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#26 不平等な鎖

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『不平等な鎖』
ーー大和都に向かう旅路
翡翠「能力…どれだけ凄いのか気になるよ」
鬼姫「あまり良いものでもないぞ」
ザッザッザッ
鬼姫「能力【鬼神開花キジンカイカ】」

○鬼姫能力―【鬼神開花キジンカイカ
=鬼の本能を呼び覚まし凶暴性と残虐性が増し全ての能力が格段に上がる。

鬼姫「ふんっ!」
ドンッ
翡翠「!」
ババッ
カチャカチャ
翡翠「追い掛けて来るならいいよ」
タタンッ
鬼姫「能力無しであの身のこなし…軽い身体じゃな」
ドンッ
鬼姫「じゃが―」
翡翠「逃げ道を作ってそこに何も用意しないと思う?」
鬼姫「!?」
翡翠『トラップ
バチィンッ
鬼姫「ぐっ!?」
ズザザ
翡翠「ほっ」
ターンッ
ドムッ
鬼姫「…っは…!!」
翡翠「…」
ググッ
翡翠「!?」
鬼姫「随分とトリッキーな戦術を使うようじゃが…捕らえた!」
ガシィッ
鬼姫「刀を返せ!!」
翡翠「嫌だ」
クルンッ
鬼姫「!」
翡翠『Xエクスモードーアナーキー』
ズドドドドドッ
鬼姫「…ッ」
スタンッ
翡翠「やっぱ逃げるのは得策じゃないか…まぁこれを諦めるつもりもないけど」
鬼姫「何故妾達を狙う?」
翡翠「決まってるじゃないか。平和ボケしてる連中は餌食に丁度いいからだよ」
鬼姫「…!!」
翡翠「それにしても思ったほど協力じゃないね鬼の能力っていうのも…本当に解放したのか分かんないや」
鬼姫「それはそうじゃ。鬼族とお主ら人間とでは能力の解放が激しく違う」
翡翠「!?」
鬼姫「というよりは種族により違うのじゃが…例えば初めの解放と後の解放で力を二区分する…とかの」
翡翠「へぇ…それじゃ鬼族はどんなものなのかな」
鬼姫「我ら鬼族は解放してから3分間能力が使えぬ」
翡翠「え…?」
鬼姫「つまりは3分の限定時間を超えた先の…爆発的な進化」
ググッ
鬼姫『剣舞けんまい二括ふたかつ
ググッ
ッドォォォォォォン
翡翠「…!!」
タジッ
鬼姫「大丈夫…傷つけたりはせぬ」
ザッザッザッ
鬼姫「ただ―」
スッ
パシッ
翡翠「…!?」
鬼姫「これは返してもらうぞ」
翡翠「…くそっ」
タタンッ
スタッ
翡翠(一切動けなかった…あの状態が2割…!?)
ググッ
鬼姫「もう止め置け…妾も加減するのは」
翡翠「加減…そんなのいらないよ」
ドンッ
翡翠「私も玉津遊も…不幸の分だけ他人の幸福に嫉妬してる!」
鬼姫「…ッ」
チャキッ
ズバァァァァァァァンッ
翡翠「!」
鬼姫「先から聞いておれば…辛いのがお主達だけと思うな!!」
ゴォッ
鬼姫「過去は辛かろう!!それはお主らにしか分からぬ!!じゃがどんな過去があってもお主はまだ前を向こうと駆けているじゃろうが!!」
翡翠「…そんな事」
ガッ
翡翠「!?」
鬼姫「妾には…妾には幼馴染がおった…!!」
ググッ
鬼姫「あの子は運命に見放され望まぬ事を犯し…里を追われた…妾は目で追うだけで何もすることが出来なかった…!!」
翡翠「鬼姫さん…」
鬼姫「悔しかった!!辛かった!!前も後ろも!右も左も!全てが暗闇に覆われるほど道が見えなくなった!!孤独を感じた!!じゃがそれでも歩いている…人は弱さがあっても乗り越える!その力がある!!辛かろう者なら周りを頼れ!周りが敵だらけと誤認するな…少なくとも!!」
ガシッ
鬼姫「妾達はお主らの敵じゃない!!!」
翡翠「…!!」
ポロッ
ザッザッザッ
霞「…鬼姫さん」
鬼姫「!」
タッタッタッ
ポカッ
鬼姫「…」
玉津遊「やめて…翡翠に攻撃しないで!!」
翡翠「玉津遊…」
タッタッタッ
ギュッ
玉津遊「ごめん…ごめんなさい翡翠…」
翡翠「ううん…私こそ…私こそごめん…!!」
ギュッ
翡翠「こんな身近にいた希望に…気づけなかった…!!」
