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イザベラ・ロージア5
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その後もアランは激しい口調でまくし立てた。
グローリアフラワーの事業を持ち掛けてきたのは私だとか、そのために脅迫してワロイス商会を利用していたとか。
「だから今回のことはすべてその女が悪いんです! 裁くならその女だけにしてください!」
アランが私を指さしながらそんなことを言ってきた。
「あ、アラン? どうしたの? おかしいじゃない、そんなことを言うなんて」
「うるさい! 俺に話しかけるな」
「私とあなたは心が通じ合った本当の恋人でしょう!?」
こんなのはおかしい。夢か何かだ。
優しいアラン。
いつも私の言うことを聞いて受け止めてくれたアラン。
そんな彼が私に罪を着せて言い逃れようとするなんてありえない。
衛兵はアランを冷たい目で見ている。
「残念ながらお前についても調べがついている。貴族の女性から総額いくら巻き上げたかもな。罪から逃れようとしても無駄だ」
「くそっ……!」
アランは衛兵の言葉に観念したように吐き捨てた。
がっくりとうなだれて動かなくなる。
「アラン! 私の言葉に答えて! あなたは私と真実の愛を交わした関係でしょう!?」
そんなアランに私がさらに声をかけると……
「はっ、おめでたい女だな」
アランは吐き捨てるように言った。
「おめでたい? ど、どういう意味?」
「お前みたいな馬鹿な女、最初から金づるとしか思ってねえよ。それを勘違いしやがって……! 今だから言ってやるけどな、お前みたいな勘違い女が一番気持ち悪いんだよ!」
「――」
気持ち悪い……私が? アランに私は拒絶されたの?
しかも最初から金づるだとしか思ってなかったなんて……
私はあまりのことに意識を保てず、その場で気絶した。
目を覚ますとそこは薄暗い牢獄だった。
服装まで着替えさせられて囚人のような縞模様の服を着せられている。
牢の前には見張りの衛兵が立っている。
「出して! ここから出して!」
「お静かに」
「私はロージア家の夫人よ! こんなことをして済むと思っているの!?」
「どれだけ喚いても出すことはできません。今は調査中ですので、あなたの罪状が定まるまで大人しくしていてください」
衛兵はその後私の状況を説明した。
すでにワロイス商会の人員はほとんどが捕縛済みであるらしい。アランやバハドも当然その中に含まれている。
もともと例の密偵は、ワロイス商会を一網打尽にするチャンスを求めて潜入していたそうだ。そしてグローリアフラワーの薬物が完成し、その報告会が行われる日、他の衛兵たちとともにワロイス商会の捕縛に踏み切った。
それが私も居合わせたあのタイミングだったそうだ。
あの場にいた人間は、グローリアフラワーの薬物を作り利益を得ようとしたことで罪人確定。つまり私も他人事ではないらしい。
やっぱり夢じゃなかったのね……
最悪。
意味がわからない。
全部アランのせいだ。あの男が私を騙していたのだ。
私は純粋な思いで彼を愛していたのに、彼は私を利用しようとしか思っていなかった。
なんて悪質なんだろうか!
私がアランへの恨みを募らせていると――
「……イザベラ」
「あなた!」
牢の前にやってきたのは夫のドブルスだった。
「ああ、あなた。会いたかったわ」
「……」
不思議だ。前はなんとも思わなかったのに、今はドブルスの顔を見ただけで安心してしまう。やはり私の相手はアランなどではなくこの男性なのだ。
「イザベラ……衛兵に聞いたときは嘘かと思ったが、本当だったのか」
「ああ、なんてことでしょう」
「え? お父様に……お母様まで?」
ドブルスに続いて現れたのは私の実の両親だった。衛兵から私の両親の元にまで連絡がいったのだろうか。
まあ、今は両親なんてどうでもいい。
私はドブルスに話しかけた。
「あなた、どうかここから出してください! 酷いんですよ、みんなして私を悪人だと寄ってたかって言うんです……!」
私は被害者だ。アランに騙された私は可哀そうな存在のはずなのに、どうして牢屋になんて入れられないといけないんだろうか。
そんな私をドブルスは冷めた目で見ている。
「衛兵から事情はすべて聞いた。グローリアフラワーを領地で俺の指示だと偽って栽培し、しかも犯罪組織とともに違法薬物を作っていたそうだな」
「そ、それは誤解よ。私は騙されたの」
「では違うのか?」
「それは……」
言い淀んだ私にドブルスはさらに尋ねてくる。
「それに――お前は屋敷から金を勝手に持ち出し、娼館に通ってアランという男娼に貢いでいたそうだな。それも本当か?」
「……」
「本当なんだな」
答えられない。頷けば私の立場が悪くなるからだ。
ドブルスの声からは何も感じ取れない。
両親が絶句しているのが見えた。
私はドブルスに言った。
「全部誤解なんです。た、確かに私はアランと……その、多少関係を持ちました。でもアランに騙されていたんです! 私は今回のことで気付きました。本当の愛はあなたとの間にしかないのだと」
「本当の愛、か」
「ええ! 愛しているわ、あなた。だからここから出してくれるでしょう?」
私はにっこりとドブルスに微笑みかけた。二十年前、この人は私の笑顔が好きだと言った。この表情をすればどんなことでも許してくれたのだ。
「――この、腐れ女が!」
ガンッ!
