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「……ちゃん」
ん?
「け‥ちゃん」
呼ばれてるのか?
「けんちゃん!!」
何で御堂の声がするんだ?ああ、そういえば部屋に連れてきてたんだったな
「けんちゃん!!起きてよ~」
「なんだ?御堂」
「けんちゃん」パー
起きただけでそんな満面の笑みを浮かべられても困る
しかもベットで寝かせてたはずなのに何故今は俺の腹の部分に乗っているのか、お陰で息苦しいんだが

御堂をどかして起き上がる
「ずっと起こしてたのに起きないから心配したんだよ」
「そんなに起きなかったか?」
おかしいな、寝起きは良い筈なんだが
「二十分ぐらい起こしてたのに起きなかったんだから」
マジか!目覚まし一回で起きるのに……疲れてたのか?
確かに昨日はスキルを何回も使ったから疲れはしたがそんなに寝るぐらい疲れてたかな?
まあ、今考えてもわからないから置いとくか
「それよりも何かようか?」
「なんかね、冒険者は全員ギルドに集合だって」
またかよ。めんどくさいし行かずにもう出るか

「わかった。先に行っててくれ、後で行く」
「じゃあ先に行くね」
「ああ」

さてと、一人なら移動も楽だし準備を済ませちゃお
宿を出た後は食料などの買い物に行く。もしもの時はまたここに戻ってくるがなるべく旅スタイルでいろんな所に行きたいので食料品は多めに買っておく

食料品以外にも寝具や衣類なんかも買う
よし、これで一通りの準備はできたかな
準備が出来たので宿の人にお礼を言い出るために入ってきた門から外に出る


「やっと来たか、これで全員揃ったな。では行くぞ」
「「「はい」」」
ん?……何がどうなってんだ
門を出たらアンリエッタさんの他に五条、藤城、篠宮、御堂、冒険者さんにサリアさんがいた
「今日は‥一緒」
御堂が横に来て小さい声で呟くが全く意味がわからなかった。何が何なのか分からないまま馬車に乗らされ移動を始める
今回横にはアンリエッタさんが乗った

「それにしても流石だね君は」
いきなり誉められてもわからないのでどう返せば良いか
「なにがだ?」
「まさか話を聞く前から準備を進めていたことだよ。君は朝ギルドに来なかっただろう?どうしたのか気になっていたんだけど、聞いた話によると食料とかの買付をしていたそうじゃないか」
買い物をしていたことを知ってるのか、何処かに見張りでも付けてるのかね
「そろそろあそこを出る頃だと思ったからな。必要なものを揃えていただけだ」
「実はギルドではね、Dランク以上の冒険者に依頼を出したんだ
今から向かう島の調査依頼をね
何でも昨日不思議なことが起こっただろう?その後から急に大型モンスターが暴れ始めたみたいなんだ」

話は分かったが府に落ちんことがあるな
「何故俺まで連れていかれるんだ?」
そう、俺は依頼を受けるなどといってはいない。故に連れていかれる理由がない
「ん?依頼のために買い物をしていたんじゃないのか?」
「ちげーよ!何でそんな発想になるんだ。俺はこの街を出て他の街に行こうとしてたんだ、依頼を手伝うつもりはない」

しーーーーん
馬車の中が静かになった

「おいおい!佐藤よー、ここまで来てなに言ってんだよ!」
また五条か。何でこいつのスキルにカリスマなんかあるのか不思議でしょうがないな
「お前は冒険者になれたのか?試験を受けてるって話は聞いてないが」
「ああ、受けたし受かったよ。お前も冒険者なら異変を調査するのも仕事だろ」
「生憎だが、俺はちょっと用事があるからここから離れる
それならここの調査に参加する必要もないだろ」
今もどんどん馬車は進むので出来れば早く決着をつけたい
それにしてもなんでこうも、何度も何度も五条は俺に突っかかってくるんだか

「私も行く」
突然御堂がそんなことを言い始めた
「な、なぜだ!なぜこんな奴に着いていくんだ!俺たちの方がよっぽど頼りになるだろ!」
「それでも」
「御堂、俺は連れてく気なんか無かったんだが?まだ折り合いついてないし」

「じゃあここでお別れ。またどこかで」
ペコリと頭を下げて挨拶をする御堂。しかし、それを聞いて黙っていられない奴がいる
「琴音!本気なのか!そいつはいつも下らない話ばっかりしていたゴミだぞ!」

……は?

