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#62 散りて尚美しき満開な桜花の如し

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『散りて尚美しき満開な桜花の如し』
――廃れた村
无名「能力スペック持ちホルダー…!!」
ヘレン「アレは200年くらい昔の話か?」
舞桜「!」
ヘレン「そこのボロックズに殺されそうになった天才の俺は瀕死になった…そこに奴はやってきた」

ーーー
四神「お前の技術力に興味がある。我に協力をするなら長く生き延びる力をやろう」
ヘレン「…!?」
ーーー

ヘレン「もちろん承諾したさ!そして俺は文字通り長く生きる為のを手にした!!」
无名「…!!」
ヘレン「本領を見せてやろうか」
ズズズ
ヘレン「能力【八岐大蛇やまたのおろち】」

○ヘレン能力―【八岐大蛇やまたのおろち
8つの首を持つ大蛇に姿を変え心臓が増える

ヘレン「100年で1つは潰れたがそれでも俺にはまだ6つの心臓が残ってる!!人間に勝てる相手じゃあねぇのさ」
无名「はっ!心臓複数持ってるからなんだっての!?他と違うから盛り上がれるなんてただのガキじゃない!」
ヘレン「好きなだけほざけ…俺は絶対的な力を手にした!!!」
ズッドゴゴゴゴゴゴゴ
无名「ぅぐっ…!!」
无名『MK5えむけーふぁいぶ』!!!
ゴゴゴ
ドンッ
无名「そのでっかい身体も…鬱陶しいのよ!!!」
ズドォンッ
无名「!?」
ヘレン「ヘナった拳だな…心臓に届いてねぇぞ」
コォォォ
ッチュドォォン
无名「くっ…!!」
ゴロゴロ
藍菜「无名さん!!」
无名「来ちゃダメ!!いいからアンタ達は離れて!!」
ヘレン「たった1人で俺相手に渡り合えるとでも?殊勝だな」
无名「…!!」
ヘレン「あの女も用済みか」
无名「!」
ヘレン「四神が俺に要求してきた1つさ。確かクローンの制作などと抜かしてたが…当の本人はもう切り捨てられたようだな」
无名「…ッ!!」
ググッ
无名「アンタが…藍菜まで…!!」
ヘレン「あくまでも頼んできたのは四神だが?俺は言われたことをやったまでだ」
无名「ふざけんな!アンタほどムシャクシャする奴初めて…!!」
ヘレン「猿に何を思われようが知ったことじゃねぇがな」
ズドォンッ
无名「…ッ」
ヘレン「テメェを殺せばあのボロクズがまたストッパーを外す」
シュルルル
ヘレン「やっぱり事細かな操作は人型のがやりやすい」
スッ
ザクククククッ
无名「かはっ…!!」
ガクッ
无名(指が…蛇に…!!)
ヘレン「さぁ奴に助けを乞えよ!!」
无名「嫌なこった…ッ!!」
ヘレン「無駄に耐えるんじゃねぇ」
スッ
ザクッ
无名「…!!」
ヘレン「俺は科学者としてアイツのパーツに興味がある!テメェはそれを回収するための布石になって死んで欲しいんだ」
无名「ふざけんな…舞桜はアンタの道具じゃない!!!」
ヘレン「そもそも人間じゃねぇけどなァ!!!」
チリッ
ズドドドドドドドドド
无名「!?」
ヘレン「っはは…殺さずとも解除してきたか…!!」
舞桜「…」
无名「舞桜…?アンタ藍菜は…」
ズルズル
藍菜「无名…さん」
无名「!?」
藍菜「ごめん…なさ」
ドサッ
无名「舞桜…アンタまさか…!!」
舞桜「―資格に写るものを分析。殲滅状態に移行します」
ジャキキキキキッ
无名「…!!」
ヘレン「っはは!それでいい!人間兵器の本願は正にソレだ!」
舞桜「―排除します」
ドンッ
ヘレン「だが俺に歯向かうのは―容赦ねぇ」
ギュルルルルルンッ
舞桜「―!?」
ヘレン「俺の命令だけを聞けボロクズ」