「ひいい!」
ドブルスが牢屋を激しく蹴りつけた。私は思わず後ろに倒れ込む。
「な、なな、なんてことを」
「お前のせいで俺になにが起こったか教えてやろうか!」
「な、なんですか」
「お前が勝手にロージア領の土地を違法薬物の材料を栽培するのに使ったせいで、その周辺の土地を浄化のためと国に没収された! グローリアフラワーは繁殖力が高く、畑の外にも種を届かせた可能性があるからとな……! しかもワロイス商会の連中はお前に知らせず、ロージア領のあちこちに似たような畑を作っていた。おかげでロージア領の土地が大幅に国に回収されてしまったのだ!」
私は目を見開いた。
土地を没収された? そんな話は聞いてない!
「これでは通常の農業も行えない! 俺たちは今借金に苦しんでいて、来年以降の税収にすべてを賭けていたのに……お前のせいで台無しだ! どうしてくれるんだ、ええ!?」
恫喝されて恐怖に私はがくがくと震える。
ドブルスはさらに怒鳴り続ける。
「しかも、お前は長年俺に黙って男娼に金を貢ぎ続けていたそうだな。それがかなりの頻度だったことも、娼館の人間に聞いてすでにわかっている」
「ち、ちが、違うのです。それは」
「もういい。お前の話は聞くに値しない」
ドサドサドサ、と牢屋の目の前にドブルスはなにかを置いた。
それは服や鞄、化粧品といった私の持ち物だった。屋敷に置いていたはずのものがなぜここに?
ドブルスは無言で懐から赤く輝く石を取り出した。
これは……火炎石? サイズは一般的なものよりも小さいけれど間違いない。
ドブルスはそれを床に散らばる私の持ち物の上に置くと、強く踏みつけた。
途端に――ボウッ! と火の手が上がる。
「わ、わたしの服が! 鞄が!」
「お前の持ち物など必要ないだろう? どうせお前はもう牢から出てこられないのだから」
酷い! どうしてこんなことをするの!?
「なにをしているんですか!」
衛兵が気付いて駆け寄ってくるが、ドブルスは衛兵に怒鳴った。
「喚くな。火事になるほどの大きさの火炎石じゃない」
「ですが……」
ドブルスはすぐに火を踏み消した。しかしそこに残っているのはもはや服や化粧品の形をした消し炭だけだった。
「離婚だ、イザベラ。お前のような女と結婚したことは生涯の恥だ」
「え? ちょっと、それはどういう意味ですか」
「言葉の通りだ。もうお前は俺の妻ではない。……妻が犯罪者となった場合、手続きを簡略化して婚姻を解消することができる。お前の両親も了承済みだ」
私は思わず両親を見ると、あっさりと頷かれた。
離婚?
本当に?
「待って、あなた! 私にはもうあなたしかいないの! お願い! 見捨てないで!」
「黙れ、気持ち悪い。お前の顔を見ているだけで吐き気がする」
「もう一度チャンスをください! もう二度と裏切るような真似はしないから! お願い」
「チャンスだと? お前にそんなものはもうないんだよ」
そう吐き捨てて、ドブルスは本当にその場を去っていった。
え、嘘? 本当に私は捨てられたの?
