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『伯爵令嬢』の意味2
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「どうかしたんですか?」
「え? ああ、いや。……今日は話があってきたんだ」
「話ですか?」
私が尋ねると、フィリエル殿下は意を決したように言った。
「レイナは今や伯爵家の令嬢なわけだ」
「そうですね」
「伯爵令嬢になれば、周囲からの見え方も変わってくる。簡単に言うと、王族との婚約もギリギリ『有り』だとみなされるようになる」
「え?」
一瞬なんの話かわからずフィリエル殿下を見ると、なぜかフィリエル殿下の顔が赤くなっている。
まるで緊張でもしているように。
やめてほしい。
そんな顔をされると私までどきどきしてくる。
フィリエル殿下はぎこちない手つきで、懐から小さな箱を取り出した。
「これを受け取ってほしい」
「……開けていいですか?」
「ああ」
小箱を開けると、そこに入っていたのは指輪だった。
きらきらとまばゆい宝石が取り付けられており、凄まじく高価な品であることはひと目でわかった。
少なくとも友人にプレゼントするような次元のものじゃない。
フィリエル殿下はまっすぐに私の目を見た。
「レイナ、僕はこの日をずっと待っていたんだ。――僕と婚約を結んでくれ。必ず幸せにする」
その言葉に、私の心臓が痛いくらいに跳ねる。
どっ、どっ、と胸の中で音がうるさく鳴る。
一気に顔が赤くなったのが自分でわかった。
「ほ、本気ですか」
「ああ。……長かった。僕がミドルダム家に旧ロージア領を任せたのはこのためでもあったんだ」
「私が伯爵令嬢になって、フィリエル様と結婚することが周りに認められるからですか?」
「そうだ。そうする以外に、君を手に入れる方法を思いつかなかった」
「そ、そんなことのためにうちを子爵に上げるなんて無茶なことをしたんですか!?」
「そのくらい本気なんだよ。ミリネアなんかは知ってるけどね。僕は学院時代からずっと君のことが好きだったんだ」
そう告げるフィリエル殿下の顔は真っ赤で、真剣そのものだった。
「はっきり聞かせてほしい。……レイナは僕のことをどう思っている?」
私にとってフィリエル殿下はどんな存在だろう。
格好良くて、頼りになって、頭もよくて、優しくて。
……そんな最高の男性だ。
「……大好きに決まってるじゃないですか」
「――!」
私がそう言った瞬間、フィリエル殿下に抱きしめられた。
「く、苦しいですよ」
「ごめん。でも、ちょっと我慢できそうにない。ずっとこうするのが夢だったから」
「わ、私も……フィリエル様のことをずっとお慕いしていました」
そう小声で告げると、さらに私を抱きしめる力が強くなる。
と。
「「「おめでとーっ!」」」
大歓声とともに扉が開いた。
そこにいたのは使用人に、両親に、ミリネア様までいる。
「い、いつからそこに!? というかなぜミリネア様まで!」
「この屋敷に遊びに着たら、フィリエルががちがちに緊張しながら入っていくからこっそり後をつけたのよ!」
「そんなことを自信満々に言われても!」
私の両親はフィリエル殿下に話しかけている。
「うちの娘をよろしくお願いします!」
「こちらこそ。必ず幸せにします」
「うう、よかった……! もう孫の顔は見られないとばかり……!」
その後は一気に祝賀ムードとなり、屋敷でのパーティーが催された。
そこにはいつの間にかレグルス陛下までもが混ざる大騒ぎとなった。
パーティーの後、去り際にフィリエル殿下はにっこり笑って告げた。
「これからよろしくね、レイナ」
「はい。あ、でも幸せにしてもらうなんてつもりはありませんよ」
「え?」
目を瞬かせるフィリエル殿下に私は言った。
「私もフィリエル殿下を幸せにできるよう頑張りますから……二人で一緒に幸せになりましょうね!」
