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#119 終戦編 吠えよ、友のために

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『終戦編 吠えよ、友のために』
――建物カルデアから少し離れた森奥

ザッザッザッ
藍菜「…!!」
ディアブロ「ふぅん…この状況で睨むんだ。すごい度胸。もう君に彼女の力は無いのに」
ググッ
藍菜「まだ…私が生きている……!!」
ディアブロ「えへっ?冗談だろ?君に何が出来るのかな」
ズッ―
ディアブロ「生憎だけど楽しい夢は見せられないんだ。ごめんよ」
无名「待ちなさいよクズ野郎!!その子に手出ししたら許さないわ!!」
ディアブロ「別に君からの許しなんて要らないんだけどなぁ」
スッ
ディアブロ「また何かの兆しで彼女にオーディンの力が戻ったら色々とめんどくさくなるんだよ。だからそうなる前に…」
藍菜「…ッ」
ディアブロ「じゃあ―ね」
涼亡「やめろ!!!」
ドンッ
ディアブロ「?」
涼亡「その子に手を出したら…私が殺す…!!」
藍菜「貴方…は……」
ディアブロ「意気込んでも何も出来なきゃ意味無いよ」
ズッ――
ディアブロ『絶望ぜつぼう
ッドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ッゴォォォォォォォン
満桜「藍菜さん!!」
紅玉「おのれ…!!」
无名「くそっ…邪魔だってのよ、この悪魔!!」
鬼姫「まずった…!!」
咲良「悪魔共…道を開け!!」
悪魔「――」
涼亡「貴―様…ッ」
ギリッ
ディアブロ「…?」
ディアブロ(変だな…なんで手応えがない?)
藍菜「……ッ」
パチッ
藍菜「私…死ん―」

「生きている」

藍菜「!!」
ドクンッッッ
ディアブロ「へぇ…誰?君」
藍菜「あ…あぁ……なんでここに…ッ」
ギュッ
藍菜「黒龍………!!!!」
グスッ
黒龍「……友を助けに来た」
紅玉「黒龍…!?」
満桜「あぁ…あぁぁ……ッ」
无名「…何カッコつけてんのよ馬鹿」
クスッ
ディアブロ「かっこいい登場じゃん?人間じゃないし悪魔でもない…あぁ龍か」
黒龍「…」
ギロッ
ディアブロ「…あんまり上から見下ろされるの好きじゃないんだけど」
黒龍「落として見せろ」
ディアブロ「…くふっ」
ズッ
ディアブロ『絶望の羽』
ズドドドドドド
黒龍「しっかり捕まっていろ藍菜」
藍菜「あぁ…!!」
ギュゥッ
黒龍「――!!」
ギュオオオオオオオオオオオオオ
ディアブロ「おぉ―早い早い」
黒龍「…ッ」
コォッ
黒龍『熱息ボロブレス』ッ!!!!!!
ッドゴォォォォォォォォォン
シュゥゥゥ
ディアブロ「片腕焼けたか…いい威力だね」
黒龍「天使達」
鬼姫「!」
黒龍「こいつを頼む」
ブラッド「待て…君は」
黒龍「そいつに再びオーディンの力が戻るまでだ…時間は稼ぐ」
ザッザッザッ
藍菜「…!?」
ドンッ
黒龍『龍拳りゅうけん』!!!
ドゴッ
ディアブロ「…ッ」
ズザザ
ディアブロ「っはは…おいおい」
ズズズ
ディアブロ「闇…?君ただの龍族じゃないんだ…?」
黒龍「戯け。純然たる龍族の生き残りだ」
涼亡(黒龍…!!)

ーーー
オーディン「何故ここへ」
黒龍「昔に…天使の友人が居た」
オーディン「!」
黒龍「奴は遥か上空に世界があると言っていた…同じ時空では無いと」
オーディン「貴方はどうやってここに…まさか…ッ」
黒龍「…飾りの翼ではない……だけだ」
グラッ
ドサッ
オーディン「!!」
ダダッ
オーディン「しっかりしてください!」
ポワワワ
黒龍「見ず知らずの傷を無くすか…お人好しが」
オーディン「…貴方の覚悟を無駄にしたくないのです…!!」
黒龍「…」
オーディン(別時空の天界へ生身で来る方法なんて…雲を突き抜けた更に上空での微々たる運に懸けるしかないというのに…この方の覚悟は)
黒龍「邪な気を感じた…地上で何が起きている」
オーディン「…厄災の復活です。私も身体をお借りして戦いに身を投じていたのですが…彼女の身体も限界を迎えてしまい」
黒龍「…藍菜か」
オーディン「!」
黒龍「我に何か出来ることはあるか…?」
オーディン「え―」
黒龍「世界を救うためなんて大義な理由は似合わんが…」



