上 下
13 / 20
第1章 出会いと経験

第13話 試される戦闘術

しおりを挟む
ジュンタ「誰だお前たち!」 

完全に賊にしか見えない格好をした2人組が目の前に現れた。1人は剣を持っていてもう1人はどちらかと言うと魔道士のような見た目である。 

???「俺はギデ。」 

???「私はルース。」 

???「ガキの荷物とその女は頂くぜ」 

ジュンタ「シーヤさん、コイツらの相手なんてする必要ない。急いで町に戻ろう。」 

ギデ「おっと、それでいいのか?お目当てのもんはここにあんのによ。」 

ジュンタ「何っ!?」 

シーヤ「どういう事!?なんで同じものが?」 

ルース「フフ…分からないのですか女狐。お前のそれは形を模したガラクタですよ。」 

シーヤ「なんですって!?」 

ルース「雑魚とはいえど逃がすと後々面倒になります。ここで男の方は始末し、娘は生け捕りにしてくれましょう。」 

ギデ「そういうこった。死ね!クソガキ!」 

ジュンタ「フッ!」 

ジュンタとギデの刃が交わる。そしてジュンタが空いてる手でバッグをシーヤに投げて指示を出す。 

ジュンタ「シーヤさん!俺の荷物持って早く逃げて応援を呼んで!町は反対方向だ!俺はこの2人を食い止める!」 

シーヤ「ええ、分かったわ!」 

ジュンタの指示を受け、シーヤはメルン町へ逃走を図る。しかし… 

ルース「逃がしませんよ!」 

2人組の片割れ、ルースがシーヤを追跡しようとする。 

ジュンタ「待ちやがれ!」 

ジュンタはすかさずギデの間合いから離れ、ルースに向かって手裏剣を投げる。 

ルース「チッ!《エアー・円盾シールド》!」 

その手裏剣は当たることなく、眼前で魔法の丸い盾によって防がれた。 

ルース「まあいい。このガキを確実に殺す作戦に変更しましょう。」 

ギデ「覚悟しやがれクソガキ!」 

ジュンタ(不味いな。挟まれた………) 

ジュンタは音もなく手裏剣を投げた。 

ジュンタ(先に魔法使いの方を潰す!) 

ルース「ぬう!《エアー・円盾シールド》!」 

ルースは手裏剣を防御した。次の瞬間… 

ジュンタ「ハァッ!」 

ジュンタの白刃がルースに向かって振り下ろされる。 

ルース「《エアー・軽躍ステップ》!」 

間一髪でルースが魔法で回避する。そして 

ギデ「俺のことも忘れんなよ。」 

背後からギデが剣を構えて迫ってきた。 

ギデ「半分にしてやらァ!」 

ギデが剣を縦に振ったが、ジュンタは体を左にずらして躱す。 

ジュンタ「危ねぇ。っ!?」 

ギデの剣を回避したかと思ったら、どこからか攻撃が飛んでくる。 

ルース「《エアー・鋭棘ニードル》!」 

ジュンタ「フッ!」 

ルース(ば、馬鹿な!?死角からの攻撃を避けただと?しかも離れた場所からのだぞ?)

しかし、それもジュンタが超反応を見せ、バックステップで外す。 

ギデ「追撃じゃあ!」 

ジュンタ「ハッ!」 

またしても、ジュンタとギデの刃がぶつかった。 

ジュンタ(手早くコイツの急所を突く!) 

そのままジュンタはターゲットをギデにシフトチェンジし、斬り合いに移った。手数で押して隙を突き、その一瞬で絶命させる作戦のようだ。 

ジュンタ「セヤァッ!」 

ギデ「ぬうぉっ!?」 

斬撃での攻防により、激しく火花が散る。ギデがジュンタのナイフ捌きに圧倒され、必死のガードに隙ができる。 

ジュンタ「隙あり!」 

ギデ「しまった!」 

ジュンタのナイフの切っ先がギデの腹を捉えようとしていたが… 

ルース「させませんよ、《エアー・鋭棘ニードル》!」 

寸でのところでルースが風魔法で妨害する。 

ジュンタ「うっとうしい!」 

しかしジュンタはそれをも見切っていた。そして今度はギデが攻勢に出る。 

ギデ「魔法使えるのはアイツだけじゃねえぞ。《サンド・煙遮スモーク》!」 

《サンド》
→土の初級魔法。主に防御や搦手、味方のアシストに使うことが多い。腕を上げると攻撃に使うこともできる。 

ギデがジュンタの目の前に土煙を放ち、視界を塞ぐ。 

ジュンタ「ゴホッゴホッゴホッ!」 

ジュンタ(ここで煙幕………コイツらもそれなりに戦い慣れしてやがる。それに、連携も見事だ。簡単にはいかない。さて、どうする?) 

