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プロローグ
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幼馴染で主従関係にある少年2人は苦悩していた。主人にあたる少年――フェルディナント――は、2年後に婚約者――レオポルディーナ――と結婚しなければいけないが、子作りをする行為を受け入れられないでいた。
「……でも僕、2年後にはディーナと結婚してディーナにあんなことしなきゃいけない……できないよっ! どうしよう?!」
「なぁ、ディーナと結婚したら彼女を抱かなきゃいけないのか?」
「どういう意味?」
「白い結婚じゃいけないのか?」
「駄目だよ。子供作らなきゃいけないんだ。白い結婚だってバレたら、父上にまた殴られるよ」
フェルディナントは、父親からの折檻を思い出したようで身をすくめた。
「そっか……でもディーナを抱かなくても子供作る方法あるぞ」
「えっ?! どうやって?」
「フェルの精液を注射器に入れてディーナの女性器に入れるんだ」
フェルディナントは、幼馴染かつ従者でもあるヨハン少年から、白い結婚でも子供を作る方法があると聞いて一瞬表情を明るくしたが、提案の内容を聞いてがっくりと肩を落とした。
「そんなの……ディーナが子供を産む機械かなんかみたいじゃないか。そんなの駄目だよ……僕はディーナを抱けそうもないけど、彼女のことは大切なんだ。僕達3人、子供の頃からずっと一緒だっただろう? かわいいディーナにそんな雑な扱いはしたくない」
どっちが主従なのか分からないぐらいの勢いでヨハンはフェルディナントを責めた。
「かわいいディーナ? じゃあ、彼女を抱けるのか?!」
「ディーナはかわいいけど、そういう対象じゃないんだよ……なんていうか、妹みたいっていうか……実際は幼馴染で婚約者候補なんだけど」
「そういう対象じゃないって言うなら、注射器使って妊娠させるしかないだろ?」
「でもそんな事したら、ディーナが傷つくだろう?」
「さっきから聞いてれば、ディーナ、ディーナって……! もういい!」
2人は言い争いになり、ヨハンは主人の部屋から出て行った。
残されたフェルディナントは聞く者もいないまま、苦悩を独白した。
「どうすればいいんだ……言わなきゃ不誠実、言っても不誠実……」
------
人工授精に偏見を持っているわけではありません。そういう受精方法はまだ一般的ではない架空の時代と場所の話です。
「……でも僕、2年後にはディーナと結婚してディーナにあんなことしなきゃいけない……できないよっ! どうしよう?!」
「なぁ、ディーナと結婚したら彼女を抱かなきゃいけないのか?」
「どういう意味?」
「白い結婚じゃいけないのか?」
「駄目だよ。子供作らなきゃいけないんだ。白い結婚だってバレたら、父上にまた殴られるよ」
フェルディナントは、父親からの折檻を思い出したようで身をすくめた。
「そっか……でもディーナを抱かなくても子供作る方法あるぞ」
「えっ?! どうやって?」
「フェルの精液を注射器に入れてディーナの女性器に入れるんだ」
フェルディナントは、幼馴染かつ従者でもあるヨハン少年から、白い結婚でも子供を作る方法があると聞いて一瞬表情を明るくしたが、提案の内容を聞いてがっくりと肩を落とした。
「そんなの……ディーナが子供を産む機械かなんかみたいじゃないか。そんなの駄目だよ……僕はディーナを抱けそうもないけど、彼女のことは大切なんだ。僕達3人、子供の頃からずっと一緒だっただろう? かわいいディーナにそんな雑な扱いはしたくない」
どっちが主従なのか分からないぐらいの勢いでヨハンはフェルディナントを責めた。
「かわいいディーナ? じゃあ、彼女を抱けるのか?!」
「ディーナはかわいいけど、そういう対象じゃないんだよ……なんていうか、妹みたいっていうか……実際は幼馴染で婚約者候補なんだけど」
「そういう対象じゃないって言うなら、注射器使って妊娠させるしかないだろ?」
「でもそんな事したら、ディーナが傷つくだろう?」
「さっきから聞いてれば、ディーナ、ディーナって……! もういい!」
2人は言い争いになり、ヨハンは主人の部屋から出て行った。
残されたフェルディナントは聞く者もいないまま、苦悩を独白した。
「どうすればいいんだ……言わなきゃ不誠実、言っても不誠実……」
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人工授精に偏見を持っているわけではありません。そういう受精方法はまだ一般的ではない架空の時代と場所の話です。
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