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#128 終戦編 倒れない女

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『倒れない女』
――荒野の荒地

ルシファー「ご無事ですか?主様」
アンデッド「あぁなんとかな」
ボン
サタン「遅い!!」
グニーーー
ルシファー「うっ…申し訳ありません」
キノコ「そっちの戦いは無事に終わったの?」
ルシファー「はい」
ポイズン「兎にも角にも来てくれて助かった。アンディとジョーカーは今動けないほど消耗してる」
ジョーカー「……!!!」
ググッ
紅姫「ジョーカーさん…無理しちゃ駄目よ…」
四神(激しく消耗したのはお互い様…向こうにまだ分があるか。使っても良い頃合いか…)
スッ
ケイパン「!」
キノコ「皆!来る―」
グイッ
ポイズン「!?」
グワン
ケイパン「ポイズン!?」
四神「…」
ニヤッ
ガシッ
ポイズン「……んだこれ…ッ」
四神「構えろ」
ズズ
ッドゴォォォォォォォォォン
ポイズン「――っぼは」
ベキベキ
紅姫「ポイズンさん!!!」
四神「なんだ一撃でダウンか」
ゴロゴロ
ポイズン「…っは…っは――っげほ」
ボタボタ
ポワワワワワ
ポイズン「!」
ジョーカー「治癒は…あんまし得意じゃねぇけど…ッ」
ポイズン「あ、あぁ…悪い」
ケイパン「今何が起きたんだ!」
ポイズン「…見たまんまだ。訳わかんねぇ何かに引っ張られたと思ったらアイツの変形した腕に叩き潰された」
キノコ「別の能力…?」
ケイパン「冗談きついだろ!この期に及んで新しい力とか…!!」
アンデッド「…!!」
四神「新たに得た力ではない。我が四風守護の力より先に元より持ってた力だ。見せていなかっただけのな」
ズズズズ
キノコ「ね、ねぇあれ……」
ケイパン「!」
ポイズン「なんで……お前が…!!」
四神「…と言ったか?中々使い勝手が良さそうだなヘレンよ」
ルシファー(四風守護以外の…別の力…!!)
サタン「…皆伏せろ!!!」
全員「!?」
四神「察しがいいな!!」
グァッ
ッボォォォォォォォォォォ
キュインッ
アンデッド「…っぶね…!!」
ポイズン「なんだ今の…大蛇が火を…?」
四神「死者剥奪。それが我の元々の力だ」

