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16.新しい媚薬入りの香(*)
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アントンの主・ルイトポルト王太子は、政敵・宰相ベネディクトの娘パトリツィアとの結婚を回避できず――というか、ルイトポルトにその気があったのか甚だ疑問ではある――彼女が18歳になると同時に結婚した。
しかしアントンと同様、ルイトポルトは妻の純潔を奪わず、ベネディクトには閨を最後まで遂行したかのように見せかけていた。だがそれもまもなくベネディクトに露見してしまった。このままでは側室をあてがう、でもそうなったらパトリツィアは悲しんで儚くなるかもとベネディクトはルイトポルトを脅してきた。
ベネディクトは、実娘すらも自らの権力欲と金欲の犠牲にするのを厭わなかった。長男ラファエルの処遇とルイトポルトの確実な即位を盾に将来の傀儡となる後継ぎを早く作るようにパトリツィアを脅した。
パトリツィアは、心の奥底では愛する夫と本当に結ばれたいと思ってはいるものの、彼と王国の未来を真剣に心配するのなら、彼が自分と結ばれない方がいいと本心では分かっている。でもルイトポルトとパトリツィアが子供を作らないなら、ベネディクトは、本気でルイトポルトを廃して王家の遠縁を次代の王とするだろう。実家に残してきた幼い弟ラファエルも、唯一の後継ぎだと言うのにベネディクトは大切にしておらず、パトリツィアが言う事を聞かなければ、弟がどうなるか心配だった。
王太子夫妻の閨がきちんと行われているとベネディクトを騙す為、アントンは、媚薬成分と幻惑効果のある香を使う事をルイトポルトに提案した。そうすれば、性交を最後までしたとパトリツィアに誤解させる事ができる。
この製品がいくつか国境を隔てた国で開発されたのはごく最近であり、クレーベ王国にはまだ流通していない。アントンはずっと前から類似の効果のある香を任務に使っていたが、耐性をつけていても何度も使用していると性欲が我慢できなくなる副作用が酷くなってくる。
でもこの新製品にはそんな危険がない……と言われている夢の媚薬なのだ。だが、ルイトポルトは不安を拭いきれず、そんな薬を愛するパトリツィアに使いたくないと断った。
だがアントンは有無を言わさず、ハニートラップ対策も兼ねて部下のペトラを相手に見立ててルイトポルトにその香を使った。最初は抵抗したルイトポルトだったが、結局誘惑に負けて自らペトラの蜜壺に男根を挿入してしまった。すぐにアントンが止めてルイトポルトはペトラの中で射精せずにすんだが、アントンはルイトポルトの昂ぶりが収まらないのを見かね、ペトラに口淫させた。
ペトラの口の中に射精すると、ルイトポルトの頭の中の霧は晴れた。正気に戻ったルイトポルトは、低い声で不機嫌そうにアントンに問いただした。
「……アントン、どうしてこんな事をした?」
「そもそも今までハニートラップ対策を何も取っていなかったのはまずかったんです」
「だからってこんな! 彼女の中に……入れてしまった、よな?」
「やはりよく覚えてらっしゃらないんですね? 殿下は息子殿を彼女のアソコに確かに突き刺していましたよ」
「ああ、そんな……こんなの、パティに対する裏切りじゃないか……」
ルイトポルトは両手で顔を覆って打ちひしがれた。
「何も童貞って訳じゃないんですから、他の女としたって減りはしませんよ。それに一瞬挿入していただけで中出ししてないじゃないですか」
ルイトポルトは閨教育の一環で未亡人を相手に既に筆おろしを済ませていたが、それ以降娼館にも行かず、女性関係に潔癖な向きがあった。
「お前の貞操観念は理解できないよ。お前の奥方が気の毒だ」
「彼女は何も知らないですから、それでいいんです。それに事が成したら離縁予定ですからね」
「私なら、そんな夫婦関係を望まない。だからこそ、こんな事をしたくなかったんだ……」
「殿下、甘いですよ。ハニートラップを避けられなければ、望まぬ女と子供を持つ事になるかもしれないんですよ。とにかく……ンンン、悲劇の主になる前にソレを拭いて仕舞って下さい」
ルイトポルトはそう言われて初めて、萎えた陰茎がトラウザーズから無様にも出たままであったのにやっと気付いた。アントンから布巾を受け取っていざ陰茎を拭こうとしてハッとした。
「ちょっと後ろを向いてくれ」
「もう今更ですよ。覗き趣味なんてないのに、殿下の息子殿がペトラの中に入っていたのも見てしまいましたしね。少々休憩されてはいかがですか? 私はちょっとペトラの所へ行ってきます。中途半端で終わってしまって疼いているでしょうから」
