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国王の子供達
第二王子エル
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「失礼いたします、エル様…聖女様をお連れしました。聖女様、あちらのお方が第二王子、エル様でございます。」
カミラが声を掛けると、
「あぁ…思ったより早かったね。
うん?聖女だよ、昨日召喚されたんだ。
君達とはきっと仲良くなれると思うよ。」
と変わらず少し上を見上げて、その人は何かと話している様だった。
え、不思議ちゃん?この人が第二王子?
そう思った瞬間、
「エル、不思議ちゃんだって~」
「キャハハ!聖女おもしろーい!」
と小さな子供達の声がして、それと共に私の周りをキラキラしたものが動き回る。
「きゃ!何?!」
驚いてその光をよく見つめると、光とともに動き回る小さな人型の何かが見える。
「聖女…サエだっけ?やっぱり見えるね。
その子達は精霊だよ。気に入られたね。」
精霊?何そのファンタジー…
「ファンタジーってなぁに?」
目の前に女の子の姿をした精霊が首を傾げてニコニコしている。
え?と思ったのも束の間、
「その子達はね、心が読めちゃうんだ。だから思った事は何でも言っちゃって大丈夫だよ。どうせ読まれるから。」
エルがそう言ってクスクス笑う。
オレンジに近い明るい茶色の髪で、綺麗なグリーンの瞳…優しそうな美形のお兄さんだ。
「そうだよ~なんでも分かっちゃうの!
カミラは聖女様驚く姿も可愛い!って思ってて~サーラは聖女様も精霊が見えるなんて!凄い!って~あとミラベルは聖女様と仲良くなりたいな~って…三人ともサエが大好きじゃーん!」
また別の男の子の姿をした精霊が笑顔で私の肩に乗る。
「でも三人とも僕らの姿も声も聞こえないの…でもこの三人は信用していいよ。僕らが保証する。」
「そうなんですね…」
呆気にとられていると、
「普通の人間には精霊は見えないんだ。
特別な魔力や聖力を持たない限り。」
とエルが立ち上がって私の目の前に来る。
「ヒューランス王国へようこそ、サエ。
僕は第二王子エル。年は18。」
そう言って私の右手を取り手の甲にキスを落とす。
待て待て待て…何この王子様みたいな人!こんなの素でやられる日来るとか聞いてない!
「サエ~?王子様みたい、じゃなくてエルは王子だよー?」
また心を読まれて精霊が笑いながらそう言ってくる。
「確かに…そうですね…王子とか、私のいた国では馴染みが無さすぎて…皇族はいたけどそれとは違うし…」
「そうなんだ?君の国の話も、またぜひゆっくり聞きたいな。サエは年はいくつなの?」
エルは終始穏やかで、先程のクソ王子とは全然違ってこちらも穏やかな気持ちになる。
「私も18です。誕生日だったんです、昨日。誕生日で、都会に引っ越して、推しの夢汰にやっと会えて、最高な日だったんですけどね…召喚されて意味不明ですよ。」
もう心で思った事はどうせ全部バレるので包み隠さず思った事を口にするくらいには、エルに対しての警戒は解けた。
カミラが声を掛けると、
「あぁ…思ったより早かったね。
うん?聖女だよ、昨日召喚されたんだ。
君達とはきっと仲良くなれると思うよ。」
と変わらず少し上を見上げて、その人は何かと話している様だった。
え、不思議ちゃん?この人が第二王子?
そう思った瞬間、
「エル、不思議ちゃんだって~」
「キャハハ!聖女おもしろーい!」
と小さな子供達の声がして、それと共に私の周りをキラキラしたものが動き回る。
「きゃ!何?!」
驚いてその光をよく見つめると、光とともに動き回る小さな人型の何かが見える。
「聖女…サエだっけ?やっぱり見えるね。
その子達は精霊だよ。気に入られたね。」
精霊?何そのファンタジー…
「ファンタジーってなぁに?」
目の前に女の子の姿をした精霊が首を傾げてニコニコしている。
え?と思ったのも束の間、
「その子達はね、心が読めちゃうんだ。だから思った事は何でも言っちゃって大丈夫だよ。どうせ読まれるから。」
エルがそう言ってクスクス笑う。
オレンジに近い明るい茶色の髪で、綺麗なグリーンの瞳…優しそうな美形のお兄さんだ。
「そうだよ~なんでも分かっちゃうの!
カミラは聖女様驚く姿も可愛い!って思ってて~サーラは聖女様も精霊が見えるなんて!凄い!って~あとミラベルは聖女様と仲良くなりたいな~って…三人ともサエが大好きじゃーん!」
また別の男の子の姿をした精霊が笑顔で私の肩に乗る。
「でも三人とも僕らの姿も声も聞こえないの…でもこの三人は信用していいよ。僕らが保証する。」
「そうなんですね…」
呆気にとられていると、
「普通の人間には精霊は見えないんだ。
特別な魔力や聖力を持たない限り。」
とエルが立ち上がって私の目の前に来る。
「ヒューランス王国へようこそ、サエ。
僕は第二王子エル。年は18。」
そう言って私の右手を取り手の甲にキスを落とす。
待て待て待て…何この王子様みたいな人!こんなの素でやられる日来るとか聞いてない!
「サエ~?王子様みたい、じゃなくてエルは王子だよー?」
また心を読まれて精霊が笑いながらそう言ってくる。
「確かに…そうですね…王子とか、私のいた国では馴染みが無さすぎて…皇族はいたけどそれとは違うし…」
「そうなんだ?君の国の話も、またぜひゆっくり聞きたいな。サエは年はいくつなの?」
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「私も18です。誕生日だったんです、昨日。誕生日で、都会に引っ越して、推しの夢汰にやっと会えて、最高な日だったんですけどね…召喚されて意味不明ですよ。」
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