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35.君を妻として愛させて
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それからエイダンは別邸にほとんど行かなくなり、毎日必ず一度はステファニーに顔を見せて少しでも話そうとしていた。一緒に食事もとろうと毎日誘っていたが、ステファニーがほとんど断るので、めったに一緒に食事できなかった。
ブライアンが翌日寄宿学校に帰るというので、3日ぶりに2人は一緒に昼食をとるために食堂に来ていた。ブライアンも一緒に食べる約束をしていたが、まだ来ていなかった。
「ステファニー、今日は君と昼食を一緒にとれてうれしいよ。ありがとう」
「大げさですわ。ブライアン様も明日、学校に戻りますから今日ぐらいはご一緒しますわ。それに形だけと言っても夫婦ですし」
「形だけだなんて悲しいこと言わないで。これから関係を深めていこうじゃないか」
「エスター様はどうするのですか?最近、別邸に帰ってらっしゃらないですよね?」
「別邸は帰る所じゃないよ。私は君と本当の夫婦になってエスターとは別れようと思う」
「長年貴方に縛っておいて子供まで成したのに今更放り出すのですか?」
「いや、放り出しはしない。別邸にうちの負担でそのまま住んでもらおうと思う。ただ、私は彼女と別れるから、別邸に通わなくなるだけだ」
「はぁ・・・旦那様は残酷な方ですね。結婚前に私とは白い結婚だとエスター様と約束したのでしょう?」
「・・・それは彼女に悪いと思っている。でももう気持ちを偽れないんだ」
「でも私は貴方と本当の夫婦になろうと思うまでにはまだなっていません」
「今は思っていなくても少しずつ距離を縮めていきたい。君の心にまだ殿下がいてもいい」
「で、殿下のことは言わないで!」
エドワードのことを聞くと、ステファニーの胸はまだきりきりと痛む。
「無神経だった、すまない。ただ、私が君を妻として愛することを許してほしい」
「返事は保留にさせて下さい。やはり私はまだそれだけの愛をお返しできませんし、エスター様の今後のことも気になります」
「今は、君を愛するのを許してさえくれれば、まだ同じだけの愛を返してくれなくてもいい。エスターはもう私とは関係なくなるけど、生活の面倒は見るし、ブライアンの母として尊重はするつもりだ」
そこに遅れてきたブライアンが食堂に入ってきた。
「父上、母上を今更捨てるなんて言わないですよね?」
「聞いていたのか?」
「いえ、ドアの前まで来たら、母のことを話していたのが聞こえて入るのに少し躊躇していただけです」
「悪いが、エスターとはもうやっていけない。だが彼女を捨てはしない。彼女が別邸に引き続き住めるようにするのがせめてもの私の誠意だ」
「ひどいじゃないですか!母上は結婚できなくても父上の愛を信じてここまでずっと一緒にいたのに?!」
「すまない。だが、この気持ちはもう変えられない・・・」
「そうですか・・・父上を見損ないました。娼婦の子、愛人の子って学校で蔑まれても、使用人達にも陰口を言われても頑張ってきたのに・・・」
「そんなことを言う奴がうちの使用人の中にいるのか?!」
「誰を首にしようと陰口はなくなりませんよ。元娼婦の母親から僕が生まれたのは事実ですから」
「なっ・・・」
「父上が母上とどうしても別れたいのなら、明日僕は寄宿学校に戻りますから、今日が親子で食事する最後の機会です。母と3人で夕食をとりませんか」
「おいおい、ステファニーを仲間はずれにするのか?」
「親子3人の話に他人を入れたくありません」
「ブライアン!」
「いえ、当然です。そんな貴重な機会を私は邪魔したくありません。旦那様とブライアン様は別邸に行ってエスター様と親子3人水入らずで食事して下さい」
「いや、でも・・・」
「いえ、そうして下さい。旦那様とエスター様が今後どうするか話すのに部外者がいないほうがいいでしょう?旦那様がエスター様とこのまま内縁関係を続けるにしても別れるにしても、私はどちらの結論でも受け入れます」
