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第3章 戦場の姫巫女
82.音速の世界
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【インパルス】
「はぁはぁ。
くそっ、またダメかっ。」
ジャックは、地面を殴った。
インパルスは驚かない。
ジャックが能力を使用したのが分かったのだ。
ジャック能力『闘神』。
勝てない相手には、過去へ遡って勝てるよう闘う。
闘えば闘うほど強くなるのだから、たいていは2巡目で勝つ。
「相手はゼリアンですか?」
インパルスは尋ねた。
「そうだ。もう10回以上、戦っているのに、まるで勝てるイメージが湧かない。」
「ジャックさん、もう今回は戦うことを諦めて下さい。」
「何を言っている!?」
「あなたの能力は、あなた自身の時間までは巻き戻らない。そのままでは、寿命が縮むだけで無意味です。」
「ふざけるな!」
ジャックはインパルスの胸ぐらを掴んだ。
「俺の能力は『闘神』なんだ!負けちゃいけないんだ!」
「ゼリアンがすでにクロノスナンバーの能力を上回っていただけです。もしかしたら、クロノス神すらも凌駕しているのかもしれません。」
インパルスは胸ぐらを掴まれたまま目を背けず、じっとジャックを見る。
それを見て、ジャックは気後れし、手を離した。
「どうする気だ?」
「今回の目標は、あくまでもアルテミスの救出です。何もゼリアンと戦う必要はありません。」
「救出だけをするんだな。」
「えぇ、その通りです。ゼリアンを倒しても、ジャックが倒れすることをカインは望みませんよ。」
インパルスは、カインとの出来事を思い出す。
「どうしたんですか!?ボロボロじゃないですか。」
「インパルス、頼みがある。アルテミスがゼリアンにさらわれたんだ。救出して欲しい。」
「カインはどうする気なんですか?」
「俺は冥界へ行き、ウルティアを助け出す。」
「カイン、なんて顔をしてるんだ…。」
カインの表情は今までにないぐらい追い詰められていた。
「それほど、ウルティアを助けるのは困難なのですか?」
「あぁ、同じクラスの相手と戦ったが、俺は1秒ももたなかった。」
「カインがですか!?」
「そのうえ、事前に悪魔界の連中と闘わないといけない。」
「危険です。あなた一人では行かせられません。」
「いや、俺しか行けないんだ。頼むっ、インパルス。こんなことはお前にしか頼めないんだ。」
「分かりました。ただし約束です。
…。
必ずウルティアと帰ってこい。」
「あぁ、約束する。」
あの時、カインはウルティアを助けるために、命をかけるつもりだった。
それほどの決意した顔だった。
思わず、立場を忘れて命令してしまったのだ。
なら、俺もアルテミスを助けるために命をかける。
「ジャック、アルテミスの居場所は分かりますか?」
「あぁ、ゼリアンのすぐ傍にいた。神聖ゾルタクス国城の南塔の最上階だ。」
「それだけ分かれば充分です。」
ジャックとインパルスは、神聖ゾルタクス国城の見える位置まできた。
その位置で、インパルスは空へ向かって叫ぶ。
「魔王よ、頼みがある。我の願いをききたまえ。」
「インパルス、何を言っているんだ!?」
その時、空間が歪みだした。
「どこかで聞き覚えがあると思ったら、あの時の坊やじゃない。」
そこにジャパン国にいた魔王アギーラが現れた。
ジャパン炎上の原因となった、暴食の魔王だった。
相変わらず太っている。
「魔王アギーラか。頼みがある。俺は今から音速と化す。思考の音速化を手伝って欲しい。」
「んー。いいわよ。ただし、魔王に願うということは分かっているわね。あなたは私の願いに何でも応えなければならない。あなたにその覚悟はある?」
「ちょっとまて、インパルス!魔王が魂が欲しいといったら、お前の命はそれまでだぞ!」
「魔王アギーラよ、俺はお前の望みを一つだけ叶えよう。だから、俺に力を貸してくれ。」
「やめろっ、インパルス!」
「契約は成したわ。さぁ、共に行きましょう。」
「馬鹿野郎が…。」
「すみません、でも、俺は何としても心友の願いを叶えたいんだ。」
「ふふふっ、今から願いを叶えてもらうのが楽しみね。どんな味なのかしら。」
「見ろっ、魂を食べようとしているぞ。」
「いくぞっ、魔王アギーラ!
能力 宣誓と誓約!