「いつもアニメだの漫画だの下らない話ばかりで全く利益のない害虫だ!所詮キモオタなんだよ!」

よし、ぶっ潰すか
ズガーーーン

馬車の半分以上を破壊する攻撃を受けて五条は吹き飛んだ

何が起こったんだ?
健吾はなにもしていなかった。いや、後2秒後には健吾が吹き飛ばしたていたが

「それ以上の侮辱は許さない」
「琴音!」「琴音さん!」
藤城と篠宮が叫んだ人は今まで見たこともない位怒りに満ちた顔をしていた
どうやらさっき五条を吹き飛ばしたのは試験の時にも使っていた重力魔法によるものみたいだ

「琴音ー!、何してくれてんだよ!!攻撃する対象が違うだろ」
自分が正しいと思い込んでいる奴はやっぱりめんどくさすぎるな。藤城と篠宮も固まってるしどうすっかな、これ
「五条よー、御堂の好きにさせてやったらどうだ?」
「なんだよ佐藤。琴音と一緒に行きたいのかよ」
「いや、それはどうでもいい」キッパリ
キッパリと否定する。ここはハッキリさせとかないとめんどくさくなるし

「やっぱり嫌?」
さっきまでの怒りはどこに行ったのか今は泣きそうな顔をしている
そんなに行きたいのかよ!そんなに俺はすごい奴じゃないぞ
仕方ないからもう決めるか
「もういいや、ついてきたいならそれでも良いぞ
これ以上言い合ってても疲れるだけだ。勝手にしろ」
「うん」
泣き顔がすぐ笑顔になるんだな。表情の変化が多くなって本当に印象変わったな

「待てよ、佐藤」
「はいはい、なんですか?」
「俺と勝負しろ」
そうなると思ったけどこんなにテンプレだと面白味がない
「理由は?」
「弱い奴に琴音は任せておけないだろ!俺を倒したら連れてくことを許可してやる」
どうしたらそんな発想になるのか説明してほしいもんだな

返事を渋っていると藤城と篠宮が近づいてきて
「佐藤……ちょっといいか?」
「なんだ」
「えっとね、創くんと戦ってほしいの」
「それはまたどうして」
「創はちょっと調子に乗る癖があってな、お前なら創を止められるんじゃないかと思ったんだ」
「どうかな?」
別に五条と戦うことに否はないが……

「お前らは召喚した盗賊を倒せる程の戦闘能力を持ってるんだろ?なら、俺には勝ち目なんかあるわけないだろ」
一様謙遜はする。いきなり受けると違う頼み事もされる可能性があるからな
「多分大丈夫じゃないか?あいつの戦闘スタイルはヒットアンドアウェイだから」
「ギルドで聞いたけど、佐藤君もすごい速く動けるんでしょ?」

登録してすぐに絡まれたときの事だな。まさかこいつらがそれを知っているなんて思わなかったな
健吾は知らないが、あのとき戦ったのは新人潰しで有名な不良であった。そいつは実力だけはあるが余りにも素行が悪くて有名だった
その実力者を倒したのだから当然注目される

「分かった分かった。一回だけだぞ」
「サンキューな佐藤」「ありがとう佐藤君」
二人はそれを言ってすぐに離れていったが入れ替わりで御堂がきた
「けんちゃん……連れてってくれる?」
俺にだけ聞こえる小さな声できいてくる
「これ以上ここにいるのがめんどくさくなっただけだ、終わったらすぐに移動するから準備しとけ」
「分かった」


「おう、佐藤よ、準備はいいか?謝るなら今が最後のチャンスだが」
自分の実力を勘違いしている奴って本当にいるんだな、アニメや小説の中だけだと思ってたぞ
「はいはい、そういうのはいらないから
速く終わらそう」
「じゃあいくぞ。レディーファイト」
藤城の合図で決闘が始まった
もちろん馬車からは離れた場所でやっている。半壊したとはいえ、ギルド長やサリアさんもいるんだから巻き込まないようにしないと
もう既にかなり巻き込んでる気もしないでもないが
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