私がそう言うと、
「はは、本当にかなわないな」
フィリエル殿下はそう言って苦笑するのだった。
「え? ああ、いや。……今日は話があってきたんだ」
「話ですか?」
私が尋ねると、フィリエル殿下は意を決したように言った。
「レイナは今や伯爵家の令嬢なわけだ」
「そうですね」
「伯爵令嬢になれば、周囲からの見え方も変わってくる。簡単に言うと、王族との婚約もギリギリ『有り』だとみなされるようになる」
「え?」
一瞬なんの話かわからずフィリエル殿下を見ると、なぜかフィリエル殿下の顔が赤くなっている。
まるで緊張でもしているように。
やめてほしい。
そんな顔をされると私までどきどきしてくる。
フィリエル殿下はぎこちない手つきで、懐から小さな箱を取り出した。
「これを受け取ってほしい」
「……開けていいですか?」
「ああ」
小箱を開けると、そこに入っていたのは指輪だった。
きらきらとまばゆい宝石が取り付けられており、凄まじく高価な品であることはひと目でわかった。
少なくとも友人にプレゼントするような次元のものじゃない。
フィリエル殿下はまっすぐに私の目を見た。
「レイナ、僕はこの日をずっと待っていたんだ。――僕と婚約を結んでくれ。必ず幸せにする」
その言葉に、私の心臓が痛いくらいに跳ねる。
どっ、どっ、と胸の中で音がうるさく鳴る。
一気に顔が赤くなったのが自分でわかった。
「ほ、本気ですか」
「ああ。……長かった。僕がミドルダム家に旧ロージア領を任せたのはこのためでもあったんだ」
「私が伯爵令嬢になって、フィリエル様と結婚することが周りに認められるからですか?」
「そうだ。そうする以外に、君を手に入れる方法を思いつかなかった」
「そ、そんなことのためにうちを子爵に上げるなんて無茶なことをしたんですか!?」
「そのくらい本気なんだよ。ミリネアなんかは知ってるけどね。僕は学院時代からずっと君のことが好きだったんだ」
そう告げるフィリエル殿下の顔は真っ赤で、真剣そのものだった。
「はっきり聞かせてほしい。……レイナは僕のことをどう思っている?」
私にとってフィリエル殿下はどんな存在だろう。
格好良くて、頼りになって、頭もよくて、優しくて。
……そんな最高の男性だ。
「……大好きに決まってるじゃないですか」
「――!」
私がそう言った瞬間、フィリエル殿下に抱きしめられた。
「く、苦しいですよ」
「ごめん。でも、ちょっと我慢できそうにない。ずっとこうするのが夢だったから」
「わ、私も……フィリエル様のことをずっとお慕いしていました」
そう小声で告げると、さらに私を抱きしめる力が強くなる。
と。
「「「おめでとーっ!」」」
大歓声とともに扉が開いた。
そこにいたのは使用人に、両親に、ミリネア様までいる。
「い、いつからそこに!? というかなぜミリネア様まで!」
「この屋敷に遊びに着たら、フィリエルががちがちに緊張しながら入っていくからこっそり後をつけたのよ!」
「そんなことを自信満々に言われても!」
私の両親はフィリエル殿下に話しかけている。
「うちの娘をよろしくお願いします!」
「こちらこそ。必ず幸せにします」
「うう、よかった……! もう孫の顔は見られないとばかり……!」
その後は一気に祝賀ムードとなり、屋敷でのパーティーが催された。
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「これからよろしくね、レイナ」
「はい。あ、でも幸せにしてもらうなんてつもりはありませんよ」
「え?」
目を瞬かせるフィリエル殿下に私は言った。
「私もフィリエル殿下を幸せにできるよう頑張りますから……二人で一緒に幸せになりましょうね!」
私がそう言うと、
「はは、本当にかなわないな」
フィリエル殿下はそう言って苦笑するのだった。
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