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3.困った叔父親子(フェルディナント視点)
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僕は自分で言っちゃなんだけど、見目麗しい美少年で爵位も継承できてこの条件だけならモテモテのハズ…なんだけど、身体が小さくて病弱で年齢より幼く見えるから、同年代の少年達やおませな高位貴族の令嬢達には馬鹿にされる。だから従兄のクラウスのようにたくましい男性に憧れてしまう。けどクラウスと彼の父は我が家に問題ばかり起こす。
高位貴族の我が家には、毎年、下級貴族の娘達が行儀見習いにやって来る。僕にはレオポルティーナという婚約者候補がいるのに、あわよくば僕に見初めてもらおうという少女達の欲を孕んだ視線がいつも怖い。高位貴族の令嬢達は僕の小さな身体を馬鹿にするけど、下級貴族の令嬢達はそんなことはどうでもいいらしい。
とある伯爵家に婿に入った父の弟とその息子クラウスは我が家をしょっちゅう訪れて行儀見習いの令嬢達をいやらしい目線でじろじろ見てボディタッチすらすることもある。令嬢達の両親はレオポルティーナがまだ正式な婚約者でないことを知っているし、僕が無理なら従兄のクラウスに見初められろと娘達をけしかけていたから、ボディタッチぐらいで怒鳴り込んでくる家はなかった。
そんな叔父親子を母上は嫌っていて出入り禁止にしたがったのだが、父上は叔父とそれほど仲が良いように見えないのに、出入り禁止にしていない。クラウスは僕と違って剣術が得意だから、クラウスと剣術の練習をして彼の男らしさを見習ってほしいようだ。
僕も叔父親子の粗野な性格を好きになれないが、嫌いにもなれなかった。僕は身体が弱くて小さく、父上に男らしくないとしょっちゅう叱られていたから、女誑しで粗暴でも、僕にない男くささのある叔父親子がまぶしく見えた。
クラウスが16歳、僕が13歳、レオポルティーナが11歳の頃、クラウスのせいでひと悶着が起きた。
「おい、フェル、見ろよ。顔はそんなにかわいくないけど、胸がすごいな。普通に歩いてるだけでかなりゆさゆさ揺れてるぞ。ありゃ相当大きいな。生で揉んでみたいなぁ」
「クラウス、何言ってるんだ。誰かに聞かれたらどうするんだ」
「見て想像するぐらいいいだろ、減るもんでもないし。ああ~、おっぱいに顔うずめてぇ~」
「気持ち悪いこと言うな。赤ん坊でもあるまいし」
「お前、まだお子様だなぁ。お前の婚約者がまな板なお子様なんだから、他で楽しまなきゃ」
「僕は子供じゃないっ!それにティーナはまだ婚約者候補だ」
「そっか、じゃあまだ間に合うな。今からでもおっぱいデカくなりそうな女を婚約者に変えられるじゃないか。巨乳は男のロマンだぜ」
「あんなの、乳牛みたいで気持ち悪いだけだ!」
クラウスが侍女見習い達の行く方向にフラフラと付いていった後、その場にもいた従者で幼馴染でもあるヨハンにフェルディナントは気になっていたことを聞いた。ヨハンは人前では弁えていて従者らしく話すが、2人だけの時やレオポルティーナを加えて3人だけの時はくだけて話す。
「ヨハン、お前もああいうのが魅力的に見えるの?」
「ああいうのって?」
「その…クラウスが言っていたような…胸が大きいとか…」
「男全員がおっぱいでかい女を好きなわけじゃないよ」
「じゃあ、大きな胸が魅力的に見えなくても異常じゃないんだよね?」
「その通り。お前はお前のままでいいんだよ」
僕はヨハンの言葉に安心した。でもそれはほんのひと時の話だった。僕達はこの日の自分達の会話が誰かに聞かれていたなんて思ってもいなかった。
叔父親子が帰った後、僕は母の部屋に呼ばれた。
「フェルディナント、なぜ呼ばれたかわかりますね?」
「…いいえ」
「貴方がマリンを乳牛みたいだって貶めたと聞きました。かわいそうに、マリンは泣いていたのですよ」
「マリン?」
「…少し体格がよくて赤毛の行儀見習いの娘です」
「いえ、あれはクラウスとの会話で売り言葉に買い言葉で言ってしまっただけで…」
「あの娘は貴方と同じ13歳ですよ。かわいそうに」
「ごめんなさい…」
「彼女は自分の体形にコンプレックスを持っているのです。年頃の娘が同年代の令息にコンプレックスの元の身体的特徴を嘲られて相当傷ついたはずです。貴方だって他人に男らしくないとか、身体が小さくて弱々しいとか言われたくないでしょう?」
「もちろんです!」
「だったらマリンに謝りなさい。それから叔父様達とはなるべく関わり合わないように」
「でも父上がクラウスと剣術の練習をしろって…」
「ヨハンも強いのだから、剣術だったらヨハンと練習しなさい。旦那様には私から言っておきます」
母上は父上に叔父親子の出入り禁止をまた進言したらしかったが、結局クラウスとの剣術練習の日常は変わらず、両親の夫婦仲が悪化しただけだった。
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「おっぱいゆさゆさ」は、昔々中学の頃(遠い目…)、体育の時間に同級生の男の子が言ってきたんですよね(もちろん?私のことではありません)。今でも覚えているほど衝撃でした。。。