藍菜「黒龍」

満桜「黒龍さん!」

紅玉「黒龍!」



黒龍「友を…助けるためだ。助力は惜しまん」
オーディン「…!!」
ズズズ
「美しい友情ね。出来ることがあるなら何でも?」
オーディン「!?」
黒龍「誰だ…貴様は…?」
ザッザッザッ
メドゥーサ「冥府からごめんなさいね。敵意は無いわオーディンさん」
オーディン「いえ…驚きましたが……貴方が敵意を抱いていないことは昔から存じ上げております」
黒龍「…誰だ!」
メドゥーサ「ふふっ、ごめんなさい」
オーディン「彼女は…厄災の妹です」
黒龍「…敵なのか?」
メドゥーサ「いいえ、味方よ」
黒龍「…?」
オーディン「それで…貴方まで何故ここへ?」
メドゥーサ「冥府から薄々感じていたの。身体への負荷…それに貴方の力までいけば早々耐えられるものじゃないもの」
オーディン「えぇ…そうですね」
メドゥーサ「だから貴方の力が抑えられるように私も参加する」
オーディン「!?」
メドゥーサ「彼の力を借りて―ね♡」
黒龍「~~~…!!!」
ゾクッ
オーディン「え、えっちです…!!」
黒龍「何の話をしてるんだ…」
メドゥーサ「つまり貴方の身体も私に借してもらうの。そしたら私も戦いに身を投じれるわ」
オーディン「…!!」
黒龍「…別に構わんがそれで藍菜は助かるのか」
オーディン「…彼女以外に私の力に耐えられる子は居ません。少し力を抑えれば必ず」
黒龍「…そうか」
メドゥーサ「問題は姉さんが出した無数の悪魔ね…一体一体かなりの強さで数もあの量だと」
オーディン「…そうですね」
黒龍「…それなら不要な心配だ」
メドゥーサ「え?」
黒龍「数なら…対策してある」
ーーー

