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パーティー2
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「他のドレスはこの屋敷に置いていないんですか?」
「そんなの全部王都に持って行っちゃったわよ。向こうではたくさん夜会があるんだし」
「それはそうでしょうが……」
だからといって突然そんなことを言われても困る。
「そうだ、それでいいわ!」
マリーが名案を思い付いたように言った。
「それ? なんのことですか?」
「だからそのドレスよ。義姉さんが今着ているドレスをあたしに貸して頂戴! それで今日はあたしがパーティーに出るわ!」
「……え?」
この子は一体何を言っているんだろう。
そんなことができるわけがない。
常識で考えたらわかるはずだ。
そんなことを思っていると。
「ああ、そうだな。そうするか!」
なぜか乗り気になるランジス。
ええええ!?
「む、無理ですよ、そんなの。私にはこのドレスしかないんですから。これを貸したら私が着るものがなくなってしまいます」
「そんなの別にいいじゃない! 貸してよ! よく見たらそのドレスすごく可愛いじゃない!」
目を輝かせて私のドレスをじろじろと見るマリーに私は混乱する。
「無理です!」
「なんで無理なの? あたしのお願いが聞けないの? だいたい、義姉さんみたいな地味な人にはそのドレスはもったいないわよ! あたしみたいな華やかで可愛い子のほうがきっと似合うわ!」
「そういう話では……」
「うるさい! 口答えするんじゃないわよ!」
ぎゃんぎゃんと喚きだすマリー。
似合うかどうかの問題じゃないのに、マリーは自分が正しいと信じているようだった。
「どうしたんだ!?」
「なにかあったの? ランジス、マリー」
それを聞きつけて義両親までやってきた。
マリーはにやりと笑って義両親のほうを向いた。
その瞳には咄嗟に浮かべたらしい、噓泣きの涙まで光っている。
「聞いて、パパ、ママ! 義姉さんがあたしのドレスにお茶をこぼして着られなくしてしまったの!」
「「なんだって!?」」
声を揃える義両親。
私はというと……あまりのことに固まってしまった。
マリーのドレスを汚したのはマリー本人だったとさっき言われたばかりだ。当然私はそんなことしていない。
「貴様は……マリーになんてことをするんだ、この馬鹿者め!」
バシッ!
「きゃあっ!?」
いきなり義父に顔を叩かれ、私は尻餅をついた。
あまりのことに呆然とする。
殴られた? 私が? どうして?
混乱する私の髪を、ぐいっ! と引いて義父は無理やり立たせてくる。
「い、痛い! 痛いです!」
「黙れ、この疫病神め! 貴様と違ってマリーは将来有望な娘なんだぞ! 大方マリーの可愛さに嫉妬して、今日のパーティーで恥をかかせようとでも思ったんだろう! なんてあさましいんだ!」
「違います! 私はそんなことしていません!」
「そんな嘘を誰が信じるか! お前は私を馬鹿にしているのか!?」
髪を引っ張られ、耳元で怒鳴られ、私は恐怖でどうにかなりそうだった。
義母に慰められながらマリーは泣くふりをしながら、ニタニタと笑って私を見ている。
義母が義父を横から止めに入った。
「あなた、そこまでにしてください!」
「なんだと!?」
「それ以上の乱暴はしてはいけません!」
私は義母のその行動に驚いた。
義母はランジスやマリーを溺愛していて、あの二人がワガママを言っても全部それを叶えてしまうような人だ。
しかも事なかれ主義で、乱暴な義父の行動も見て見ぬふりをする。
そんな人物が義父を止めてくれたことなんて今までなかった。
まさか私の味方をしてくれるんだろうか?
この状況は誰が見たって私が被害者だ。きっと同じ女性として、また嫁入りをした身として、マリーよりも私のことを信用してくれたのかもしれない。
義母は笑みを浮かべて言った。
「レイナさんが着ているドレス、なかなかのものですよ。これをマリーに貸してあげればいいじゃないですか。あなたがこれ以上殴ったら、なにかの拍子にドレスが汚れてしまうかもしれないでしょう?」
……え?