コンマ数秒の思考で、ジュンタはあることを思いついた。そしてそれを実行すべく、煙の中で敵である2人に語りかける。 

ジュンタ「お前ら、たった一人の雑魚相手にかなり手こずっているようだな?」 

2人「何ぃ?」 

ジュンタ「事実、剣士の方は接近戦で俺に遅れを取り、それをカバーするべく魔法使いの方が動いたんじゃないのか?」 

ギデ「なっ!?」 

ジュンタ「それに、戦い始めてからそれなりに時間は経ったが俺はまだ傷1つ着いてない。」 

そして、ジュンタは奴らに最大限の煽りをかます。 

ジュンタ「お前ら、実は大したこと無いんじゃないか?」 

奴らは2人揃って怒りを露わにする。 

ギデ「何だとこのクソガキがー!ぶち殺してくれる!」 

ルース「私たちの怒りを買ったことを後悔するがいい!」 

しかし、ジュンタはこれを狙っていた。 

ジュンタ(思い通り。直感だがコイツらはプライドを傷つけられたら癇に障る。そして、片方が怒ってももう片方が冷静に鎮めるしれないが、2人とも怒れば連携が乱れる可能性が高い。) 

次の瞬間、剣を持ったギデだけでなく、ルースも突撃してきた。しかし、怒りに身を任せているからか、2人ともただ突っ込むだけで
動きは単純そのもの。 

2人「死ねーー!」 

ジュンタ(ここだっ!) 

ここでジュンタは搦手を仕掛けた。2人の足元に石ころを投げる。 

ギデ「チッ…」 

ルース「また小細工か…!」 

2人「っ!?」 

そして気づいた頃には手裏剣が目の前に迫っていた。石ころに目をやるタイミングで手裏剣が投げられた。 

ギデ「ぐっ!」 

ルース「チッ!」 

直撃を免れたがそれぞれコメカミと頬が裂けた。それにより動きが止まった所でジュンタが間合いを侵略する。 

ギデ「くっ!」 

ルース「エアー…」 

2人は迎撃しようとしたが… 

ジュンタ「もらったぁぁ!」 

2人「ぐあぁぁぁぁぁ!」 

ギデとルースが体勢を立て直すよりも早くジュンタがロングナイフを振り抜いた。 

盗賊を名乗る2人の腹を裂いて決着が着いた。 

ジュンタ(何とか隙を作り出せて良かったな。でなければもっと長引いていし、ギリギリの戦いだった。) 

町までの帰り道でジュンタは心の中でそう振り返った。後は無事メルン町まで帰還して、
ギルドマスターに報告するのみ。 

To be continued
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!! 国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。 幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。 彼はもう限界だったのだ。 「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」 そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。 その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。 その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。 かのように思われた。 「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」 勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。 本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!! 基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。 異世界版の光源氏のようなストーリーです! ……やっぱりちょっと違います笑 また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)

異世界でいきなり経験値2億ポイント手に入れました

雪華慧太
ファンタジー
会社が倒産し無職になった俺は再就職が決まりかけたその日、あっけなく昇天した。 女神の手違いで死亡した俺は、無理やり異世界に飛ばされる。 強引な女神の加護に包まれて凄まじい勢いで異世界に飛ばされた結果、俺はとある王国を滅ぼしかけていた凶悪な邪竜に激突しそれを倒した。 くっころ系姫騎士、少し天然な聖女、ツンデレ魔法使い! アニメ顔負けの世界の中で、無職のままカンストした俺は思わぬ最強スキルを手にすることになったのだが……。

気がついたら異世界に転生していた。

みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。 気がついたら異世界に転生していた。 普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・ 冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。 戦闘もありますが少しだけです。

ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ

阿弥陀乃トンマージ
ファンタジー
 どこにでもいる平凡なサラリーマン「俺」は、長年勤めていたブラック企業をある日突然辞めた。  心は晴れやかだ。なんといってもその日は、昔から遊んでいる本格的ファンタジーRPGシリーズの新作、『レジェンドオブインフィニティ』の発売日であるからだ。  「俺」はゲームをプレイしようとするが、急に頭がふらついてゲーミングチェアから転げ落ちてしまう。目覚めた「俺」は驚く。自室の床ではなく、ゲームの世界の砂浜に倒れ込んでいたからである、全裸で。  「俺」のゲームの世界での快進撃が始まる……のだろうか⁉

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

処理中です...