黒龍(色香女から貰った闇がいつまで持つか…早く済ませよオーディン)
藍菜「…!!」
ポワワワ
ホワイト「またオーディン様が!?」
鬼姫「あぁ…感じるんだ」
ブラッド「この子の身体は持つのか…!?」
咲良「……」
ディアブロ「闇かぁ…驚いたけどその程度なら意味無いね」
バキバキバキバキ
ディアブロ「!」
咲良「この気は…!?」
不仁丸「まだ悪魔が来るのかよ…!?」
黒龍「…やっとか」
ディアブロ「…何しに来たんだい?冥府に居ないと。女王様なんだから」
メドゥーサ「そう思うのならこんな恥ずかしい真似はやめて姉さん」
咲良「メドゥ…!?」
ディアブロ「恥ずかしいって何がだい?悪魔の在るべき姿じゃないか!」
メドゥーサ「…そう思うのは姉さんだけなのよ」
ディアブロ「……」
メドゥーサ「もう戦争だなんだって終わったの。時代は過ぎるのよ」
ディアブロ「…大人になったねぇ妹」
メドゥーサ「…」
ジジジ
ディアブロ「それで?思念体で何ができるのかな?」
メドゥーサ「そうね。思念体じゃ何も出来やしないわ」
ザッザッザッ
スッ
黒龍「!」
メドゥーサ「だから協力を扇いだの…ね?」
黒龍「…手早く済ませろ」
ムスッ
メドゥーサ「ふふっ、嫌われちゃったかしら?」
无名「ね、ねぇ…何あのえっちな人…え、えっちじゃない!?」
紅玉「む、胸で負けている…自信あったのに……」
チラッ
无名「…何よ?」
紅玉「まぁ…勝ってるから良いか」
无名「ぶっ殺してあげてもいいのよ?ねぇ?こっち向けよおい」
満桜「は、破廉恥です…!!」
メドゥーサ「それじゃ失礼―chu♡」
黒龍「……」
満桜「き、きききっキキッ……k!?」
无名「ちょ、ちょっとアンタ!藍菜一途じゃなかったの!?」
紅玉「心を乱されるな黒龍ーー!!!」
黒龍「騒がしい!!」
ディアブロ「へぇ…!!」
黒龍「…上手くやれよ」
ギュルンッ
不仁丸「ど、どどど、ドッキングしたーーー!?」
ペシッ
叶栞「言い方考えてよ最低」
ザッザッザッ
黒龍「暴走止めさせて貰うわ姉さん」
玉津遊「龍さんが……ぼいんぼいん」
翡翠「…あんなに男らしい人に女性として何もかも負けた…」
ザッザッザッ
藍菜「…申し訳ございません皆さん」
咲良「!」
ホワイト「オーディン様!!」
ディアブロ「ちっ…やっぱり復活しちゃったか」
ディアブロ(メドゥーサまで加担か…いよいよ厳しくなってきたかな)
ディアブロ「まぁ、だとしても私が呼び出した悪魔の対策は厳しいよね」
瑠姫亜「……!!」
藍菜「…貴方が更に悪魔を呼び出さなければ問題ありません」
ディアブロ「くふっ…なんのフリ?」
藍菜「それに貴方の相手は私達がします。もう新しく悪魔を呼ぶことは叶いません」
ディアブロ「…ふぅん?それで?悪魔の対策はどうすんのさ」
无名「っは…っは…!!」
鬼姫「オーディン様…」
藍菜「…大丈夫です」
ディアブロ「……」
藍菜「その為に彼は時間をかけたのですから」
咲良「彼…?」
悪魔「――」
ザッザッザッ
翡翠「…!!」
玉津遊「翡翠…」
翡翠「大丈夫…大丈夫だよ玉津遊」
ギュッ

うごくな』

悪魔「――」
ピシィッッッ
翡翠「!?」
玉津遊「…!?」
ダダッ

気合拳きあいぱんち

ザッザッザッ
紗近「久方ぶりか?間に合ったのなら良かったが!」
雲雀「お姉さん!手伝いに来たっす!!」
翡翠「君達…!!」
玉津遊「あの人たちって…」
翡翠「神格者の…」
紗近「儂らだけじゃないぞ」
翡翠「え…?」

結界けっかい

ブゥゥン
霞「!」
冬華「どうした霞」
霞「この…技…」
喜壱「恩着せがましいが見逃されたこの命…次は守るため使おうか」
霞「喜壱さん…!!」

影蝙蝠かげこうもり

バサッバサッ
悪魔「――」
ガブガブッ
ドサッ

支配しはい視覚しかく

悪魔「――」
ドタドタドタ
バタッ
菊「自滅…?」
狂介「悪魔でも感覚は共通か…能力が通りそうで助かった」
屬翔「危うくお荷物だね」
狂介「…ならなかったんだからいいだろ」
无名「あんたら…なんでここに」
満桜「…!!」
ババッ
チャキッ
无名「!?」

大切断だいせつだん

ズッダァァァァァァン
満桜「あなた…!!」
草薙「…あんた達2人がどう思ってるかは知っています。でもこれは」
无名「……」
草薙「俺の自由のための第一歩にします」
无名「…もう揺らいでないワケ?」
草薙「…えぇ、きっと」
无名「そ。ならいいけど…別にもういちいち気にしてないわよ」
満桜(无名ちゃん…)
紅玉「…何故ここに集まったのだ?」
草薙「……」
紗近「黒龍が儂らを集めたんだ」
満桜「!」

ーーー
紗近「助けに行くのは賛成だが…」
喜壱「まさかお主からそんな意見が出るとは」
黒龍「…貴様も異論は無いのか草薙」
草薙「…」
狂介「確かに…草薙は四神様に忠誠誓ってたもんな」
草薙「…いえ」
屬翔「!」
草薙「俺も向かいます」
雲雀「草薙さん!!」
ピョンッ
草薙「!」
ガシッ
草薙「…危ないですよ雲雀さん」
クスッ
黒龍「…随分人が変わったな」
草薙「殺すはずの人達に救われたこの命が…」

