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女子高生と警察とガラケーと
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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
わたしは秘書さんからの任務をこなすため、簡易なシャワーと更衣室も兼ねたロッカールームまで戻ってきていた。
「えっとロッカーの番号、いくつだったっけ…………」
手渡されたリストバンド状の鍵に付いたタグを確認し荷物を預けたロッカーの扉を開ける。
「秘書さんの携帯は…………」
女の子組四人分の荷物がぎっちり詰められたロッカーに腕を突っ込み手探りで秘書さんの携帯を探る。
秘書さんから頼まれたのは今回の大本の依頼主である警察署の人に現在の状況を伝えて欲しい、との事だった。その間に残る三人は液体状の体を持つ妖怪『濡れ女』の倒し方を相談しているらしい。
殴ったり蹴ったりはもちろん、氷柱ちゃんが凍らせても何事もなく抜けだしたって言うし…………。水みたいな身体を持った妖怪なんてどうやってやっけるんだろう…………。
そんな事を考えている内に目当てのモノを掴んだ感触が指先から伝わってくる。
「あった、これだ」
携帯を掴んだままロッッカーから腕を引っこ抜く。
「ていうか秘書さん、いい加減スマホに変えようよ…………」
ごちゃごちゃとしたロッカーの中、手探りだけで特定の携帯電話を探し当てられたのには理由がある。
この時世、未だに折り畳みの携帯使ってるのおじいちゃんおばあちゃんと秘書さんだけだよ。
探偵さん曰く、昔から秘書さんの機械音痴は凄まじくパソコンを始めタブレットやデジカメ果てはスマホといった精密機器の類全般が駄目だという。
最近は機械音痴を克服するために携帯ゲーム機を使って事務所の皆で対戦ゲームをやっているみたいだけど、ゲームの腕ばかり上達して結局それ以外のデジタル機器に対する苦手意識はまるで改善されてないっていうのがまた悲しい。
「そんなことより早く警察の人に電話しないと――――確か電話帳の…………アズミノさんだっけ……………」
カチカチと懐かしい音を鳴らすテンキーを叩き電話帳から一件の登録名を見つけ出す。
うぅ、見つけたはいいけど警察の人に電話するのって結構ハードル高くないこれ?
…………人の携帯ってのもあるけどさぁ。
でも秘書さんに頼まれた以上電話しない訳にもいかないしなぁ。
一瞬の逡巡を乗り越え発信ボタンを押し込むと数回の呼び出し音の後、スピーカー部分から反応があった。
『――――――私だ』
「あのっ、えっと――――警察の人…………ですよね?」
『? そうだが…………、これは兎楽の携帯じゃなかったか』
「これは秘書さんの――――、兎楽璃亜さんの携帯ですけど、えっと、今ちょっとこの場に居なくて――――」
『――――分かった。落ち着いてゆっくりでいい、まず君の名前を教えてくれないか』
テンパるわたしに気をつかってくれたのかアズミノさんはゆっくりとこちらの返事を促してくれた。
「わたし、中原詩織って言います。一六です。普段から天柳探偵事務所にお世話になってて、今日は一緒に海水浴場に来てたんですけど色々あって探偵さんが『濡れ女』って言う妖怪さんに攫われて、『濡れ女』っていうのは――――」
『ん? …………中原、詩織?』
まくし立てるように続けるわたしの話に黙って耳を傾けてくれていたアズミノさんがふと何かに気づいたように声を上げる。
「あの、どうかしましたか?」
『ああ、すまない。何でもないよ、続けてくれ』
「で、今から攫われた探偵さんを助けに行くんですけどその前に今回の依頼主であるアズミノさんに報告してきてくれって秘書さんに頼まれて…………」