〇四神能力―【死者剥奪】
=死者からの能力を自在に操る

紅姫「死者…剥奪」
四神「アンデッド。ジョーカー。お前達の不死身や強化も我が与えた。元は魔獣の特徴を掛け合わせたものだがな」
ジョーカー「!」
四神「そして我の与えた能力持ちが死ねばその能力は再び主の元へ戻る」
ポイズン「…引き込まれたのも腕の変形も全部その能力ってことか」
ケイパン「問題は何個あるかだな…何個あっても絶望級だけど」
四神「だ。不老不死も可能なら手に入れたかったがな……まさか能力の概念ごと消えるのは想定外だった」
キノコ「良かった…アンデッドさんのそれまで奪われてたらどうしようも無かったよ」
アンデッド「休んでる暇…なさそうだな」
ジョーカー「…だな」
ググッ
アンデッド「戻ってくれルシファー…サタン」
サタン「!」
ルシファー「主様…」
ポイズン「2人とも…」
ジョーカー「どの道…寝転がってたってやられんのは目に見えてるしな」
アンデッド「黙って殺されんのだけは癪だ」
ジョーカー「っしし…そりゃそーだ」
四神「…足掻いても死ぬ未来は変わらんぞ!!」
スッ
四神「大蛇」
ッボォォォォォォォォォォ
ババッ
ジョーカー「!」
キノコ「間に合った…!!」
ジョーカー「わり…助かった」
キノコ「気にしないで!」
四神「…ほう」
スッ
グイッ
キノコ「!?」
キノコ(引き寄せられ…)
ケイパン「キノコ気をつけろ!!」
キノコ「そんなこと…言われたって――!!」
四神「素の体が磁力に適うはずなかろう」
スッ
バキッ
四神「!」
アンデッド「…っは…っは…!!」
キノコ「…とまった!」
四神(起動を逸らしたか…だが)
四神「仲間を救うのに必死で自らを大事にしないのは変わらずだな」
パチン
ギュルルルルル
アンデッド「う…っ」
紅姫「地面から紐…!!」
四神「身代わりとはこういう事だ…耐えて見せろアンデッド!!!」
スッ
ゴロゴロ
四神『落雷らくらいれん』ッ!!!
ズドドドドドドドドドドドドドド
アンデッド「がっ…ぁああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!」
ケイパン「やめろ!!!」
四神「やめさせてみせろ!!」
ジョーカー「…のやろ…ッ」
ドンッ
四神「…薙ぎ払え大蛇」
ギュルン
ッドゴォォォォォォォォォン
ジョーカー「…がはっ」
四神『岩大蛇いわおろち
ガチィィン
四神「叩き潰せ」
ズドドドドドドドドドドドドドド
ジョーカー「――――――ッ」
紅姫「ジョーカーさん…!!」
四神「貴様も来い」
グイッ
紅姫「!」
キノコ「待て!!やめろ!!!」
四神「何を焦ってる…戦いの場に居るというのはそういうことだ!!!」
四神『滝大蛇たきおろち』ッ!!!
ズッダァァァァァァァン
紅姫「あぁ――ッ!!」
ドサッ
ケイパン「紅姫ぇ!!」
キノコ「……!!!!!」
ッドン
キノコ「うぁああああぁあああああ!!!!」
四神「考え無しに突っ込むな。そして―恨まられる道理もない」
クイッ
ドドドドドド
キノコ「――!!」
ドサッ
四神「足を打てば走れまい?」
ポイズン「ケイパン!!亜空間を開け!!!全員ここから―」
四神「間に合うといいな」
スッ
ゴゴゴゴ
ケイパン「あ…あぁ……!!」
四神「吠えろ」
四神『四風大蛇しふうおろち』ッ!!!!!
ッドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ッゴォォォォォォォォン
ポイズン「――」
ケイパン「――」
ドサッ
四神「…………」
四神(死者剥奪が反応しない。完全には死んでいないな…面倒な)
スッ
四神「トドメをさすか」
コンッ
四神「…立ち上がらなければ見逃したものを」
紅姫「…はぁ……はぁ……!!!」
ググッ
四神「何の真似だ」
紅姫「皆さんにトドメなんて…させない」
四神「貴様に何ができる」
紅姫「…!!」
四神「既に加護もない。付け焼き刃の能力は使えようが所詮ただの人間…神に適うものか?」
紅姫「そんなの…理由にならないわ」
四神「……」
紅姫「私は…心配する仲間を振り払ってここに来た…皆さんを守りたいと思ってここに来たの」
ザッザッザッ
四神「そうか…興味が無い」
ギュルルルルル
ガシッ
紅姫「ッ!!」
四神「…何も出来ないなら立つ意味が無いと言ったんだ」
紅姫「関係ないと言っているでしょう!!!」
四神「…?」
紅姫「自分の身勝手が招いた結果が貴方に器として利用された…馬鹿よ」
四神「…よく分かっているな!!」
スッ
ッドゴォォォォォォォォォン
紅姫「――ッ」
ズダァン
ヨロッ
紅姫「それ……でも…皆さんは…助けてくれた…ッ」
ググッ
紅姫「居ても何もならないって…何も出来ないって!!他の誰よりも私が知っていたのに!!!」
ポロッ
紅姫「そんな馬鹿を…肯定してくれた……!!」
四神「そうか…泣き言を言う余裕はあるようだな」
スッ
ゴロゴロ
四神「…神は容赦しないぞ」
ズッドドドドドドドドドドド
紅姫「私――は」
ドサッ
四神「だから言ったろう。何も出来ないなら立つ意味が―」
ダンッッッ
四神「!」
紅姫「…っはぁ…はぁ…ぅ…ッ」
ググッ
紅姫「出来ることは……これしか…ない…から」
ヨロッ
四神「これしかないだと…貴様が我に何が出来る!!!」
スッ
紅姫「どれだけ血を流しても…痛みが走っても…皆さんが再び立ち上がるまで!!!私が…倒れなければ…ッ」
ガクッ
紅姫「彼らは…っ……!!!!」
四神「…ッ」
ビキビキ
四神「確かに…間違いを正そう……何も出来ないというのは驕りだった」
ゴゴゴゴ
四神「…頭に来るには充分だ……!!!」
紅姫「…………」
ヨロッ
紅姫(ごめんなさい…皆さん……こんな事でしか…役に立てなくて)
四神「死ね……紅姫!!!!!」
ズッ――
ッドゴォォォォォォォォォン
四神「!?」
紅姫「……」
ポロッ
スッ
ジョーカー「……なんで泣いてんだ」
四神「…立ち上がったか。口説いが流石というべきだな」
ジョーカー「こんなにボロボロになってまで…なんで紅姫が泣いてる」
四神「…無駄な足掻きをしたからだ」
ジョーカー「…そっか」
ユラァ
ジョーカー「アンディ」
アンデッド「……」
ジョーカー「ポイズン」
ポイズン「……」
ジョーカー「ケイパン」
ケイパン「……」
ジョーカー「キノコ」
キノコ「……」
ジョーカー「皆立ってくれ。アタシ達には…抗う意味があるはずだ」
四神「立つ…意味だと…?」

ーーー
紅姫(ごめんなさい…皆さん)
ーーー

ジョーカー「――

終戦編 倒れない女 ~完~
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