ザッザッザッ
ドムッ
舞桜「―!!!」
ドサッ
无名「舞桜…!?」
ググッ
无名「何をしたの…!!」
ヘレン「チップを埋め込んだ。俺の命令に従うようにな」
无名「この…!!」
バキャッ
无名「!!」
ズザザ
无名「ゲホッ…ゲホッゲホッ…!!」
无名(舞桜…!!)
舞桜「―始末対象を確認。早急に排除します」
ヘレン「あぁそうだな…厄介な猿はテメェの手で殺せ」
舞桜「―」
ザッザッザッ
无名「お願い……元に戻って…!!」
舞桜「―ごめんなさ…い…无名ちゃ…」
无名「!」
ヘレン「殺せ!!!!!」
ズッダァァァァァァァァァン
ッジュワアアアアア
ヘレン「あ…!?」
「…随分と嫌な趣味してる奴がいるんだな」
ザッザッザッ
ヘレン「誰だテメェ…」
无名「アンタ…!!」
ポイズン「名乗るんならまず自分から頼むよ」
舞桜「―ポイズン…さ…!!」
ヘレン「…ちっ」
ヘレン(まだ微かに記憶と感情が残ってんのか…不要なモンだ)
ポイズン「おい…大丈夫か!」
无名「え、えぇ…私は…それより藍菜!」
藍菜「…!!」
ポイズン「微量だが薬は持ってる…これを飲ませろ」
无名「!」
スッ
无名「ありがと…藍菜!ほらしっかり!」
藍菜「…无名さん」
无名「良かった…目が覚めたのね」
スッ
无名「しばらく安静にしてなさい」
ポイズン「…お前は舞桜に何をしたんだ」
ヘレン「おいおい…テメェまでコイツの知り合いかよ」
ザッザッザッ
ヘレン「どうも何も?在るべき姿に戻してやっただけだ」
无名「どこが…ッ!!」
ポイズン「…」
无名「ねぇ!アンタ強いの!?」
ポイズン「…あぁ」
无名「そ!ならちょっと手伝って欲しいんだけど」
ポイズン「一応聞くよ」
无名「あのクズの顔面ぶん殴る!!」
ポイズン「…乗った!」
ヘレン「おーおー…あんま調子に乗るなよ?」
スッ
シュルルル
ポイズン「!」
无名「気をつけなさい!アイツも能力持ちスペックホルダーよ!!」
ズドドドドドドドドド
ポイズン「…蛇!?」
ヘレン「八岐大蛇さ!複数ある心臓を持つ怪物が負けるわきゃねぇだろうが!!!」
ビュッ
ッドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ポイズン「…くそっ」
スタッ
无名「ちょっと!無事!?」
ポイズン「あぁ…さっきの女は」
无名「とりあえずは避難させたわ」
ポイズン(200年前にも居たやつだ…混乱するが後でいいな)
スクッ
ポイズン「少し暴れる。お前も離れてろ」
无名「!」
ドロォッ
ヘレン「…毒か」
ポイズン『ベノムウォール』!!!
ズォォオオオオオッ
ヘレン「はっ!!薄い壁だなこりゃあ!!」
ズドォンッ
ポイズン「ちっ…!!」
ダダッ
无名「私に合わせなさい!!」
ポイズン「!」
ダンッ
无名『いい波乗なみのってんねぇ』!!!
グラァァァァァッ
ヘレン「!?」
ポイズン「これは…!!」
无名「ボサっとしない!!」
ポイズン「あ、あぁ!」
ドロォッ
ドンッ
ポイズン『ベノムソード』ッ!!!
ズダァァァァァンッ
スタッ
ポイズン「…モロに当てたぞ」
无名「じゃあ流石複数の心臓ね…」
ザッザッザッ
ヘレン「あぁ…まともに溶けたぜ身体の半分」
ポイズン「…1回死んだか?残り何個だ」
无名「さぁ?考えてても仕方ない気がするけどね!」
ヘレン「勘違いは正しておいてやるよ。正確には死んでない」
ポイズン「!」
ヘレン「俺の心臓は残り6つ。それは変わらねぇさ!心臓が1つとして消えてくのは年月で100年を迎えた時…それ以外で個々として消えていくことはねぇのさ」
ザッザッザッ