我、敵を滅ぼす者となる。
我をそのために音速にさせたもう。」
インパルスは、音速と化した。
「これはサービスよ。」
魔王アギーラの力を使って空中を飛んでいる。
そして、凄まじいスピードで魔王アギーラと二人で神聖ゾルタクス国城へ迫った。
近づくにつれ、ある疑問が湧く。
「これも幻覚を使っているのか?」
空間が歪んでいる。
インパルスは一瞬、止まってしまった。
その反動で衝撃波が城を襲う。
衝撃波とインパルスの間には一瞬だけ真空が生まれた。
インパルスは止まってしまったものの、再スタートする。
インパルスからの風圧により、その真空はカマイタチとなってはじけた。
電磁波を使った幻覚も全てはじけ飛ぶ。
「見えたっ!」
ゼリアンも、何かは分からなかったが、何かが近づいてくると認識した。
自分を防御する。
そして、自分を攻撃すると思ったため、自分以外の対処が遅れた。
「突撃っ!」
二人、女性がいる!?
どっちだ!?
「両手に華でいいじゃない。」
「それもそうか。」
城壁へ突撃し、そのまま両手に女性を抱えた。
「全員に防御結界を張ったわ。
遠慮なく行きなさい。」
インパルスは、また空を飛ぶ。
ゼリアンは、それを許さなかった。
魔力を込めた神速の魔力弾がインパルスに迫ってくる。
「くそっ、避けられない。」
「しっかりなさい。音速に上限はないわ。あなたはもっと早くなれる。
音速のまま、神速を超えなさい!」
カインの追い込まれた顔を思い出す。
少しだけ、力が湧いた。
しかし、まだ速度が負けている。
ゼリアンの攻撃はインパルスを消し炭にしてしまうほどの威力だ。
む、むりなのか?
インパルスは心が折れかかった。
『馬鹿インパルス!負けるなっ!』
エレナ?
いつも傍にいた女性を思い出す。
「い、いつまでも、
馬鹿馬鹿いうなー!」
インパルスのスピードがあがった。
そして、ゼリアンの攻撃をかわし、そのまま逃げ切った。
「はぁはぁ。」
両手には二人の女性が気絶している。
一人はアルテミスだ。
もう一人は誰だか分からない。
「お疲れさま。」
魔王アギーラは、すっかりと痩せている。
妖艶な恰好をしていた。
「ありがとう。おかげで助けることができた。」
「ふふふっ、契約だからね。さぁ、では次は私の願いを聞いてもらいましょう。」
「分かった。何でも聞く。俺の名はインパルス。インパルスの名に誓って男に二言はない!」
「楽しみだわ…。」
…。
……。
………。
「はぁはぁ、アギーラ、頼むからもう許してくれ。もう限界だ。」
「何を言っているの?男に二言はないんでしょ?まだまだ私は満足できないわよ。」
「頼むっ、もう限界なんだ。」
「だめよっ。まだ満足できないわ。もっと満足させてっ。」
ギシギシ。
…。
……。
………。
「もう、ダメだっ。」
「あと、もうちょっとだから我慢してっ!」
インパルスは思わず立ち上がった。
「もうムリだっ!店主、頼むっ!少しだけ、値引きしてくれっ!俺の財布がもうもたない。椅子だって、太りすぎてきしみっぱなしじゃないか!」
テーブルには5人が並んでいた。
アルテミスとアマテラスは絶句している。
ジャックは、既に酒で潰れていた。
「ぐごー。」
インパルスは泣きそうになっている。
「ジャック-!起きてくれっ!」
「ぐごー。んがー。」
「あらっ、男に二言はないんでしょ?あっ、店主!この焼き鳥あと50人前お願いねっ!」
「まだ注文するんですか!?」
店主がやってきた。
「あの-、もう食材がなくて、焼き飯ぐらいしか作れません。」
それはそうだろう。
テーブルの上には尋常ではない程の皿がのっていた。
「じゃあ、残りの焼き飯をあるだけちょーだい。」
「いやーー!!」
インパルスの悲鳴は、街に響き渡るのだった。
扉の外にはエレナたちが、こっそり様子を見ていた。
「エレナ、よかったね。」
「なっ、何で私がよかったのよ!」
ウロボロスの元から戻る時、たまたまウロボロスが現世の様子を見せてくれたのだ。
それはインパルスが追い詰められた瞬間だった。
そして、思わずエレナはインパルスに叫んでしまったのだ。
「遠く離れてても声が届くなんて、よっぽと心が繋がってるのね。」
「繋がってるのは、ただのくされ縁だけよ。」