「ドブルス! 戻ってきて、ドブルス!!」
私がどれだけ叫んでもドブルスが戻ってくることはなかった。
どうしてこんなことに……
少し前まで私は幸せの中にいたのに、今や私の中には何も残っていない。
その場に残った両親のうち、父親が告げた。
「私たちはどうやらお前の育て方を間違ったようだ。お前を可愛がるあまり、常に『自分は被害者だ』と思い込むような人間にしてしまった……。お前の罪は重い。しかし、せめて命までは取られないようになんとかしてみせる。そのときは、お前はどうか清らかな心をでやり直してくれ」
「そうよ、イザベラ。最後まで希望を捨てないで。私たちがついているから」
両親がなに言っているけど、私の耳には全然入ってこなかった。
うるさい。あんたたちみたいなしみったれた老人たちに興味なんてない。
私の華やかな生活が……!
「ああ、あああああ」
どうしてこうなったんだろう。
どうして。
私はその場で泣き崩れるのだった。
グローリアフラワーの事業を持ち掛けてきたのは私だとか、そのために脅迫してワロイス商会を利用していたとか。
「だから今回のことはすべてその女が悪いんです! 裁くならその女だけにしてください!」
アランが私を指さしながらそんなことを言ってきた。
「あ、アラン? どうしたの? おかしいじゃない、そんなことを言うなんて」
「うるさい! 俺に話しかけるな」
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こんなのはおかしい。夢か何かだ。
優しいアラン。
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衛兵はアランを冷たい目で見ている。
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「――」
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しかも最初から金づるだとしか思ってなかったなんて……
私はあまりのことに意識を保てず、その場で気絶した。
目を覚ますとそこは薄暗い牢獄だった。
服装まで着替えさせられて囚人のような縞模様の服を着せられている。
牢の前には見張りの衛兵が立っている。
「出して! ここから出して!」
「お静かに」
「私はロージア家の夫人よ! こんなことをして済むと思っているの!?」
「どれだけ喚いても出すことはできません。今は調査中ですので、あなたの罪状が定まるまで大人しくしていてください」
衛兵はその後私の状況を説明した。
すでにワロイス商会の人員はほとんどが捕縛済みであるらしい。アランやバハドも当然その中に含まれている。
もともと例の密偵は、ワロイス商会を一網打尽にするチャンスを求めて潜入していたそうだ。そしてグローリアフラワーの薬物が完成し、その報告会が行われる日、他の衛兵たちとともにワロイス商会の捕縛に踏み切った。
それが私も居合わせたあのタイミングだったそうだ。
あの場にいた人間は、グローリアフラワーの薬物を作り利益を得ようとしたことで罪人確定。つまり私も他人事ではないらしい。
やっぱり夢じゃなかったのね……
最悪。
意味がわからない。
全部アランのせいだ。あの男が私を騙していたのだ。
私は純粋な思いで彼を愛していたのに、彼は私を利用しようとしか思っていなかった。
なんて悪質なんだろうか!
私がアランへの恨みを募らせていると――
「……イザベラ」
「あなた!」
牢の前にやってきたのは夫のドブルスだった。
「ああ、あなた。会いたかったわ」
「……」
不思議だ。前はなんとも思わなかったのに、今はドブルスの顔を見ただけで安心してしまう。やはり私の相手はアランなどではなくこの男性なのだ。
「イザベラ……衛兵に聞いたときは嘘かと思ったが、本当だったのか」
「ああ、なんてことでしょう」
「え? お父様に……お母様まで?」
ドブルスに続いて現れたのは私の実の両親だった。衛兵から私の両親の元にまで連絡がいったのだろうか。
まあ、今は両親なんてどうでもいい。
私はドブルスに話しかけた。
「あなた、どうかここから出してください! 酷いんですよ、みんなして私を悪人だと寄ってたかって言うんです……!」
私は被害者だ。アランに騙された私は可哀そうな存在のはずなのに、どうして牢屋になんて入れられないといけないんだろうか。
そんな私をドブルスは冷めた目で見ている。
「衛兵から事情はすべて聞いた。グローリアフラワーを領地で俺の指示だと偽って栽培し、しかも犯罪組織とともに違法薬物を作っていたそうだな」
「そ、それは誤解よ。私は騙されたの」
「では違うのか?」
「それは……」
言い淀んだ私にドブルスはさらに尋ねてくる。
「それに――お前は屋敷から金を勝手に持ち出し、娼館に通ってアランという男娼に貢いでいたそうだな。それも本当か?」
「……」
「本当なんだな」
答えられない。頷けば私の立場が悪くなるからだ。
ドブルスの声からは何も感じ取れない。
両親が絶句しているのが見えた。
私はドブルスに言った。
「全部誤解なんです。た、確かに私はアランと……その、多少関係を持ちました。でもアランに騙されていたんです! 私は今回のことで気付きました。本当の愛はあなたとの間にしかないのだと」
「本当の愛、か」
「ええ! 愛しているわ、あなた。だからここから出してくれるでしょう?」
私はにっこりとドブルスに微笑みかけた。二十年前、この人は私の笑顔が好きだと言った。この表情をすればどんなことでも許してくれたのだ。
「――この、腐れ女が!」
ガンッ!