「おい! 待て!」
「すぐに戻ってきます」
アントンはそう言って執務室をすぐに出て行った。
しかしアントンと同様、ルイトポルトは妻の純潔を奪わず、ベネディクトには閨を最後まで遂行したかのように見せかけていた。だがそれもまもなくベネディクトに露見してしまった。このままでは側室をあてがう、でもそうなったらパトリツィアは悲しんで儚くなるかもとベネディクトはルイトポルトを脅してきた。
ベネディクトは、実娘すらも自らの権力欲と金欲の犠牲にするのを厭わなかった。長男ラファエルの処遇とルイトポルトの確実な即位を盾に将来の傀儡となる後継ぎを早く作るようにパトリツィアを脅した。
パトリツィアは、心の奥底では愛する夫と本当に結ばれたいと思ってはいるものの、彼と王国の未来を真剣に心配するのなら、彼が自分と結ばれない方がいいと本心では分かっている。でもルイトポルトとパトリツィアが子供を作らないなら、ベネディクトは、本気でルイトポルトを廃して王家の遠縁を次代の王とするだろう。実家に残してきた幼い弟ラファエルも、唯一の後継ぎだと言うのにベネディクトは大切にしておらず、パトリツィアが言う事を聞かなければ、弟がどうなるか心配だった。
王太子夫妻の閨がきちんと行われているとベネディクトを騙す為、アントンは、媚薬成分と幻惑効果のある香を使う事をルイトポルトに提案した。そうすれば、性交を最後までしたとパトリツィアに誤解させる事ができる。
この製品がいくつか国境を隔てた国で開発されたのはごく最近であり、クレーベ王国にはまだ流通していない。アントンはずっと前から類似の効果のある香を任務に使っていたが、耐性をつけていても何度も使用していると性欲が我慢できなくなる副作用が酷くなってくる。
でもこの新製品にはそんな危険がない……と言われている夢の媚薬なのだ。だが、ルイトポルトは不安を拭いきれず、そんな薬を愛するパトリツィアに使いたくないと断った。
だがアントンは有無を言わさず、ハニートラップ対策も兼ねて部下のペトラを相手に見立ててルイトポルトにその香を使った。最初は抵抗したルイトポルトだったが、結局誘惑に負けて自らペトラの蜜壺に男根を挿入してしまった。すぐにアントンが止めてルイトポルトはペトラの中で射精せずにすんだが、アントンはルイトポルトの昂ぶりが収まらないのを見かね、ペトラに口淫させた。
ペトラの口の中に射精すると、ルイトポルトの頭の中の霧は晴れた。正気に戻ったルイトポルトは、低い声で不機嫌そうにアントンに問いただした。
「……アントン、どうしてこんな事をした?」
「そもそも今までハニートラップ対策を何も取っていなかったのはまずかったんです」
「だからってこんな! 彼女の中に……入れてしまった、よな?」
「やはりよく覚えてらっしゃらないんですね? 殿下は息子殿を彼女のアソコに確かに突き刺していましたよ」
「ああ、そんな……こんなの、パティに対する裏切りじゃないか……」
ルイトポルトは両手で顔を覆って打ちひしがれた。
「何も童貞って訳じゃないんですから、他の女としたって減りはしませんよ。それに一瞬挿入していただけで中出ししてないじゃないですか」
ルイトポルトは閨教育の一環で未亡人を相手に既に筆おろしを済ませていたが、それ以降娼館にも行かず、女性関係に潔癖な向きがあった。
「お前の貞操観念は理解できないよ。お前の奥方が気の毒だ」
「彼女は何も知らないですから、それでいいんです。それに事が成したら離縁予定ですからね」
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「殿下、甘いですよ。ハニートラップを避けられなければ、望まぬ女と子供を持つ事になるかもしれないんですよ。とにかく……ンンン、悲劇の主になる前にソレを拭いて仕舞って下さい」
ルイトポルトはそう言われて初めて、萎えた陰茎がトラウザーズから無様にも出たままであったのにやっと気付いた。アントンから布巾を受け取っていざ陰茎を拭こうとしてハッとした。
「ちょっと後ろを向いてくれ」
「もう今更ですよ。覗き趣味なんてないのに、殿下の息子殿がペトラの中に入っていたのも見てしまいましたしね。少々休憩されてはいかがですか? 私はちょっとペトラの所へ行ってきます。中途半端で終わってしまって疼いているでしょうから」
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「すぐに戻ってきます」
アントンはそう言って執務室をすぐに出て行った。
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