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#89 終戦編 殺す命の価値

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『終戦編 殺す命の価値』
――建物カルデア
ブラッド「…!!」
黒髪「…」
陽夏「無事でござるか?ブラッド殿」
ブラッド「あぁ…なんとかな」
黒髪「…」
ザッザッザッ
ブラッド「しかし無言で怖いやつだな…!!」
陽夏「全くでござる!おーい!少しは反応したらどうでござるか!」
黒髪『もゆる
ボォォォォ
ブラッド「ッ!!」
ババッ
ブラッド「ったく…コミュ症か!!」
陽夏「奴の足元を斬り崩す…ブラッド殿はその隙を頼む!!」
ドンッ
ブラッド「あぁ!」
黒髪「…」
陽夏「無言芸は達者に感じるが…意図も通じねばそれは人形と同じ!!」
チャキッ
ズババババババッ
黒髪「!」
ガララッ
ブラッド「凄…ッ!?」
ブシュッ
ブラッド「空中じゃ身動きは取れねぇと信じるぜ…!!」
ブラッド『凝固ぎょうこ血槍ちのやり』!!!
黒髪『吊』
ガギギギギギギ
ブラッド「!?」
陽夏「なんて強度…!!」
黒髪『さし
ズブッ
ブラッド「かは…ッ!?」
ボタボタ
陽夏「ブラッド殿!!!」
ドンッ
チャキッ
ガキィィッン
ブラッド「っは…っは…!!」
ガシッ
陽夏「無事でござるか…!?」
ブラッド「避けられなかった…なんだ今の攻撃…!!」
黒髪「…」
陽夏「あくまで見た光景に過ぎぬが…あの短刀はブラッド殿の身体から急に現れたでござる…!!」
ブラッド「!!」
黒髪『つるし
ギュルルッ
ガシッ
ブラッド「ぐぁ…ッ」
陽夏「この…!!」
ズババババババッ
ブラッド「凄ぇな…これ斬れるのか!?」
陽夏「拙者は侍!斬れぬものは決して無い!!」
ブラッド「心強ぇ…!!」
黒髪『おぼれ
陽夏「がぼ…ッ!?」
ゴボゴボ
ブラッド「!」
スッ
グイッ
ブラッド「大丈夫か…!!」
陽夏「げほっげほっ…!!」
黒髪「…」
ブラッド(斬る形すらない水で攻撃してきた…こっちの言葉は通じてるよな)
陽夏「くっ…!!」
黒髪「…」
スッ
陽夏「!」
ブラッド「上…?」
黒髪『つぶし
ズッダァァァァン
ブラッド「おぁ…ッ!?」
陽夏「…!!」
黒髪『もゆる
ボォォォォ
ブラッド「本当に安らぐ暇がねぇな…!!」
陽夏「違いないでござる!」
チャキッ
陽夏「…仕掛ける!」
ドンッ
陽夏『さくら旅路たびじ
シュパッ
黒髪「!」
ヒラッ
黒髪『―』
ヒュッ
陽夏「もうそこに拙者は居ないでござる」
黒髪「…」
陽夏「周りを見よ」
ヒラヒラッ
陽夏『紅葉もみじ連鳴つらなり
ブラッド「いつの間に…」
陽夏「同時に仕掛けたでござる」
ブラッド「同時…!?」
ブラッド(目で追ってたはずなのに一切技が見えなかった…)
陽夏「拙者の速度は…更に上がるぞ」
ドヒュンッ
黒髪「!」
スッ
黒髪『つるし
ズドドドドドッ
陽夏「当たらぬ!」
ヒュヒュヒュヒュ
ブラッド「早ぇ…!!」
陽夏「…ッ」
チャキッ
クルンッ
陽夏「ただ垂直に刀を抜き―斬る!!!」
ズバババババババババッ
黒髪「―!!」
ブシュッ
ガクッ
ブラッド「膝をついた…!?」
スッ
陽夏「はぁ…はぁ…無言なのは強者故の傲慢にござるか…?」
黒髪「…」
陽夏「であるなら失敬…どうやら拙者の速度は目に見て取れぬようだ!」
黒髪「…」
スッ
黒髪『さし
ブラッド「その技…!!」
ザクッッ
陽夏「……ッ!!」
グラッ
ブラッド「陽夏!!!」
陽夏「んぬぅ…ッ!!」
ダンッ
チャキッ
陽夏「無駄!!!」
ズバァァァッ
黒髪「…!?」
ドサッ
スッ
黒髪『もゆる
ボォォォォ
陽夏「ッ!!」
黒髪『おぼれ
ゴポポポ
黒髪『しびれ
バリリリリリィッ
ッドゴォォォォォォン
陽夏「―……」
ガクッ
ドスッ
陽夏「…ふーーー…ふーーー…!!」
ググッ
ブラッド「嘘だろ…あれだけくらって…!!」
陽夏「どれだけ身体を燃やされようと…串刺しにされようと…絶望に至らぬ」
スッ
陽夏「死ぬこと以外は掠り傷!!!侍は生き恥など晒さぬ!!!」
ゴォッ
黒髪「――!?」
ドクンッ
スッ
黒髪『つぶし』!!!
陽夏「!」
ブラッド「間に合え―!」
ブラッド『凝固ぎょうこ血釜蔵ちのかまくら』ッ!!!
ズッダァァァァン
ユサユサ
ブラッド「陽夏!陽夏!無事か!?」
陽夏「ブラッド殿…すまぬ」
ブラッド「気にするな…俺こそ任せっきりで悪かった」
陽夏「なに…仲間の為に命を賭けるなど安いこと」
ググッ
ブラッド「疑問が…あるんだ」
陽夏「…?」
ブラッド「陽夏は間違いなく俺より強い…そんな人がどうして急にこの戦いに」
陽夏「拙者は…鬼組の一員でござる」
ブラッド「!?」
陽夏「本当なら今より200年より昔から死を待つだけの身体でござった…しかし1人の仲間が自分の全てを犠牲にしてでも拙者達を助けにきてくれた。元より仲間のために賭けると誓ったこの命を惜しみはしないでござる!」
コンコンッ
陽夏「助かったブラッド殿!もうこれを解いてくれても大丈夫でござる!」
ブラッド「でも…まだ」
陽夏「大丈夫!」
ブラッド「…わかった」
スッ
ザッザッザッ
陽夏「…待たせたでござるな」
黒髪「…」
ブラッド「まて陽夏!俺も―」
陽夏「本来なら拙者達は皆と共にここに来ることもできた…わざわざ助太刀をするような形にせずとも」
ブラッド「え…?」
陽夏「この戦前の3日前には既に拙者達全員は天界に居た…だが200年も昔の力しか使えぬようでは無謀に突っ込む蟻と同義…力をつける必要があった」
コォォォォォ
陽夏「拙者達がにて備え付けたその力…今その身に敗北を刻んでやろう」

