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2.幸せなひと時
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ルクス王国の唯一の王位継承権保有者かつ王太子エドワードとエスタス公爵令嬢ステファニーは、それぞれ10歳と8歳の時に政略上の理由で婚約した。それでも2人はすぐに打ち解け、愛を育んだ。ともに見目麗しい容貌で相思相愛の2人はお似合いのカップルと評判だった。
ステファニーは週に3回、王宮で未来の王妃のための教育を受け、その後エドワードの都合がつけば王宮内で会っていた。その日も王妃教育の後、エドワードの私室で逢瀬を重ねていた。最も、ルクス王国では婚前の貞淑が重要視されており、2人が婚姻前である以上、最大限の配慮がなされていた。部屋の扉はいつも開いていて、そのすぐ脇には王宮と公爵家の侍女と護衛騎士が控え、室外の扉の横でも複数の近衛騎士が2人を守っていた。
「ステフィー、いよいよ来年だね。待ちきれないよ」
「私もです」
ステファニーは蕩けるような笑顔でエドワードを見つめた。
「婚約10年でやっと結婚できるよ。本当はステファニーが社交界デビューしてすぐに結婚したかったのに」
「今はよほどのことがない限り、15歳で結婚することはありませんから、仕方ありませんわ」
ステファニーが15歳になった2年前、エドワードは結婚を強行しようとしたが、国王と一部の重臣に猛反対され、ステファニーが今の成人年齢である18歳になってから成婚ということになった。エドワードはその反対意見にエスタス公爵家と対立する貴族の政治的陰謀を感じなくもなかった。だが、社交界デビューさえすれば結婚が可能だった昔と違って、今はよほどの例外がない限り男女とも成人年齢の18歳以降に結婚するものだし、陰謀の証拠は見つからなかった。そのよほどの例外をエドワードは認めさせられなかったのだ。
ステファニーがふと窓の外を見ると、日が傾いて空が茜色になりつつあった。
「いけない、もうこんな時間だわ。帰らないと」
「はぁー・・・ステフィーと過ごす時間はあっという間だよ」
「エド、それも来年までの辛抱ですわ」
「うん、ステフィー。愛してるよ」
「私も愛してます、エド」
エドワードは公爵家の馬車が待つ場所までステファニーをエスコートして行き、彼女の額にちゅっとキスをした。2人は名残惜しそうに見つめ合って別れた。まさかそれが婚約者としての最後の逢瀬だとは思わずに・・・
ステファニーは週に3回、王宮で未来の王妃のための教育を受け、その後エドワードの都合がつけば王宮内で会っていた。その日も王妃教育の後、エドワードの私室で逢瀬を重ねていた。最も、ルクス王国では婚前の貞淑が重要視されており、2人が婚姻前である以上、最大限の配慮がなされていた。部屋の扉はいつも開いていて、そのすぐ脇には王宮と公爵家の侍女と護衛騎士が控え、室外の扉の横でも複数の近衛騎士が2人を守っていた。
「ステフィー、いよいよ来年だね。待ちきれないよ」
「私もです」
ステファニーは蕩けるような笑顔でエドワードを見つめた。
「婚約10年でやっと結婚できるよ。本当はステファニーが社交界デビューしてすぐに結婚したかったのに」
「今はよほどのことがない限り、15歳で結婚することはありませんから、仕方ありませんわ」
ステファニーが15歳になった2年前、エドワードは結婚を強行しようとしたが、国王と一部の重臣に猛反対され、ステファニーが今の成人年齢である18歳になってから成婚ということになった。エドワードはその反対意見にエスタス公爵家と対立する貴族の政治的陰謀を感じなくもなかった。だが、社交界デビューさえすれば結婚が可能だった昔と違って、今はよほどの例外がない限り男女とも成人年齢の18歳以降に結婚するものだし、陰謀の証拠は見つからなかった。そのよほどの例外をエドワードは認めさせられなかったのだ。
ステファニーがふと窓の外を見ると、日が傾いて空が茜色になりつつあった。
「いけない、もうこんな時間だわ。帰らないと」
「はぁー・・・ステフィーと過ごす時間はあっという間だよ」
「エド、それも来年までの辛抱ですわ」
「うん、ステフィー。愛してるよ」
「私も愛してます、エド」
エドワードは公爵家の馬車が待つ場所までステファニーをエスコートして行き、彼女の額にちゅっとキスをした。2人は名残惜しそうに見つめ合って別れた。まさかそれが婚約者としての最後の逢瀬だとは思わずに・・・
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