ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi

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第4章 英雄の落日

117.リュクレオンの最後

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リュクレオンの目の前には、バラバラに壊れた黒い塊があった。
ツヴァイに何とかしてみるとは言ったものの、どうしたらよいか分からない。

少しだけ修復を考えてみたが、諦めて帰ろうとした。

「まっ、儂にはムリかな。製作者でもない限り、どうこうできる代物ではないか。」

リュクレオンは、カインの元へ帰ろうとする。
羽ばたいていくのも面倒なので、転移ができないか考えてみた。
何となく出来そうな気がする。
そのため、転移できそうな場所を探すため、地上を探った。
その瞬間、驚愕が訪れる。

「世界が崩壊し始めている!?まさかっ!」

リュクレオンは、振り返り、『世界の理』であった物を見る。
そして、リュクレオンは悟ってしまった。

「そういうことじゃったのか…。」

リュクレオンは、『世界の理』が壊れたことにより、オルヴィスの世界が崩壊を始めたことに気づいた。
逃げ出すわけにはいかなくなったのである。

「まったく!何とかするしかないではないか!壊れていく瞬間は見ていたんじゃ。なら、逆の順番にくっつけていけば治るはず!」

リュクレオンの目の前には、無数に散らばった塊がある。
『世界の理』を修復するにしても、時間が問題だった。
早く修復しないと、修復前に世界が滅びる。

「やっかいな難題じゃ!」

リュクレオンは、一つの欠片と一つの欠片を合わせようとした。そして、くっつけようとする。
その瞬間、大量の神力がもっていかれた。

「なっ!」

『世界の理』は神力によって、くっつく。しかし、そのために必要な神力は莫大な量が必要であった。

「こんなの、ムリじゃろ!無理ゲーじゃ!まだ、ダンジョン作りの方がかんたん…。
ん?
ダンジョン!?」

リュクレオンは、遊びでダンジョンを作ったことがある。
その時に『ダンジョンコア』を作ったのだった。

「何となく、あれに似ておるの?
もしや、必要な箇所だけを繋げていけば何とかなるか!?」

類似品を作ったことが幸いした。
しかし、類似品はあくまでも類似品である。
必要そうな物だけを慎重に選び、修復作業を開始した。

どれだけ、時間が経過しただろうか。
リュクレオンにとっては、永久にも近い時間を感じたる。
しかし、実際はそんなに時間が経っていない。
それほどの集中力を必要とする作業だったのだとリュクレオンは思った。

そして、少しずつ形をなしていく。
もちろん、必要な箇所だけをだが。
ところどころ、判らないところは念のため修復した。

途中で、ふと気づく。
体の中から、ごっそり減っていた神力が回復しているのだ。

「もしや、この短期間でレベルアップしているのか!?
やはり、儂は天才じゃ!」

実際は違う。
光の王は、リュクレオンに隠れて見守り、神力を支援していたのだ。

光の王が現れた時、リュクレオンの集中力は凄まじいものであった。
そして、着実に大事な場所を修復していったのである。
変に声をかけて集中力を途切れさせるよりかは、このまま、リュクレオンに任せることが最短の道筋なのかもしれないと判断したのだ。

『世界の理』を修復するには、膨大な神力が必要となる。
リュクレオンの神力がなくなるつど、神力を補充する。
更に時間をできるだけ遅くした。
止めてしまっては、修復できないため、遅くすることしかできないのだ。

人の感覚でどれぐらいの時間が経ったかは分からない。
しかし、着実に『世界の理』は修復されていき、元に戻ろうとしていた。

『世界の理』が修復できかけたところで、光の王は残りの神力を計算し、修復に充分にたりるようリュクレオンへ神力を補充する。
そして、より完璧に修復できるよう、再び闇の王を探すため、その場を離れた。
念には念を入れるため、光の王はその場を離れたのである。
その行為が誤算を産む。

リュクレオンは、終わりが見えたことで、調子にのった。
調子にのって、『世界の理』をカスタマイズをし始めたのだ。

「どうせだったら、もっと、あーして、こーして…。」

リュクレオンは、『世界の理』を改変していく。
その行為は、大量の神力を必要とした。
そして、後先を考えなかったため、世界の崩壊を防ぐには神力が不足する。
正確には、世界の崩壊は、緩やかとなった。

さらに、修復ではなく、改変である。
黙っていない存在がいた。

「警告。すぐに、その作業を中止し、元に戻しなさい。」

空間にそれは現れた。
以前、セトが呼び出し、ゼリアンへの審判を行ったものである。

「まさか、アンパイアなのか!?」

アンパイアは、両手を振りかざす。
その瞬間、リュクレオンと『世界の理』があった空間は何者にも干渉不可の空間となった。

「最初から、こうすべきでした。もはや、誰も世界の理には近づけさせません。」

リュクレオンは、脱出を試みようとする。
しかし、どこにも出口はなかった。

「ぐっ!」

その仕草を見て、アンパイアは次なる言葉を放つ。

「修復する意志がないと判断します。よって、排除します。」
「いや、修復には神力が足りないんだ。もう少ししたら回復するから、しばし待ってくれ!」
「言い訳を!」

リュクレオンとアンパイアの戦いは始まった。

アンパイアとは、光の王と闇の王が、ルールを遵守させるために作った存在である。
ゴーレムと言ってもいいかもしれない。
それは、神すら裁くことができる力を与えられしゴーレムであった。

