します。」

 渾身の願いだった。額がめり込むかというほど地面に額をこすりつけた。痛いが話も聞いてもらえずにダイダロスとかいう蛇の腹の中に納まるのはいやだ。それに俺にはまだ果たさなければならないことがある!
 元の世界に何とかして戻って、ヨシノブに復讐して、またさっちゃんにちょっかいを出すんだ。
 そんなことを考えると自然と涙が出てきた。するとこの二人のダークエルフに少し同情心が芽生えたようだ。

 「鉄格子越しだがお前の手の縄をほどいてやる。もし嘘だったら、わかっているとは思うがお前には明日の晩、ダイダロス様の生贄になってもらう。」

 「ありがとうございます!ありがとうございます‼絶対にうそは尽きません。」

 何とか命がつながるかもしれない、女神様ー、よろしくお願いします。

 僕は地面に蛇口を刺し蛇口の栓をひねって見せた。
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