転生令嬢は前世の心中相手に囚われたくない!

田鶴

文字の大きさ
上 下
15 / 23
第3章 前世を思い出した後

15.大好きだよ!(ウルフ視点)

しおりを挟む
ちょっとセクハラ発言が入ります。要注意。

------

僕が薄汚れた内気な男の子で誰も話しかけてくれなかった頃、唯一話しかけてくれたのがアニカだった。

綺麗な赤い髪をかわいいリボンで結んで上等な服を着ていたから、すぐにいいところのお嬢さんだってわかった。

それでも汚い恰好をした僕に話しかけてくれた。
綺麗なエメラルドみたいな目で僕を見つめてくれた。
アニカが座りこんでいる僕をのぞき込んだ時、つやつやした赤い髪が僕の顔の上にかかった。くすぐったくて、でも気持ちよかった。

その頃から僕はアニカが大好きだった。
なのに孤児院でモニカとかいう女の子に迫られた。彼女は断ってもしつこくてすごく嫌だった。

他の男の子達は、モニカいいじゃん!かわいい!どうしてブスのお嬢様のほうがいいんだって言うんだ。
僕達が少し大きくなってからは、モニカと付き合ったらあの巨乳におさわりできるのに!お嬢様なんてまな板じゃん!とかセクハラ発言があいつらから飛び出してきた。

アニカはかわいいし、あのび、び、微乳がいいんだっ!
えっ?!あのセクハラ男の子達と同じ思考だって?!そんなことは……な、ない……は、はず……

でも恥ずかしくて、かわいいとか好きとかめったに言えなかった。

もちろん、び、び、び、微乳なんて絶対に言わない。言ったら最後、嫌われちゃう!こんなヤラシイことを考えてるって知られたら……やだっ!考えたくないっ!

将来、アニカの家族に僕との結婚を認めてもらうために僕は頑張って勉強してお金も稼いでいた。だから、アニカと会う時間がなくてアニカを寂しがらせてるって気が付かなった……

そんな時、僕はアホだったから、またモニカの罠にかかった。
薔薇祭が恋人達のためのイベント満載なんて、普通の男は知らない……ハズ。え?知ってるって?それはプレイボーイだから知ってるんだよっ!とにかく普通の男は知らないハズ。

孤児院の他の子達と一緒だからいいかと思って薔薇祭に行ったら、途中でモニカ以外の他の子達とはぐれた。あまりにデキ過ぎだ!
でもザンドラの機転でモニカとの恋人イベント達成は避けられた。
僕はこういうジンクスって信じてないけど、やっぱり好きでもない子とそんなことはしたくない。

無事にアニカとリボンに互いの名前を書いて天使像の柵に結びつけた。天にも昇るぐらいうれしくてニヤニヤが止まらなかった。だからニヤケ顔をアニカに見られないように必死だった。
しおりを挟む
この話は、『始まりはデキ婚から』(完結済、R18)のスピンオフです。
別のスピンオフ『年下執事が崇める女神~虐げられている男爵夫人を救いたい~』(R18)も公開中です(完結済)。
感想 0

あなたにおすすめの小説

傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。

石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。 そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。 新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。 初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、別サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

悪役令嬢は反省しない!

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢リディス・アマリア・フォンテーヌは18歳の時に婚約者である王太子に婚約破棄を告げられる。その後馬車が事故に遭い、気づいたら神様を名乗る少年に16歳まで時を戻されていた。 性格を変えてまで王太子に気に入られようとは思わない。同じことを繰り返すのも馬鹿らしい。それならいっそ魔界で頂点に君臨し全ての国を支配下に置くというのが、良いかもしれない。リディスは決意する。魔界の皇子を私の美貌で虜にしてやろうと。

婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話

ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。 リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。 婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。 どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。 死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて…… ※正常な人があまりいない話です。

悪役令嬢の居場所。

葉叶
恋愛
私だけの居場所。 他の誰かの代わりとかじゃなく 私だけの場所 私はそんな居場所が欲しい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。 ※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。 ※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。 ※完結しました!番外編執筆中です。

【完結】小さなマリーは僕の物

miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。 彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。 しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。 ※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)

悪役令嬢の逆襲

すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る! 前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。 素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

それは報われない恋のはずだった

ララ
恋愛
異母妹に全てを奪われた。‥‥ついには命までもーー。どうせ死ぬのなら最期くらい好きにしたっていいでしょう? 私には大好きな人がいる。幼いころの初恋。決して叶うことのない無謀な恋。 それはわかっていたから恐れ多くもこの気持ちを誰にも話すことはなかった。けれど‥‥死ぬと分かった今ならばもう何も怖いものなんてないわ。 忘れてくれたってかまわない。身勝手でしょう。でも許してね。これが最初で最後だから。あなたにこれ以上迷惑をかけることはないわ。 「幼き頃からあなたのことが好きでした。私の初恋です。本当に‥‥本当に大好きでした。ありがとう。そして‥‥さよなら。」 主人公 カミラ・フォーテール 異母妹 リリア・フォーテール

処理中です...