転生令嬢は前世の心中相手に囚われたくない!

田鶴

文字の大きさ
上 下
20 / 23
第3章 前世を思い出した後

20.シャイだったウルフは今どこに?!(アニカ視点)

しおりを挟む
 お互いに前世の記憶があると確認して以来、ウルフは大好きだけど怖い。複雑だ。

 だって結婚できないからって恋人を毒殺して後追い自殺するようなヤンデレが前世だよ?

 今世でもめくるめく恋愛はまたできないの?!
 
 ・・・・・・ああっそんなっ!

 お互いの気持ちをせっかく確認しあえたのに!

 どうして今まで気付かなかったんだろう・・・あんなにウルフと夢の中の『ルドルフ』は似てるのに…

 でもウルフはシャイだ。ヤンデレとは程遠い・・・はず・・・

 でも最近、ウルフは私を見る度に愛をささやく。

「アニカ、今日もかわいいね。愛してるよ」

 そう言って手にキスをして、額にキスをして、頬にキスをして…唇にもキスをしようとする!!それだけは断固として防がなければ!!ヤンデレルドルフもといヤンデレウルフはいらない!!

 出会ったばかりの頃のシャイなウルフはどこに行った!!付き合ったばかりの頃の照れまくってたウルフはどこに行った?!

 「い、いらないっ、そんな言葉!」

 つい強く言い過ぎてしまった。途端に傷ついた顔をするウルフ。シュンとした彼に垂れ下がった犬の耳としっぽが見える気がする。言い過ぎたかなとちょっぴりだけ反省した。

 「どうして?アニカも僕のこと好きでしょう?」

 顔に熱が集まってきた。

 「ほら、やっぱり。顔が赤くなってるよ」

 得意そうな顔のウルフ。

 突然目の前が暗くなって唇に柔らかくて温かいものが触れた。

 「・・・ん!」
 「ああ、かわいい!そんな蕩けた顔、他の男に見せちゃだめだよ」
やっぱり反省撤回!!
 「他の男に見られないように閉じ込めちゃおうかな」
 「…!!」
 「ごめん、冗談だよ、アニカ。でも僕達両想いだよね?他の男にアニカを見られたくないって思うの当たり前でしょ?」
 「見られるだけなら誰に見られても問題ないでしょ?」
 「だって、アニカのこと、やらしい目で見てるかもしれないじゃないか」
 「んー、確かにやらしい目はやだけど…ってか、それって思いこみだよね?!」
 
 危ない、危ない!思わずウルフのペースになるところだった!

 ウルフがルドルフの転生者でもルドルフみたいにヤンデレとは限らない・・・・・・そう思ってたんだけど・・・・・・そう思ってたんだけど・・・・・・

 なぜか今、私はウルフに壁ドンされている。あの壁ドンだよ!あのウルフにだよ!

 「アニカ。最近、僕を避けてるよね?どうして?」
 「さ、避けてなんか、い、いないよ!」
 「じゃあどうしてどもったのかな?」
 「た、たまにはどもることもあるよ」
 「そう。じゃあ僕達はラブラブカップルだよね」
 
 そう言ってウルフは顔を近づけてきたけど、思わず顔を横にひねって避けてしまった。

 「ねえ、どうして避けるの?僕達、熱い恋人同士じゃないか。僕を避けるなら、アニカを僕の部屋に閉じ込めていつでもキスできるようにしようかな」

 多分、私はショックですごい顔をしてたと思う。

 「ああ、かわいいよ、その顔。もっと見せて」

 ウルフは脱力した私をぎゅうぎゅう抱きしめた。

 あのシャイだったウルフはいったいどこに行っちゃったのー?!
しおりを挟む
この話は、『始まりはデキ婚から』(完結済、R18)のスピンオフです。
別のスピンオフ『年下執事が崇める女神~虐げられている男爵夫人を救いたい~』(R18)も公開中です(完結済)。
感想 0

あなたにおすすめの小説

傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。

石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。 そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。 新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。 初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、別サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

悪役令嬢は反省しない!

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢リディス・アマリア・フォンテーヌは18歳の時に婚約者である王太子に婚約破棄を告げられる。その後馬車が事故に遭い、気づいたら神様を名乗る少年に16歳まで時を戻されていた。 性格を変えてまで王太子に気に入られようとは思わない。同じことを繰り返すのも馬鹿らしい。それならいっそ魔界で頂点に君臨し全ての国を支配下に置くというのが、良いかもしれない。リディスは決意する。魔界の皇子を私の美貌で虜にしてやろうと。

悪役令嬢の居場所。

葉叶
恋愛
私だけの居場所。 他の誰かの代わりとかじゃなく 私だけの場所 私はそんな居場所が欲しい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。 ※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。 ※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。 ※完結しました!番外編執筆中です。

婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話

ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。 リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。 婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。 どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。 死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて…… ※正常な人があまりいない話です。

お言葉を返すようですが、私それ程暇人ではありませんので

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<あなた方を相手にするだけ、時間の無駄です> 【私に濡れ衣を着せるなんて、皆さん本当に暇人ですね】 今日も私は許婚に身に覚えの無い嫌がらせを彼の幼馴染に働いたと言われて叱責される。そして彼の腕の中には怯えたふりをする彼女の姿。しかも2人を取り巻く人々までもがこぞって私を悪者よばわりしてくる有様。私がいつどこで嫌がらせを?あなた方が思う程、私暇人ではありませんけど?

悪役令嬢の逆襲

すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る! 前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。 素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

【完結】小さなマリーは僕の物

miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。 彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。 しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。 ※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)

処理中です...