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「終わったか?」
近づいて声をかける
「ああ、しかし最後の一瞬だけ戸惑いを感じたのだ、何をしたのだ?我のビッグバンが直撃してもあやつなら耐えるかもしれんと警戒していたのに跡形もなく消し飛んだ。そんなことがあると思うか?」

どうやらここまで厄介な相手が最後だけあっさり死んだことに疑問を抱いているようだ
そんなこと気にしてもしょうがないってのにな

「あるんじゃないか?あれだけ攻撃を続けたから限度が来て破裂したとかじゃないのか?そう考えればあっけないのも納得がいくだろ」
まだ大きな獅子の姿なので結構見上げる姿勢が辛い

「ん~~、そうだろうか?やはり気掛かりでな。あっさり終わったのは仕組まれていたことではないかと勘繰ってしまうのだ」
「ま、いくら考えても結果は変わらん。ウルイがムースを倒したってことだけが事実なんだから
それ以外はどうでもいいだろ」
難しい顔をしているような顔をしているウルイを見上げる

「そうだよ!あんなに強い人を倒したんだから。今はそれでおしまいって事で良いんじゃないかな?」
腕を組んできながらウルイに向かって言うがまるで聞いていない

「おい、そろそろ元の大きさに戻ってくれないか?見上げてるのもしんどい」
「あ、ああ。すまんな」
深呼吸しながら元の大きさに戻ったが尻尾が赤くなっている

「尻尾怪我しちゃったの?」
「これか?これはムースの血や肉だ」
後ろを向いて尻尾をこっちに向けてきた。そこにはポタポタと血が落ちて、肉片がべっとりと付いている

なかなかエグいな、多少のスプラッタよりもグロイ
「すごいねその尻尾、真っ赤だよ。それに焦げ臭いし」
臭いに顔をしかめて、俺の腕に顔をくっ付ける
この子は何をやってんだか

「ウルイは早くそれを洗ってこい。さすがに見てて気持ちのいいものじゃないしな」
「そうだな....了解した」
一瞬迷ってからどこかにいった、さてと

「俺たちは被害者たちを集めるぞ
こんなところに置いとくわけにもいかないだろうからな」
回りを見渡すと十数人が倒れている

「それなら私たちも手伝うわよ」
「そうね、身内がしでかしたことの尻拭いぐらいは私たちがやるわよん」

妖精とギミトラは回復したのか傷一つない状態になって、近づいてくる

「無事だったんだね!二人とも酷い怪我してたみたいだったから心配してたんだよ」
二人に御堂が言う。本当に心配はしていたんだろう、しかし

「そういうことはちゃんと二人に向かって言いなさいっ」
顔を埋めたまま喋っているのでなに言っても真剣味が出ないな
二人もどう返したらいいのか分からないのかポカンとしてるじゃないか!!

「え、と、心配させてしまったならごめんなさいね」
妖精は出来るだけ御堂の顔が見える位置まで動いて、直接言ってるみたいだ。まぁ無駄なことなんだけどな
それよりも
「妖精ちゃん、名前教えてもらっても良い?私は御堂琴音、よろしくね」
腕から顔を離し、妖精をちゃんと見ながら話す
俺と一緒にいれば普通に他の人とも喋れるんだな。何とか直せないもんかな

「そっか、まだ名乗ってなかったわね。ごめんなさいね、オホン、えーっと
改めまして、私の名前はメープル。妖精族です。ガウの中での立場は特に無いわね、強いて言うなら古株かな?」

羽を動かして空中にとどまりながら自己紹介の時には一礼をした。とても優雅な振る舞いだ

「次は私かしらね
前にも名乗った気がするけれどもう一度
私はギミトラよ、鬼族の中で更に一目の種類だけどね。特攻隊長をやっているわ。結構強いつもりだったんだけどね...今回でムースちゃんにも負けてしまったから隊長の座は他の人に譲ろうかしら?」

腕を組ながら考えるように、少し上を向きながら目をつぶっている
後半は俺たちにとってはどうでもいいことなんだがな

「よろしくね、二人とも。私たちは見ての通り人族ですね。異世界から来たんだ~ガウの事は良く知らないからこれでおしまい」

おい!なにいきなり言ってるんだよ!そんなこと言ったらさすがに...

「さて、お互い自己紹介が終わったことだし早く怪我人や死体を移動させないとね」
「回復は私がするからまだ生きてる人は私のところに連れてきて」
「はーい」

何にも気にしてないみたいだな。もうバラバラに動き始めてるのか
俺だけ何もしないわけにはいかないのでムースに斬られて血を流して倒れている人たちを一塊にしていく。その内何人かはまだ微かに息があったのでメープルに任せる

しばらくしてやっと全員運び終わった


「私は怪我人を癒してくるからまたね」
「メープルちゃん、頼んだわよ」
ギミトラの言葉に一回頷いてから怪我人のもとに向かって行く
「二人とも悪いのだけど私も行かなくちゃいけない場所があるのよん。ここで失礼するわね、あなた達も今日は帰っていいわよ。またウルイちゃんが迎えにいくと思うからその時はよろしく頼むわね」

最後に投げキッスをしてからギミトラもどこかに行った

「よかったね♪ギミトラさんにキス貰えたよ!私ね、投げキッス始めて見た!!」
隣の人はなぜかテンションが高くなっているが
「俺は今すぐ宿に戻って早く寝たい」
戦っていたときよりも精神的なダメージが大きく、疲れが三倍ぐらいに膨れ上がったような感じがする
「ギミトラさんも今日は帰っていいって言ってたし帰る?」
「うーーーん」

正直帰りたい。しかし、まだ回りには壊れた建物を修復している人たちがいるので帰るのが忍びないんだよな

「じゃ、帰ろっか」
腕をぐいぐい引っ張り帰ろうとする
おーい、本当に帰るのかー?まだ作業中の人はいるぞー
言っても仕方無さそうだし心の中で言うだけに留めるようにする

「ん?なんだろ、あれ」
御堂の指差す方を見てみると俺たちの帰り道に白い光があった
「ね、あの光って移動するときの光だよね?誰か来るのかな?」

そうか、見覚えがあると思ったら行き来する時の光か。と、言うことは



「ここなら何か情報を掴めるかもしれないな」
「と言うかここはどこなんですか?」
「そっか、僕以外は初めてだもんね。あとで色々説明と紹介をするよ」

なんであの三人がここに来たんだ?
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