『そういう事か。話は分かった、伝えてくれてありがとう。君もあまり危ないことに首を突っ込まないよう気をつけるんだぞ』
「えっと、それだけですか? なんかこう特殊部隊の応援とかそういうのは…………」
わたしの言葉にアズミノさんは一瞬言葉を失い――――直後に帰ってきたのは
『――――っく、ぷっ、くく、…………あっはっはっはっは!!』
腹の底からの爆笑だった。
「って!! 全然笑い事じゃないですよ!!」
『ああ、すまない。本当に、ふふっ――――いや心配していないわけじゃないんだ』
「言葉と反応がまったくあっていませんけど――――っ!?」
最初の緊張はとうになくなっていた。どうもこの人からは探偵さんや秘書さん達と同じノリというか雰囲気というかなにかそういう所が共通している様な気がしてきた。
『すまんすまん、気を悪くしないでくれ。だが、あいつらの事なら心配いらないさ。聞けば今回は攫われたのが天柳で兎楽はフリーなんだろう、だったら尚更だ。知っているだろうが日が暮れてからのあいつは中々に強かだぞ』
それはわたしも知ってます。夜になると吸血鬼の血が濃く出るからなのか昼間に比べて好戦的というかなんというか…………一言でいえばSっ気がある、みたいな。
『おっと、部下に呼ばれたようだ。すまないがこれで失礼させてもらうよ』
「…………えー」
バタバタと慌ただしく動く音がスピーカーの向こうから聞こえてくる。忙しいのは本当らしい。
『そうだ、最後に一つ聞いてもいいか?』
「はい? なんでしょう」
そこでアズミノさんは先ほど大爆笑していた時からは考えられない程真剣な声色で一言
『中原詩織さん、君は今幸せか?』
「…………へ?」
全く予想もしていなかった質問に面食らう。大体今この瞬間現在進行形で知り合いが攫われてるって言ってるのにその質問はどうなのよ。
「今この瞬間現在進行形で知り合いが攫われてるって言ってるのにその質問はどうなんですか…………。あーもうなんであの人達の周りってこう危機感が無いというかなんというか、この前だってお互いボロボロになるまで殺しあった相手と一緒に食卓囲んだりもしたし毎回毎回わたし一人心配してるのが馬鹿らしくなってくるというか―??」
最早思ったことをそのまま口にするだけで支離滅裂な言葉を並べるわたしの話を聞いてアズミノさんはまた大きく笑い声を上げた。
『はっはっは!! そうかそうか楽しそうで何よりだ』
「もう! 笑い事じゃないんですよ――――っ!?」
本当に、探偵だの警察だのって人種はみんな揃ってこんなんなのだろうか…………。
一瞬そんな考えがよぎったけどそれはさすがに全国の探偵警察の皆様に失礼すぎるので頭から追い出す。
『いやぁ久しぶりに笑った笑った。だが本当にそろそろ行かなきゃならん、今回も一通り事件が落ち着いた頃に天柳の方から連絡が来ると思うが…………まあなんだあんまり危ない事に首を突っ込むんじゃないぞ、おまわりさんとの約束だ』
「え、あの――――ちょっと」
聞こえてくるのは単調に繰り返す機械音だけ。
き、切られた…………。言いたいことだけ言って切られた…………。
「ま、まあ一応秘書さんに頼まれていた事は達成したわけだし」
とりあえず一度みんなの所に戻ろうか、あんまり待たせても悪いしね。
手早く皆の荷物をロッカーに詰め直し、足早にロッカールームを後にした。
「あちゃー、思ったより時間かけちゃったなぁ。主にアズミノさんのせいな気もするけど…………。結構待たせちゃったし早く皆の所にもどらないと!!」
更衣室兼ロッカールームを飛び出したわたしはみんなを待たせている浜辺まで真っすぐに向かう。
「確かこの辺だったような――――?」
…………そう、その時のわたしはまだ知る由もなかったのです。
皆がいるはずの場所まで戻って来たわたしを衝撃的な運命が待ちうけ、待ち、――――待っ…………。
