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ヌマド・ブルドン5
しおりを挟むこれはひどい。
使用人たちが一仕事終えた感じで笑い合っている。
ええ……? いつもはあんなに優しいのに、みんな怒るとあんなに怖いの……?
助けられてしまったけど、私は呆然としていた。
「すみません旦那様、あの男の言い分にどうしても我慢ならなくて」
「仕方ないよ。あの男は我々の宝物であるレイナを侮辱したんだからね。君たちがやっていなかったら私がやっていた」
「しかし問題になるかもしれません。最悪ロージア家と対立するかも……そうなったら俺は責任を取りますから」
使用人が言うと、父は笑みを浮かべた。
しかもどことなく黒い笑みだ。
「問題ない。あの男は今日は一人で来ていたし、ロージア家の印が押された書類一つ持っていなかった。おそらくあの男はロージア卿に領地の立て直しを命じられ、困り果ててここに来たんだ。自分では命令を遂行できず、レイナのような少女に助けを求めたなんてバレたら、彼の今後にかかわる」
「つまりあの男は今日のことはロージア卿に報告しないと?」
「まず間違いなくね」
「そうですか、それならよかった……!」
使用人はそう言って胸を撫でおろした。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「あんな男の言うことなんて気にしなくていいですからね」
「そうです。俺たちが守りますから」
一方私は他の使用人たちに取り囲まれ、口々に心配の言葉や励ましをもらっている。
なんというか……うん。
「みんな、ありがとう。私、この家に生まれて本当に幸せだよ」
「「「……!!」」」
「え? ちょっ、なんでみんな倒れるの!?」
おかしい。普通にお礼を言っただけのはずなのに使用人たちが胸を押さえて倒れた。
中には「俺、もう死んでもいいわ」「お嬢様マジ天使」などとよくわからないことを言っている人までいるほどである。
なにこれ……
「レイナはみんなに愛されているということだよ」
「ええ。そういうことです」
両親にまでそんなことを言われ、私は嬉しいやら恥ずかしいやらで、なにも言うことができなくなるのだった。
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