「私の結論は変わらない。エスターとは別れる」
「父上!」
結局、エイダンとブライアンは別邸に行ってエスターと3人で夕食をとることになった。
ブライアンが翌日寄宿学校に帰るというので、3日ぶりに2人は一緒に昼食をとるために食堂に来ていた。ブライアンも一緒に食べる約束をしていたが、まだ来ていなかった。
「ステファニー、今日は君と昼食を一緒にとれてうれしいよ。ありがとう」
「大げさですわ。ブライアン様も明日、学校に戻りますから今日ぐらいはご一緒しますわ。それに形だけと言っても夫婦ですし」
「形だけだなんて悲しいこと言わないで。これから関係を深めていこうじゃないか」
「エスター様はどうするのですか?最近、別邸に帰ってらっしゃらないですよね?」
「別邸は帰る所じゃないよ。私は君と本当の夫婦になってエスターとは別れようと思う」
「長年貴方に縛っておいて子供まで成したのに今更放り出すのですか?」
「いや、放り出しはしない。別邸にうちの負担でそのまま住んでもらおうと思う。ただ、私は彼女と別れるから、別邸に通わなくなるだけだ」
「はぁ・・・旦那様は残酷な方ですね。結婚前に私とは白い結婚だとエスター様と約束したのでしょう?」
「・・・それは彼女に悪いと思っている。でももう気持ちを偽れないんだ」
「でも私は貴方と本当の夫婦になろうと思うまでにはまだなっていません」
「今は思っていなくても少しずつ距離を縮めていきたい。君の心にまだ殿下がいてもいい」
「で、殿下のことは言わないで!」
エドワードのことを聞くと、ステファニーの胸はまだきりきりと痛む。
「無神経だった、すまない。ただ、私が君を妻として愛することを許してほしい」
「返事は保留にさせて下さい。やはり私はまだそれだけの愛をお返しできませんし、エスター様の今後のことも気になります」
「今は、君を愛するのを許してさえくれれば、まだ同じだけの愛を返してくれなくてもいい。エスターはもう私とは関係なくなるけど、生活の面倒は見るし、ブライアンの母として尊重はするつもりだ」
そこに遅れてきたブライアンが食堂に入ってきた。
「父上、母上を今更捨てるなんて言わないですよね?」
「聞いていたのか?」
「いえ、ドアの前まで来たら、母のことを話していたのが聞こえて入るのに少し躊躇していただけです」
「悪いが、エスターとはもうやっていけない。だが彼女を捨てはしない。彼女が別邸に引き続き住めるようにするのがせめてもの私の誠意だ」
「ひどいじゃないですか!母上は結婚できなくても父上の愛を信じてここまでずっと一緒にいたのに?!」
「すまない。だが、この気持ちはもう変えられない・・・」
「そうですか・・・父上を見損ないました。娼婦の子、愛人の子って学校で蔑まれても、使用人達にも陰口を言われても頑張ってきたのに・・・」
「そんなことを言う奴がうちの使用人の中にいるのか?!」
「誰を首にしようと陰口はなくなりませんよ。元娼婦の母親から僕が生まれたのは事実ですから」
「なっ・・・」
「父上が母上とどうしても別れたいのなら、明日僕は寄宿学校に戻りますから、今日が親子で食事する最後の機会です。母と3人で夕食をとりませんか」
「おいおい、ステファニーを仲間はずれにするのか?」
「親子3人の話に他人を入れたくありません」
「ブライアン!」
「いえ、当然です。そんな貴重な機会を私は邪魔したくありません。旦那様とブライアン様は別邸に行ってエスター様と親子3人水入らずで食事して下さい」
「いや、でも・・・」
「いえ、そうして下さい。旦那様とエスター様が今後どうするか話すのに部外者がいないほうがいいでしょう?旦那様がエスター様とこのまま内縁関係を続けるにしても別れるにしても、私はどちらの結論でも受け入れます」
「私の結論は変わらない。エスターとは別れる」
「父上!」
結局、エイダンとブライアンは別邸に行ってエスターと3人で夕食をとることになった。
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