霞「…」
霞(鬼姫さん少しいいですか?)
鬼姫「…うむ」
ザッザッザッ
翡翠「あ…」
鬼姫「大丈夫。戻ってくるから今は2人でな」
翡翠「…ありがとう…!!」
――
霞「玉津遊ちゃん私に聞いてきたんです」
鬼姫「?」
霞「幸せって何…って」
鬼姫「…」
霞「全部聞きました…あの子が壮絶な人生を送ったことも」
鬼姫「む?」
霞「戦ってる最中…近くに居ましたので」
鬼姫「そうじゃったか!」
霞「私はどうしてあげれば良かったでしょうか…どうすれば」
ポンッ
鬼姫「大丈夫」
霞「!」
鬼姫「妾もお主もあの子らも…皆辛い思いをした。そして彼らも皆…でも大丈夫じゃ!皆でおれば絶対幸せになれる!」
ニコッ
霞「鬼姫さん…」
鬼姫「さ!戻ろうかのう!!」
ザッザッザッ
霞「はい」
ユラッ
霞「!」
ビクッ
霞(またこの殺気…しかもあの時よりも強く…!!)
ググッ
霞「この人の笑顔の裏には…何があるの……」
――
アンデッド「で…そんなことがあったのに俺らはスヤスヤと」
ポイズン「不甲斐ねぇ…悪い…!!」
キノコ「な、情けなくて涙も出ないね…」
ケイパン「有り得ねぇ…嘘だ…クソすぎる…あぁ…」
ズーーーーーーン
鬼姫「そ、そんな落ち込むな!!良いのじゃ良いのじゃ!!」
霞「お顔を上げてください皆さん…」
翡翠「…」
玉津遊「翡翠…?」
翡翠「…うん」
ザッザッザッ
ペコッ
アンデッド「!」
翡翠「皆を騙す真似をして…本当にごめん」
玉津遊「…」
ペコッ
ケイパン「俺らは被害被ってないから…別にいいよ」
キノコ「うん!鬼姫さん達が良いならいいんじゃないかな?」
ポイズン「事情なんて人それぞれだしな」
アンデッド「なんなら俺鬼姫のが恨んでるし」
鬼姫「なんで!?」
アンデッド「シチューの件忘れてねぇぞ…!!」
鬼姫「妾謝った!!!いや謝ってない!」
アンデッド「ほれ見ろ謝ってねぇじゃねぇか!!」
鬼姫「じゃあごめん!」
アンデッド「かーっ!なんて誠意の無い謝罪だ!罰刑に処す!」
キノコ「まぁまぁ!」
ケイパン(アンディ昨日めちゃくちゃうなされてた…)
ポイズン(流石に同情する)
翡翠「…」
クスッ
霞「賑やかな人達ですよね」
翡翠「!」
霞「私も辛い思いをしました。それはきっと人それぞれで誰か同士を比べるなんてことは出来ないと思うんです」
翡翠「うん、そうだね…」
クルッ
鬼姫「翡翠!玉津遊!お主ら妾達と一緒においで!!」
翡翠「えっ…」
玉津遊「!」
鬼姫「もう辛くなんかない!皆でおればね!」
ポイズン「おう、コイツはいつも幸せそうな顔してるからばんばん吸い取ってやってくれ」
グイーーー
ケイパン「いぃだだだだ!!!」
キノコ「あ!お餅みたい!」
アンデッド「食ってやろうかァァァ!!!」
玉津遊「…この人達」
全員「!」
玉津遊「変」
全員「!?」
グサッ
玉津遊「でも…面白い」
クスッ
キノコ「っにゃあああ!!笑った!!!」
ケイパン「な!笑ったな!!」
アンデッド&ポイズン「重罪だろ」
ケイパン「ねぇ褒めただけぇ!」
霞「…ふふっ」
鬼姫「それじゃあ改めて…翡翠!玉津遊!」
スッ
鬼姫「これからよろしくのう!」
ニカッ
玉津遊「うん」
翡翠「本当にありがとう鬼姫さん…うん!これからよろしく!」
ガシッ
アンデッド「さて…それじゃあそろそろ出発しますか」
全員「おーー!!!」
ーーーーーー
――近場の森の中
【もう!今どこにいるの!?勝手に降りて!】
?「面白いコト見つけたからもう少しここに居させて貰うよ」
【は!?何言って―】
?「大丈夫大丈夫。彼らは四神に接触するよ」
【はぁ…オーディン様には伝えておくからね!】
?「了解」
ピッ
ザッザッザッ
?「さて、どうしたら仲間に迎えてくれるかな」

不平等な鎖 ~完~
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