「って、誰も待ってないいいいいいいいいいいいぃぃぃっ!?」
日も落ちかけ人影もほとんど残っていない砂浜に女子高生渾身の絶叫が寂しく響いた。
わたしは秘書さんからの任務をこなすため、簡易なシャワーと更衣室も兼ねたロッカールームまで戻ってきていた。
「えっとロッカーの番号、いくつだったっけ…………」
手渡されたリストバンド状の鍵に付いたタグを確認し荷物を預けたロッカーの扉を開ける。
「秘書さんの携帯は…………」
女の子組四人分の荷物がぎっちり詰められたロッカーに腕を突っ込み手探りで秘書さんの携帯を探る。
秘書さんから頼まれたのは今回の大本の依頼主である警察署の人に現在の状況を伝えて欲しい、との事だった。その間に残る三人は液体状の体を持つ妖怪『濡れ女』の倒し方を相談しているらしい。
殴ったり蹴ったりはもちろん、氷柱ちゃんが凍らせても何事もなく抜けだしたって言うし…………。水みたいな身体を持った妖怪なんてどうやってやっけるんだろう…………。
そんな事を考えている内に目当てのモノを掴んだ感触が指先から伝わってくる。
「あった、これだ」
携帯を掴んだままロッッカーから腕を引っこ抜く。
「ていうか秘書さん、いい加減スマホに変えようよ…………」
ごちゃごちゃとしたロッカーの中、手探りだけで特定の携帯電話を探し当てられたのには理由がある。
この時世、未だに折り畳みの携帯使ってるのおじいちゃんおばあちゃんと秘書さんだけだよ。
探偵さん曰く、昔から秘書さんの機械音痴は凄まじくパソコンを始めタブレットやデジカメ果てはスマホといった精密機器の類全般が駄目だという。
最近は機械音痴を克服するために携帯ゲーム機を使って事務所の皆で対戦ゲームをやっているみたいだけど、ゲームの腕ばかり上達して結局それ以外のデジタル機器に対する苦手意識はまるで改善されてないっていうのがまた悲しい。
「そんなことより早く警察の人に電話しないと――――確か電話帳の…………アズミノさんだっけ……………」
カチカチと懐かしい音を鳴らすテンキーを叩き電話帳から一件の登録名を見つけ出す。
うぅ、見つけたはいいけど警察の人に電話するのって結構ハードル高くないこれ?
…………人の携帯ってのもあるけどさぁ。
でも秘書さんに頼まれた以上電話しない訳にもいかないしなぁ。
一瞬の逡巡を乗り越え発信ボタンを押し込むと数回の呼び出し音の後、スピーカー部分から反応があった。
『――――――私だ』
「あのっ、えっと――――警察の人…………ですよね?」
『? そうだが…………、これは兎楽の携帯じゃなかったか』
「これは秘書さんの――――、兎楽璃亜さんの携帯ですけど、えっと、今ちょっとこの場に居なくて――――」
『――――分かった。落ち着いてゆっくりでいい、まず君の名前を教えてくれないか』
テンパるわたしに気をつかってくれたのかアズミノさんはゆっくりとこちらの返事を促してくれた。
「わたし、中原詩織って言います。一六です。普段から天柳探偵事務所にお世話になってて、今日は一緒に海水浴場に来てたんですけど色々あって探偵さんが『濡れ女』って言う妖怪さんに攫われて、『濡れ女』っていうのは――――」
『ん? …………中原、詩織?』
まくし立てるように続けるわたしの話に黙って耳を傾けてくれていたアズミノさんがふと何かに気づいたように声を上げる。
「あの、どうかしましたか?」
『ああ、すまない。何でもないよ、続けてくれ』
「で、今から攫われた探偵さんを助けに行くんですけどその前に今回の依頼主であるアズミノさんに報告してきてくれって秘書さんに頼まれて…………」
『そういう事か。話は分かった、伝えてくれてありがとう。君もあまり危ないことに首を突っ込まないよう気をつけるんだぞ』
「えっと、それだけですか? なんかこう特殊部隊の応援とかそういうのは…………」
わたしの言葉にアズミノさんは一瞬言葉を失い――――直後に帰ってきたのは