でも胸が大きい女性に対する偏見はありません。あくまで創作上の言葉遣いとしてご容赦お願いします。
高位貴族の我が家には、毎年、下級貴族の娘達が行儀見習いにやって来る。僕にはレオポルティーナという婚約者候補がいるのに、あわよくば僕に見初めてもらおうという少女達の欲を孕んだ視線がいつも怖い。高位貴族の令嬢達は僕の小さな身体を馬鹿にするけど、下級貴族の令嬢達はそんなことはどうでもいいらしい。
とある伯爵家に婿に入った父の弟とその息子クラウスは我が家をしょっちゅう訪れて行儀見習いの令嬢達をいやらしい目線でじろじろ見てボディタッチすらすることもある。令嬢達の両親はレオポルティーナがまだ正式な婚約者でないことを知っているし、僕が無理なら従兄のクラウスに見初められろと娘達をけしかけていたから、ボディタッチぐらいで怒鳴り込んでくる家はなかった。
そんな叔父親子を母上は嫌っていて出入り禁止にしたがったのだが、父上は叔父とそれほど仲が良いように見えないのに、出入り禁止にしていない。クラウスは僕と違って剣術が得意だから、クラウスと剣術の練習をして彼の男らしさを見習ってほしいようだ。
僕も叔父親子の粗野な性格を好きになれないが、嫌いにもなれなかった。僕は身体が弱くて小さく、父上に男らしくないとしょっちゅう叱られていたから、女誑しで粗暴でも、僕にない男くささのある叔父親子がまぶしく見えた。
クラウスが16歳、僕が13歳、レオポルティーナが11歳の頃、クラウスのせいでひと悶着が起きた。
「おい、フェル、見ろよ。顔はそんなにかわいくないけど、胸がすごいな。普通に歩いてるだけでかなりゆさゆさ揺れてるぞ。ありゃ相当大きいな。生で揉んでみたいなぁ」
「クラウス、何言ってるんだ。誰かに聞かれたらどうするんだ」
「見て想像するぐらいいいだろ、減るもんでもないし。ああ~、おっぱいに顔うずめてぇ~」
「気持ち悪いこと言うな。赤ん坊でもあるまいし」
「お前、まだお子様だなぁ。お前の婚約者がまな板なお子様なんだから、他で楽しまなきゃ」
「僕は子供じゃないっ!それにティーナはまだ婚約者候補だ」
「そっか、じゃあまだ間に合うな。今からでもおっぱいデカくなりそうな女を婚約者に変えられるじゃないか。巨乳は男のロマンだぜ」
「あんなの、乳牛みたいで気持ち悪いだけだ!」
クラウスが侍女見習い達の行く方向にフラフラと付いていった後、その場にもいた従者で幼馴染でもあるヨハンにフェルディナントは気になっていたことを聞いた。ヨハンは人前では弁えていて従者らしく話すが、2人だけの時やレオポルティーナを加えて3人だけの時はくだけて話す。
「ヨハン、お前もああいうのが魅力的に見えるの?」
「ああいうのって?」
「その…クラウスが言っていたような…胸が大きいとか…」
「男全員がおっぱいでかい女を好きなわけじゃないよ」
「じゃあ、大きな胸が魅力的に見えなくても異常じゃないんだよね?」
「その通り。お前はお前のままでいいんだよ」
僕はヨハンの言葉に安心した。でもそれはほんのひと時の話だった。僕達はこの日の自分達の会話が誰かに聞かれていたなんて思ってもいなかった。
叔父親子が帰った後、僕は母の部屋に呼ばれた。
「フェルディナント、なぜ呼ばれたかわかりますね?」
「…いいえ」
「貴方がマリンを乳牛みたいだって貶めたと聞きました。かわいそうに、マリンは泣いていたのですよ」
「マリン?」
「…少し体格がよくて赤毛の行儀見習いの娘です」
「いえ、あれはクラウスとの会話で売り言葉に買い言葉で言ってしまっただけで…」
「あの娘は貴方と同じ13歳ですよ。かわいそうに」
「ごめんなさい…」
「彼女は自分の体形にコンプレックスを持っているのです。年頃の娘が同年代の令息にコンプレックスの元の身体的特徴を嘲られて相当傷ついたはずです。貴方だって他人に男らしくないとか、身体が小さくて弱々しいとか言われたくないでしょう?」
「もちろんです!」
「だったらマリンに謝りなさい。それから叔父様達とはなるべく関わり合わないように」
「でも父上がクラウスと剣術の練習をしろって…」
「ヨハンも強いのだから、剣術だったらヨハンと練習しなさい。旦那様には私から言っておきます」
母上は父上に叔父親子の出入り禁止をまた進言したらしかったが、結局クラウスとの剣術練習の日常は変わらず、両親の夫婦仲が悪化しただけだった。
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「おっぱいゆさゆさ」は、昔々中学の頃(遠い目…)、体育の時間に同級生の男の子が言ってきたんですよね(もちろん?私のことではありません)。今でも覚えているほど衝撃でした。。。
でも胸が大きい女性に対する偏見はありません。あくまで創作上の言葉遣いとしてご容赦お願いします。
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