エレナはその時を思い出し、少しだけ嬉しそうにしていた。
次回、『83.絶望的な戦い』へつづく。
「はぁはぁ。
くそっ、またダメかっ。」
ジャックは、地面を殴った。
インパルスは驚かない。
ジャックが能力を使用したのが分かったのだ。
ジャック能力『闘神』。
勝てない相手には、過去へ遡って勝てるよう闘う。
闘えば闘うほど強くなるのだから、たいていは2巡目で勝つ。
「相手はゼリアンですか?」
インパルスは尋ねた。
「そうだ。もう10回以上、戦っているのに、まるで勝てるイメージが湧かない。」
「ジャックさん、もう今回は戦うことを諦めて下さい。」
「何を言っている!?」
「あなたの能力は、あなた自身の時間までは巻き戻らない。そのままでは、寿命が縮むだけで無意味です。」
「ふざけるな!」
ジャックはインパルスの胸ぐらを掴んだ。
「俺の能力は『闘神』なんだ!負けちゃいけないんだ!」
「ゼリアンがすでにクロノスナンバーの能力を上回っていただけです。もしかしたら、クロノス神すらも凌駕しているのかもしれません。」
インパルスは胸ぐらを掴まれたまま目を背けず、じっとジャックを見る。
それを見て、ジャックは気後れし、手を離した。
「どうする気だ?」
「今回の目標は、あくまでもアルテミスの救出です。何もゼリアンと戦う必要はありません。」
「救出だけをするんだな。」
「えぇ、その通りです。ゼリアンを倒しても、ジャックが倒れすることをカインは望みませんよ。」
インパルスは、カインとの出来事を思い出す。
「どうしたんですか!?ボロボロじゃないですか。」
「インパルス、頼みがある。アルテミスがゼリアンにさらわれたんだ。救出して欲しい。」
「カインはどうする気なんですか?」
「俺は冥界へ行き、ウルティアを助け出す。」
「カイン、なんて顔をしてるんだ…。」
カインの表情は今までにないぐらい追い詰められていた。
「それほど、ウルティアを助けるのは困難なのですか?」
「あぁ、同じクラスの相手と戦ったが、俺は1秒ももたなかった。」
「カインがですか!?」
「そのうえ、事前に悪魔界の連中と闘わないといけない。」
「危険です。あなた一人では行かせられません。」
「いや、俺しか行けないんだ。頼むっ、インパルス。こんなことはお前にしか頼めないんだ。」
「分かりました。ただし約束です。
…。
必ずウルティアと帰ってこい。」
「あぁ、約束する。」
あの時、カインはウルティアを助けるために、命をかけるつもりだった。
それほどの決意した顔だった。
思わず、立場を忘れて命令してしまったのだ。
なら、俺もアルテミスを助けるために命をかける。
「ジャック、アルテミスの居場所は分かりますか?」
「あぁ、ゼリアンのすぐ傍にいた。神聖ゾルタクス国城の南塔の最上階だ。」
「それだけ分かれば充分です。」
ジャックとインパルスは、神聖ゾルタクス国城の見える位置まできた。
その位置で、インパルスは空へ向かって叫ぶ。
「魔王よ、頼みがある。我の願いをききたまえ。」
「インパルス、何を言っているんだ!?」
その時、空間が歪みだした。
「どこかで聞き覚えがあると思ったら、あの時の坊やじゃない。」
そこにジャパン国にいた魔王アギーラが現れた。
ジャパン炎上の原因となった、暴食の魔王だった。
相変わらず太っている。
「魔王アギーラか。頼みがある。俺は今から音速と化す。思考の音速化を手伝って欲しい。」
「んー。いいわよ。ただし、魔王に願うということは分かっているわね。あなたは私の願いに何でも応えなければならない。あなたにその覚悟はある?」
「ちょっとまて、インパルス!魔王が魂が欲しいといったら、お前の命はそれまでだぞ!」
「魔王アギーラよ、俺はお前の望みを一つだけ叶えよう。だから、俺に力を貸してくれ。」
「やめろっ、インパルス!」
「契約は成したわ。さぁ、共に行きましょう。」
「馬鹿野郎が…。」
「すみません、でも、俺は何としても心友の願いを叶えたいんだ。」
「ふふふっ、今から願いを叶えてもらうのが楽しみね。どんな味なのかしら。」
「見ろっ、魂を食べようとしているぞ。」
「いくぞっ、魔王アギーラ!
能力 宣誓と誓約!