義母の視線は私のドレスのみに注がれている。
まるで値踏みするように、図々しい視線が私のドレスを舐め回している。
ああ、そういうことか。
やっぱりこの人は自分の子どものことしか考えていない。
義母の言葉にマリーがしてやったりとばかりに賛成する。
「ママ、いい考えよ! そうしましょう。義姉さん、それならあたしのドレスを汚したことも許してあげるわ!」
私はようやく気付いた。マリーは最初からこれが狙いだったのだ。
義両親に嘘を吹き込み、私からドレスを奪うことが。
「そんなの全部王都に持って行っちゃったわよ。向こうではたくさん夜会があるんだし」
「それはそうでしょうが……」
だからといって突然そんなことを言われても困る。
「そうだ、それでいいわ!」
マリーが名案を思い付いたように言った。
「それ? なんのことですか?」
「だからそのドレスよ。義姉さんが今着ているドレスをあたしに貸して頂戴! それで今日はあたしがパーティーに出るわ!」
「……え?」
この子は一体何を言っているんだろう。
そんなことができるわけがない。
常識で考えたらわかるはずだ。
そんなことを思っていると。
「ああ、そうだな。そうするか!」
なぜか乗り気になるランジス。
ええええ!?
「む、無理ですよ、そんなの。私にはこのドレスしかないんですから。これを貸したら私が着るものがなくなってしまいます」
「そんなの別にいいじゃない! 貸してよ! よく見たらそのドレスすごく可愛いじゃない!」
目を輝かせて私のドレスをじろじろと見るマリーに私は混乱する。
「無理です!」
「なんで無理なの? あたしのお願いが聞けないの? だいたい、義姉さんみたいな地味な人にはそのドレスはもったいないわよ! あたしみたいな華やかで可愛い子のほうがきっと似合うわ!」
「そういう話では……」
「うるさい! 口答えするんじゃないわよ!」
ぎゃんぎゃんと喚きだすマリー。
似合うかどうかの問題じゃないのに、マリーは自分が正しいと信じているようだった。
「どうしたんだ!?」
「なにかあったの? ランジス、マリー」
それを聞きつけて義両親までやってきた。
マリーはにやりと笑って義両親のほうを向いた。
その瞳には咄嗟に浮かべたらしい、噓泣きの涙まで光っている。
「聞いて、パパ、ママ! 義姉さんがあたしのドレスにお茶をこぼして着られなくしてしまったの!」
「「なんだって!?」」
声を揃える義両親。
私はというと……あまりのことに固まってしまった。
マリーのドレスを汚したのはマリー本人だったとさっき言われたばかりだ。当然私はそんなことしていない。
「貴様は……マリーになんてことをするんだ、この馬鹿者め!」
バシッ!
「きゃあっ!?」
いきなり義父に顔を叩かれ、私は尻餅をついた。
あまりのことに呆然とする。
殴られた? 私が? どうして?
混乱する私の髪を、ぐいっ! と引いて義父は無理やり立たせてくる。
「い、痛い! 痛いです!」
「黙れ、この疫病神め! 貴様と違ってマリーは将来有望な娘なんだぞ! 大方マリーの可愛さに嫉妬して、今日のパーティーで恥をかかせようとでも思ったんだろう! なんてあさましいんだ!」
「違います! 私はそんなことしていません!」
「そんな嘘を誰が信じるか! お前は私を馬鹿にしているのか!?」
髪を引っ張られ、耳元で怒鳴られ、私は恐怖でどうにかなりそうだった。
義母に慰められながらマリーは泣くふりをしながら、ニタニタと笑って私を見ている。
義母が義父を横から止めに入った。
「あなた、そこまでにしてください!」
「なんだと!?」
「それ以上の乱暴はしてはいけません!」
私は義母のその行動に驚いた。
義母はランジスやマリーを溺愛していて、あの二人がワガママを言っても全部それを叶えてしまうような人だ。
しかも事なかれ主義で、乱暴な義父の行動も見て見ぬふりをする。
そんな人物が義父を止めてくれたことなんて今までなかった。
まさか私の味方をしてくれるんだろうか?
この状況は誰が見たって私が被害者だ。きっと同じ女性として、また嫁入りをした身として、マリーよりも私のことを信用してくれたのかもしれない。
義母は笑みを浮かべて言った。
「レイナさんが着ているドレス、なかなかのものですよ。これをマリーに貸してあげればいいじゃないですか。あなたがこれ以上殴ったら、なにかの拍子にドレスが汚れてしまうかもしれないでしょう?」
……え?
義母の視線は私のドレスのみに注がれている。
まるで値踏みするように、図々しい視線が私のドレスを舐め回している。
ああ、そういうことか。
やっぱりこの人は自分の子どものことしか考えていない。
義母の言葉にマリーがしてやったりとばかりに賛成する。
「ママ、いい考えよ! そうしましょう。義姉さん、それならあたしのドレスを汚したことも許してあげるわ!」
私はようやく気付いた。マリーは最初からこれが狙いだったのだ。
義両親に嘘を吹き込み、私からドレスを奪うことが。
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