「ひいい!」
ドブルスが牢屋を激しく蹴りつけた。私は思わず後ろに倒れ込む。
「な、なな、なんてことを」
「お前のせいで俺になにが起こったか教えてやろうか!」
「な、なんですか」
「お前が勝手にロージア領の土地を違法薬物の材料を栽培するのに使ったせいで、その周辺の土地を浄化のためと国に没収された! グローリアフラワーは繁殖力が高く、畑の外にも種を届かせた可能性があるからとな……! しかもワロイス商会の連中はお前に知らせず、ロージア領のあちこちに似たような畑を作っていた。おかげでロージア領の土地が大幅に国に回収されてしまったのだ!」
私は目を見開いた。
土地を没収された? そんな話は聞いてない!
「これでは通常の農業も行えない! 俺たちは今借金に苦しんでいて、来年以降の税収にすべてを賭けていたのに……お前のせいで台無しだ! どうしてくれるんだ、ええ!?」
恫喝されて恐怖に私はがくがくと震える。
ドブルスはさらに怒鳴り続ける。
「しかも、お前は長年俺に黙って男娼に金を貢ぎ続けていたそうだな。それがかなりの頻度だったことも、娼館の人間に聞いてすでにわかっている」
「ち、ちが、違うのです。それは」
「もういい。お前の話は聞くに値しない」
ドサドサドサ、と牢屋の目の前にドブルスはなにかを置いた。
それは服や鞄、化粧品といった私の持ち物だった。屋敷に置いていたはずのものがなぜここに?
ドブルスは無言で懐から赤く輝く石を取り出した。
これは……火炎石? サイズは一般的なものよりも小さいけれど間違いない。
ドブルスはそれを床に散らばる私の持ち物の上に置くと、強く踏みつけた。
途端に――ボウッ! と火の手が上がる。
「わ、わたしの服が! 鞄が!」
「お前の持ち物など必要ないだろう? どうせお前はもう牢から出てこられないのだから」
酷い! どうしてこんなことをするの!?
「なにをしているんですか!」
衛兵が気付いて駆け寄ってくるが、ドブルスは衛兵に怒鳴った。
「喚くな。火事になるほどの大きさの火炎石じゃない」
「ですが……」
ドブルスはすぐに火を踏み消した。しかしそこに残っているのはもはや服や化粧品の形をした消し炭だけだった。
「離婚だ、イザベラ。お前のような女と結婚したことは生涯の恥だ」
「え? ちょっと、それはどういう意味ですか」
「言葉の通りだ。もうお前は俺の妻ではない。……妻が犯罪者となった場合、手続きを簡略化して婚姻を解消することができる。お前の両親も了承済みだ」
私は思わず両親を見ると、あっさりと頷かれた。
離婚?
本当に?
「待って、あなた! 私にはもうあなたしかいないの! お願い! 見捨てないで!」
「黙れ、気持ち悪い。お前の顔を見ているだけで吐き気がする」
「もう一度チャンスをください! もう二度と裏切るような真似はしないから! お願い」
「チャンスだと? お前にそんなものはもうないんだよ」
そう吐き捨てて、ドブルスは本当にその場を去っていった。
え、嘘? 本当に私は捨てられたの?
「ドブルス! 戻ってきて、ドブルス!!」
私がどれだけ叫んでもドブルスが戻ってくることはなかった。
どうしてこんなことに……
少し前まで私は幸せの中にいたのに、今や私の中には何も残っていない。
その場に残った両親のうち、父親が告げた。
「私たちはどうやらお前の育て方を間違ったようだ。お前を可愛がるあまり、常に『自分は被害者だ』と思い込むような人間にしてしまった……。お前の罪は重い。しかし、せめて命までは取られないようになんとかしてみせる。そのときは、お前はどうか清らかな心をでやり直してくれ」
「そうよ、イザベラ。最後まで希望を捨てないで。私たちがついているから」
両親がなに言っているけど、私の耳には全然入ってこなかった。
うるさい。あんたたちみたいなしみったれた老人たちに興味なんてない。
私の華やかな生活が……!
「ああ、あああああ」
どうしてこうなったんだろう。
どうして。
私はその場で泣き崩れるのだった。
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