我、敵を滅ぼす者となる。
我をそのために音速にさせたもう。」
インパルスは、音速と化した。
「これはサービスよ。」
魔王アギーラの力を使って空中を飛んでいる。
そして、凄まじいスピードで魔王アギーラと二人で神聖ゾルタクス国城へ迫った。
近づくにつれ、ある疑問が湧く。
「これも幻覚を使っているのか?」
空間が歪んでいる。
インパルスは一瞬、止まってしまった。
その反動で衝撃波が城を襲う。
衝撃波とインパルスの間には一瞬だけ真空が生まれた。
インパルスは止まってしまったものの、再スタートする。
インパルスからの風圧により、その真空はカマイタチとなってはじけた。
電磁波を使った幻覚も全てはじけ飛ぶ。
「見えたっ!」
ゼリアンも、何かは分からなかったが、何かが近づいてくると認識した。
自分を防御する。
そして、自分を攻撃すると思ったため、自分以外の対処が遅れた。
「突撃っ!」
二人、女性がいる!?
どっちだ!?
「両手に華でいいじゃない。」
「それもそうか。」
城壁へ突撃し、そのまま両手に女性を抱えた。
「全員に防御結界を張ったわ。
遠慮なく行きなさい。」
インパルスは、また空を飛ぶ。
ゼリアンは、それを許さなかった。
魔力を込めた神速の魔力弾がインパルスに迫ってくる。
「くそっ、避けられない。」
「しっかりなさい。音速に上限はないわ。あなたはもっと早くなれる。
音速のまま、神速を超えなさい!」
カインの追い込まれた顔を思い出す。
少しだけ、力が湧いた。
しかし、まだ速度が負けている。
ゼリアンの攻撃はインパルスを消し炭にしてしまうほどの威力だ。
む、むりなのか?
インパルスは心が折れかかった。
『馬鹿インパルス!負けるなっ!』
エレナ?
いつも傍にいた女性を思い出す。
「い、いつまでも、
馬鹿馬鹿いうなー!」
インパルスのスピードがあがった。
そして、ゼリアンの攻撃をかわし、そのまま逃げ切った。
「はぁはぁ。」
両手には二人の女性が気絶している。
一人はアルテミスだ。
もう一人は誰だか分からない。
「お疲れさま。」
魔王アギーラは、すっかりと痩せている。
妖艶な恰好をしていた。
「ありがとう。おかげで助けることができた。」
「ふふふっ、契約だからね。さぁ、では次は私の願いを聞いてもらいましょう。」
「分かった。何でも聞く。俺の名はインパルス。インパルスの名に誓って男に二言はない!」
「楽しみだわ…。」
…。
……。
………。
「はぁはぁ、アギーラ、頼むからもう許してくれ。もう限界だ。」
「何を言っているの?男に二言はないんでしょ?まだまだ私は満足できないわよ。」
「頼むっ、もう限界なんだ。」
「だめよっ。まだ満足できないわ。もっと満足させてっ。」
ギシギシ。
…。
……。
………。
「もう、ダメだっ。」
「あと、もうちょっとだから我慢してっ!」
インパルスは思わず立ち上がった。
「もうムリだっ!店主、頼むっ!少しだけ、値引きしてくれっ!俺の財布がもうもたない。椅子だって、太りすぎてきしみっぱなしじゃないか!」
テーブルには5人が並んでいた。
アルテミスとアマテラスは絶句している。
ジャックは、既に酒で潰れていた。
「ぐごー。」
インパルスは泣きそうになっている。
「ジャック-!起きてくれっ!」
「ぐごー。んがー。」
「あらっ、男に二言はないんでしょ?あっ、店主!この焼き鳥あと50人前お願いねっ!」
「まだ注文するんですか!?」
店主がやってきた。
「あの-、もう食材がなくて、焼き飯ぐらいしか作れません。」
それはそうだろう。
テーブルの上には尋常ではない程の皿がのっていた。
「じゃあ、残りの焼き飯をあるだけちょーだい。」
「いやーー!!」
インパルスの悲鳴は、街に響き渡るのだった。
扉の外にはエレナたちが、こっそり様子を見ていた。
「エレナ、よかったね。」
「なっ、何で私がよかったのよ!」
ウロボロスの元から戻る時、たまたまウロボロスが現世の様子を見せてくれたのだ。
それはインパルスが追い詰められた瞬間だった。
そして、思わずエレナはインパルスに叫んでしまったのだ。
「遠く離れてても声が届くなんて、よっぽと心が繋がってるのね。」
「繋がってるのは、ただのくされ縁だけよ。」
エレナはその時を思い出し、少しだけ嬉しそうにしていた。
次回、『83.絶望的な戦い』へつづく。
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