ヘレン「この状態の俺を殺すには6つ全ての心臓を同時停止させるしか方法がねぇのさ!分かったか?猿ども」
ポイズン「…!!」
无名「…思ったより厄介な相手」
ヘレン「舞桜!!」
舞桜「―」
ザッザッザッ
ポイズン「!」
无名「舞桜…!!」
ヘレン「人質取られた奴は何をするべきだろうかな?」
无名「コイツ…!!」
ポイズン「人質…お前は何が目的なんだ」
ヘレン「俺の手で人間兵器を作り出すことさ」
ポイズン「…人間兵器?」
ヘレン「その為にこのボロクズに使われたパーツが手に入ればいいのさ!テメェらにとっちゃ人質だろうが俺は気兼ねなくぶっ壊すことが出来る」
无名「アンタそんなことしたら…!!」
スッ
无名「!」
ポイズン「じゃあお前は舞桜に利用価値があるんだな」
ヘレン「…あ?」
ポイズン「すぐに退かせろ…さもねぇと」
ドロォッ
ジュワァァァ
ポイズン「俺の毒で跡形もなく壊す」
ヘレン「テメェ…!!」
クスッ
ヘレン「っはは…クハハハハハハ!!!もっとマシな脅しをしろ!退かせる対象を毒で溶かす?そんなことは出来ねぇ」
ポイズン「…そうか」
スッ
ポイズン「残念だよ」
无名「ちょっ―」
ポイズン「…」
ドプゥゥゥゥン
无名「舞桜!!!!」
ヘレン「なんっ…テメェ!!!」
ポイズン「俺は退かせろと忠告したはずだ」
无名「いくら何でも…ふざけんじゃないわよ!!!」
ガッ
无名「アンタ…あの子助けに来たんでしょ…!!」
ポイズン「…ハッタリには変わりねぇ」
无名「!?」
ヘレン「あ…?」
ポイズン「舞桜が受けたのは少しピリつく程度の神経毒だ。溶けはしない」
无名「な、なんだ…そうならそうと…」
ヘレン「神経毒?なんだ見誤ったか!」
ポイズン「?」
ヘレン「コイツは人間兵器!神経なんか通っちゃいねぇ!!!」
ポイズン「…俺達が知ってる舞桜は人間だ」
无名「!」
舞桜「ポイズン…さ…ん…无名…ちゃん…藍菜…さん」
ヘレン「テメェまだ意識が…!!」
ポイズン「しばらく寝てて構わねぇぞ舞桜…すぐケリをつける」
ヘレン「ちっ!」
シュルルル
ヘレン「なら分かった…俺が先に壊してやる」
ポイズン「!」
ヘレン「元より欲しいのはコイツのパーツだ!!!人格も感情も何も要らねぇのさ!!!」
ポイズン「やめろ!!」
无名「舞桜!!」
ヘレン「動くな」
舞桜「―!」
ヘレン「神経毒なんざ効かなくとも…俺の命令には忠実だ」
スッ
ザクククククッ
ボタボタ
ヘレン「血…だと…!?」
藍菜「…がふっ」
ドサッ
无名「藍菜…!!」
ポイズン「アイツ…!!」
ヘレン「テメェ…どこまで俺の邪魔を!!」
ダッダッダッ
ユサユサ
无名「藍菜!藍菜!どうして…隠れてろって言ったでしょ!!」
藍菜「ごめんなさい…気づけば身体が…!!」
ポイズン「…!!」
ヘレン「…命令だ舞桜」
无名「!」
ヘレン「この猿共を今ここで殺せ」
舞桜「―!!」
藍菜「舞桜…さん」
ヘレン「どうした?命令だ!早くしろ!」
舞桜「……嫌…です」
ヘレン「!?」
舞桜「…!!」
ズボッ
グシャッ
パラパラ
舞桜「私は…お仲間を傷つけたくありません…!!」
ヘレン「俺のチップが…!!」
ポイズン「舞桜…」
ヘレン「ふざけてんじゃ……ねぇぞカス共がああああ!!!!」
ズォォオオオオオッ
舞桜「!!」
无名「…!!」
ポイズン「全員俺の後ろに下がれ!!」
ヘレン「ふー…ふー…!!」
ポイズン「あの姿は…もう人間を捨てたみてぇだな」
舞桜「…!!」
ガクガク
ギュッ
无名「大丈夫」
舞桜「!」
无名「もう怖くないわ…大丈夫だから」
舞桜「ごめんなさい…私…私…!!」
スッ
藍菜「舞桜さん…無事に戻ってよかった……」
舞桜「…!!」