「もっと世界は広いわよバーカ」
「どうかもっと広い世界をその目でご覧ください」

草薙「世界を変えるきっかけには充分だった」
紗近「草薙…」
ーーー

无名「黒龍が…」
紅玉「…そうか」
不仁丸「あつい助力…!!」
悪魔「――」
ドンッ
瑠姫亜「不仁!前を!!」
不仁丸「しま―っ!?」
スッ
ドゴゴゴゴゴ
悪魔「――!!」
ヨロッ
不仁丸「!?」
叶栞「今…瓦礫が飛んできた…?」
ザッザッザッ

瓦落多がらくた

ッドゴォォォォォォォォォン
不仁丸「……!!!」
無名「油断はあかんよ~?まっ、格好よく登場出来たんならええかな?」
不仁丸「無名…さん…」

『アティラ』

ズドドドドドド
吃葉「!」
無名「むっ」
雨宮「油断は君もね、無名」
無名「なーんや…助けたつもりかいな」
ブスッ
雨宮「不貞腐れないよ」
吃葉「あんた…」
雨宮「…うん。また会えたね」
陽夏「あの2人は」
ギュルルルッ
陽夏「!?」
ガシッ
ブォンッ
陽夏「な―!?」
霞「陽夏さん!?」
菊「あの紐は…!?」
陽夏「これは…!!」
ザッザッザッ

つるし

陽夏「お主…!!」
黒髪「…狙われていたので足元失礼しました」
スタッ
陽夏「またお主だけ敵かと思ったでござる」
黒髪「いえ…今回は手助けに」
陽夏「…そうでござるか!」
ニカッ
无名「アイツらって…」

「1度死んだんだ彼らも…僕と同じだね」

无名「――!!」
ドクンッ
草薙「え…っ!?」
満桜「…っ!!」
无名(嘘…嘘よ……振り返るな…下手な希望…見ちゃったら―)
ザッザッザッ

真紅しんく

ドゴゴゴゴゴ
ズドォォォォォン
悪魔「――」
ドサッ
魁輝「大切な人達に手を出すのなら…僕だって鬼になるよ」
无名「魁……なんで…!!」
魁輝「ううん、僕達は生きた人間じゃない。死んだままだよ」
无名「!」
魁輝「天界で彷徨っていた魂に限りの命を吹いてくれたんだ。彼女が」
无名「……!!」
スッ
魁輝「泣いているかい?」
无名「な、泣いてなんか……!!!」
ギュッ
魁輝「人間じゃなくてもまた君に触れられて良かった…无名さん」
无名「あぁ…あぁぁぁぁぁ――!!!!」
ガクッ
草薙「……!!」
魁輝「…草薙くん」
草薙「!」
魁輝「…」
ザッザッザッ
満桜「お待ちください魁輝さん!彼は―」
ガシッ
无名「大…グスッ…丈夫……アイツだもの…!!」
魁輝「ありがとう。僕の望みを叶えてくれて」
草薙「望み……?」
魁輝「彼女達を殺さなかっただろう?」
草薙「それでも俺は…あなたを…!!」
魁輝「君には君の信念があった。ただそれだけだよ」
草薙「――!!」
魁輝「さっき言ったね。僕の大切な人達に手出しするなら許さないと」
スッ
魁輝「当然君もだ。また僕の手を取ってくれるかい」
草薙「あなたは…どこまでも…!!」
ガシッ
魁輝「…うん、ありがとう!」
ニコッ
ディアブロ「…随分粋な計らいじゃないか」
藍菜「…勝手をしたとは反省します」
ディアブロ「……そう?喜んでるからいいんじゃない?」
藍菜「命を弄んだ罪と同義ですよ」
ディアブロ「…固いなぁ。でも彼らが悪魔の対策か…数は増えたようだけどあれでどうにかなるとは思わないな」
藍菜「貴方は知らないんですよディアブロ…人の強さを」
ディアブロ「…確かにね」
ディアブロ(…っはは…どんどん面白くなってくるな)
涼亡「オーディン様」
ザッザッザッ
藍菜「!」
カウ「アザゼル…?」
涼亡(皆戦ってる…いつまで震えてるんだよ私は……)
ググッ
涼亡「私を使に―戻して欲しい…ッ」

終戦編 吠えろ、友のために ~完~
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