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試運転

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「さて、せっかく魔法服のマントが完成したことだし、実践で感覚を確かめておきたいところだが……」
「実戦、ですか」
「近くに魔物が出る場所はないか?」
「王都の東門から出ると、『獣の森』と呼ばれる場所があります。そこなら魔物も出ます」
「ではそこにいくとしよう。よければお前もついてきてくれるか?」
「わかりました」

 魔法服に不備が見つかったとき、すぐに修繕できるほうがいいだろう。

 うっかり『魔力発散』の効果がうまく発動しなくてマントが爆発、なんてことになったら目も当てられないし。

「ダンカンさん、少し出かけてもいいですか?」
「おう、構わねえぞ。あ、獣の森に行くならいくつか素材を採ってきてくれねえか? 魔道具の材料が足りねえんだ」
「わかりました」

 ダンカンさんに尋ねると、あっさりと許可をもらえた。

 クレスト様はダンカンさんの前まで歩き、まっすぐ目を合わせて告げる。

「ここの店員は俺が責任を持って無事に返す。絶対に傷一つつけさせない。心配せず待っていてくれ」
「……ふん、当然だ」

 ダンカンさんが頷く一方、私は……

「……」
「なんだその複雑な表情は」
「いえ、なんでも。きっとクレスト様はそうやって帝国の女性を陥落させているんだと思っただけです」
「待て、本当になんの話をしている」

 一見すると冷酷な人物だけど、フロッグ殿下から庇ってくれたときのように、たまに優しさや責任感を垣間見せてくる。このギャップはなんというか、少しずるいと思う。

 そんなやり取りをしつつも、私とクレスト様はマントの効力を確かめるため、森へと向かうのだった。





「【アイシクル】」
『『『ギャウウウッ!?』』』

 クレスト殿下の放つ氷の槍が、こちらを襲ってきたホーンウルフ……文字通り角の生えた狼の魔物を蹴散らした。

 本当にすごい強さだ。
 はっ、いけないいけない。

 見とれる前に私は自分の役目を果たさないと。

「クレスト様、魔力は安定していますか?」
「そうだな。全力で戦ったときの半分くらいで安定している。これなら意識して出力を抑えなくても加減ができそうだ」
「一応魔法陣が破損してないか調べますね」
「ああ、頼む。どうせなら一休みするか」
「そうですね」
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