『――――っく、ぷっ、くく、…………あっはっはっはっは!!』
腹の底からの爆笑だった。
「って!! 全然笑い事じゃないですよ!!」
『ああ、すまない。本当に、ふふっ――――いや心配していないわけじゃないんだ』
「言葉と反応がまったくあっていませんけど――――っ!?」
最初の緊張はとうになくなっていた。どうもこの人からは探偵さんや秘書さん達と同じノリというか雰囲気というかなにかそういう所が共通している様な気がしてきた。
『すまんすまん、気を悪くしないでくれ。だが、あいつらの事なら心配いらないさ。聞けば今回は攫われたのが天柳で兎楽はフリーなんだろう、だったら尚更だ。知っているだろうが日が暮れてからのあいつは中々に強かだぞ』
それはわたしも知ってます。夜になると吸血鬼の血が濃く出るからなのか昼間に比べて好戦的というかなんというか…………一言でいえばSっ気がある、みたいな。
『おっと、部下に呼ばれたようだ。すまないがこれで失礼させてもらうよ』
「…………えー」
バタバタと慌ただしく動く音がスピーカーの向こうから聞こえてくる。忙しいのは本当らしい。
『そうだ、最後に一つ聞いてもいいか?』
「はい? なんでしょう」
そこでアズミノさんは先ほど大爆笑していた時からは考えられない程真剣な声色で一言
『中原詩織さん、君は今幸せか?』
「…………へ?」
全く予想もしていなかった質問に面食らう。大体今この瞬間現在進行形で知り合いが攫われてるって言ってるのにその質問はどうなのよ。
「今この瞬間現在進行形で知り合いが攫われてるって言ってるのにその質問はどうなんですか…………。あーもうなんであの人達の周りってこう危機感が無いというかなんというか、この前だってお互いボロボロになるまで殺しあった相手と一緒に食卓囲んだりもしたし毎回毎回わたし一人心配してるのが馬鹿らしくなってくるというか―??」
最早思ったことをそのまま口にするだけで支離滅裂な言葉を並べるわたしの話を聞いてアズミノさんはまた大きく笑い声を上げた。
『はっはっは!! そうかそうか楽しそうで何よりだ』
「もう! 笑い事じゃないんですよ――――っ!?」
本当に、探偵だの警察だのって人種はみんな揃ってこんなんなのだろうか…………。
一瞬そんな考えがよぎったけどそれはさすがに全国の探偵警察の皆様に失礼すぎるので頭から追い出す。
『いやぁ久しぶりに笑った笑った。だが本当にそろそろ行かなきゃならん、今回も一通り事件が落ち着いた頃に天柳の方から連絡が来ると思うが…………まあなんだあんまり危ない事に首を突っ込むんじゃないぞ、おまわりさんとの約束だ』
「え、あの――――ちょっと」
聞こえてくるのは単調に繰り返す機械音だけ。
き、切られた…………。言いたいことだけ言って切られた…………。
「ま、まあ一応秘書さんに頼まれていた事は達成したわけだし」
とりあえず一度みんなの所に戻ろうか、あんまり待たせても悪いしね。
手早く皆の荷物をロッカーに詰め直し、足早にロッカールームを後にした。
「あちゃー、思ったより時間かけちゃったなぁ。主にアズミノさんのせいな気もするけど…………。結構待たせちゃったし早く皆の所にもどらないと!!」
更衣室兼ロッカールームを飛び出したわたしはみんなを待たせている浜辺まで真っすぐに向かう。
「確かこの辺だったような――――?」
…………そう、その時のわたしはまだ知る由もなかったのです。
皆がいるはずの場所まで戻って来たわたしを衝撃的な運命が待ちうけ、待ち、――――待っ…………。
「って、誰も待ってないいいいいいいいいいいいぃぃぃっ!?」
日も落ちかけ人影もほとんど残っていない砂浜に女子高生渾身の絶叫が寂しく響いた。
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