そのため、ありったけの力を込められた光と闇を兼ね備えたハイブリッド型のゴーレムなのである。
もちろん、弱点はなかった。
当然、戦いの結果は火を見るよりあきらかである。

「『神龍の咆哮!』」

リュクレオンが、以前、使っていた『龍の咆哮』は、龍力を使っていた。
しかし、神力を使った攻撃である。
その威力は、比較にならないほど差がある。
神力が充分であればだが。

アンパイアは、そよ風のごとくリュクレオンの攻撃を受け流す。
まったく効かなかったのである。

神力が足りないこともあるが、スペックが違いすぎるのである。

そして、ほんの一瞬で決着はついた。
アンパイアは、黄色のカードを出す。そのカードから、繰り出された光がリュクレオンへ襲いかかる。

ただの一撃で、リュクレオンは瀕死となってしまった。
リュクレオンは、あっさりとアンパイアに負けてしまったのである。

「さぁ、修復しなさい。」
「だから、神力が…。」
「最後の警告も無視するとは。もはや、退場しかありません。」

アンパイアは、赤いカードを出し、リュクレオンへトドメをさした。
リュクレオンの神となったことで不死である。
しかし、アンパイアはそれすらも干渉した。

その時、空間に干渉しようとする力をアンパイアは感じた。

「バカな!」

空間は少しだけ開け、リュクレオンの魂は回収された。

「誰にも立ち入られることのないよう、更なる強化が必要ですね…。」

アンパイアは、更に力を使い、誰にも干渉できないようにする。
その空間に干渉するためには、光の王と闇の王が共同で干渉でもしない限り、誰も干渉できない空間となった。

そして、『世界の理』は、ほんの少しだけ改変され、不完全な修復となる。
これにより、ルミナがやってきた時代で、悲劇が起こるのだが、それはまた別の話しだ。

リュクレオンの魂は回収されたが、アンパイアの攻撃により、深く傷ついてしまった。
これにより、神の条件である不死が、消滅する。

「もしかして、僕より強いかな?」
「さすがにそれでは、立つ瀬がありませんね。」

時の神クロノスと冥王ハーディスは、互いに顔を見合わせ笑った。
神の中でも上位の二人を更に上回っているのだ。
笑うしかないのである。

「さて、新たな神龍は…。深く眠っているか。」
「さすがに神としての復活は難しそうですね。」

クロノスとハーディスは、残念がった。この世界の多くの神は、すでにいない。
それぞれの種族へ転生してしまったのだ。

「このまま滅びるのは忍びないね。少なくとも、この世界を守った功労者なんだ。」
「まぁ、欲を出さなければ、完全に世界を守れたんですがね。」
「まぁ、遊ぶことも時には大事さ。これも、運命だったんだと思うことにしよう。」

その時、リュクレオンの魂は消滅しかけた。

「おっと。」

それを、クロノスは止める。

「よろしいのですか?この者にオルヴィスの世界の命運を託しても。」
「あぁ。僕らがあの方々を追うのなら、いつ戻れるかは分からないんだ。それなら、この者に賭けてみよう。」

ハーディスはため息をつく。
かなり不安だったのだろう。ハーディスは、クロノスに黙って保険をかけることにした。

「さて、この者の魂を転生させよう!リュクレオンよ、新たな生を受けるがいい。」

リュクレオンの魂は、光の粒子となり、転生した。

「そうだな。リオンとでも名づけようか。」

新たな生を受けたリュクレオンは、リオンとして生きることになった。

しかし、クロノスは気付かなかった。自身がリュクレオンを転生する儀式に入った時、カインとウルティアのことを考えたことを。
それは、二人の魂が消滅しそうになった時、二人が転生できるよう無意識に願ったのだ。

神のその願いは、世界に溶け込んだ。

「さて、僕たちもあの方々を追うとしよう。」
「そうですね。今なら、まだ追いつけるかもしれません。」

時の神クロノスと冥王ハーディスは、オルヴィスの世界を離れた。

(転生というやつか。カイン、すまん。どうやら、もう助けに行けなそうじゃ。またこの世に甦ったら、遊び尽くそうな。とりあえず、あの漫画の続きを買っておいてくれ。もし買っておいてくれなければ、忘れておきたい…。)

リュクレオンの願いは、叶わない。
そして、悲しさのあまり、防衛本能からか、神龍としての記憶は封印されるのであった。


次回、『118.決戦(カインvsソラト)③』へつづく。
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