――覚醒の条件を満たしました
1分間のゾーン状態に移行します

ブラッド「嘘だろ…覚醒を……3日…!?」
陽夏「…」
チャキッ
黒髪「…」
陽夏「巡りて。舞い散る桜の花弁はこれからの物語を彩る先手」
陽夏『まい
ブワァァァァァッ
陽夏「過ぎて。照りつける陽光に小さな背丈は空へとその手を伸ばす」
陽夏『さい
ビキビキッ
陽夏「暮れて。加速する戦を紐付けするよう部分を結び線を織り成す」
陽夏『ふう
ビュオオオオ
陽夏「枯れて。逆風は凍えを伝いその身に敗北の文字を唯刻む」
陽夏『しゅう
ゴォォォォ
陽夏「情愛の赤…奇跡の青…活性の黄…安良の緑…貴様に送るは絶望と憎悪」
タンッ
ザクゥゥゥゥゥッ
黒髪「!」
陽夏「―胸に華咲け」
陽夏『黒薔薇くろばら
ドクンッ
黒髪「!?」
ググッ
陽夏「動けば傷が迸り更に苦しみを得るだけだぞ?」
黒髪「――!!」
陽夏「言ったでござろう。敗北を知れと」
黒髪「……ッ!!」
ズババババババババババババババババババババババババババッ
陽夏「…」
チンッ
グラッ
ガシッ
ブラッド「大丈夫か!?」
陽夏「っはは…1分間ギリギリでござった…」
ブラッド「充分だ…だって倒せたじゃないか…!!」
陽夏「あぁ…これで拙者達も他の場へ助太刀に―」
ドクンッ
陽夏「!?」
ブラッド「なんだ今の…心臓の音…!?」
ドクンッ
陽夏「拙者達ではない…まさか…!!」
ブラッド「あれだけ斬られて…まだ死んでねぇのか…!!」
ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンッ
ググッ
黒髪「…」
ドクンッ―ドクンッ
黒髪「……」
ザッザッザッ
パチッ
黒髪「あぁ……世界がよく視える」
陽夏「!?」
ブラッド「今…喋っ…!?」
黒髪「雨宮さんも無名さんも逝きましたか…だから私は2人の分も」
スッ
黒髪『アサイン』
ギュゥンッ
陽夏「…ッ!?」
ガシッ
ブラッド「陽夏!!」
陽夏(な、何をされた…!?)
黒髪「お初にお目にかかりますね。私は黒髪…早速ですが侍さん」
カチャチャチャチャチャチャッ
陽夏「!?」
ブラッド「片腕が…ライフル…!?」
黒髪「…死をどうぞ」
ブラッド「…っおおぉぉおおおおお!!!!」
ドンッ
黒髪「!」
ブラッド『凝固ぎょうこ血槍ちのやり』ッ!!!
ババッ
黒髪「…1人では無いと」
ブラッド「陽夏…しっかり!」
陽夏「す、すまぬ…」
黒髪「死ぬのは怖いですか」
ブラッド「は…!?」
黒髪「私も同じです…あの時死ぬのが怖かった」
陽夏「あの…時…?」
黒髪「焼死。溺死。感電死。斬首。薬漬。串刺。お好きなのをどうぞ」
陽夏「…!!」
ブラッド「…!!」
黒髪「貴方達にも…死の提供を」

終戦編 殺す命の価値 ~完~
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