どうして…どうしてこの人達は私を受け入れてくれるのだろう
私はまた博士との約束を守れなかったのに
また同じ過ちを繰り返そうとしていたのに
この手で皆さんを殺すところだったのに…!!

ポイズン「舞桜」
舞桜「!」
ポイズン「アレが怖いか?よく見てみろ」
ヘレン「…!!」
ポイズン「アレは理性を無くしたそこら辺の魔物と変わらねぇ」
ヘレン「理性をなくしただと…ほざけ!!!俺はお前らとは交わる事の無い領域にいる!理性がねぇのはテメェらさ!!その兵器と関わって何を欲してる!?ソイツは所詮人間とは交わることなんか出来やしねぇ!!人を殺すために生まれてきたんだ!!!」
舞桜「私は…!!」
无名「交わる事ない領域?そんなのあったりまえでしょ」
ザッザッザッ
无名「アンタなんか何度生まれ変わっても理解し合えないわ!」
舞桜「!」
ポイズン「兵器だからなんなんだ?それのどこに俺達が舞桜を突き放す要因がある」
ザッザッザッ
ポイズン「人だろうが悪魔だろうが天使だろうが…鬼だろうが種族なんてもう関係ねぇ!人造人間ホムンクルスだろうが同じだ!」
舞桜「…!!」
ポイズン「俺達はもうその領域にいる!!分からねぇお前の方こそ置いてかれてんじゃねぇのか!?」
ヘレン「……!!!!!!」
ポイズン『毒龍ヒュドラ
ズォオオオオオオオオオオ
舞桜「これは…!!」
ポイズン「よく見てろよ舞桜」
舞桜「えっ」
ポイズン「お前の呪縛は…ここで俺が腐らせてやるぶっ壊してやる!!!」
舞桜「ポイズンさん…ッ!!」 
ヘレン「ふざけんな…俺の計画は邪魔させねぇ!!!!」
グォオオオオオオオオオオ
ポイズン「…っぐ…!!」
ズザザ
无名「ちょっと!大丈夫なの!?」
藍菜「押されている…!!」
ポイズン「の野郎…ッ!!」
ヘレン「テメェら如きに俺は負けねぇ!!!俺の計画は!!低能な猿どもには防がせねぇ!!!」
ポイズン「いい加減に…折れてみろ…ッ」
ググッ
ポワァァァァァ
无名「なにこれ…!!」
舞桜「ポイズンさんの周りが…紫色の膜で…!!」
ポイズン「…毒龍!!拡大領域!!!」
ズォォオオオオオッ
ヘレン「!?」
ポイズン「お前の科学とやらはここで打ち止めだ!!!まとめて俺に呑まれて―消えろッ!!!」
ポイズン『暴食グラトニー』ッ!!!!!
ッドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ヘレン「俺は…俺はァ…ッ!!」
ズズズ
ヘレン「くっっ…あああぁあああああああ!!!!」
ドプゥゥゥゥン
ポイズン「…っは…っは」
ガクッ
舞桜「ポイズンさん!」
ダッダッダッ
ギュッ
藍菜「倒…した…」
无名「全く…心配かけて……どれほど大した男なんだっての…!!」
ポイズン「…」
ズルッ
ドサッ
舞桜「ポイズンさん!?」
スッ
ポイズン「っはは…少し無茶した」
ニコッ
舞桜「!」
ブワァァァァッ
ヒラヒラッ
藍菜「桜…?」
无名「綺麗…きっと舞桜の呪縛が解けた証じゃない?」
スッ
ポイズン「おかえり!!」
満桜「…はいっ!」
ーーーーーー
ザッザッザッ
【今どこにいるの?】
?「少し懐かしい顔を確認したんだけどさ」
【そう…接触する?】
?「そうさせてもらうよ。も見えたし」
【そっか…って覚醒!?それって―】
?「それじゃあまたね」
【ちょっと待っ―】
ブツッ
?「…」
ニコッ

散りて尚美しき満開な桜花の如し ~完~
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